東方を無理矢理FGOっぽくしてみた   作:Gasshow

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貴方と出会えて

また夢を見た。前に見た時と同じような、あの酷く昔の話を聞いているような、そんな夢を。

 

 

 

ふと瞼を開ける。そこは相変わらず“紅”で侵食されていた。いや、違う。同じ紅と言っても場所が違った。そこは大きなホールと言っても言いサイズを持つ広場だった。天井にはシャンデリアがぶら下がっており、それを等間隔一定の距離を開けて囲うようにして太い柱が八本立てられていた。しかしその柱の何本かは折れてしまっており、更には床や壁に大きな爪痕のような傷や、まるで隕石が落下してきたのかと疑ってしまうようなクレーターが点在していた。そんな空間、そんな広場で空中に影が二つ浮かんでいた。一つはガタイの良い金髪の男。背中にあるコウモリのような羽をバサバサと靡かせていた。もう一つは金髪の髪と宝石をぶら下げたような羽を持つ小さな少女。彼女の目は遠目からでと完全に瞳孔が開ききっており、ただ一目見ただけでも彼女が感じている正気を失っていることが伺えた。対峙する二人。自分はそんな彼らに向けて何かを叫んでいた。その叫びは悲痛であり、悲願であった。自分では何もできない無力さをただ嘆いているようで、いつの間にか頬にはそっと涙が伝っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

立香は意識の覚醒と共に体を起こした。体はびっしょりと汗に濡れており、そのせいで真冬ですらないのに肌寒さを感じていた。

 

「……何だったんだあの夢は」

 

立香は額に手を添えながらそう呟く。あまりハッキリとは思い出せないが、何かとてつもなく嫌な(もの)を見ていたのは覚えている。酷く胸が苦しくなるような痛み。心臓の古傷が(うず)く、そんな痛みだ。

 

「……今は何時だ?」

 

時計を持たない立香は今、自分がどの時間帯にいるのか全く把握できていない。しかし、窓から日差しがさしていないことから自分が床に着いてまだそこまで時間が経っていないことはだけ理解できた。

立香は体に掛けてあった麻布を取り払い、立ち上がる。流石にこんな気分のまま寝直そうと言う気にはなれなかったのだ。だが何かしようと行動する現状でも場合でもない。さて、どうしたものかと立香が考えを一巡させたその時、ふと視界の端に質素極まりないベッドが目に映った。そしてその上から、か細く可愛らしい寝息が聞こえてくる。その寝息を漏らしているのは誰でもないレミリアだ。そこで立香はベッドをレミリアに譲り、自分は床で寝ていたことを思い出した。そしてふとその浅い呼吸に吸い寄せられるようベッドの縁まで移動する。立香は床へと腰を降ろし、ベッドで寝ているレミリアを覗き込んだ。その顔は立香がレミリアに対し今まで見てきたどの顔とも違うあどけないものだった。“可愛らしい”、それが立香が思い浮かべた素直な感想だった。

 

「寝ている様子は本当にただの小さな女の子なんだけどなあ」

 

立香はそう言いながらそっと彼女はの頬へと人差し指を立て、伸ばす。レミリアの頬へと徐々に接近する立香の人差し指。もう触れるか触れないかと言った距離。そこでその距離はピタリとその数値を停止させることとなる。そう、レミリアの瞼が開けられることにより。

 

「……何を……しているのかしら?」

 

ジト目で睨まれる立香。彼の頬にそっと冷や汗が伝う。

 

「……ごめん」

 

そう言うしかなかった。そう言うことしかできなかった。自分の甘い考えでこのような行動に及んだことを立香は後悔した。

 

「…………………………」

 

「…………………………」

 

無言の時が続き、二人の視線が宙を行き来する。リンリンと涼しげに鳴く虫の音が妙に大きく聞こえた気がした。そうしてしばらく続いた硬直状態はレミリアが体を起こすことで終わりを見せる。

 

「……まあいいわ。今回は特別に許してあげる」

 

彼女はベッドの縁へ滑るようにして腰を降ろし、そっと立ち上がる。立香はその言葉にホッと胸を撫で下ろす。

 

「だけど次やったら血を吸うわよ。干からびるまで」

 

しかしその次に言い放たれた彼女の言葉は完全なる処刑宣告。立香は何も言わず無言で首を縦に振ることしかできなかった。そして誓う。もう二度と軽率な考えでレミリアに接触することは止めようと。そんな立香の決意を尻目に、レミリアは彼に背を向けた体制でぐっと背伸びをし、体の筋肉をほぐしていた。

 

「それにしても随分と眠ってしまったわ。半日までとはいかなくとも、それに近い時間まで眠ったからかしら」

 

そのレミリアの言葉に立香は思わず反応する。

 

「半日? でも外はまだ夜だけど……」

 

「……いえ、恐らく時間帯的には朝なのよ」

 

どう言うことだと立香は疑問符を浮かべる。

 

「ふ菓子、私たちがこの世界に来てから朝日を一度でも見たことがあったかしら」

 

「……ない」

 

言われてみればそうだ。しかしそれはたまたま自分たちの起きたタイミングがそうだったのでは? と立香は思わざる負えない。

 

「貴方の言いたいことは分かるわ。確かに偶然、私たちの起きたのが夜だっただけかもしれない。でも私はこの世界に朝がないと言う確率の方が高いと思ってるわ」

 

レミリアは振り向いて立香へと向き直る。

 

「この世界は聖杯所有者の造り出した世界。ならばここはその人物にとって都合の良い世界であるはず。それは前にも言ったわよね」

 

確かに聞いた。しかしそれでもまだ立香はレミリアの言わんとしていることが分からない。

 

「それが朝日の昇らない理由? でもそんなことがメリットになるの?」

 

朝日の昇らないことで生じる利点。少なくとも立香は直ぐにそれを思い浮かべることはできなかった。

 

「私が考えるに二つあるわ。一つは魔族が夜を好むと言う点。魔族にとっては夜が人間で言う昼のようなもの。彼らにとって過ごしやすい時間帯が夜なの。そして──」

 

 

 

 

 

 

 

「もう一つは吸血鬼が外を出歩けると言う点よ」

 

「吸血鬼?」

 

立香は聞き返す。

 

「ええそう。恐らく私の成り代わりで今、紅魔館を仕切っているのは吸血鬼よ。それはあのスケルトンを使役していた力からも明らか。吸血鬼は魔を従えるものよ。そして私はその吸血鬼が聖杯保持者だと睨んでいる。そうなると一つの可能性が出てくるの。吸血鬼は直射日光を嫌う。例えば私が昼間に外へ出れば、体が日光により焼け焦げてしまうわ。まあ、日傘をさせばその限りではないのだけれど」

 

立香自身も吸血鬼の特性は少なからず知っていた。吸血鬼は流れ水を泳いだり、渡ったりできない。十字架、更にはニンニクが苦手。そしてそのような多くある吸血鬼の弱点中に“日光に弱い”と言う特性がある。どうやらレミリアもそこは例外ではなかったようだ。

 

「まあでもまだ分からないわ。あくまでも私の推測。あと勘かしら? だから断言はできないけど、私はそう考えている……黒幕にも思い当たる節がないわけでもないしね」

 

立香は最後の呟きを聞き取ることはできなかったが、しかしこの世界に朝が来ない可能性があることは分かった。体が妙に軽く、疲労が殆どの抜けきっていることから、それが十分な睡眠時間を有した結果だと推測すると納得のいくものだった。

 

「ふ菓子、私はもう少ししたら西へと向かうわ。着いてく気があるなら準備なさい」

完全に活動状態へと移行したらしいレミリアは旅支度(たびじたく)を始めるためベットから離れ、そこで立香にこう言った。それに対する立香の返答は言うまでもなく決まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

村を出てひたすら西へと進む二人。森を抜け、平原を歩くことしばらく、一つの渓谷と呼べるような地形に指し当たった。まるで壁のように垂直に立つ崖が両側にそびえ立ち、その間に横幅百メートル程の通り道がずっと前まで伸びていた。そこは一本の草花すら生えておらず、ゴツゴツとした岩と乾いた地面が広がる完全な荒れ地だった。ただ先程までの自然豊かな情景とは対極にあるその様はまるで立香たちを地獄へ(いざな)っているようにすら見えた。

 

「……ここから一気に魔力の濃度が高まってる。恐らく紅魔館はこの先ね」

 

二人は渓谷を前に立ち止まり、前を見据えていた。

 

「……本当に行くの?」

 

先の道から漂ってくる気味の悪さを感じ取り、立香は思わずそうレミリアに尋ねる。

 

「当たり前でしょ。何のためにここへ来たのよ。まぁ、でも簡単にはたどり着けそうもないわね」

 

レミリアはじっと渓谷の先を見つめ、それから最低限の大きさで口を開く。

 

「この先に相当数のワイバーンがいるわ」

 

「ワ、ワイバーン!?」

 

ワイバーン。諸説(しょせつ)あるが、それはドラゴンの一種、またはドラゴンと似た別の生き物と言われている。ドラゴンと明確に違うを上げるならば、前足が羽になっていると言う点と、比較的サイズが小さいものが多いと言う点だ。細かい所を上げれば切りがないが、外見的な違いはそんな所。その為か、ワイバーンはドラゴンに負けず劣らずの強さを持つ。実際のワイバーンを知らない立香と言えども、その伝承だけは知っており、そこで彼らの強大さも薄々は感じ取れていた。そんなワイバーンがこの先で待ち構えている。それも一体や二体ではない、相当数だ。レミリアの言葉に立香が仰天の声を上げるのも無理はなかった。

 

「そう心配することはないわ。所詮は翼の生えたトカゲ。だけどあそこまでの数を相手取るとなるとかなり面倒。それに貴方もいるから立ち回り(ずら)さも考えるとここを抜けるのはかなり至難よ」

 

「……俺が着いていったのって間違いだったんじゃない?」

 

立香は自分が完全にお荷物な状態であることを悟り、遅すぎる後悔を口にする。

 

「いえ、私としてはどちらでもよかったわ。貴方が着いてくるメリットもあるもの。あまり契約者との距離が離れすぎると魔力供給(リンク)が希薄になって最悪切れてしまうからそれを防ぐと言う意味ではね」

 

レミリアがそう言い終えると、彼女は立香の背後に移動し、彼の脇腹を抱え、そのまま空へと浮き上がった。

 

「うわっ!」

 

突然足場が無くなったことに、立香は驚きの声を上げる。

 

「ふ菓子。貴方を掴んで一気に飛んで突き抜けるわ。それが一番手っ取り早くて楽な方法でしょうし」

 

「……それ大丈夫?」

 

その疑問には二つの意味があった。一つはレミリアがこれから人間一人を抱えて空中戦へと身を投げることによって負う大きなハンデについて。そしてもう一つは自分の身の安全についてだ。立香はこれからレミリアと運命を共にすることになる。むしろ吸血鬼でない彼の方が身の危険は多いかもしれない。ワイバーンの鋭い爪に引き裂かれたり、最悪レミリアの不手際で地面へとまっ逆さまに落下するかもしれない。そんなこれから起こり得そうな事態に対する疑問の言葉だった。

 

「大丈夫よ。改めて言うことではないでしょうけど、吸血鬼の筋力は人間のそれとは比較にならない力があるのよ。貴方程度の体重はあってないようなものだわ」

 

その返答は一体どちらの意味で返したものなのか。もしくは両方か。しかしどちらにしても立香がレミリアと共にワイバーンの群れへと突っ込んでいく事実は変わらないらしい。それなら黙って腹をくくろうと、立香は一人、命を掛ける心構えを整えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦闘はすぐに始まった。レミリアは両端にある崖の中腹当たりを高速で飛び、文字通りワイバーンの巣へと突撃したのだ。外敵に気がついたワイバーンは、過ぎ去っていくレミリアを追い、体当たりや鋭利な爪で彼女たちを切り裂こうと接近してきた。レミリアの方が飛行速度は完全に勝ってはいるものの、ワイバーンや、彼らの繰り出す攻撃をかわして進んでいる為、完全に抜き去ることはできない。少しずつ進んでは足止めをくらい、少し進んでは足止めをくらいを繰り返し、なかなか先へと進めない状況が続いていた。

 

「相当数とは言っていたけど、まさかこんなに……」

 

立香たちはワイバーンに周囲を囲まれ、完全に行き先を防がれていた。上、下、右、左、更には後ろにまで敵意と鋭い牙が立香たちに向けられている。

 

「口を閉じなさい。舌を噛むわよ」

 

空中で停滞していたレミリアが一気に速度を上げ、ワイバーンたちを振り切ろうと再び前へと前進を開始する。それに合わせるようワイバーンたちも動きだし、レミリアへ向かって攻撃を開始した。右からは鋭い爪による引っ掻きが、左からは尻尾による叩きつけが彼らを襲う。それをレミリアは僅かに後ろへ後退することでやり過ごす。すると今度は後ろから突進してくる個体が現れ、それに続くようその個体の後ろから五体程のワイバーンが勢いを着けてレミリアたちに向かってくる。レミリアはそれを下へ、まるで空気に潜り込むよう高度を下げ、それを避けた。しかしその瞬間、背筋にビシリと流れるようか悪寒が走った。それを感じ取ったのはレミリアではなく──

 

「レミリア! 上!」

 

立香だった。

 

「ッ!」

 

立香の声を聞き、レミリアは視線を上へと上げることすらもせず、横へ体三つ分、ステップを踏むように回避を行った。そして一瞬の間もなく、先程までレミリアたちがいた場所に、ワイバーンから繰り出された踏みつけが空を切った。そしてそれを切っ掛けに再び硬直状態が訪れる。しかし先程の出来事で分かったことがある。それはレミリアに疲弊が見られ出したと言うことだ。流石の彼女と言えども、緊迫したすれすれの状況を何度も迎えればこうなるのは仕方がないことだった。それと同時に立香は察した。自分たちがこの先を抜けることができる確立、それが決して高くないと言ことを。一旦、退くことを視野に入れるべきか。立香がそんなことを考えていた時、ふとレミリアが口を開いた。

 

「……ふ菓子、貴方がルートの指示を出しなさい。私は攻撃の回避とワイバーンの迎撃に意識を集中するわ」

 

今まではどこにどうやって向かうかをレミリアが周囲の状況を確認し、判断しながら一人で進んできた。しかし、レミリア自身もジリ貧気味なこの状況をそろそろ打開しなければならないと判断したようだ。その解決策が先程発せられた彼女の提案。それはレミリアからすれば、きっとただ最善と思い、下した判断だったに違いない。しかし立香からすればそれは戦闘の中で初めてレミリアの役に立つことができる状況になったと言うこと。それも彼女からの提案で。それは立香にとって大変喜ばしいことに他ならなかった。あの村の一件以来、立香は自分の無力さにどこか浅ましさを感じていた。だからこそ、立香にとってその言葉は何よりも嬉しいものだったのだ。

今でも自分たちが危機的な状況に置かれていることは変わらない。しかし立香は急に目の前が明るくなったような、そんな希望とさえ言っていい何が先に見えた気がした。

 

「了解! 任せて、レミリア!」

 

立香の力強い返事に対し、レミリアは満足そうに微笑むとまた同じように先へ先へと飛行を開始する。そして立香はなるべくワイバーンの群れる密度の低い箇所を探して彼女を誘導した。立香は激しい空中移動で揺られる脳と、ぶれる視界に阻害されながらも懸命に最善の一手を探し出し、レミリアのへと随時報告していく。右へ左へ、上へ下へ。ワイバーンの群れを掻い潜りながら少しずつ、しかし着実に前へと二人は進んでいった。そして周囲の状況やワイバーンの様子を注視していく中で、立香はふとあることに気がついた。頭に余念が残りながらもレミリアへと指示を出していき、そしてそうする中でその余念はやがて確信へと変わっていった。

 

「レミリア、下だ! このワイバーンたち、速い低空飛行が得意じゃない! 地面すれすれを飛んで一気にここを突き抜けよう!」

 

立香がこう言うのにはしっかりとした確証があるからだった。と言うのも、レミリアが攻撃を回避していく中で、たまたま地面に近い位置の低空飛行をした時、ワイバーンたちは彼女の真後ろを追うのではなく、そこよりやや高い高度を意識して飛んでいることを発見したからだった。

 

「よく見つけたわ、ふ菓子。誉めてあげる」

 

そう言うと同時にレミリアは一気に高度を下げ、立香の足が地面に擦るか擦らないかギリギリの位置で高速飛行を開始した。ワイバーンたちもそれに対処しようとするが、殆どの個体が彼女たちの近くを飛ぶことに躊躇いを見せ、そしてその隙に振り切られていく。そうなるとレミリアたちへと攻撃を行えるワイバーンの絶対値が減少し、結論としてレミリアは余裕をもって先へと進むことができるようになっていった。そもそもな飛行速度で負けているワイバーンたちは段々とレミリアに追い付けなくなり、最後にはもうただ二人を見送ることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワイバーンの巣を抜けた二人は地面へと降り立ち、僅かに揺れる足取りで目的の場所へ向かって歩いていた。先程までの激戦があったのか疑ってしまう程に辺りは静かで、耳に入るのは崖に風が擦れる音だけだった。そんな中、立香がふとレミリアへと疑問を投げ掛けるために口を開いた。

 

「ワイバーンたちが急に追ってこなくなったけど、諦めたのかな?」

 

そう。立香の言う通り、ワイバーンはある程度の距離を進んでいくと急に追うことを止め、立ち止まってしまったのだ。まるで見えない壁があるかのように、ある地点を境にあっさりと巣へ帰って行った。

 

「いえ、諦めたと言うよりは何かに怯えているように見えたわ。この先へと進むことが怖くて怖くて仕方がないと言ったようにね」

 

「怯え……か」

 

それには立香も納得する部分があった。それはワイバーンの様子に対してではなく、ワイバーンがそう言う心理を持つことに対して納得したのだ。渓谷の入り口で感じていたあの形容しがたい禍々しい空気。肌にまとわりついて離れないあの感覚が、ここに来て一層強くなったように立香は感じていた。自身の体に、本能の底から『これは良くないものだ』と訴えかけられているとすら立香は感じていた。

 

そうして話をしている間に立香はふと遠目に大きな建物が見えることに気がついた。まだかなり先に建っているので輪郭は何となくしか分からなかったが、そんな中でもはっきりとその色だけは認識できた。それは“紅”だった。果実より深く、炎よりも鮮烈な血の色。そんな色が建物の外壁、そして屋根にまでふんだんに塗りたくられていた。

 

「あれが……」

 

「ええ、紅魔館よ」

 

紅魔館。本当に名前の通りだと立香はそんな感想を浮かべる。“紅い魔の住む館”いや、レミリアのいない今は“魔の住む紅い館”と言った方が言いだろうか。どちらにしろろくなものではないと、立香は警戒心を強めがら館を見据える。そこでふと、隣から何か気配の揺れとも取れる空間の歪みを感じ取った。ここ数日の中でそれが何なのか立香は理解していた。それは魔力の流れ。立香の隣にいるレミリアが何かに反応し、魔力を荒立たせているのだ。

 

「レミリア?」

 

「…………いえ、何でもないわ。先へ進みましょう」

 

レミリアはそう言うものの、遠くにある館のある一点を睨み付けるように見ていた。吸血鬼のような人知を超越した視力を持たない立香からはレミリアが何を見つけたのかは分からない。しかしそれは館との距離が近づくにつれて判明していった。

 

「……人?」

 

紅魔館の前にある、人の身長を遥かに越す大きさの門。その前に女性が一人、立っていた。中国で良く見られる緑色の漢服を崩した奇妙な格好をしており、頭にはその服と同じ色のプロムナード帽子にに似た物が乗っかっている。そして帽子の中からは腰に届くほどの赤髪が、垂れ下がっていた。彼女は目を閉じながらも、ピンと高層ビルのように背筋を伸ばし立っており、そこには一切の隙も見受けられず、目を閉じているのをいいことに、彼女を無視しようものなら、一瞬で自分の首が飛んで行くだろうということは戦闘経験の少ない立香でもすぐに分かった。

 

「あら美鈴(メイリン)、今日は珍しく起きているのね。いつもは門番のくせに門の前で寝ながら立っているだけの木偶(でく)の坊と化しているのに」

 

レミリアはその女性の十メートル前程で立ち止まると、そう彼女に言葉をかけた。するとその女性はゆっくりと顔と瞼を上げ、レミリアへと視線を向けた。

 

「……おや、そうでしたか? 私にはあまりそう言った記憶はないのですが。ただ気がついたら日付が変わっていることはよくありますが、決して寝ているわけではないのですよ、レミリアお嬢様」

 

いや、それって寝ているんじゃ? と立香が思わずツッコミを入れそうになった時、ふとレミリアが小声で立香に話しかけてきた。

 

「ふ菓子、あれは紅美鈴(ホン・メイリン)。紅魔館で門番をしている妖怪よ」

 

紅魔館の門番。ならば自分たちの味方である可能性もあり得るのか? とそう立香が思うも、どうやらその美鈴からは全く歓迎されている気配はない。

 

「では美鈴、門を開けなさい。主の帰還よ」

 

立香が美鈴を敵なのか味方なのか判断しかねていたところに、レミリアがいきなり核心を着くような一言を言って見せた。小細工など無用とばかりの直球。もしこれで門が開かれればとりあえずは味方と判断できる。しかしもし開かれない場合は──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それはできません、レミリアお嬢様」

 

──完全に敵と言うことになる。

 

「……それはどう言うことかしら?」

 

レミリアが目をすっと細め、美鈴に鋭い視線を送る。立香はレミリアの身体から水源のように魔力が溢れ出てくるのを感じた。

 

「話は簡単です。今、この紅魔館の主は貴方ではない。ならば私がその命令を聞く必要がどこにありましょうか」

 

レミリアが紅魔館の主でなくなっている。それはレミリア自身がここを出る前に、村の小屋で立香に言った一つの可能性であった。

 

『何者かが私の名を名乗って私の紅魔館(所有物)を我が物顔で使っている可能性がある』

 

先程の美鈴の言葉はレミリアの予測が見事的中したことを表していた。そしてそこでレミリアから溢れ出ている魔力の量が急激に上昇した。今までは地下から小川の畔へと流れ出る穏やかな水源のような魔力放出であったが今は違う。そう、今は周囲の水や、砂を巻き込んで押し上げているかのような、そんな激流へと変わっていた。

 

「…………そう。では今の貴方の主は一体誰なのかしら?」

 

そう発するレミリアの声も明らかに低く、重厚なものへと変化している。それは顕著にレミリアの怒りを代弁していた。味方であるはずの立香ですら、思わず足を折ってしまいそうになるオーラ。しかし対面しているはずの美鈴は全くその表情、姿勢、目線を変えることすらなく、こちらを見定めている。

 

「さあ? お答えする義務はありませんが」

 

その言葉がトリガーだった。レミリアの身体から今までの比でない程の魔力が放出される。彼女を中心に突風が吹き荒れ、砂埃が周囲に舞った。

 

「……そう。なら答えたくなるようにしてあげるわ美鈴」

 

次第に魔力の渦が静まり、静寂が満ちる。最早言葉による問答は終わった。これ以上言葉を重ねてもそれは世間話以下の応答になるだけだと立香も察する。後はもう、己の意見を通すための力比べ。それがもういつ始まってもおかしくはない。パンパンに膨れ上がった風船に針を向けるような不安定さがこの場所にはあった。そしてそれは呆気なく始まった。

 

「ッ!」

 

レミリアの姿がぶれる。そして次の瞬間にはレミリアの拳を受け止める美鈴の姿があった。レミリアは美鈴から大きく一歩後退し、手に深紅の槍を出現させる。それから彼女はまた先程縮めた距離を一歩で埋め、槍を横へと振るう。美鈴は身体を反らしそれを回避。そのまま後転し、レミリアの間合いから離れた。しかしそれを許さないのがレミリア。彼女は美鈴が開けた距離を一瞬にしてゼロへと戻し、蹴りを炸裂させた。吹き飛ぶ美鈴。彼女は地面を転がり、その勢いを利用してそのまま立ち上がった。

 

再び対峙する二人。またいつ戦闘が始まるのかと立香が手に汗を握っていたが、それは予想外に美鈴が口を開くだけに止まった。

 

「流石はレミリアお嬢様。スピードは私の及ぶ範囲を越えてしまっている」

 

美鈴の言う通り、先の戦闘でスピードはレミリアが圧倒していた。美鈴は彼女のスピードに殆ど対応できていなかった。

 

「ですが……」

 

しかし美鈴は余裕な態度を崩さない。

 

「本当にこれで全力なのですか?」

 

目の色が、身に纏う闘志が全く揺れていない。むしろその姿勢は自分の方が優位だと物語っているようにすら見えた。

 

その態度が気に食わなかったのか。レミリアはそれに言葉を返すこと無く美鈴へと突っ込んでいく。右へ左へと振るわれる凪ぎ払いや、素早く繰り出される突きの応酬。しかし美鈴は涼しい顔でそれを避けていく。そして終にはレミリアの懐へと潜り込み、掌底打ちを彼女の腹部へと放った。今度はレミリアが吹き飛ぶ。先程までレミリアが圧倒していたこと。それ自体が嘘だったかのような戦闘。ここで立香は気づいた。確かに筋力、俊敏さ、そう言った地力ではレミリアが上回っている。しかし、戦闘技術と言う面では相手の方が何枚も上手(うわて)だと言うことに。

 

「一つ確信したことがあります」

 

口元から血を伝わせながら立ち上がるレミリアを見据えて美鈴は言った。

 

「どうやら貴方は力を失っているようだ。本来の貴方はこんなものではない。私の技術など無意味とばかりに押し潰してしまう吸血鬼の力。しかし今の貴方にはそれがない。これではただ少し強いだけの妖怪だ」

 

完全に立ち上がったレミリアは美鈴を睨み付ける。状況は圧倒的に不利。しかし、レミリアは優雅とさえ言える振る舞いで美鈴へと向き直る。

 

「それがどうしたと言うの? 例え力を失っていても門番ごときに地面の塵を舐めさせることくらいわけないわ」

 

「ならばやってみるといい」

 

あくまでも挑発的な美鈴の構え。レミリアはぎゅっと槍を握る手に力を込める。

 

「……ふ菓子、魔力を回しなさい」

 

唐突にふられたレミリアの言葉に立香は頷く。そして確信する。レミリアが一気に決着を着ける気なのだと言うことに。立香は覚えたての感覚でレミリアへと精一杯の魔力を流す。これでしっかりとレミリアへ魔力を回せているのかと心配になりながらもそれを止めない。今のこれがマスターとして自分ができる精一杯のことなのだから。

 

レミリアの槍がまるで燃えているかのように深紅のオーラを纏いだす。そして彼女はトンと上へと飛び上がり、地面を見下ろすように宙で停止する。そこから槍を投げる構えを見せた。

 

「我が血による制裁。深紅なる裁き。死の一線をもって紅き月の供物となれ」

 

レミリアの手元にある槍が更なる魔力を帯び始める。立香が今までの見てきたレミリアの攻撃とは桁違いな威力であろうことは一目瞭然だった。

そして対する美鈴も大きく足を開き、拳を構え、身体中から虹色のオーラを放出する。そしてそれは段々と拳に集中して集まり、その密度を濃くしていく。二人共が自身の最大をぶつける。レミリアへと魔力を送り終えた立香には、ただその時を待つことしかできなかった。

 

突き穿つ紅き神槍(スピア・ザ・グングニル)!」

 

その言葉と共にレミリアは槍を投擲する。しかしその速度が異常で、立香にはただレミリアから美鈴に向かって一瞬、紅い線が引かれたようにしか見えなかった。そしてレミリアが槍を放った瞬間、美鈴も溜めに溜めていた魔力を拳に乗せて放った。

 

彩光風鈴(さいこうふうりん)!」

 

虹色のオーラを纏った拳が前に突き出された瞬間、それは爆発した。レミリアの槍と美鈴の拳。二つは拮抗して停止する。いつまでも続くかと思われていた力同士のぶつかり合い。しかしそれは呆気なく均衡が崩れる。

 

「くっ!」

 

レミリアの名状しがたい喘ぎが物語るように段々と槍の位置がレミリアの方へと押し戻される。レミリアも手を前に構え、何とか押し返そうとしているが、しかしその距離は一向に縮まっていく。

 

「レミリア!」

 

押し負ける。そう確信した立香は思わず彼女の名前を叫んだ。しかしその瞬間、レミリアの放った槍にヒビが入り始める。そして──

 

「ガアァァァァッ!」

 

紅い槍はバラバラに砕け散り、虹色のオーラがレミリアへと襲いかかる。まるで暴風により吹き飛ばされるかのようにレミリアは宙を舞い、そして地面へと落下した。立香は脇目も振らずレミリアへと駆け寄る。そして彼女の状態を確認する。死んではいないが、かなり消耗しているようで、浅い息遣いのまま完全に気を失っていた。

 

「私のスペルは相手の気功に影響を与えます。本来なら吸血鬼の再生能力を遅めるなんて芸当はできませんが、今のレミリアお嬢様ならばそれは例外です」

 

立香がホッとしたのも束の間。二人の側にいつの間にか移動していた美鈴は彼らに向かってそう言い放つ。立香は美鈴を見上げ、レミリアを抱き抱えながらジリリと後ずさった。

 

「名も知らぬ人間。命が惜しければレミリアお嬢様を連れて立ち去りなさい。ここから少し戻れば右手の崖に渓谷を抜けることができる洞穴があります。そこを通ればワイバーンたちに遭遇することなく帰れるでしょう」

 

「……殺さないのか?」

 

美鈴の言葉に立香はそう尋ねる。敵である彼女からすれば、今は自分たちを一方的に殺せる絶好の機会であり、なぜ彼女が見逃すような言葉をかけるのか、立香には理解が及ばなかった。

 

「私は門番。門を守ることが私の仕事です。決して殺しをすることではない。それに少なくともレミリアお嬢様を殺すのは我が主の意に反します」

 

主の意に反する。その返答によりますます立香は混乱する。しかしこの状況は少なからず立香にとっても好都合であり、ここでうだうだと考えるよりも、素直に彼女の言葉に従った方が良いと言うことは明白だった。

 

「……分かった」

 

立香はぐったりと四肢(しし)を放り投げているレミリアを背におぶり、立ち上がると紅魔館に背を向けて歩き出した。

 

「レミリアお嬢様にお伝えください」

 

しかし再び美鈴に声をかけられたことにより立花は足を止める。

 

「この世界は復讐により創ら(うま)れた世界、貴方の近しい方の思いが形になった場所だと」

 

 立花はそれに背を向けたまま頷き、また歩みを再開する。

 自分の歩く間隔に従って背中で揺れる少女。今まで強大な力をふるってきた少女がこんなにも軽いなんて、立花はそんな当たり前のことですらこの時まで気が付くことができなかった。

 立花はふと空を見た。視界に入ったのは夜空に浮かぶ紅い月。本来ならば月が紅いことに驚かなくてはいけない立花だが、しかしその時、彼が感じたのは呆れだった。

この世界に来てから幾度となく空を見上げたと言うのに……。

 

「月が紅いことを今知ったなんて」

 

そんな立花の湿り気を帯びた呟きは、その酷く乾いた地面が雨と間違えたかのように、そっと地下へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

広大な草原のド真ん中。そこで風がゆるりと流れ、音はピタリと停止する。見える景色と言えば、地平線の上に乗っかる山々と、それを覆う夜空だけ。そんな場所で彼女は目覚めた。

 

「……ッ!」

 

自身のうめき声を目覚ましに少女は目を開ける。ぼんやりと曇り掛かったフィルターが網膜に張り付いており、彼女の視界は湾曲していた。ただ目の前に炎の明かりが(とも)っていることだけはかろうじて認識できた。

 

「レミリア、起きた?」

 

しかしその言葉でそれが一気に取り払われる。取り戻した焦点がある一点に収束していく。

 

「……ふ菓子」

 

レミリアは体を起こす。そこで彼女は自身の現状を把握した。だだっ広い草原の中心で、自分が寝ていたと言うことに。

 

「……どのくらい私は眠っていたかしら?」

 

レミリアは焚き火を挟んだ先にある立香へと尋ねた。

 

「一時間くらいかな? ここに着いてからそんなに時間は経ってないよ」

 

「…………そう」

 

そのやり取りを最後に二人は口を閉ざす。そのせいか暗闇を照らす焚き火の音が酷く鳴り響いた。レミリアにとってそれは不愉快な静寂ではない。決して悪いものではないのだ。ただ彼女にはどうしても口にしなくてはいけない言葉があった。それは自身の──“レミリア・スカーレットの敗北”。この世界に来てから唯一の頼りと言っても言い“力”が通用しない事態が起こった。確かにレミリアは全力とは程遠い力だったかもしれない。しかしそれでも事実は事実。それを素直に認めない愚かさはレミリア自身もよく分かっていた。だからこそ話さなければならなかった。これからのこと。自分たちがどう立ち回っていくのかを。そうしてレミリアが口を開こうとしたところで、意外なことに立香から先に口を開いた。

 

「休もう」

 

立香はレミリアを見据えて言う。

 

「今日は何も考えないで、何も話さないで、休もうレミリア」

 

重ねてそう言った。何でもないその言葉。何の力もない人間が発するその言葉。しかしレミリアはどうもこの言葉に逆らえそうになかった。相手を縛り付けるわけでも、相手を受け入れる甘い言葉でもない。それでもレミリアには何よりも抗いがたい言葉だった。

ふとレミリアは考える。ではなぜ自分がこんな何の力も無い、ただの魔力供給としか考えてなかった男の言葉に抗えないのか。レミリアは(さかのぼ)る。男と会ってこれまで二人で共有してきた時間を。

初めは湖でばったり会って、そして都合の良い人間としてこの世界へ無理矢理連れてきて、そして目的を見つけ、共に戦い、そして敗北した。それがレミリアの持つ立香と過ごした記憶全てだった。

ではもしこの男と出会ってなかったら、自分はどうなっていたのか?

レミリアは考える。 きっと自分一人だったなら村長と話をつけることもできなかったし、まだ紅魔館の存在も知ることがなく、一人草原で暖をとっていたかもしれない。例えそれができていたとしても、裏切られた家族に敗北し、何も分からない世界で味方もなく、話し相手もなく、ただ広いだけの草原で一人、寝転がって時を過ごしていたかもしれない。

もしそうなっていたら自分はどんな思いを抱いただろうか?

 

──不安?

 

──孤独?

 

──悲観?

 

実際にその立場になってみないと分からないが、きっとろくでもない感情(もの)であったのは明らかだ。そう思うと急に胸の奥から身体中に薄ら寒いものが流れ出ていくのをレミリアは感じた。何かに触れていたい。何かを感じていたい。そんな思いが溢れ出て止まらなかった。

 

 

そして気づく。

 

……ああ。

 

ほんの僅かではあるが、自分はいつの間にかこの男と出会えたことを──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嬉しく思っていたのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふん。休もうと言うのなら、こんな枕を私に用意しないで頂戴」

 

レミリアは自分がそんな思いを抱いてしまったことを隠すよう、先程まで頭に敷いていた布切れを手に取った。それは立香がずっと着ていた灰色に染められた無地のパーカーだった。

 

「ごめん、これしかなくて」

 

立香は申し訳なさそうに笑う。そしてその笑みが今、自分が浮かべている心情を逆撫でしているようで気に触り、レミリアは不機嫌そうにむすっとした表情を浮かべる。そしてその苛立ちを力に、疲れきった身体を無理矢理立ち上がらせた。それから彼女は焚き火を避け、胡座をかく立香の足の上へすっぽりと収まるように座った。

 

「ちょっ、レミリア?」

 

自分の足の上に座ると言うレミリアの突拍子もない行動に、立香は困惑の声を上げる。しかしレミリアはそれを無視し、立香を支えに背中をもたれ掛からせた。

 

「そんな布切れを枕にするよりよっぽどこっちの方が快眠できるわ」

 

「それだと俺が眠れないんだけど……」

 

立香は苦笑する。事実、立香へ完全に体重を預けているレミリアは、彼が寝てしまえば必然的に同じ体制になってしまう。しかしレミリアはそんなこと知らないとばかりに、頭に乗っかっている帽子を取り去り、自身の膝へと乗っけた。

 

「私が眠ったら貴方も横になりなさい。私は疲れたからもう寝るわよ」

 

それを最後にレミリアは全身の力を抜き、彼女の瞼も重力に抗うことを止める。立香はしばらく石になったかのようにピクリとも動かなかったが、レミリアから深い寝息が聞こえると、彼女を起こさないよう身体を横へと倒し、そっと寝転がった。

 

「……お休み、レミリア」

 

そうして立香も目を閉じる。

大きな草原のど真ん中、そんな場所に並んで横になる二人は(はた)から見れば兄弟か、はたまた親子のようで、それを微笑ましく思ったのか、彼らを見守る焚き火はゆっくりとその勢いを緩める。そして最後には(ほの)かな残り火となって彼らを優しく暖め続けた。

 

夜か昼かも分からないこの世界で、間違いなくその時だけは静かな、誰もが否定できない夜だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




美鈴がなぜこうなってしまったのかは後々分かります。
次話更新は明日の19時です。

紅美鈴(ホン・メイリン)
《クラス》アサシン
《種族》妖怪
《ステータス》
筋力 B+
耐久 B
俊敏 B+
魔力 D
幸運 E
宝具 C
《クラス別能力》気配遮断(C)領域守護(B)
《スキル》
・中国武術(A+++)
中華の合理。宇宙と一体になる事を目的とした武術をどれほど極めたかの値。修得の難易度は最高レベルで、他のスキルと違い、Aでようやく“修得した”と言えるレベル。A+++ともなれば達人の中の達人。

・門番(C)
門を守る経験や熟練度を表す値。値が高い程、門を守護する際に能力に補正がかかる。何十年と門を守る役職に就いていながら、美鈴はさぼりが多かった為Cとなっている。

・心眼《真》(B)
修行・鍛錬によって培った洞察力。
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。
逆転の可能性が1%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。

《スペル》
・彩光風鈴(さいこうふうりん)
ランク:C
種別:対人
レンジ:2~4
最大捕捉:1人

自分の体内にある気を拳に乗せて放出する。その気を相手に埋め込むことにより、相手の霊力、妖力、魔力等を狂わすことができる。



*以下小ネタ
レミリア「………………」

立香(やっぱり寝てる時は可愛らしいんだけどなぁ)




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