行く当てのなかった彼女を保護し、二人は共同生活を送ることに。
男女という性別の違いはあれど、二人の相性は良く、気が付けば恋仲になっていた。
これはそんな二人の日常の1ページ。
「おーい、朝だぞー? 仕事に行くんだから早く起きろー」
布団の中でスヤスヤと寝息を立てている男を揺する銀の少女。
艶々と彼女が点けた照明に照らされる銀髪は見事なモノで、これがマンションの一室ではなく、森の奥で月夜に照らされていても不思議でらないぐらいに幻想的だ。
冬になり赤いセーターを着込み、その上からピンク色のエプロンを身に付けている。エプロンとその下のセーターを押し上げ、盛り上がっている母性の象徴が寝ている彼の身体を動かす度にユッサユッサと重たげに揺れている。
「んんっ……クリス……?」
「おう。朝だぜ。朝飯の準備が出来たから、起こしに来てやったぜ」
眠たげに目をパチパチと見開いている彼に笑顔で挨拶をするクリスと呼ばれた少女。
彼女は雪音クリス。彼とは恋人の関係であり、彼に養って貰っている少女だ。
本来であれば高校に通う年齢なのだが、彼女は事情があり通っていない。仕事のために家を空ける彼の代わりに家事をこなし、彼の生活の助けをしている。始めた当初は酷いものだったが、一年も共に過ごしている内に常人よりも家事の腕は上手くなったと彼女は自負している。
「ほら、いつまでも寝ぼけてないでさっさとリビングに行くぞ」
ちゅっ♡ と彼の口に朝一番の口付けをすると、照れ隠しのように言葉を残し、先にリビングへと戻っていった。
クリスのキスで意識が覚醒したのか、布団から男が出るとそのまま着替えをぱっぱと済ませ、クリスが向かったリビングへと足を運んだ。
☆
「じゃあ行ってくるね。家のこと、よろしく」
「おう。金稼いで貰ってんだ。家の中の事ぐらいはあたしに任せとけ。……い、いってらっしゃい。気をつけろよ」
「うん。いってきます」
幼い頃に両親を亡くしたクリスにとって、何気ない挨拶でも嬉しくなってしまうものだった。
ただ、あまり素直に気持ちを伝えるのが得意ではない彼女は、ぶっきらぼうな態度をとってしまうが、男には簡単に見透かされてしまう。
一年も一緒にいるのに、朝の見送りと帰宅の時の挨拶になれない彼女を微笑ましく思う。
照れて顔が少し赤い彼女に笑顔で彼も挨拶を返すと、職場へと足を運ぶ。男が持つ鞄の中にはクリスお手製の弁当が入っている。これで今日も頑張れそうだ。
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「っと、そろそろアイツも帰って来るな。風呂でも入れておくか」
家事を終え、夕飯の仕込みを終えていたクリスはボーッとテレビを眺めていた。
彼女の刺激になるような番組はなく、ただただ眺めていただけだった。ちなみに、彼女の好きな番組は料理番組で、面白そうだと見て思った料理がそのまま晩御飯として出てくることが度々ある。
パタパタとスリッパの音を奏でながら浴室へ入り、お湯を沸かす。十数分でもすれば直に沸くだろう。
男とクリスが暮らす家は都内にあるマンションの一室だ。若いながらにそれなりの立場である彼にとってこの程度の家であれば支払いに困る事なく生活出来る。
ただ、クリスと出会うまでは仕事が忙しく、家は寝る為だけの場所になっていた。家に洗濯機があるというのに、面倒でコインランドリーで週末に一気に洗濯をしていた。食事もコンビニで買った弁当か、外食だったのだが、クリスのおかげで彼の栄養バランスは劇的に変化した。
彼と暮らすまではクリスもまた、家事など出来なかったのだが、ただ養われているのは彼女のプライドが許さなかった。
亡くなった両親は娘の視点から見ても仲睦まじく、互いを支え合っていた。だからこそ、彼に一方的に世話になるのではなく、下手くそながらに炊事や家事、洗濯を覚えた。
「ただいまー」
「お、おかえり。お疲れさん」
帰宅し、リビングにやってきた彼にやはり照れながら挨拶を返す。何度もしているのに、ついつい毎度照れてしまう。
「今日はデザート買ってきたんだ。ご飯を食べたら一緒に食べよっか」
二人の住んでいる地域では人気であり、お値段がそれなりに張るケーキ屋の箱が彼の手にはあった。
無駄遣いしやがってと毒を吐くものの、ケーキの箱を見て嬉しそうにしている。甘いものは女の子の大好物なのだ。
二人がそのまま談笑していると、お風呂の準備が整ったと電子音によって合図され、先に男が入ることになった。
「ふぅ……いい湯だなぁ……」
一通り身体を洗い流した後、オジサン臭いと思いつつも声を出しながら浴槽に身を沈める。寒かった外から帰還したばかりで、まだ体温は冷えていたのか湯に浸かるとじんわりと温まっていく。
疲れから寝てしまわないように注意しながらも、ゆっくりと疲れを癒やしていく。ゴソゴソと脱衣場から音が聞こえてきた。
この家には二人しか住んでいないので、クリスが何かをしている音なのだろう。脱衣場は洗面所と一緒なのだから。
「背中、流しに来たぜ」
「く、クリス!? ど、どうしてここに?」
「どうしてって……彼氏と一緒に彼女が風呂に入りたいってだけだ。悪いかよ」
まるで子供のように唇を尖らせ、男に抗議する。突然のクリスの登場に驚いた彼だが、冷静になり、クリスを浴槽の中に迎え入れる。
「はぁ……風呂ってのはあったけぇなぁ……」
股の間に座ったクリスを後ろから抱き締める。
柔らかく、それでいてしっかりと筋肉の付いた女の理想とも言うべきクリスの肉体。男として意識してしまうものの、幸せそうな顔をして湯に浸かっている彼女を見ると、勃つモノも勃たない。寧ろ自粛しますとばかりだ。
「幸せって良いもんだな。お前と一緒になってそう思うよ」
「俺もだよ。前までは仕事一筋って感じで生きてて、幸せとか考えてすらもなかった。だから、こうしてクリスと過ごす時間が俺にとっても大事だ。あぁ、俺の幸せは此処にあるんだなって思えるんだ」
物語や映像でしか聞けなさそうなくさいセリフ。
しかし、話している男の声は真剣そのもので、クリスが茶化すことはない。
男の言葉に頷き、彼女もまた自身の手にした幸せを噛みしめる。
両親を亡くしたあの時からクリスの中の時間は止まっていた。場所が場所だったからか、奴隷として誘拐され、そのまま其処で幼少期を過ごした。
しかし、女として大事な貞操は奪われず、ギリギリながらも生きる事が出来た。紆余曲折あり、彼のいる日本へとやってきたのだが、そこはまた別の機会に。
物理的ではなく、心の底から温まれるものが近くにいるのが堪らなく嬉しい。
二人はそのまま、言葉を交わさず、されど幸せな空気のまま湯に浸かっていた。
☆
「明日は休みなんだろ? だったらどっかに出掛けないか?」
「あー、そうだね……いいよ。何処かに遊びに行こうか」
今日は金曜日。土日に休みがある彼は基本的に休日はダラダラとしている。
クリスと生活を共にするまでは、土日に何をしていたのかもすら思い出せない。それぐらいにこの一年が濃密だったのだ。
親元から離れ、独りで過ごして数年。仕事も順調で、生活に潤いがない点を除けば彼に不満はなかった。金を稼ぐ為に仕事をしているのか、仕事をしているから金が入るのか分からないまま過ごしていたが、あの頃よりも今がとても幸せだ。
同じ布団で横になり、ぴったりと寄り添ってくれているクリス。年齢で言えば彼とクリスは10才ほど離れているのだが、二人は昔からの友人のように仲が良い。喧嘩する時もあれば、馬鹿をやって笑い合う時もある。
これからもこの幸せは続くのだろうと未来に思いを馳せる。
シンフォギアはアニメやってる時は興味なかったんですよね。歌で戦うって何だよって感じに思ってたので。
ただ、偶然にもキャラデザを目にし、アニメを見ました。好きなキャラはクリスとマリアですね。
特にマリアさんはガングニール纏ってた時のダークヒーローみたいな格好が好きです。
アプリの方は定期的に何故かリセマラしてます。
今回これを書いたのも、リセマラを唐突に始めたからです。このファンを始めたばっかなのに……。