隻腕の戦士
これ程自分の無力さを呪った事は無い。例えこれが歴史だから·····そう言っても恐らく自分はあの2人にはまだ勝てない。
誰かを無事に殺させる為のパトロール何て·····辛いだけだ。
フリーザ・クウラとの激闘が終わり2ヶ月後、また歴史の改変が行われた。
「トランクスさんの世界、ですか。」
「はい。俺達の世界の時代表記でエイジ780年、光輝さんにはその時代に行ってもらいたいんです。」
「分かりました。じゃあそこに行って悟空さん達を守ればいいんですよね?」
俺がそう言ったら何故か暗い顔になったトランクスさん。俺は訝しげな視線を送ったら言ってきた。
「いえ、この歴史では·····俺と悟飯さん以外の地球の戦士は全滅しています。」
「·····え?なんで?」
「悟空さんは心臓病、父さんや他の皆さんは2人の人造人間によって殺されました。そして·····悟飯さんも後に亡くなりました。」
そう言ったトランクスさんの顔が凄く寂しそうだった。だがそれも直ぐに切り替えられ「お願いします。」と言われたから俺はパトロールに出動した。
俺は岩陰に出た。そして耳を澄ませるとどこからか戦闘してる音が聞こえた。まさかもう改変か?と思い俺は岩陰から戦闘してる人達を覗いた。そこには山吹色の道着に背中に飯とある人と
(トランクスさんか?)
俺の知ってるトランクスさんよりかは小さいけど間違いない。悟飯さんとトランクスさんが修行しているみたいだ。周りを見るとまだ改変は起きてないみたいだ。
2人をよく見ると
(悟飯さん、左腕がないのか。)
悟飯さんは隻腕だった。それでもトランクスさんを寄せ付けなかったのは凄い。そして唐突に戦いをやめた。そして何事かトランクスさんに呟いたらトランクスさんはどこかに行ってしまった。
それを見届け悟飯さんがいきなり振り返ってきたからやべっと思ったが遅かった。
「そこにいるのは誰だ!?」
俺はもう諦め降参ポーズしながら出た。勿論気も抑えて、剣も最近ブルマさんがある歴史の技術を参考にした何かよく分からないけど武器を量子化とかなんとかを分析してそれを保存を出来るようにしたんだとか。そしてその保存したものを自分のイメージだけで呼び出せる優れものを貰ったからそれに入れている。しかもそれがめちゃくちゃコンパクトだから敵からすれば俺はなんにも持ってないように見える。実際はクナイやら時の都で売っている殺傷能力がそれなりにある剣とか手裏剣とか入れてるから普通に武器はめちゃくちゃ持ってるんだけどね。
「君は?」
「西沢光輝と言います。怪しいものじゃありません、はい。」
そのままじっと見られるが悟飯さんは力を抜いたから俺も思わず息を吐き出し降参ポーズをやめた。
「そんな所にいたら普通は怪しまれるよ?」
「ご、ごめんなさい。」
至極最もで言い返せなかった。悟飯さんは俺を観察してるみたいだ。そして
「君、戦えるのかい?」
「は、はい。」
「じゃあ少し手合わせを願おうかな?」
「わかりました·····あっ、いやでもトラ·····さっきの人はいいんですか?」
「ああ、今日はもうブルマさんに心配かけないように帰ってもらった。」
そう言って悟飯さんは構えた。俺も構える。そして同時に地を蹴った。右腕どうしをぶつけ一旦離れる。そして地面に足がついたと同時に俺と悟飯さんは高速で移動した。あちこちにクレーターを作りながら俺は考えていた。
(動きが時の都にいる悟飯さんよりも実践的だ。悟空さんよりどちらかと言うとバーダックさんに近い。)
俺はそう考えながら悟飯さんの蹴りをジャンプして躱しつつ悟飯さんの肩に手を置いて悟飯さんの向こう側に降り立った。そして後ろ回転しながら腕を振り抜いた。悟飯さんはこれを屈んで避けた。そして悟飯さんの後ろ足が襲ってきた。俺はそれを躱しきれず受け少し吹き飛んだ。
俺はそれを見ながら右手に螺旋丸を作った。そして悟飯さんが走ってくるのを見ながら俺も走るそしてもう少しで激突するという所で俺は飛来神の術をした。さっき悟飯さん蹴りを躱した時に肩につけてたマーキングの所に飛んだ。そしてがら空きの背中に螺旋丸を撃とうとしたら
(なっ!?こっちを見てる?)
そう思いながり螺旋丸を放った。だが悟飯さんはその瞬間に振り返りガードした。
そしてそのままズザザと後ろに行った。深呼吸したら気が抑えられていった。
「凄いね君、さっきのは危なかった。」
「というか何であれ防げたんですか?見えなかったはずですよ?」
「それは勘としか言えないな。」
まじか勘か、バーダックさんと同じこと言ってる。勘で防がれてたらちょっとショック。
そんなこんなで今日は悟飯さんと過ごす事になった。どうやら俺を信じられるかのテストだったらしい。
「君ほどの戦士がまだこの地球上にいたなんてね。」
「あ、ありがとうございます。」
俺はそう言って悟飯さんを観察した。時の巣にいる悟飯さんとは姿だけじゃなく雰囲気も結構違う。戦いの時に見せた厳しさはどこかバーダックさんを沸騰させる。まあ孫にあたる人だから似てるのは当たり前なのかな。
「君は人造人間と戦った事はあるかい?」
そう問いかけてきた悟飯さんの顔は悔しさが滲み出ていた。俺は黙って首を振った。正直に言う、俺もその人造人間に勝てるかは怪しい。俺の今の基本戦闘力はこの悟飯さんよりも下だ。つまり超サイヤ人になっても悟飯さんの方が強い。俺がさっき戦えたのはこの世界にはない技を使えたからだ。勿論俺も悟飯さんもさっきは本気ではなかったから結局は分からないんだけどな。
「すまないね、今はこれしかないんだ。」
そう言ってインスタントご飯を出してきた。俺はお礼を言いながらそれを食べ始めた。悟飯さんは基本この洞窟で過ごしてるそうだ。偶にブルマさんの所に行くそうだ。
この時代は人造人間によって破壊されこういうものも手に入れにくいようだ。俺は少し申し訳なくなりながら食べた。心なしか今までの白ご飯のどれよりも美味しかった気がした。
「ご馳走でした。」
「うん。」
俺は悟飯さんに思ってた事を聞いた。
「あの、悟飯さんは家には帰られてるんですか?」
そう聞いたら首をふるふる振った。
「人造人間を倒すまで、俺は帰らない。皆の仇を·····とるんだ!」
憎しみ·····それもあるのかもしれないけど1番は自分の無力さに怒ってるように見える。·····分かるよ。その気持ち。俺も何度無力さを呪ったのか分からないからな。俺は家族には会った方がいいと言おうとして止めた。俺が言えるセリフじゃない。もう俺の世界ではあの戦いから3年は経っている。俺は1度手紙を入れただけで会った訳じゃないからだ。
時の巣にいた悟飯さんに教えてもらったことがある。自分の夢は学者だったって。時の巣の悟飯さんは学者になれた後の世界からタイムパトロールになったそうだ。それは悟空さんが生きてたから有り得た世界。
この世界は悟空さんが心臓病で死んでしまった世界。それで戦士達の士気が下がりことごとく殺されてしまった。だからこの悟飯さんは夢を·····諦めざるを得なかった。
(·····何でだよ。何で夢を·····諦めなくちゃいけないんだよ。)
俺の場合は1つの夢がクズ野郎のせいで消えた。小一なりの夢だった。家族で平和に過ごしていたい。ただそれだけだった。夢をあいつのせいで消された。だから捨てなきゃいけない気持ちは分かるつもりだ。
(夢を捨てても届かないなんて·····そんなの、あんまりだ。)
そう思っていたら悟飯さんが声をかけてきた。
「明日からの修行、君も一緒にするかい?」
「あ、はい。」
悟飯さんは頷いた。それほど新しい人が来て嬉しいんだろう。だけどいきなり核心をついてきた。
「所で君·····サイヤ人か?」
俺は暫く声が出なかった。今まで初見で会ってきた人は皆俺を地球人だと思ったのに悟飯さん普通に当ててきた。俺が驚愕な顔をしてたら悟飯さんはふっと笑って言った。
「最初は俺も地球人だと思ったさ。でもその君の戦闘力はただの地球人じゃ辿り着けない領域だからね。俺達の仲間内にいた最強の地球人の人も超えていたからね。それに君の戦闘力があれば俺も気がついた筈、ならあと俺の知ってる中で人型の宇宙人はサイヤ人しかいない。どう?当たってるかな?」
「ぐうの音も出ません。」
「そうか、サイヤ人だったのか·····、君は一体何者なんだい?サイヤ人ならベジータさんを知ってるだろ?ベジータさんが言っていた。サイヤ人は自分と父さんと俺しかもういないって。その2人がいないから後は俺とベジータさんの息子のトランクスだけかと思ったんだけどな。」
俺はそれに答える訳にもいかず顔を下げた。それを見た悟飯さんはふっと笑い
「いや、君にも君なりの事情があるんだろう。すまなかった。」
「ごめんなさい。」
そのまま少し無言の時間になったが悟飯さんが言ってきた。
「さあ、今日はもう寝よう。」
「は、はい。」
俺達は簡易ベットで寝た。ブルマさんのホイポイカプセルでもくれたものなんだとか。偶にトランクスさんも来るから2つあるんだと。
そう言う訳で俺は色々思う所はあったが寝た。
お疲れ様でしたm(*_ _)m。未来悟飯かっこいいなぁ。何か今ヒーローズのプロモアニメ3話を記念してみたいなアンケートの項目でifの話みたいな項目あったから未来悟飯が生存して一緒にタイムマシン乗るみたいなストーリーやって欲しいなぁ。