Warrior beyond despair   作:レオ2

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加筆。アスナの反応を追加。


話し合い 改

(何なのあの子は)

 

 そうフードを深く被り左越しにあり隣にいるソードマンの人が選んでくれた細剣に触れながら心で呟く。フードの下の人の名前はアスナ。今年で15歳で受験生だった。だったと言うのは言うまでもなくSAOに捕えられ受験所では無いからだ。アスナは都内の進学校の女子中学生だった。もう少しで受験で模試等に一喜一憂からの勉強漬けの日々だった。

 そんな時アスナの兄がナーヴギアとSAOのソフトを買ってきた。アスナはそれに驚いた。アスナや兄は大企業の子供で所謂令嬢とかと言われる立場の人だ。だから自分も兄も厳格な家庭で育った。ゲーム等スマホにある無料のゲームを少し触る位だ。兄も似たり寄ったりだった筈だ。

 しかし兄はどういう訳か世界初のVRMMOをする為に件の2セットを買ってきた。しかし兄は何とSAOを開始日に海外へ出張が入ってしまい初日からのログインを断念した。アスナはそんなSAOを開始日に今でもよく分からないがフラーっと兄の部屋に入りセットしていたナーヴギアを被りこの世界に来て·····デスゲームとなった。

 

(たった1人で·····)

 

 デスゲームとなったSAOでアスナが最初にした事は宿に閉じこもる事だった。閉じこもり外部からの助けを待つ事。戦うのなんて以ての外。死んでしまうかもしれないのに自分達から戦いに行く神経が分からない。真面目にそう思った。だが·····今は自分がその神経が分からない人達に混じってると思えば思わず笑ってしまう。

 そんなある時アスナはログアウトスポットと呼ばれる所があるという情報を聞いた。アスナは藁にもすがる思いで向かった。現実にやり残した事は沢山あるのだ。だからこそ帰りたかった。だが現実は非情でそんなログアウトスポット等無く挙句の果てにモンスターに吹き飛ばされて死ぬ所だったのだ。そこへ先程光輝が会ったアルゴと隣のソードマンが駆けつけ何とか九死に一生を得たのだ。

 

(ボスと渡り合うなんて……)

 

 それからアスナは外部からの助けはないと諦め……戦う事を選んだ。戦って戦って戦い抜いてその果てで死のうと、そう思った。2ヶ月経っても第1層すら攻略出来てない。単純計算最低2年以上はこのSAOに囚われる。そんなに囚われ抜け出した先に一体何があるのだろうか? そもそも現実の肉体が持つのかすら分からない。点滴だけで寝たきりの人間が何年も生きられる訳ないと思ったのだ。安物の細剣を何個も購入し迷宮区に行き始めてそんな時に隣のソードマンに出会った。そんなやり方では死ぬぞと言われた。当時のアスナの戦闘スキルは極限まで装備を軽くし相手の攻撃を避け続け攻撃を当てるというヒットアンドアウェイ戦法だった。そしてアスナは何と空腹を我慢し続け迷宮区に行き続け3日程籠っていた。

 

(何者なの)

 

 隣のソードマンに誘われアスナは今回のボス会議に出席した。成り行きでソードマンとパーティーを組んで臨もうとしたボス戦。ソードマンはボス戦はレイドを組むのが絶対だと言っていた。レイドとは7×7の合計49人の事だ。やたらとゲームに詳しいソードマンがそういうのだからそうなんだろうと思った。実際この場にいる全員それは分かっている様だった。しかし今ボスを見事に斬った少年はたった1人で挑み対して苦労もしてなさげな顔で

 

「終わりだ」

 

 そう呟くのと同時にあのボスが爆散した。あの少年は確かこのレイドが迷宮区前で休憩していた時にドダダダ! と自分達攻略隊の間をすり抜け迷宮区に入った少年だ。その後自分達はレイドリーダーが少年を追おうと急いでモンスターをばったばったと倒しながら来てた時には少年は既にあの造形がほかの雑魚モンスターとは格が違うボスを相手に全く引かずそのソードマンも使っているアニールブレードを2本携えて戦っていた。レイドリーダーの自称ナイトも着いた時に少年に加勢しようと思ったがそんなのは要らないと少年の小さな背中が語っていた。その少年は何やらメニューウインドウを弄っている。たった1人でボスを討伐したのだからさぞかし豪華なメニュー欄になってるだろう。そんな時攻略隊の1人から声が上がったのだった

 

 ★★★★★

 

 コボルドロードを撃破してなんか《you get the Last attack bonus》って言うホロウウィンドウが出てきた。多分文面から察するに最後にコボルドロードに攻撃して撃破した人が貰えるのかな? と思って取り敢えず装備せずに出して見る。手に収まったのは真っ黒なコートだった。名を《コートオブミッドナイト》。うん、名前の通りだな。でも性能は良いらしい。あのコボルドロードがもう出ないのならこれはこの世界に1つだけなのかもしれないな。·····俺が装備しても意味ないんだけどな。そう思っていたら何か後ろの人達の1人が叫んで来た。

 

「なんや、なんなんや自分は!?」

 

 そう言って結構な人数がいる中から出てきたのはなんか頭が凄くギザギザしてる人で言っちゃ悪いけど面白い。正面切っては言わないけど。その人が前に出てきたのを皮切りに後ろの人達も前に出てきた。そしてその中にはキリトも見える。なんか凄く深くフード被ってる人も隣にいるけど。答えようとしたら向こうの青髪の人も前に出てきてギザギザ頭の人を止める。青髪か……、愛美どうしてるかな。とそんな今この場において全く関係ない事が頭に浮かんだ。

 

「まあまあ、キバオウさん。いきなりそんな事を言われても彼も困るでしょ? 1つずつ聞きませんか?」

 

 この青髪の人はきちんと常識人だ。だが今の言葉で光輝は眉を顰める。今の言葉は光輝からすれば問答無用でこいつらは自分から話を聞くという風に聞こえたからだ。青髪の人には強く出れないのかギザギザ頭の人は仕方がないみたいな顔で言う。

 

「デぃ、ディアベルはんがそう言うなら」

 

「ありがとう。すいません、ヒースクリフさん。大人代表で一緒に聞いてくれませんか?」

 

 悪意はないんだろうがやはり強制みたいに聞こえる。ディアベルと呼ばれた人は群衆の中にいる1人に聞いた。

 

「ふむ、分かった」

 

 そう言って出てきたのは結構身長が高い人でデカ目な盾を持ってる人だった。なんか雰囲気的に人に何か教えていそうな人だ。というか俺の身長の関係上俺はここにいる人達の大半は上を見なきゃいけないからここが現実なら首が痛くなるな。と、そんな事を考えてたら3人が武器を持たず寄ってきた。向こうも武器を持たないなら俺も持たない。だが何か俺に選択権がないのが癪だから俺も言う。

 

「なあ、一応聞いとくがあんた達は俺から話しを聞きたいのか?」

 

「当たり前や!」

 

 そうギザギザ頭の人が答える。結構小柄なのに迫力あるな。というか俺にやっぱり選択権はないのだろうか。でもこんなの完全にアウェーだからちょっと抵抗する。悪いが道ずれになってもらうぜキリト! 

 

「じゃあ、俺も3つだけ条件出していいか? これ飲まない無いなら俺はさっさと上に行く。俺は自分の事を話す義理なんざ無いのにあんたらが話を聞く前提で動いているのがムカつくからな」

 

 そう光輝が言えば近づいてきてた3人はピタと止まった。そしてディアベルはしまったという顔をして言った。確かに自分は光輝の返事等聞かずに聞く前提で話を進めていた。それを恥じたのだ。

 

「確かに君にとってはそうだね。いきなり来た人達が自分たちの中で勝手に君に話しを聞く事になっていた。すまない、目先のことばかりで君の事は考えていなかった」

 

 そう言って頭を下げてくれた。ギザギザの人も不服そうだが下げてくれた。大柄の人も。なんかちょっと面食らったな。まあギザギザの人も態度はでかいけど根本は良い人なのかな? と思い返事を返す。

 

「あっ、いえ。頭をあげてください」

 

 自分よりもどう見ても年上の人に頭を下げられるのは·····まあ光定さんがよく下げてくれてたけどやっぱり慣れない。光定さん元気かな……。とか思っていたらディアベルさん達が顔を上げて聞いてきた。

 

「それで君の言う条件とは?」

 

 光輝は特に考える素振りも見せずに答える

 

「1つは話すのはあなた達3人と俺が指定する奴だけ。残りはあの扉の所にまで下がってもらう。あんたらの聞きたいことが終わったら俺はさっさと上に行く。それからなら後ろの人達も喋ってくれていい。俺が何か言ってる最中に根も葉もない事を言われるなんて嫌だから。まあ、質問タイムはあるからそれまでは黙ってくれると助かるな」

 

 これは絶対条件だ。だってなんか話が気に食わないとかいうそんなくだらない理由で攻撃されたら溜まったものじゃない。あと俺は人が話しをしている真っ最中に話しかけてくるやつは嫌いだからだ。ディアベルさんが頷きながら言った

 

「2つ目は?」

 

「話すメンバーの武器全てを俺は10メートル後方の所、あんたらは扉の横に全ておけ」

 

「はぁ!? 何でお前だけ10mなんだよ? どうせ何かやましい事聞かれたら速攻で攻撃する為なんだろ?」

 

 そう誰かが言ってきた。だけどそれはちょっとアウトじゃないかな? とか思っていたら青眼の人も聞いてきた。

 

「何で君は10メートルなんだい?」

 

 まあどうせ不満は出るだろうと思っていたから用意しといた答えを言う。

 

「簡単。そっちはあんたらを除いても結構な人数がいる。対して俺は1人。だから俺が気に食わないとかいう理由でこっちが攻撃されたら溜まったものじゃないからな。直ぐに反撃できるように俺は10m。何か問題あるのか? そっちはなんならドアの所にいる味方に剣を投げてもらえるなんて言うショートカット技だってできる。さっき俺が攻撃する為なんだろって言ったやつは何も分かってないな。ぶっちゃけ言うとこの話し合いで不利なのは圧倒的に俺なんだから条件も俺有利になるのは火を見るよりも明らかだろ」

 

 当たり前だ。話し合いは対等な状態でやりたいが人数の問題でそういう訳には行かない。ならせめて武器の置く場所だけは光輝が有利でなければならない。だがそれでも吠える奴がいた

 

「はっ! チートしている奴の言うことなんて聞くことないすよ。この人数ならたった1人ぐらい倒せますよ!」

 

 それを聞いて他の面子もそうだそうだ。やりましょうディアべルさんとか言ってる。別に俺は喧嘩しに来るなら買ってやるが? だがそれを意外な人の一言で静まった。

 

「ちょっと黙れや! わしらは人殺しになる為にここにいるんとちゃうやろ!?」

 

 そう言ったのはギザギザ頭の人だった。あれ? この人がいの一番に詰め寄ってきてたのにどうした? と思ってたら聞いてくる。

 

「んで? 自分の条件の3つ目は?」

 

 一瞬自分って何やろと思った。俺ずっと東京暮しだから関西弁は全く知らんから。でも何となく俺の事だと思い返す。

 

「俺と話したいなら、そこにいるキリトも同席させてもらう!」

 

 そう言って俺はキリトを指さしてごめんと思いながら指さした。凄い逃げたそうな顔してる。

 

 キリトが逃げたそうな顔をしている理由は簡単だ。キリトは目立ちたくないのだ。しかし今いやでも目立ってしまった。

 

「それは何でや?」

 

「俺がこの世界に来た時、初めて会った人だからです。そして色々話しをしたんでこの中じゃ唯一俺の事を知っているはずです。俺は殆ど街にはおらず外にいましたから誰ともほぼ会いませんでしたし」

 

 実際、俺だけアウェーなんて嫌だし道ずれになってもらった。そう聞いてディアベルって人がキリトに振り向いて聞いた。

 

「キリトさん、お願いしても良いかい?」

 

 ここでもし拒否したらキリトは色んな意味で吊し上げにされるので不承不承頷いた。

 

「はぁ、分かりました」

 

「よし。俺はこの条件を飲もうと思う。おふた方はどうだい?」

 

 そう言って残りの2人に振り返って聞いた。

 

「私は構わないよ」

 

「ワイもええで」

 

「ありがとう」

 

 返事を聞いて俺は約10メートル後方にアニールブレードを2つ置いた。因みにコートオブミットナイトはもうストレージに入れてる。向こうの4人も武器を扉の前に置いてその他メンバーは扉まで下がった。また真ん中に戻って話しを始める。

 

 現在このアインクラッドに階級なんぞない。あるとしてもレイドリーダー等その位だ。しかしこの3人は後ろの攻略隊の中では重要人物である。

 

「さて、取り敢えず名前を聞いても良いかい? 俺はディアベル。気持ち的にナイトやってます」

 

 この世界にジョブシステムなどないが光輝はそんな事は知らないから真剣にそんなのあったっけ? と考えていた。ディアベルはジョークを言う事で場を和ませようとしただけだ。大の大人が3人、中学生1人が詰め寄っている光景は何も知らなければいじめに見える。

 ディアベルは今後ろにいる攻略隊のレイドリーダーと呼ばれる人物でこのレイドを作ったのも彼自身だ。そして次は隣のギザギザ頭の人の名前は言う

 

「ワイはキバオウって言うもんや! あんさんはワイの事は名前だけでも知ってるやろ?」

 

 光輝は3秒ほどキバオウを見てあ〜と思い出した

 

「あーっ! アルゴって人に俺の事を探らせた人?」

 

「そうや」

 

「そうでしたか。それで調査の結果は聞いたんですか?」

 

「それはおいおい話すわ」

 

 そして次に大柄の人だがなんかすごい見られている。そりゃあさ、自分でも変なやつとは思うけどそんな舐めるように観察するのは遠慮願いたいなと思ったり。でも、なんだろうなこの視線は? 何か世界の異物を見るような目で見られてる。そう思っていたら盾を隣に置き名乗った。

 

「私の名前はヒースクリフという。よろしく頼むよ」

 

 そう言って手を出てきた。俺も返すのが礼儀だと思い握る。でも俺の手が小さく入り切らないから両手で握る。

 

「こちらこそ」

 

 そう言ってまた手を離した。そして最後はお馴染みキリト。

 

「もう知ってるけど一応。キリトだ。久しぶりだな、光輝。後お前絶対フルネームで名乗るなよ」

 

 前回光輝は思いっきりフルネームで名乗った。デスゲームとは言えネットゲームである以上ネットルールは守らなければならない。その1つが呼ぶ時はリアルネームではなくプレイヤーネームで名乗る事だ。

 

「はーい。じゃあ今度は俺か。俺の名前は光輝。漢字は光る輝きで光輝」

 

 そう言ったら? が出そうな感じで首を傾けられた。

 

「えっ、プレイヤーネームに漢字ってありましたっけ?」

 

 ディアベルは疑問符を出しヒースクリフに聞いた。ヒースクリフは第1層の時から前線に出ているプレイヤーでその戦闘力は並のものを凌駕する。そしてその知識も豊富でディアベルは助けられてきた。だから聞いたのだがヒースクリフは顔を振った

 

「いや、ない。プレイヤーネームはアルファベットしかない」

 

「うーん、プレイヤーネームを見せれたら1番早いんですけどね」

 

「できるよ。システムウィンドウに他の者達にも見えるようにする可視ボタンがあるからね」

 

 そうヒースクリフさんが言った。まじですかい。まあ俺は滅多にウィンドウ出さないしね。そう言われ俺はホロウウィンドウを可視状態にして4人に見せた。そしたらなんか皆さんびっくりしてる。ヒースクリフさんが聞いてきた。

 

「プレイし始める時にセットし忘れたとかは?」

 

「いや、そもそもキリトにも言ったが俺はゲームなんてした事ないんですが。ここにだっていつの間にかいただけだし」

 

「それは、どういう事だい?」

 

 今度はディアベルさんが聞いてきた。質問多いな。ただ過去から来たとは言えないから適当にはぐらかす。というよりはぐらかすしかない。そんな有象無象の事なんて誰が信じるのだろうか。

 

「さあ、そんなのは俺が1番聞きたいです。ちょっと色々あったらいつの間にかこの世界のホルンカの森って所にいてキリトに起こされたんですから、何でここにいるかは俺も知りません。というか知ってたら教え欲しいですよ。おまけに記憶も朧気ですし」

 

 ブラフ、はったり、嘘である。本当はバッチリ覚えてるが話す訳にはいかないからな。と言うよりキリトが知らなかったのだから他の人もたぶん知らない。

 

「だから俺は取り敢えずてっぺんを目指す。そこの敵を倒せば記憶も何でここにいるのかも分かるかもしれないから」

 

 そう言ったら沈黙になった。けどまあ、この目的は本当だから嘘ではない。それにこの1ヶ月で分かったことだが俺にはレベルがあるが攻撃力的なやつとかはない。つまり今の俺はあのクズ野郎と戦った時と同じ力だ。蒼眼と赤眼を出せる事は確認済みだ。あの野郎との最後の戦いの時に出したあの力は出ない、というかやり方が全く分からん。でもまあレベルさえあげればあとは攻撃を当てまくったら勝てるから1人でこれからも挑んで問題ない。そう思ってたら次の質問された。

 

「次の質問していいかい?」

 

「どうぞ」

 

「君はチートしてるのかい?」

 

 そうズバリ聞かれた瞬間部屋の空気がちょっと問い詰めるぜみたいな空気になった。だがそんなのものは知らないからそう答える。

 

「チートってアルゴに聞きましたけど要はズルする人の事ですよね? だったら俺はそんなものやってませんよ」

 

「これに関しては私も彼はしていないと思う」

 

「それは何故ですか? ヒースクリフさん」

 

 俺のチート疑惑を否定したのはヒースクリフさんだった。俺も証拠を提示できないのに何で出来ないと言いきれるのか分からんから聞いとく。

 

「仮に彼がチートを使えるならとっくにこの世界から消されてると思うからだよ」

 

 サラッと恐ろしい事言った。

 

「この世界が始まりはや1ヶ月。その間に外側からの接触は一切なかった。普通このようなゲームはメンテナンスなどは人の手によるものだがそんな類のものは1度もなかった。だがしかしこの《ソードアート・オンライン》というゲームもゲームである以上バグなどは発生するだろう。実際、私もいくつか見つけた。だがいつの間にかなくなっていた」

 

 ヒースクリフはSAOが始まり3日ほど経ち行動をし始めた。そしてゲーム等が詳しい故に可笑しいと思ったバグを見つけた。しかし次に見つけた時にはそれらのバグが無くなっていた。ヒースクリフはそれをこう考える

 

「そしてそれを直すためにはメンテナンスがいるからな。しかしそれがないという事は人の手によらない機械がメンテナンスをしているのではないかと思うのだよ。仮に人間がメンテナンスしているなら外から強制ログアウトもできるだろうしね。そしてそんなメンテナンスができる高度な物がチートをしてると認識したら真っ先に消すと思うのだ」

 

 言っている事がいちいち恐ろしいが光輝は成程なぁとか他人事のように思っていた。ディアベルはそんなヒースクリフの仮説を聞き納得し冷や汗を出しながら光輝に向いて言った

 

「な、成程。じゃあ君は本当に」

 

「してませんよ。俺はドーピング何かするより自力でやる方が好きですもん」

 

 これは事実だ。ズルは良くない。皆もルールは守ろう。

 

「そうか、じゃあ次の質問だ。一応聞いておく。君はベータテスターかい?」

 

 ·····何か知らない言葉だけめちゃ聞くな今日は。……そもそも人と喋ったのも久しぶりだったな。

 

「そのベータテスターって何ですか?」

 

 そしてキリト以外ずっこけた。キリトは光輝と1度話した時からこういうのには詳しくないと知っていたから予想出来ていた。復活したキバオウが名前の如く噛み付くような声で言う

 

「ベータテスターってのはこの《ソードアート・オンライン》が始まる前になバグとか実際やってみてどうなんだって言うのをチェックする為に選ばれた1000人の事や! 2ヶ月間今わしらがいる正規版と同じ所に先におったんや!」

 

「へー、まあ要はテストの一部を先に見るような事?」

 

 光輝なりの解釈の仕方だ。因みに光輝は学校のテストでは常に上位にいた。算数やらは元々好きだし覚えられない奴は一瞬だけ蒼眼になって覚えるとかいうチートを·····いや、光輝自身の能力だからチートでは無いがその他の生徒からすればチートの能力を使って点数取ってた。それも普段冷たい癖に頭は良いからとかいう嫌味な奴に見えその他の生徒が離れていくという光輝は望み新井は望まない展開になっていたが割愛。

 

「そ、そうや!」

 

「で、そのベータテスターだったら何ですか?」

 

「決まっとるやろ! 謝ってもらわな気がすまん! あいつらベータテスターがあの始まりの日にワイら9000人を置いて行ったせいでワイらニュービーが苦労した。中にはベータテスターが見捨てたせいで死んで行ったもんだっておる。その落とし前をつけてもらわなあかん!」

 

 それを聞いて俺は色々思う所があった。こいつは何か勘違いしてる。それになんかそれを聞いてたキリトが震えてる。多分キリトはそのベータテスターってやつなんだろうな。そしてディアベルさんも暗い顔になっている。秘密は誰にだってあるだろうに。ヒースクリフさんはこっちの答えを待ってるみたいだ。取り敢えず思った事を言う。

 

「はぁ、くだらない」

 

 光輝がそう言った瞬間に前にいた4人も後ろの輩の一部も唖然とした。今アインクラッドでベータテスターを恨んでる人は全員とは言わないが結構いる。そんな風潮があるからこんな反応になるのだ。元々ベータテスターとか気にしない人は同感だみたいな顔をしている。しかしそれを認めたくないのかキバオウが噛み付く

 

「な、なんやと!? どこがくだらないんや!」

 

「いや、だってくだらないでしょ。確かにそのベータテスター達は先にテストを先取りしたのかもしれない。だけどだからって別に100点を取れるわけないだろ? もしかしたら1度テストを回収されてからどこか変えられたかもしれない」

 

 まあ本当の学校のテストじゃテストは1回きりが殆どだからそんな事はないのだが例えだから大丈夫。

 

「実際あんたら俺が戦ってる時にコボルドロードが刀を出した時驚いてただろ? あれはベータテストの時の情報と違ったからなんじゃないのか?」

 

 光輝はコボルドロードと戦っている間にも後ろのキバオウ達の反応を覚えている。勿論情報じゃなくて武器が変わった事だけに驚いたという事も有り得る。しかしそれは無いだろうなぁとは思ってる。何故ならそのベータテストという奴があったのなら2ヶ月前にコボルドロードを倒した輩がいるということ。なら普通に考えればその時のコボルドロードと同じだと思うはず。だから武器の変更程度では驚かない筈なのだ。驚くとすればその武器が変わる事自体が変更された点かその変わる武器の種類が違うとかそんなもんだろうと当たりをつけた。

 

「おまけにそのベータテストって2ヶ月間だったんだろ? あんたらの言うこの正規版でこの第1層は約1ヶ月。そのベータテストで行けた層なんてせいぜい10層くらいじゃないか? 死に戻りは出来ただろうし。その後のテストは出ないって事だろ。結局ベータテスターがずっと有利って訳では無いって事でしょ」

 

「くっ、そ、そうだとしてもベータテスター共がワイらを置いていかんかったら1500人も死ななかってん! それはどうするつもりや!」

 

 デスゲーム開始日、始まりの街と呼ばれるその場所に光輝以外の全プレイヤーは集められた。そしてそこでSAOとナーヴギアを開発者の茅場晶彦が自主的ログアウト不可・体力全損で仮想世界のアバターもリアルの体も殺されるというデスゲーム宣言があった。そしてキバオウの言うベータテスター達はその後直ぐに始まりの街を抜けてそれぞれレベリング等をしに行った。対外的に見ていればベータテスターが悪い気もするが光輝はそう考えない。

 

「それも知らないよ。だってさよく考えてみてよ。あんたのさっきの言葉聞いてたらこのゲームには最初1万人いたんだろ? で、その9割はあんたらベータテスター以外。たった1割でどうやってあんたら9割の面倒みろと?」

 

 それはそうだ。ベータテスター全員が初心者の世話を出来る訳では無い。比率が多すぎるのだ。

 

「それにそのベータテスターだって全員が戦える訳じゃない。デスゲームってなった以上戦いたくないって人もいるはずだ。そりゃそうだ。ゲームなら普通は楽しむ為に来たのにそれが生死をかけた戦いになったら戦う選択肢を放棄する気持ちも分からんでもない」

 

 光輝自身はゲーム等は愛美が持っていたのを少しやらせてもらうくらいでぶっちゃけ何もかも初心者だ。しかし光輝はゲームをしてる時は楽しかったし楽しくないゲーム何ぞゲームでは無い。光輝はゲームの本質はそうだろうと思っている。しかし今のこの世界は現実と何も変わらない。違うのは非日常なモンスター等がうじゃうじゃいるって事だけ。逃げたくなる気持ちも分かる。

 

「それにそのベータ版と正規版での違いで死んだ人もいるかもしれない。それにあんたの言う始まりの日ベータテスター達は初めての人達を置いてった。って言ったな? ぶっちゃけそれも褒められはしないかもしれないが責める権利も無いと思うぞ?」

 

「な、なんでや!」

 

 キバオウはベータテスターをはっきり言って嫌っている。それは自分が言った通り初心者を見捨てる奴が大概だったからだ。だが光輝はそれすらも否定した。

 

「だってそうでしょ? 生死をかけるんだったら自己強化は必須。多分この世界はさっきヒースクリフさんが言った機械が経験値、敵の出具合を調節してるんだろ? つまりこの世界はその取り合いだ。それに足でまといになるなら連れていく義理もないからな」

 

 至極真っ当な意見だ。確かに怖くて戦えない奴に構う時間も惜しい。光輝も足でまといを連れながら戦う余裕はあるにはあるが構う必要はないと思っている。戦えないのなら永遠と始まりの街に引きこもればいいし周りにいる雑魚モンスターにヒットアンドアウェイでやっとけば勝てるし。それすらも出来ないのなら永遠と空腹に耐えて生きれば良い。冷たく聞こえるが事実そうだ。昔の人だって自分の命を懸けて狩りをして生きていたのだから昔の奴に出来て今の奴らに出来ない道理はない。出来ない人が多いだろうがそれだけメンタル面ではある意味退化したのだ。

 

「そのベータテスターが全員聖人君子なら有り得ただろうが関わりも何も無いやつに何故手取り足取り教えなきゃいけない? あんたがもしベータテスターならそれが出来たんか? 俺はその始まりの日の宣言は聞いていないが多分皆叫んでたりしたんだろ? そんな罵詈雑言の中でもう冷静な思考を失ったやつらに構う暇なんてないだろ普通。ぶっちゃけ俺でも同じ状況なら同じ事すると思う。それに無理に戦わないって言う選択肢もあるしな。生死を賭けた状態で甘ったれた事言うな。現に俺はそんなベータテストの情報なんて無くても普通にコボルドロードを倒せたぜ?」

 

 そう言われ場は静まる。確かにここにいるベータテスター達を忌避してる奴はキバオウを始めいる。そして反論はしたい。だが光輝の言う事にも一理ある……と言うよりほぼ光輝の言う通りだ。確かに見捨てたのはあれだが別にベータテスター全員が見捨てた訳では無い。名乗ってないだけで誰かを助けているかもしれない。そしてデスゲームとなって戦いたくない人だっているかもしれない。そりゃあベストはベータテスター達全員が初心者達にあれこれレクチャーする事だろうが人間は完璧でもないので鼻からそれは無理。少し考えれば分かる事だ。でも光輝はこの攻略隊の事は割かし評価している。何故なら

 

「でもまあ、俺はあんたらは素直に凄いと思うけどな」

 

「「はっ!?」」

 

 と全員仲良く同じ事言った。面白い。これがハモリと言うやつか。成程

 

「だってさ、あんたらの中にベータテスターもいるだろうけど割合としては新しい人の方が多いんだろ? じゃあその人達は普通のベータテスターを極論超えてるってことじゃないの。だってここにいないベータテスターは死にたくないからここに来なかった。対してあんたら初めて組はその恐怖を押し殺してここにいる。俺はその気概は普通に立派だと思うよ。言っちゃ悪いがここに来なかったベータテスター達よりも何倍もかっこいいと思う。だからさ、初めて組は胸張っとけばいいじゃん。ベータテスターが何なんだ? お前らはそいつらよりも今上にいるだろ? そのまま突き放してやったらいいじゃん。持ってる知識や技量がなんなの? そんなの上手い人から吸収して己の物にしたらいいでしょ。それにどっちみち知識は途中で通用しなくなるし」

 

 光輝は思った事は普通に言う性格だ。所謂KYという奴だ。だが別に光輝はこれで後悔した事なんぞない。何かを言わなきゃ伝わらない事もある。そして伝えていなかったらきっと後悔する事だってある。

 光輝が血が繋がった家族と最後に交わした会話は「晩御飯後で!」という作った側からすれば少し傷つく言葉だった。当時愛美の母から電話を貰った光輝はその言葉を晩御飯の準備が整って食卓に並んでいるのに言って愛美の元へ駆けつけた。しかし結果的にその言葉が自分の家族の別れの言葉になってしまった。勿論光輝は次皆に会った時に遺体だなんてこれっぽっちも思っていなかった。思っていなかったからこそ傷つき涙し慟哭をあげたのだ。……いや誰でも同じになると思うが。

 光輝のセリフを聞いた面子はしばらく呆けた顔をした。何故なら考えてみればその通りなのだ。ベータテスターよりも初心者が多いのだから当然なのだが今この場にベータテスターは光輝が確信してるだけでもディアベルとキリトの2人だけ。他にもまだいるだろうがそれでも初心者の方が多いだろう。

 

「そう、だよな。ベータテスターがなんだ! 今ここにいるのは俺たちだ! 俺達がここにいるんだ」

 

「そうだぜ! ベータテスターから貰えるもんは全部貰っちまおうぜ! 技も知識も貰おうぜ!」

 

「そうだ! 今は俺達が1番凄いんだ!」

 

 そう言って何か後ろで盛り上がってる。さっき俺をさっき倒すぜ宣言してた奴は本当は煽りたいができないみたいな空気になっている。あいつは要注意だな。

 そしてディアベルさんが静めてる。

 

「君の言う事は分かった。確かに君の言う通りだな。確かにベータテスターはニュービーの人を見捨てたのかもしれない。だけどそれは責められる事ではないようだ。少なくとも声を大にして言うべきではないようだ。それで良いかい? キバオウさん」

 

「……ふんっ!」

 

 そう言ってそっぽ向いた。そう思ってたら今度はヒースクリフさんが出てきて聞いてきた。

 

「君にはライフゲージが無いようだが?」

 

 そう言ったらまた皆見てきた。·····こんな大勢に見られるなんてこと初めてだなぁ〜

 

「ああ、そうみたいですね。でもその代わりあなた達と違って痛みがあるみたいです」

 

「い、痛みだと?」

 

「はい。だから今から俺が自分の手を刺したらメチャ痛いです。多分俺が死ぬのはショック死か何かじゃないかな?」

 

 これは俺の勝手な推論だ。だが割かし的を射てるんじゃないかな。まあそもそも攻撃を貰わなければ死ぬことも無いんだが。ディアベルさんが何か信じられないみたいな目で見ている。

 

「君はそれで戦えるのか?」

 

「戦いって元々そんなもんじゃないんですか?」

 

 そう言ったらまた皆唖然している。でも実際そうなんだよな。まあここは軍ではないからそんな反応なのかもしれない。·····いや8歳で言う俺が頭おかしいだけか

 

「だって戦いは痛みがあるのが普通でしょ。言っちゃ悪いが痛みの無い戦いはそれと非常に似ている何かだ。だから俺の場合は体力ゲージじゃなくて痛みで良かったよ。ああ、別にあんたらを責めてるわけじゃないよ。そんな痛みなんかあったら戦う人は少なくなるだろうし。変なのは自覚してるからスルーでお願いします」

 

「そう、か。じゃああと2つだけ。君は何で剣を2つ使ってるんだい? 2つ持ってもソードスキルは使えないだろう?」

 

「ああ、それは俺が小さい頃から紙の棒を2本持ってブンブン振り回してたからそれがディフォルトになっただけです。あとソードスキルは俺の場合元々使えません。現にさっき俺がコボルドロードの目に刺したあと片手になってても使えなかっただろ?」

 

 そう俺は説明した。まあ事実だから大丈夫だろ。皆ウンウンしてる。良かった。

 

「で、2つ目は?」

 

「光輝君はさっきてっぺんを目指すって言ったね? なら俺達と行かないかい? ボスを1人で倒せる君が来てくれたら百人力だ」

 

 そんな質問というか勧誘が来た。まあ予想はしてたけど。強い人はスカウトしたいよね。うん。別に俺は自分が強いなんて思っちゃいないが。だから俺は答える。

 

「それは遠慮します」

 

「えっ、そ、それはなぜだい?」

 

「俺は1人で戦った方が強いから」

 

 そう簡潔に言った。そしたら始まるわ罵詈雑言の嵐。ぶっちゃけコソコソ言われるよりこうやって言ってくれた方が気が楽なのは否定しない。

 

「な、なんやと!」

 

 そう言ってキバオウさんがまた噛み付いて来た。

 

「だってそうでしょ? 仮にあんたらと一緒にボス戦したら俺はあんたらのカバーまで務めなきゃなんない。生憎だが俺に誰かを気にかけて戦うのは俺には無理だ」

 

 それは家族の様に、自分の力不足で誰かが死ぬのなんて耐えられない。

 

「それに俺はあんたらが使うポーションやらはいらないからな。痛みさえ我慢したらぶっ続けで戦える。そしてそんな痛みは喰らうつもりもない」

 

「それは何故だい?」

 

「簡単ですよ。痛みが走るのは攻撃を受けた時ならそもそも攻撃なんて貰わなきゃいい。そしてそれは1人の方がやりやすいってだけです。どうしても俺をあんたらの仲間にしたいなら力づくで仲間にするんだな」

 

「それは……決闘と言う事かい?」

 

「はい。ああ、俺は1VS1何て言ってませんよ? 別に全員で来てくれて構いません」

 

「なっ!」

 

 全員唖然としている。そしてどんどん怒りの色が見えてきた。当たり前だ。この1ヶ月間死ぬ物狂いで生きてきた自分達を全員相手に取っても余裕だと言ってる様に聞こえたし実際光輝もそのつもりで言った。それも光輝はボス戦を終えてすぐの疲労の状態でもその口を開いたのだ。舐められていると感じるのも当然だ。そして

 

「上等だ! やってやろうぜ皆!」

 

 その声に反応し武器を構えた。

 

「お、お前達!」

 

「どうします? 何か向こうは俺を引き込もうとしてますが?」

 

「はぁ、分かった。では俺も戦わせてもらおう」

 

「ワイもや!」

 

 結局あんたらもかい。いやキバオウさんは予想出来たけど。

 

「分かりました。取り敢えず全員俺に申請してくださいね。あと武器を回収していいですか?」

 

「もちろんだよ」

 

 俺は武器を回収したが耐久値を見ると結構ギリギリだから使わないようにする。そして一斉に決闘申請が来た。その全てにおけする。そして向こうの人らが全員出てきた。やっぱり結構いるな。でもまあ、素人には負けんがな。そう思い右の拳を右の腰に置き右足を後ろに下げて左手を顔の前に置く。それを見た向こうの奴らはギャーギャー言ってきた。因みにちゃっかりキリトもいる。お前どっちの味方だ? 

 

「てめぇどういうつもりや! 剣を持たないのか!」

 

「ああ、耐久値が無くなりそうだから使わないわ」

 

「そ、それなら後日にするかい?」

 

 そうディアベルさんが聞いてきた。優しい人だな。だが断る。

 

「安心しろ、あんたら程度じゃ俺に傷1つつけれやしないから」

 

 そう言ったらナイトさんもキリトもちょっと怒った顔になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてカウントが0になった

 

 




お疲れ様ですm(*_ _)m。喧嘩は好きじゃないと言いつつも実績作りの為に喧嘩をふっかける光輝なのであります。
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