幻想の園に螢は舞う   作:螢司教

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中々中身がぶっ飛んでるので、閲覧する際は覚悟してくださいな。


始まりは突然なのはマジらしい

ひたすらにつまらない日々だった。

授業も適当に聞いて、くだらない話に作り笑顔で応じ、高校受験に有利だろうと入った委員会もぱっぱと終わらし、帰路につく。

道端で、唯一の楽しみである生物観察をし、絡んでくる変なやつらを返り討ちにし、何もなかったかのように家に帰る。

社会、数学、国語、小説、心理学…生物に関する事以外何事にも興味がわかない。

欲しいものも思いつかない。何かをする気力もわかない。生きたいとも思わない。

寧ろ、死にたいな。その方が楽チンだし。

 

人間は何を目的として生きているのだろう。

金を稼ぐこと?名声を手にいれること?世界の役に立つこと?…

それぞれに、綺麗で秀逸な目的があることだろう。

だがそれは綺麗は綺麗でも綺麗事。

どうせ自分の利益に収束していく何とも愚かしい公言なのだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…考えていると、自分がいる場所も分からなくなる。

でも考えることは止まられない。だから一人じゃないときは考えることを遅く行っている。

ここは何処だろう……

「あ~、死にたい」

俺はどこにいるのか、そして周りに人がいるかの確認もせず、会話するくらいの声で呟いた。

更に溜め息をついて周りと状況の確認をする。

確か俺は………夕方、学校も終わったからちょっと学校近くの森(というよりも結構木々が生い茂っている散歩道)に寄り道してて………考え事をしながら散策して…………ここまでが今より前の状況か。

さて周囲は……時間帯は夜。写真とかでよく見る木々、茂み、そして倒木が視界にうつる。おや、キノコも群生している………

 

…………………?……………

 

 

どこだここ?

 

 

 

おかしいな。何でこんなところにいるんだ?

歩きながら寝てしまって夢でも見てるとか?

それとも誰かから身体強化魔法でも食らって青木が原樹海までジャンプしてしまったとか?

さて冗談をかましている場合じゃない。

一刻も早く住宅街を探さなければ!

ただでさえ過保護な家なのに、空が暗くなった今遅く帰ったら面倒なことになりそうだ!

俺は駆け足で森(?)を歩き回った。

ただし、視界に写るのは木、木、木!

本当に樹海に迷ったのか、全く終わりが見えずひたすら同じ所をぐるぐる回っているような錯覚に陥った。

歩き続けてしばらく経つと、前に明かりが見えてきた。

ただ違和感がある。

人工的な光の強烈な明かりではなく、もっと控えめな優しい光だった。

しかもその光は蠢いている。

まさか…!

光のもとにたどり着くと、やはり光の主は…!

 

 

「蛍だあっ!」

 

 

蛍だぁぁぁぁ!

マジで!?これ本物の蛍!?やべぇ最高だぁぁ!

恐らくこれを見ている人はドン引きしているだろうが、何を隠そう俺は生物の中でも虫が大好きなのだ!

その中でもとりわけ大好きなのが蛍なのである!

言うならば、好きなアイドルグループの推しメンバーみたいなものだ。

嬉しさのあまりその場で踊ってしまった。

その時に何かの小さい笑い声が聞こえた気がしたが、そんなことより蛍の観察が先だ!

さてさて、まずなにから見ようかな!甲殻もいいけど、やはり触角からだろうな。ぐへへ。

観察を始めようとしたその時だった。

 

ギチギチギチ…!

 

何かが軋むような音が聞こえた瞬間、俺は何かに巻き付かれた。

「ぐっ…がっ!」

とても強力な締め付けだ。自分の骨と、俺に巻き付いてきた何かが奏でる軋む音が不快なハーモニーを生んだ。

辺りが暗いのでよく見えないが、黒光りする甲殻にしっかりとした脚がついている。

それが連なり長い体躯を作り出しており、横を見ると、紅蓮に染まる扁形の顔のすぐ後ろの甲殻から太い牙のような脚が頭に突き刺さんと動く。

この大きさは信じられないが、トビズムカデだ。

危機的状況だが、これだけは伝えたい。

 

最っっっっっ高!!!

 

何これ!?あのカッコいいムカデさんに巻き付かれるなんて、ご褒美ですか!?

ヤバイわ~、テンション上がるわ~!

ただちょっときついのは、巻き付かれる際に少し咬まれたのか、足元が激しく痛むことだ。

確か神経毒だったかな?ハチ毒に似てる成分だったような…

あれ?だったらアナフィラキシーショックになるんじゃね?

しかも俺喘息持ってるし、余計になりやすい…

俺は今、最高に詰んでいるのでは?

まぁ、そんなことどうでもいいさ。

そんな心配をよそに、俺はムカデに巻き付かれた喜びを噛み締めていた。すると、

「あなた、人間?」

前から女性の声が聞こえた。

直ぐ様前を見ると、そこには緑髪の少女が佇んでいた。

「タイミングが悪かったね。今はこの子たちの繁殖期でね…」

この子たち?でかいムカデのことか?

“たち”ということは他にもこういった虫がわんさかいるのだろう。

ヤバイ…鼻血でそう……

少女をよそに色んな虫の想像をする。

だがこの少女の言葉がその虫の想像を消し去った。

 

「あなたは、今からこの子たちの栄養になってもらうね」

 

周囲が殺意に満ちた目線で溢れた。

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