幻想の園に螢は舞う   作:螢司教

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長らくお待たせしました!
最新話でございます!!


紅魔館に誘われて
1週間後…


朝:6時ちょうど

俺はいつも通り目が覚める。

若干寝ぼけ眼のまま洗面台に向かい、顔を洗い、歯を磨く。

磨くこと15分、うがいをし、鏡で歯を確認する。

うむ、ちゃんとつやつやだ。

何か無いかと調理場に向かうと、イナバがいた。

「あっ、おはようございます!」

「おはよう、イナバさん。

もうご飯作ってるんすか?」

イナバの手元を見ると、いくつかのおにぎりが並べてあった。

「いや~、早起きしてもすることが無くて~」

苦笑しながらイナバは答えた。

「へぇ~。

あれ、お惣菜はまだな感じですか?」

「はい~、今日はいつもよりおにぎりを多く作ってるので、まだ手がつけられてなくて…」

それを聞き、俺はイナバに提案する。

「もしよかったら、今日も作りましょうか?」

「いや、大丈夫ですよ!

朝食の時間には間に合わせるので…」

「いや、それじゃ大変でしょ?

作っておくんで、任せてください!」

俺は服の裾をまくり、気合いを入れる。

「すみません、ありがとうございます~

でも、1週間も頑張ってくれてたので退院日くらいはもう少しゆっくりしていただいても良いのですよ?」

そう、あのルーミア騒動があってから1週間。

今日は俺の退院日なのだ。

そして今日まではいくら患者だと言っても、俺の怪我は一日目で治っていたので、お礼がてらここの家事や仕事の手伝いをしていたのだ。

おかげで永遠亭に住む方とは皆話せる位には仲良くなった。

「いやいや、お構い無くですよ」

「はぁ~、感心しますよ

あなたみたいな人そうそういませんよ?」

イナバに褒められ、照れながら作業を進めた。

 

 

一時間後…

朝食が出来た為、居間に料理を運んでいく。

その際起きていた他のウサギの人達が手伝ってくれた。

居間に着くとちょうど永琳が診療室から入ってきた。

他の住人達は既に席についていた。

ちなみにリグルは寝ぼけ眼でうつらうつらとしていた。

「おっ、待ってました!」

料理が運ばれてくるやいなや、ウサギの少女が明るく言う。

「相変わらず朝から元気だなぁ、てゐは」

ウサギの少女、因幡てゐは丸いもふもふした尻尾を振りながらむふんと鼻息を鳴らし笑顔でこちらを見る。

「むしろ因幡が明るくないことなんてあったかしら?

私はここに来てからはずぅっと見てないわ」

居間の奥に座る女性が微笑しながら言う。

「ほんと輝夜様の仰る通りですよぉ。

私もどれだけ苦労してるか…」

「失礼な!何も迷惑はかけてないぞ!

悪戯はするけど!」

イナバはその女性、蓬莱山輝夜に同意し、てゐと少し口論を始めた。

輝夜は月のお姫様らしく(やや信じられないが)、まぁとても偉くはあるらしい。

何故こんな場所にいるかはまだ教えてもらえていない。輝夜とも話す仲ではあるのだが、それを聞くと必ずはぐらかされる。

余程の理由なのだろう、俺も二度聞いてから踏み込まないようにしている。

「まったく、朝っぱらから騒がしいわよ

姫様の御前なのだから静かになさい」

永琳が口を酸っぱくして二人に言う。

「まぁまぁ、良いじゃない永琳。

お堅い場所じゃないんだし、食事の時くらいは良いじゃない?」

「そうっすよ、永琳さん。

ご飯は楽しく食べてこそ美味しいのです!」

口元を薄桃色の着物の袖で隠し笑う輝夜に合わせて俺も永琳に述べる。

「まったく…あなた達も相変わらずね」

永琳は呆れながら、だが笑顔でそう言った。

ちょうどその時配膳が終わったので、輝夜は皆が座っているのを確認する。

そして輝夜は俺に目配せをする。俺が合図をするようにとしたのだろう、俺は指示に従い、

「それでは皆様、合掌!!

それでは!」

 

 

 

いただきま~す!

 

 

 

 

 

号令と同時に騒がしい朝食が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

朝:10時頃

「これ、お弁当です。

お昼になったら是非食べてください!」

永遠亭の玄関先で、イナバが俺に風呂敷を手渡してくれた。

手に持つと結構ずっしりと重い。どうやら大量に入ってるらしい。

俺は礼を言い、それを受け取った。

玄関にはイナバだけでなく、永琳や輝夜、てゐや他のウサギ達もいた。

「でも、これから大丈夫?

あなたの家が見つかるまでここに居てもいいのよ?」

「私も姫様の言うことに賛成だわ。

ここで働いてくれるのだから住み込みでも大丈夫よ?」

輝夜と永琳が俺に提案してくれた。

「ありがとうございます。

でも、紫さんが衣食住は心配ないって言ってたんで大丈夫です!」

「紫はあまり信用できないわよ?

あの人とてもお気楽な人だから、もしかしたら藁で出来た家かもしれないわ」

永琳の発言に俺以外のこの場にいる全員が同意した。紫はどれほど信用されてないのだろう。

しかし住み込みで働けるのは魅力的だが、俺はちょっと一人暮らしにも憧れを持っている。

だから非常に心苦しいが断ることにしておいたのだ。

…少し住む場所が気になるが。

「た、多分大丈夫ですよ!

ではもうそろそろ…」

「そうね。そこの蛍少女の幻想郷案内の時間を短くしちゃ悪いしね」

リグルは得意気に胸を張る。

輝夜の言った通り、紫から連絡まではリグルに軽く幻想郷を案内してもらう予定なのだ。

幻想郷には人が入り込んでも大丈夫な所も危険な場所もあるので、土地勘くらいは養っておこうと永琳が提案してくれたのだ。

そしてその役をリグルが率先してやってくれたのだ。

「私はもうちょっと話してても良いよ?」

こちらを気遣ってか、リグルはこちらに話しかけてくる。

「いや、大丈夫だよ

また近い内に会えるからさ」

「まぁ、それもそうですねぇ」

イナバ達はクスクスと笑った。

「それじゃあ、気を付けてね

もう死ぬんじゃないわよ?」

「また話しましょうね?

あなたと話すのは中々面白いから」

永琳と輝夜がそう言ってくれた。優しい人達だなぁ。

「それでは皆さん、お世話になりました!

まぁまたすぐにここでお世話になりますが」

「それは仕事の方?それとも患者側?」

てゐの冗談で場が和んだ。

あまりにも短い別れだが、笑顔で告げられて良かったと感じた。

 

 

 

 

 

 

永遠亭を出てから、俺達は竹林の中に入っていった。

「しかし、ここは本当すごいなぁ

樹海ならぬ竹海、と言うべきか…」

俺はこの光景を見てそう言った。

周りに竹以外見えるものが無いのだ。本当に真っ直ぐ歩いているのかも怪しく思える程だ。

実際、ここに迷い込むと入口に戻ってきてしまうらしい。

そんな場所を、俺とリグルでは抜けられないだろう。

イナバ達はここを抜けられるのだが、運悪く今日は忙しいらしく、案内出来ないらしい。

そこで永琳は、迷いの竹林を抜けられる人物にガイドを頼んでくれた。

そのガイドは今、俺達を先導してくれている。

「…ここの竹は成長が普通のものに比べて早い。

だから目印となるものが作れないくて迷う人が多いんだ」

「へぇ~、それはまた研究してみたいな!」

ガイドがとても興味深いことを教えてくれたので、俺の研究心がくすぐられる。

「でも、何で妹紅さんは迷わないんすか?」

「確かに~!

秘訣でもあるのかな?」

俺とリグルは、ガイドさん、藤原妹紅に質問した。

妹紅はその足元までかかる白く長い髪をたびなかせ、「長年の勘ってやつさ」と手短に話した。

実を言うと俺は妹紅さんと話すのは初めてではない。

彼女は迷いの竹林を抜けられるため、永遠亭に病人や怪我人を連れてくることが多い。しかも俺が初めて幻想郷に来て死にかけた際、リグルを永遠亭に案内したのも彼女だったそうだ。

その恩もあったので、ある日急患を担当した際にお礼がてら話したのだ。おかげで最初は無口だった妹紅も、今では結構話してくれるようになった。

「そういえば、あんた永遠亭で働くんだってね

良かったらうちに住む?

この竹林のこともあるし」

妹紅は俺に問いかけてきた。

幻想郷にはやばいやつもいるって聞いたけど、そんなことが無い気がしてくる。

「ありがとう、妹紅さん

だけど俺迷惑かけちゃうよ?めちゃくちゃ飯食うから」

今回も俺は断ることにしておいた。

冗談めかして言ったからか、妹紅はクスッと笑って話を続けた。

「そこは問題無いぞ

ご飯はほぼ自給自足だから、食費は心配ない

が、参考程度にどれくらい食べるのか教えてほしい」

「そうだなぁ、まず白米は三合以上食うなぁ」

「ははっ、その時点でちょっとまずいかもなぁ

やはりやめておこう」

こんな感じに話している間に、迷いの竹林の出口に着いた。

「うぉー…」

俺は感嘆を漏らした。

「そういえば、あなたは永遠亭以外見れてなかったもんねぇ」

「そうか、あんたが死にかけたのって夜だったもんな」

「えぇ、まぁ実際死にましたけどね」

少しの間、三人で話した。とても充実した時間だった。

「それじゃ、あたしは戻る

また用があるときは呼んでくれ」

「ありがとう、妹紅さん」

俺が礼を言うと、「じゃあな」と妹紅は片手を挙げて対応し竹林の中に消えていった。

 

 

 

 

 

「それじゃあまずは、魔法の森に行こう!

私の友達もよくそこにいるから、紹介したいんだぁ!」

余程楽しみなのか、リグルははしゃいで手を引っ張る。

俺は承諾し、勢いに任せて歩きだした。

「おわっ!?」

情けなくも、俺は何かに躓き転んでしまった。

それを見たリグルはこちらに駆け寄ってくる。

「大丈夫?」

「あぁ、驚いたが大したことはないさ

でも何に躓いたんだ…?」

俺はその正体を見、ぎょっとした。

ナイフが地面に突き刺さっていたのだ。

直ぐ様俺は周りを警戒する。どうやら何もいないようだ。

「ねぇ、何か刺さってるよ?

何だろう…?」

リグルがそう言ったのでよく見ると、ナイフは何かを固定している。

それを取ってみると、何か文字が透けて見えた。

手紙、らしい。

開けるともう一枚紙があった。何やら地図のようだ。

紅魔館と書かれた大きな屋敷への地図で、とても分かりやすく丁寧に描かれている。これなら迷うことがないと言い切れる位に。

地図は確認し終えたので俺は手紙の方に目を向ける。

そして俺は、その内容に驚いた。

 

 

 

 

『外から来た死なずの人間に告ぐ。

用件がある故本日15:00に紅魔館に来られたし。

貴殿の意志で来られぬ場合は些か暴力的な手段を取らせていただく。

紅魔館領主 レミリア・スカーレット』

 

 

 

 

 

 

嫌な予感しかしない。直感がそう告げた。

 

 

 




他の作品も執筆中なので、今回みたいに遅くなるかもしれませんが、その時はご容赦ください。(´・ω・`)
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