幻想の園に螢は舞う   作:螢司教

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不定期投稿で申し訳ない……m(__)m


勘違いって怖い①

14:15頃

 

「本当に二人で大丈夫なのかー?」

「あぁ、大丈夫だよ」

ルーミアが俺とリグルを心配してくれている。

また、その隣にいる他三人もそわそわしている。

「あたいも付いてく!

最強のあたいだったら、紅魔館のやつらなんてけちょんけちょんなんだから!」

「あたしも、付いていきたい!

せっかく出来た人間さんの友達を危ない目に遭わせたくないもん!」

「わたしも心配だなぁ

あの館のことよ、何か良からぬことをしてきそうだもの」

さっき会ったばかりの俺をこんなにも気遣ってくれている彼女達に、俺は感激した。

彼女達とは、先ほど二時間半程遊んだ仲だ。

一応彼女達も人ならざる者なのだが、本当に凶暴なものはここにいないだろうと確信しそうだ。

「ルーミア、チルノ、大ちゃん、みすちー!

大丈夫だって!

何てったってこの人間さんは死なないんだから!」

何故かリグルが得意げに話した。

きっと皆を安心させるためにこの態度を取ったのだろう。

ちなみに、勝気な子は氷精のチルノ。(お世辞だが)ちょっとおバカさんで自分のことを最強と言っているが、実際妖精という種族の中でも強い方らしい。

これを教えてくれたのが、チルノの次に発言した妖精の大ちゃんだ。本当は大妖精という普遍的な妖精のくくりに入るのだが、チルノ達と仲良しなのであだ名が出来たとのこと。

最後に発言したのはみすちーと呼ばれる少女。本名はミスティア・ローレライといい、夜雀という妖怪だそうだ。おそらくこのメンバーの中でも勤勉な方で、夜になると焼き八つ目鰻の屋台を開いているそうだ。

彼女達はどうやら寺子屋に通っているらしく、そこで仲良くなったそうな。

種族問わず仲良くしている彼女達に感動しつつ、俺はリグルに続く。

「そっ!

俺は死なない人間だから大丈夫!

また皆と遊べるから安心しな?」

チルノ達はそれを聞いて安心したのか、付いていくとか言わなくなった。

そのかわり、

「絶対帰ってこいよ!

帰ってこなかったらゼッコーだからな!」

「わ、わたしも!

ずっと、ずーっと怒るからね!」

「ほんとに生きて帰ってね?

こんな楽しい友達と一日限りだなんて嫌だもん」

「そうだぞ!

またこのめんばーであそびたいもん!

絶対帰ってくるんだー!」

と、むしろ帰りを待ちわびていると言ってくれた。

少しの時間だろうに、と思いながらも俺は感激して涙が出そうになる。

「おう!

それじゃ行ってくるぜ!」

俺は親指を立てながら笑顔で返し、皆に背を向け出発した。

後ろから気を付けるようにといった内容のかけ声が聞こえてきた。

その声援を受け、俺は決意をみなぎらせた。

 

 

 

 

歩くこと数刻

 

「へぇ~、毎日大変だぁ」

「そうなんだよな~

ま、早起きしない俺が悪いんだけどな」

俺はリグルと話しながら歩いていた。

紅魔館まで結構な距離があったので、ふと外の世界について話題を出したら、話が盛り上がったのだ。

「でも、そのしんごう?って何であるの?

道を塞いでるだけじゃん?」

「ううん、ちゃんと人を守ってるんだ

自動車からね」

「じどうしゃ…?」

リグルはすごく不思議そうな顔をする。

「自動車ってのは外の世界の交通手段のひとつでな、そだな~…人力車の何倍も早いんだ」

「そんなのあるの!?

外の世界ってすごい…!」

リグルは触角をぴょこぴょこ動かしながら感動している。

まさか自動車の話だけでこんなに盛り上がるとは思っていなかった。

だがこんなにも楽しそうな姿を見てこちらも思わず口が緩む。

これから危険な場所に出向くというのに、あぁなんと悠長なことだろう。

しかし紅魔館に着くまでこの雰囲気が収まることはなかった。

 

 

 

 

あれこれと話題を出している間に彼らは霧に包まれた巨大な館の入り口に到着した。

まだ門の前に立った訳でもないが、建物からあふれ出る威圧にやられ思わず唾をのむ。

「はわぁー...すごいでかーい......」

いまだにほわほわとした雰囲気を醸しているリグルに、心なしかほっとする。

「うし...行くか」

そう言うと彼は門に向かって歩き始めた。

 

すると今まで霧で見えていなかったが、門の前に誰かがいる。

お迎え係的な人だろうか?だがその割には不審な点がある。

門の前にいた長身の女性はなにやら不思議な行為をしていた。

踊っているような、武道の型にも見える動きを取っていたのだ。

ゆるやかでありながらしっかりと軸の通った動きをしている。

その動きに見とれている彼らに、女性は気づく。

「何か御用でしょうか?」

彼女はその長い紅髪を揺らしながらこちらに向き合う。

彼女も警戒しているのであろうか、空気が一気に張り詰める。

その空気に飲まれ下手な動きをすれば危ないと察した彼は、リグルを後ろに控えさせながら門番を刺激しないようここに来た件を伝える。

「こちらの屋敷に来るようにと、手紙を貰ったのですが」

「手紙?」

彼女は不思議そうに首をかしげる。

差し出してきた場所の者にも知らされていない、どういうことだろうか?

すると彼女は手を出して、こちらに手紙を見せてほしいと頼んだ。

筆跡を見さえすれば通れるだろうと、彼は懐にしまってあった手紙を出そうとする。

 

 

 

カツーーーン……

 

 

 

だが彼が懐に手を入れ出てきたのはナイフであった。

けたたましい金属音を発し、地に落ちる。

「なっ……!」

彼女はそれを見ると直ぐ様構えをとった。

「……入れてたの忘れてた~…………」

彼は呑気にため息をつく。

「これはヤバイんじゃ…?」

「うん、ちょーやば…」

 

スパァン!

 

彼がリグルに対応しようとした瞬間、紅髪の女性が張り手を喰らわせる。

思わぬ一撃に少し身を揺らしながら、彼は女性と向き合い説得を試みる。

「ちょ、ちょっと待ってください!

このナイフは手紙と一緒にあったもので…」

「黙れ!お嬢様を狩ろうとするハンター!

この屋敷には一歩も入れさせない!」

最早完全に敵と見なされたようだ。

 

だが彼は諦めずに弁解を続ける。

「だから待ってくださいって!

この手紙さえ見れば…」

彼は手紙を見せる為に再び懐に手を入れようとしたが、その瞬間物凄い速さでこちらに駆け寄り攻撃を仕掛けようとする彼女の動きを見、取り出せなかった。

上半身を前に傾けながら突きを繰り出してくる。

咄嗟に彼は避けるものの、避けた時には既に二発目の突きを繰り出していた。

胴体にまともにくらいながらも、本能的に彼は少しでも威力を殺すためにバックジャンプをする。

突きの勢いも加わっているせいか、リグルが控えている場所まで後退する。

「もう武器は出させない。

さぁ、今なら見逃してあげます。

早くお帰りに」

彼女は迎撃態勢を取りながら帰るよう促す。

ダメだ、まったく話を聞く気がない。

そう悟ると、彼はメガネを外す。

そして畳んだメガネをリグルに渡す。

「リグル、これ持ってて」

「え?…う、うん」

なぜメガネを外したのか、理由が分からないリグルは疑問に思いながらもそれを受け取る。

そして彼は紅髪の女性に近づいていった。

堂々とこちらに向かってくる男性に対し、彼女はまったく動じずにいる。

そして女性と面向かった彼は一定の距離まで来ると、深いため息をついた。

「少しは話を聞いてくださいよ……

でも、もう聞く気はないんスよね?」

彼の言葉遣いがやや荒くなる。

その変化に気づいた彼女はやや挑発気味に答えを返す。

「えぇ、ありませんよ。

あなたのような嘘つきの話を、どう信じろと?」

"嘘つき"。

その言葉を聞いた瞬間、彼はブルッと肩を震わす。

同時に重苦しい雰囲気がこの場を飲み込む。

余程怒っているのか、彼は下を向きながら身体全体を震わしている。

リグルはその姿を見、唖然とする。

少し前とは全く違う彼の様子に驚きを隠せないのであろう。

(こんなに怒ってるの初めて見た…

でも、怒ってるというより……)

誰も気づかない微妙な差を見つけたのか、リグルは心配そうな眼差しを彼に向けた。

 

一方挑発に乗ったと思った紅髪の彼女はいつ攻撃が来てもいいように、呼吸を整える。

すると次は彼が口を開く。

「覚悟は?」

謎の質問に、紅髪の女性は「は?」と返した。

「殴りあう覚悟はできてるんスか?って聞いてるんですよ…」

彼が重々しい声色で再度問いかける。

いきなり何を聞いているのか、不思議に思いつつ彼女は答える。

「勿論、ありますよ」

その答えを聞くと、彼も構えを取り始める。

どうやら本気で殴りあうようだ。

「名前は?」

またもや訳の分からない質問に、彼女は「え?」と返してしまう。

「あなたの名前ッスよ…」

本当に掴みにくい男だと思いながらも、彼女は返答する。

(ホン) 美鈴(メイリン)と申します。

これから無いとは思いますが、お見知りおきを」

彼女は丁寧に答える。

それに対し彼は彼女に正々堂々と勝負することを宣言する。

「美鈴さん。これから勝負を仕掛けさせていただく。」

そう言い放った瞬間、彼は急に感情を落ち着かせ真剣な表情をする。

対する美鈴も引き締まった顔をし、構えに磨きをかける。

どちらが先に動くか、拮抗状態の中思い出したように美鈴が彼に問いかける。

「そういえば、あなたも名乗っておいては?

相手の名前を聞いておいて自分の名を明かさぬのは無礼だと思うのですが?」

それを聞き、彼は変わらぬ表情で少し考え、名乗る。

「俺は…?????????と言います。」

それだけ聞くと、美鈴は彼に向かっていくのであった。

 

 

 

 

美鈴が彼に攻撃を仕掛けようとしたほぼ同時刻。

 

 

「……初めて聞いた………」

紅魔館の入り口付近の茂みに身を隠しながら、リグルは彼の名を覚えるように復唱するのであった。




中盤らへんからややまとめ方が複雑になっている気が……

さて最後あたりはバトル小説風な終わり方になってしまいました。
というかこれから実際戦います…(タイトル・タグ詐欺ではありません!信じてください!)(^o^;)
この話以降も恋愛小説ではないような展開があるかもしれません(^^;
ですがこの話を、物語を楽しんでくれたらと思っています‼

それではまた次の話で~
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