プロローグ 改
風と一体化する感覚を纏う。ボロボロな街の中俺は敵めがけて走る。俺が見ている光景が高速で動く。
その背にある剣の重みがスピードダウンをさせる筈だが今の俺には寧ろこの重みが無いと思うように動けない。
血が沸き上がり俺の世界がスローモーションになった様に感じる。それだけ集中しているという事。この戦いは俺の大事な人達を守る為の戦い、あの時の様な心臓を抉るような思いはしたくない。後悔なんてあの1回で十分だ
2年間の無茶苦茶な修行の成果で空中でどこぞのアニメの様な翼を広げて滞空している敵のそのムカつく顔面目掛け8歳らしく小さな拳を握り肉薄する
「はぁぁぁぁ!」
夢中で叫びその拳を突き出す。だけど敵はその拳を止める。威力は十分過ぎる。現に受け止めた敵の後ろは一瞬空気がざわめいた。しかし目の前の敵をぶっ飛ばすには足りなかった。
その敵は自分の力でも無いのにまるで自分の力と言わんばかりに叫ぶ。その表情も何もかも大嫌いだ。
「どうした? 遅すぎるぞ!」
「ぐっ!」
掴まれた拳を離されその代わり敵は俺へ2年前なら見えなかっただろう蹴撃を放つ。そのスピードは拳銃や銃器には及ばないだろうが一般人を殺すには十分過ぎるパワーとスピードを持っているだろう。俺は自分で言うのも寂しいが化け物だと思っているから易々とやられはしない。
手を離された瞬間にその蹴りに間に合うように腕をクロスする。そこへ蹴りがヒットして俺は慣性の法則にしたがって吹き飛ばされる。腕がじんじんするがそんな事を言っている訳にはいかない
「チッ!」
何回やっても面倒くさい状況に思わず舌打ちする。少年はそこら辺の下手な体操選手よりも上手な一回転し着地する。それでも威力を殺し切れずに後ろに下がり続ける。蹴りの威力を証明する様に地面を抉る。漸く止まった時、敵が語りかけてきた。少年の顔は地面へと向けていて見えない。
「何故まだ抵抗する? この覆らないこの圧倒的な力に勝てるわけないだろう?」
敵が今の状況を客観的に見てそう言ってくる。無論自らの力に酔ってる部分もあるだろう。しかしそれを差し引いても今の状況を見れば100人いたら100人その言葉に同意するだろう。
そのくらい力が離れているのだ
少年が敵と渡りあえたのは最初だけだった。否、最初だけならば少年が圧倒していた。敵が力を解放·····と言うよりも力を得た時からはまるっきり形成が逆転してしまった。そう世界中の人々は思った。
少年の顔はまだ見えない。だが少し肩が震えている。
敵が上から更にバカにしてくる
「君もバカだねぇ、さっさと死んだら大好きな家族の元に行けるのにねぇ」
そんな事を言ってくる。少年の血の繋がった家族はもうこの世に居ない。母も父も姉も……祖母も、そして祖父も。目の前に居るやつがあの世に葬り去った。そして第一発見者は少年自身である。
俺はこのイラつく法なんてものが無かったら今すぐにでも殺したいと思う敵の言葉を聞きながら胸の中がドス黒い感情に支配されていく。
それに抗う事もせず寧ろ受け入れて俺は目の前の敵の言ってる事にフラストレーションを溜める。そのフラストレーションは直ぐに爆発させるがな
「……れ」
小さい声だが絞り出すように言った言葉があったが敵は全く聞いていなく人をバカにしたような笑みで言ってくる。と言うよりバカにしている。
幼少から才能があった敵はその才能に溺れ同級生を先生達や教授、挙句の果てに自分の両親さえ見下していた。その両親に関しては敵の傍迷惑な実験の最初の被害者となりこの世にはいない。
然し両親を殺したのにも関わらず目の前の敵は悲しむ事なんてせず寧ろ喜んでいた辺り異常者だろう。
「まあ君の家族のおかげもあって今の僕のこの力があるんだ。感謝してるよ。君の家族が僕に殺されてくれたおかげでね!」
敵は元々世間でも優秀な科学者だった。だが敵はどれだけ世間に褒められても嬉しくなかった。それどころかイラついてさえいた。表面上だけ褒め言葉を受け取り裏では罵倒していたりした。自分よりも頭の悪い奴に褒められるのが嫌で嫌でしょうがなかった。
そしていつしか世界中を掌握したいとさえ思った。だが普通にやったら当たり前だがそんな事は出来ない。
そこでたまたま見たアニメで主人公側が仲間の力を集めて敵を倒すなんて言う王道故に熱い展開を見た。……まあ敵はそんなのはどうでもよく力を集める……そう思い恐ろしい計画を立てたのだ。
敵はその後自分の生態学の知識と科学の知識を駆使し内密に恐ろしい武器を作った。それは……生体エネルギー吸収ナイフ。相手を刺したり掠ったりするだけで相手の生体エネルギーを奪う事が出来る恐ろしいナイフである。
某バトル漫画の敵の劣化版の効果だがそのバトル漫画のレベルの戦士達がいないこの世界ならば劣化版でも十分に世界征服は可能だ。
勿論容量は存在するが敵は予備に2本作ったから無いに等しかった。だが敵はそれだけでは飽き足らず敵はそれを使い世界中の人を殺し回った。それも全員一撃で殺られた。ただの一般人やホームレスが対象だった。
「……まれ」
そう少年が言うがまだ敵には聞こえていない。まだ自分に酔っているらしい。少年は後にこの敵の事を言った時「全ての欲望のレベルをMAXにしている奴」と単刀直入に言った。
自分の手に入れたいものは手に入れないと気が済まず……と言う奴である。そして思い通りにならなかったら相手を殺すなんて極端な奴でもある。
そんな才能に溺れている人の言葉とは
「君の世間の役に立ってなかっただろう家族のエネルギーを僕が有効活用してあげてるんだ。感謝したまえよ。最も君の家族を狙ったのは君が僕の邪魔したからでもあるから君のせいでもあるけどね。後悔するなら君が僕の邪魔した事を後悔したまえ」
そう言ってにやにやと笑う。勝手に人の家族が世間の役に立っていないと思い込む。世界は一人一人の歯車で成り立っているというのにそれすら忘れている哀れな奴である。
だが敵は自分が全てだと思っている。自分が正しい事は全て正しいと本気で考えている。だからそれを邪魔した少年に恨みに恨みまくっている。いや、一種の当てつけだろう。思考回路が稚拙過ぎる。それも計画達成の間近だろう。目の前の少年さえ倒せば終わりなのだから。
「君を瀕死にした後は君のエネルギーを手に入れ僕は更に完璧な強さを手に入れる。そしたら最早この世界で僕に敵うものは存在しない!」
俺は自分で言うのも自己中心的な奴と思われるから嫌だがその強さはこの世界では飛び抜けているって自負している。目の前こいつをぶっ倒す、或いは大切な人達を今度こそ死なせない為に何度もボロボロになって地に這いつくばり苦い泥水も啜った時もあった。
世界の格闘家なんて目じゃない程修行をした。朝も昼も夜もどうやって強くなるかを考え続けそれを実践し睡眠時間もめちゃ削って怒髪天に様に義理の母から怒られた後はほんの少し自粛したがおおよそ小学生がする様な修行では無かった。
でも……そのおかげで相性があったとは言えアメリカ軍を壊滅させたこいつと張り合えたから決して無駄では無かった。その修行の成果をこいつに取られたら本末転倒だ。守りたい為に得た力なのにだ。
「そして抜け殻になった君をあの世に送った後は僕の邪魔をする奴ら全てを皆殺しにし、そして僕好みの女は皆調教して僕に従順な女にして、男は奴隷にしてこき使ってやる。僕がこの世界の神になるんだ!! くくく、ハハハハハハハハ!」
言ってる事はただの変態である。この敵は確かにイケメンの部類には入る。だが本人の気質が滲み出ていたのだろうか女性から避けられていた。
だがそんなのは少年や世界中の関係ない人達からすれば意味わからん。そもそも8歳の少年に調教やら分かるはずもなく。
ただ少年はニュアンスで悪い事と……敵が言ってる時点で悪い事なのだが分かった。
その言葉一つ一つが俺の逆鱗に触れる。怒りのボルテージが上がり俺の体感温度が上がっていく。何でこいつがこんなにも捻くれてそんなめちゃくちゃな支配欲を持っているのか俺は知らない。
だがそれは他人の人生を……幸せをぶっ潰してまでいる事だとは到底思えない。支配なんてつまんない事をほざいてる時点でこいつの精神年齢が大分低いという事しか分からない。そんな世界が……未来が来るのなら俺はそんな未来を受け入れない。
その為に俺は何個も楔をつけられてこの場に立っている。そして……あの返事をあの人に返すまで俺は死ねない、負けられない。
だから俺は目の前の勘違いナルシスト野郎に向けて叫ぶ
「黙れ! 」
そう俺は……家族の皆の皮や目玉が飛び出た死体を見た時位に泣いた声量と同じ位の声量で叫ぶ。それと同時に俺の脳に回っている血がふつふつと湧き上がる感覚が始まる。
そして俺は空中にどんな原理か知らんが飛んでいる勘違いナルシスト野郎を見上げる。
「な、なんだその眼は!? さ、さっきまでは黒目だったはず!」
敵が少し焦った声をだした。
それもそうだろう。なんせ少年の目は変色してるからだ。普通ならばカラーコンタクトなどで変えることが出来るが少年がそんな事をしていないのは見ていたら分かる。つまり少年は元々この眼に自由になれる事ができる。……だが普通の人間は眼を自由に変えることなど出来ない。
左眼は蒼色、そして右眼は赤色になってる。その綺麗な眼を敵へ向ける。
その瞬間、少年が消えた。少なくともこの戦いをテレビで見届けている人達には消えたように見えた。次の瞬間には敵の目の前へ肉薄していた。その変わりすぎたスピードに敵すらも目を丸くし一撃その少年からすればイラつく顔面の敵をぶん殴った。敵は頬が思いっきり凹み、目を見開き少し地面へと吹き飛んだ
「グハッ!」
そう苦渋の声を上げたが何とか地面に上手く着地した。だがその鼻からは鼻血が出ている。今まで届かなかった攻撃が通った事により両者の反応はそれぞれだった。
図らずとも世界の運命をかけて戦ってる少年は半分闘志、もう半分を憎悪で埋めた顔、そして世界の運命を脅かそうとしてる敵は驚愕を露わにした顔で。
沈黙の時間
それを先に破ったのは少年だった。忌々しく舌打ちをしながらボヤいた。
「チッ! あまり使いたくなかったんだけどな。まあ·····皆を悲しめるよりもずっとマシだから良いか」
少年の眼が変わる時色んな変化を少年にもたらす。だがその代償が大きく少年はあまり使う事を躊躇ってきた。この眼に自由になれるようになってからこの眼になった事があるのは2年間の間たったの1回。どっかの馬鹿が拳銃を乱射してそれを止める為に使った時だけだ。少年は赤眼を閉じた。
敵は未だ驚愕してる顔で問うてきた。
「な、なんだ。なんなんだそれは!!」
そりゃそうなる。誰も知らない変化を少年がやったのだから。眼だけ変わる……某格闘漫画のように金髪に変わるには及ばないがそれでもインパクトがありすぎる。だが少年からすればそんな敵の問に答える義務はない。
「知るか、仮に知っていたとしても敵にわざわざ教える馬鹿はいないだろう」
至極当然である。わざわざ敵に有利な情報を教える義理はない。それが家族の仇なら尚更である。そして少年は少し笑いながら言う
「それにしても……神になるだって? 笑わせるな。人から無理やり奪った力がなければ何も出来ないのによくそんな事が言えるな。お前はただの泥棒だ! 人から幸せを……家族を奪いその上にある仮想の玉座にふんぞり返る事しか出来ない泥棒の王だ!」
敵はその言葉を聞き顔をプルプルとさせ憤怒の表情になっている。全ての欲望レベルがMAXの敵は自分が否定された時、例え相手が正しくても理不尽に怒り出す奴だ。8歳が相手でもそれは変わらない。だが少年の怒りはそれ以上だ。
「黙れ! 黙れ黙れ! 低脳の分際で僕に反論するな!」
自分以外の全てが下だと決めつけ自分だけが正しいと思っている自称神がたったの8歳の少年に鬼気迫る表情で突撃した。そんな様子を見ながら少年は心底嫌という声を出しながら言った。
「決着をつけよう。もうてめぇの顔すら見たくない。貴様との因縁も今日ここで終わらせる!」
少年と敵の因縁……それは2年前までに遡る
お疲れ様でしたm(*_ _)m。前の少年が思い出したというふうにするのはやっぱり状況的に無理だと思い変更しました。これから見てくれる方、暖かい目で見てくれると嬉しいですm(*_ _)m
追記
一般人のエネルギー吸収した程度で世界征服なんて出来るわけ無いだろ笑·····って考えてる人向けに僕が出来ると思った理由を話しときます。
僕が出来ると思った理由はセルの第1形態にあります。セルの第1形態は最初神コロにボコボコにされていきましたが何人かは詳細不明ですが一般人の生体エネルギーを回収し続けてボコボコにされてた神コロを疲労があったとは言え倒して、疲労がない17号にも勝ってました。
勿論セルの方が圧倒的に吸収した人数は多いでしょうが別にドラゴンボール次元の人がいないこの世界なら少なくても普通に世界征服位なら出来ると思ってます。
あと設定が雑なのは否定しません。
追記の追記
キャラ設定にて笠木の来歴追加しました〜
長文ありがとうございました。(*´∇`)ノ ではでは~