…………
………………
……………………、?……………
……………………何、だ………?
何が……………?
何かが……………乗ってる………………??
謎の重みを感じ、目が覚めた。
手からはふかふかした感触がし、自分がベッドの上にいることに気付く。
どうやら寝室かどこかまで運び込まれたようだ。
ただやはり、自分の上に何が乗っているのかが気になる。
という訳で確認すると、自分の上ではリグルとフランがすやすやと寝ていた。
「スゥーーー……」
「んん……ふぅ……」
長い時間泣いていたのか、目元には涙の後が出来ている。
そんな二人は現在心地よく寝ているため、下手に動くことが出来ない。
だがちょうどタイミング良く誰かが部屋に入ってきた。
「あら、おはよう
やっと目が覚めたのね」
咲夜さんがお粥を手にしながら挨拶をする。
……おはよう?
「すみません、今って何時ですか…?」
自分がどれ程眠っていたのか、咲夜さんに確認を取る。
「えっとね…今は午後6:30くらいね」
ということは……大体30分くらい寝てたのか。
「長く感じたけど、以外と短かったんだな~…」
「えぇ? 1日と30分も寝てたのに、どこが短いのよ」
「…そうゆーパティーンですか…」
何ということだ。まさか1日も寝ていただなんて。
「…えっと、お嬢様は…?」
確か最後の記憶では、レミリアがフランの部屋に来ていたはずだ。
恐らく自分かフランに何か用事があったのだろう。
そしてもし、自分の方に用事があったとしたら…
ちょっとどんな目に合うか怖かった。
「お嬢様は今くつろいでらっしゃるわ
大丈夫。心配しなくても、貴方の件では特に怒っている様子も無かったから
むしろ無理をさせたとお嬢様の方が罪悪感を感じていらっしゃるわ」
こちらの思惑を察した咲夜さんは、淡々と話す。
「それと、あなたが回復するまで面倒を見るよう言われたから、食事を持ってきたわよ
手はちゃんと動かせる?」
ちょっと驚いた。
吸血鬼だから一人間が死んだとしても興味を示さないと思っていたが、レミリアは結構寛大なのかもしれない。
「は、はい 大丈夫で…あれ?」
何故だ。触覚はあるが、思うように手が動かない。
「どうやら難しいみたいね
ほら、食べさせてあげるからお口を開けなさいな」
「すみません…」
そのまま咲夜さんに食べさせてもらう。
お粥はとても美味しかった。
◆
「もー!!フランとっても心配したんだからぁ!!!!」
「いくら何でも寝坊助さんすぎるよぉ!!」
青年が食事を終えてから起きた二人は、心配したと滅茶苦茶怒ってきた。
自分自身もこの出来事に驚いているが、実際自分が心配をかけてしまったので、二人にはただ謝ることしかできなかった。
一通り説教が終わった後、咲夜はレミリアに報告があると言いフランを連れて部屋を出ていった。
だが思えば、ある程度この復活能力の仕組みが若干分かってきたのは大きな一歩だ。
復活する時には体力を大きく消費するということ。
そして体力の限界を越えた際での復活能力の使用は、神経系まで影響を及ぼすこと。
つまり行われているのは身体の欠損部位を修復することのみであり、体力も身体の調子も完全回復させるという訳では無いことである。
ということは、復活できる回数は自身の体力と比例するのではないか?
この幻想郷には人食い妖怪もいる。
つまり襲われて生き返った後、万全の状態で逃げれる(若しくは少し反撃できる)ようにしなければならない。
では自分の住居が決まり次第やらねばならぬことは、無論体力をつけることだ。
「…ハァー……」
やることは見えてきたのに、何故か不安感が募る。
それにあの映像……
恐らく自分の記憶なのだろうが、全く思い出せない。
まるで夢を見たあと内容を思い出せないみたいに、先程見たはずの記憶が無い。
ただ無くした記憶を思い出そうと試みると、誰かへの罪悪感が募ってくる。
何だか心がとても苦しくなるみたいな…そんな感じのものだ。
だが同時に、自分にとって忘れてはならない記憶であると感じる。
だからこそ、一刻も早く思い出さねばならない。
「? どうかした?」
今感じている焦りが表情に出ていたのか、横に座っていたリグルが青年に話しかけてきた。
だがリグルにまた心配をかけたくなかったため、何も無いと伝える。
「…ウソ、だね」
リグルはそれがウソだと分かったらしい。
余程自分のウソが下手であったのか、リグルの勘が良いのか。
また大丈夫だとその場を貫いてもいいが、リグルにこれ以上ウソはつけないと思い、今自分が感じている不安について話した。
能力についてはあまり話さなかった。
ただ自分の記憶が無いこと、その記憶が思い出せないこと、その記憶が恐らく大事なものであること…
そして自分が、その記憶を取り戻せなかった場合のこと。
自分にとって大切なものと感じるほどの記憶なので、それをずっと思い出せなかったらどうすれば良いのか。
とても口下手なので話が長くなってしまったが、リグルはひたすら聞いてくれた。
「…という訳なんだ」
「…そっか」
一通り話を終えると、リグルはそっと青年の手を握ってきた。
「???クン、頑張ろうね
私もついてるから」
とても優しい声で、リグルはそう言った。
…何故だろうか、リグルのその一言を聞いただけで身体に自信が溢れてきた。
今ならどんなことでもできそうな気がする。
それと同時に、胸に苦しさを覚える。
以前も感じたが、この正体は何なのだろうか。
「…っ、!?」
突如頭に女性の声が流れる。
何故、自分の名前を…?
でもどこかで聞いた覚えがあるような…?
それだけでなく、息もできなくなるほどの恐怖心、激しい頭痛が襲ってきた。
あまりの苦しさに、後ろに倒れてしまう。
「だっ大丈夫!?」
青年の唐突な状態の急変に、リグルは驚きを隠しきれていない。
だが焦りながらも、リグルは冷静な対応をする。
「さ、咲夜さん呼んでくるから、ちょっと待ってて!」
リグルが青年から手を離し、急いでドアに向かう。
その瞬間、青年は思わず叫んだ。
ちょうどその時リグルはドアを開けようとしていたが、青年の絶叫を聞きドアノブから手を引く。
そしてリグルが振り向くと、横になりながら号泣している青年の姿があった。
「行かないで…くれ……
一人に、しないでくれ………」
それを聞くと、リグルは再び青年の横まで戻り、また手を握った。
すると青年はしばらくの間泣き続け、泣き疲れたのかそのまま眠りについていった。
◆
突然であった。
手が離れた瞬間、リグルがもう戻ってこないような気がした。
二度と話せなくなるかと、ずっと会えなくなると感じた。
それが怖くて、怖くて。
気がついたら、自分は泣き叫んでいた。
…過去にも同じ経験をしていると、本能が告げる。
失った記憶の中に、似たような出来事があったのだろう。
頭では覚えていなくても、身体は覚えていた。
……
…………
…寂しさを感じた理由が分かった。
俺は誰かを、失ったのだ。
どうも、螢司教でございます!
フランちゃんの言っていたことですが、今回のお話では書けませんでした…
ちょっと情報量が多いかなと思い、次回に回すことにしたのです。
楽しみにしてた方、すみません…(T_T)
久しぶりの出番だよ、リグルたん!
前回まで話せなかった分、次回以降でいっぱい出すからね…!
さて、冒頭から泣き疲れて眠っていたリグルとフランちゃん。
実は青年が部屋に運び込まれた時から、青年が目覚める3時間ほど前までずっと寝ずに起きていたのだとか。
ずっと待ってても起きないので、リグルも彼が死んだのでは?と思って長いこと泣いていたそう。
フランちゃんも同じ理由なようです。
リグルを泣かせるなんて…青年め!許せん!!(どいつが言っているのやら)
青年も、失った記憶の手かがりを見つけ始めました…!
彼の失われた記憶の全貌は…!?
というところでおいとまさせていただきます!
それではまた次回!
感想待ってま~す(´ω`)