落とし前戦争で、白ひげ海賊団の残党は壊滅。黒ひげ海賊団により大損害。そんな新聞の見出しが躍る。信じ難い光景だった。そのショックだろうか、目の前は暗転する。
次に目の前に見えたのは白ひげ海賊団がナワバリとする島。いつもは平穏な島だ。しかし、そこにあったのは戦火に包まれる島だった。そんなことは本来白ひげ海賊団の船員たちが許すはずがない。だが、彼らの姿は見当たらず、島は侵略してくる他の海賊に好き放題されていた。
こんなのはこの世の地獄だ。少なくとも彼にはそう思えた。
ハッとして目覚める彼の名前はヴェル。白ひげ海賊団の4番隊隊長である。
今、マリンフォードでは白ひげ海賊団と海軍との頂上戦争の直前なのだが、彼は新世界の白ひげのナワバリのとある島にて防衛を担当している。白ひげ海賊団の隊長では唯一の戦争不参加である。
「全く…、嫌な夢を見た。」
彼はため息をつく。
予定では来週辺りに戦争は始まる。先程の夢はなんだったのか、不安が彼の胸に充満する。落とし前戦争、黒ひげ海賊団。そのワードは引っかかる。
だが、万が一にも白ひげ海賊団が負けることはないだろうと自身に言い聞かせる。今彼には信じることしかできないのだ。
彼が戦争になるという中、隊長ではただ一人防衛を任されたのは、四皇・白ひげのナワバリを彼が留守の間に襲うとしていた同じく四皇のカイドウの存在があったからだ。カイドウはとにかく凶暴で強靭な肉体を持ち、その戦闘能力は恐ろしく高い。また、その部下も残虐性、戦闘能力が極めて高い。
本当はヴェルもマリンフォードへと赴く予定だったが、前任の4番隊隊長・サッチの死後、その代理として異例の出世をしたとはいえまだ彼は20歳。失くすには惜しい存在と思った白ひげによって防衛に回された。
その決定の裏には白ひげは最初からマリンフォードで死ぬつもりだったが故、後継者としてヴェルを確実に残したいという思いもあったのだが。
〜〜〜〜〜
とある海上に浮かぶ船、モビーディック号にて。
「オヤジ、ヴェルのやつを置いてきて良かったのかよい。奴は貴重な戦力になる。今からでも来いと言えば来るだろうよい。」
金髪でパイナップルのような髪型をしている1番隊隊長・マルコは船頭にいた白ひげに尋ねる。彼はヴェルの戦闘能力に期待していたし、頂上戦争にも参加するものだと思っていた。未だにヴェルが防衛に回るのには納得出来ていない。
「グラララララ…、下らねえこと聞きやがる。一度決めたことだ。もう覆したりはしねぇ。」
白ひげはそう言うが、マルコは食い下がる。
「だが今はエースを救うことが最優先…!ヴェルの実力ならば海軍中将でも倒せるよい。」
「オヤジ、考え直してくれ!」
さらに3番隊隊長・ジョズも加わって白ひげの説得に挑む。しかし、
「…、俺はアイツに途轍もないほどの可能性を感じてる。お前たちがヴェルに期待するのもわかる。だがなぁ、だからこそ奴を残したんだ。」
としみじみと言う。そこでマルコとジョズは察する。白ひげが今回の戦いで自身が死ぬことすらも考慮していることを。
「死ぬ気か、オヤジ…。俺は死にに行くのならついて行かねぇよい。」
マルコは白ひげを睨むが、白ひげは、
「グラララ、誰も死ぬとは言ってねぇだろうが、ハナッタレ。いいか、奴にはまだ成長の余地が多くある。それは裏返せば奴には隙が多いってことでもある。俺と言えどもいつ何時も守りきれる訳じゃねぇからな。」
と言って不安を払拭させようとした。だが、
(…、だとしてもヴェルは他の隊長よりも圧倒的に強い…。それを連れてこないって…、やっぱオヤジは死ぬ気だ。)
マルコはそれを聞いてますます不安を募らせるが、もう口に出すのを止めた。彼はここで四の五の言うよりも死ぬ気である白ひげを死なせないことに、全力を注ぐべきと考えたからだ。
数日後、戦争は始まった。海軍本部のマリンフォードには海軍の総勢10万人もの軍勢が勢揃いしている。しかもそれらすべてが選りすぐりの精鋭である。一方、モビーディック号を本隊とする白ひげ海賊団は、中央広場に海中から潜って抜け、中央からの突破を図った。傘下の海賊団たちも続々とそれを外側から追う形となる。
白ひげ海賊団は確実に世界で四指に入る戦力を誇る海賊団で、トップに立つ白ひげは世界最強の呼び声高い実力者だ。部下も普通の海賊団ならば船長になってもおかしくない者がゴロゴロと溢れている。
ただ、海軍の戦力はそれを上回るだろう。三大将という最高戦力の他、中将も数十名おり、さらに政府公認の海賊で海軍に協力する七武海という強力な助っ人もいる。いかに白ひげ海賊団とは言え、海軍の前には及ばないだろうというのが一般的な考え方であった。
「さあ、始めようぜ…!」
白ひげの合図で頂上戦争は開始された。白ひげが目指すは囚われた2番隊隊長・エースを救うこと。エースは強力な味方であり、将来有望な海賊だ。
「怖いねえ、白ひげ海賊団…。」
世界最強の剣士、ミホークの一閃も軽く止めた3番隊隊長・ジョズやその他の白ひげ海賊団船員の活躍を俯瞰して呟いたのは黄猿。最高戦力たる三大将の一人だ。
「こういう時には頭潰すのがいいんだよねぇ。」
黄猿は一緒にいた他の三大将の赤犬にそう言い残すと、光の粒子となって空へと飛ぶ。彼はピカピカの実の光人間だ。
「八尺瓊勾玉。」
空に浮かぶ彼は両手で輪っかを作り、そう唱えると、その輪っかからは眩い無数の光の粒が放出され、それらが一斉に白ひげに向かって飛んでいく。
「おいおい、眩しいじゃねえか。」
白ひげはその光の眩しさに不快そうにして手で光を遮る。そこには余裕があった。
「おい、白ひげの奴もう死んだんじゃねえか?黄猿さんのあの攻撃を防げさなそうだぜ。」
海兵たちはその様子を見てそう笑う。だが、直後、白ひげの後方から一人の男が現れた。
「いきなりキングは取れねぇだろうよい!」
そう言った男の名はマルコ。黄猿が放った光に青い炎を纏って突っ込んで行く。大きな音を立ててマルコの青い炎と黄猿の光はぶつかり、やがてマルコはその光を突っぱねて黄猿へと向かう。
「やはり…、噂通りの能力を持っているのか、"不死鳥"マルコ…!」
海軍の最高戦力である黄猿の攻撃を受けても傷一つ見せず、次は青い炎を纏った鳥となって黄猿に近寄り、バイシクルキックをする。
黄猿はそれを腕で防ぐが、その衝撃に耐えられず吹っ飛んで行く。
その様子には海兵たちもギョッとする。黄猿は吹っ飛んだ先で無傷で立ち上がるが、そもそも大将と互角に戦うこと自体あり得ないことだ。一般的には大物とされる懸賞金1億ベリーの海賊でも、瞬殺してしまうような戦闘能力を有するからだ。
「本当に滅ぼされるのは我々の方かもしれん…。」
海軍の戦闘指揮をとる元帥・センゴクはしみじみと思う。海軍大将を相手できる者は少ない。しかし、その者ですら白ひげの部下なのだ。
そこに白ひげの力が加われば、これだけ海軍の戦力を並べても勝てるかはわからなかった。だが、ここからさらに突拍子もない、海軍に不利なことが起きてしまうのだった…。
「「わー!落ちるー!!!」」
誰かが大声で叫んでいる。それが聞こえた海兵たちは思わず周りを見回す。10万人以上が集まっているこの戦場にて何人かが叫ぶ声がこんなにも響き渡るのは異常だった。
そして、その音の先を見つけた者が叫んだ。
「う、上に何かあるぞ…!!!」
落ちてきたのは軍艦と何十人、あるいは数百人程度の者たちだった。中にはモンキー・D・ルフィや元七武海のサー・クロコダイル、ジンベエなどの猛者たちもいる。
これには白ひげは苦笑いし、大監獄・インペルダウンが襲われているとの報告を受けていたセンゴクは今目の前で起こっていることとそれが繋がり、妙に納得すらしていた。が、同時に眉間に皺が寄る。
「エース、助けに来たぞ!!」
落ちてきて何とか着地したルフィは叫ぶ。彼は捕まっているエースの兄弟。白ひげとエースを救いたいという思いは一致していた。
「グララララ…、ここは共闘と行こうぜ。」
白ひげはルフィに言う。こうして白ひげ海賊団+インペルダウン脱獄囚の激しい戦いが始まった。
激闘を経て、ルフィはエースのいる処刑台に到達。エースを開放し、白ひげ海賊団は戦略目標を達成した。
「お前はいつも無茶しやがる…!」
ルフィに開放されたエースは、嬉しそうにそう言い、メラメラの実の炎人間である自身の力を発揮し、敵をなぎ倒す。海軍がここまでやられたのは前代未聞のことであり、センゴクも頭を抱える。
今もエースは大将・青キジの攻撃を退け、どんどん退却しているのだ。
そして、白ひげもまたエースの開放とともに、敵を食い止めて死ぬことを船員たちに知らせる。
「俺は時代の残党だ。新時代に俺の乗り込む船はねぇ。」
それを聞いた船員たちは動揺する。もちろん、マルコも。しかし、彼は彼を危険視した海軍将校によって、悪魔の実の能力を封じる海楼石の手錠をつけられてしまった。白ひげが吐血した際に、余所見をしてしまったその一瞬がマルコの運命を変えたのだ。
マルコは唇を噛む。自分が本来の力を持つならば白ひげを助けに行きたい。だが、それは今は叶わない。今の彼の力は精々海軍の軍曹レベルだろう。足手まといだ。
「くそ…、逃げるしかねぇのかよい…。」
中々逃げる覚悟が出来ないマルコの遠くをエースたちが走って逃げていくのが見える。それをぼんやり見ていたマルコはそこに赤犬が後ろから現れ、エースたちに何かを話しかけるのが見えた。
「あ、アイツら危ねえ…!おい、この錠はまだ何とかならねえのかよい!」
赤犬の強さを知るマルコは危機感を感じて自身の手錠を外そうとする部下に当たり散らす。そして次の瞬間、とんでもない光景を目にする。
「オヤジをバカにすんじゃねぇ…!この時代の名は白ひげだぁぁ!!」
と叫びながらエースが赤犬に殴りかかったのだ。炎人間のエースに対して赤犬は火をも焼き尽くす高温を持つマグマ人間。赤犬がそれに拳で応じると、エースは跳ね返され、その拳は焼け焦げる。
さらに大ダメージを負ったエースを心配するルフィに、赤犬は拳を振り上げて襲いかかる。戦場にいた誰もがルフィの死を予感した。
が、実際にその攻撃を受けたのは身を呈してルフィを庇ったエースだった。赤犬の拳はエースの胸を貫き、エースの口からは血が溢れる。
こうして白ひげ海賊団2番隊隊長・エースは討ち死にした。
これに激怒したのは他の誰でもない白ひげだった。怒りの表情を浮かべて赤犬に向かっていく。
ようやく錠から開放されたマルコは、エースが命を賭けて助けた弟のルフィを全力で守ることを誓い、赤犬の攻撃を受け止める。
「そいつが死んだら…、白ひげ海賊団の恥と思え!!」
マルコはそう叫んで仲間にルフィとともに撤退するように促した。
そこへ激怒した白ひげも現れ、赤犬を殺しにかかる。年老いたとは言え世界最強の男の力は伊達ではなく、世界政府の最高戦力たる赤犬を一方的に蹂躙していく。一滴の血も流さずに戦ってきた赤犬も、ここに来て大量の流血を余儀なくされる。赤犬も機会を見て白ひげの顔面を直撃する反撃を繰り出すのだが、顔の一部が吹き飛ぼうが白ひげは攻撃を止めない。
最終的に白ひげは赤犬を吹き飛ばし、白ひげの能力によって発生した地割れに赤犬は吸い込まれていった。
「流石だぜ、オヤジ…。なのに俺はエースを守れなかった。」
マルコはそれを見て辛さを覚える。だが、本当に辛いのはここからだった。
白ひげ海賊団の撤退も佳境を迎えると、孤立奮戦していた白ひげの元にとある男が現れた。
「よぉオヤジ!死に目に会えて嬉しいぜぇ。」
その男は満身創痍の白ひげに馴れ馴れしく話しかける。
「ティーチ…、お前だけは息子とは呼べねぇな。」
白ひげはそう答えた。彼の名はマーシャル・D・ティーチ、またの名を黒ひげという。
元4番隊隊長・サッチを殺してヤミヤミの実を奪った張本人であり、エースに追われていた。そしてそのエースを返り討ちにして政府に突き出した今回の戦争の引き金になった人物でもある。
白ひげは黒ひげの姿を確認すると、彼に詰め寄って攻撃を仕掛ける。ヤミヤミの実の能力で白ひげのグラグラの実の地震の力を纏ったパンチを無効化する。が、白ひげも相手の悪魔の実の能力に関係なく攻撃できる覇気の使い手。黒ひげもその力強い覇気を纏った薙刀による一撃を食らい、その痛みで転げ回る。
「ハァ、ハァ…、過信、軽率、お前の弱点だ。」
息が上がりながら白ひげは言う。黒ひげはそれを聞いて怯えたような表情をし、
「ひひぃ、野郎ども、やっちまえ!」
と10人ほどの仲間たちに呼びかける。その合図で彼らは一斉に持っていた銃を浴びせた。
「グッ…。」
白ひげはうめき声をあげるが、もう動けない。戦争の序盤でスクアードに体を貫かれ、病状が悪化して幾度も吐血し、黄猿のビームに体を貫かれ、赤犬に顔をえぐられ、その他にも幾度も銃や剣などでダメージを受けた。普通の人間だったらすでに何十回と致死するようなダメージは確実に白ひげを蝕んだのだ。
動けない白ひげを蜂の巣にした黒ひげ海賊団は銃の弾切れによってそれを中断して白ひげを注視する。数百発の銃弾が彼に撃ち込まれたはずだ。生きてる方がどうかしている。
「ゼハハハ…、流石にもう死んだよな。」
黒ひげは呟くが、そこで白ひげは最後の力を振り絞る。
「ハァ…、おめえじゃねえんだ、ティーチ。」
「なッ!?まだ生きてやがったのか…!」
「ロジャーが待ってる男は少なくともティーチ、お前じゃねえんだ。いいか、興味はねえがいつかあの宝を誰かが見つけ出した時、世界はひっくり返るのさ。誰かが見つけ出す、その時は必ず来る…。」
「な、何言ってやがる…!」
「…ワンピースは、実在する!!!」
白ひげのその言葉に戦場はざわつく。元帥・センゴクも動揺を隠せない。まさにこの発言は世界を震撼させる発言であった。さらに白ひげはこれに付け加える。
「黒ひげ…、お前はすぐに敗北することになる。俺の息子たちにな。白ひげ海賊団はこれより4番隊隊長・ヴェルを船長とする!後は頼んだぞ…!」
そう言って白ひげは静かに息を引き取った。
「オヤジ…、そんな…。」
白ひげ海賊団の船員たちは悲しみに暮れる。マルコも例外ではないが、それよりも何も出来なかった自分に怒りがこみ上げた。
だが、白ひげ海賊団の船員たちは感傷に浸ってる場合ではない状況に直面していた。赤犬はまた戦場に復帰して殺戮を始め、黄猿らの海軍将校らも続々と白ひげ海賊団を追撃してきたのだ。
これにはマルコや5番隊隊長・ビスタやクロコダイル、ジンベエなどの実力者が前線に立って対応するが、海軍大将を抑え込む力は持っていても退けるだけの力は彼らにはない。難しい局面となっていた。最早戦意のない船員たちまで無駄に屍を重ねるような状況となっていた。
だが、そこで
「そこまでだー!」
という声が響く。徹底的か攻撃を続けていた赤犬は驚いた表情で目を見開く。彼の目の前には手を大きく広げた若い海兵がいた。
「なんじゃ…?」
「もう止めましょうよ、こんな戦い…!命が、もったいない!!!」
その海兵はボロボロと涙を零しながら必死の表情で赤犬に訴える。だが、徹底的な正義をモットーにする赤犬はその言葉を聞き入れず、
「数秒無駄にした。正しくもない海兵はいらん!」
と拳をマグマに変化させて拳を繰り出した。
誰もが死んだと思ったその海兵だったが、海兵は生きていた。赤犬の拳は剣で受け止められている。
「よくやった若い海兵。お前が生み出した勇気ある数秒はたった今、世界の運命を大きく変えた。」
そこへ現れたのは四皇の一人、赤髪のシャンクスだった。赤犬は悔しそうに拳を押し付けるが頑なにシャンクスはその海兵を守り続ける。
また、それに気を取られた白ひげ海賊団たちを狙った黄猿は、
「今が狙い目だよねぇ。」
と指さして光を溜め、ビームを撃とうとするが、そこへとある人物が後ろから声をかける。
「その手を上にあげろ、黄猿…!」
と手に持った剣の剣先を黄猿の首に当てて言う。チラッと後ろを見た黄猿は、ニヤリと笑って手を上げる。
「お〜、これは4番隊隊長…、いや白ひげ海賊団船長・ヴェル…。」
「…。」
ヴェルは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべて黄猿を睨む。まさかのヴェルの登場にマルコたちも驚く。
「ヴェル…!よく来たよい!」
「あぁ、マルコさん。無事で何よりです。」
ヴェルは黄猿を牽制しながらマルコに返事をする。一方、シャンクスは白ひげ海賊団及び海軍、黒ひげ海賊団らに向けて宣言した。
「この場は俺の顔を立ててもらおう。まだ暴れ足りない奴がいるならば、来い!俺たちが相手してやる。」
この宣言にはその場にいた全員が凍りつく。戦意剥き出しだった黒ひげもシャンクスに手を出そうとはしない。
こうして白ひげも死に、エースも死んだ頂上戦争が終わった。両軍には多数の犠牲者、負傷者が出た。
「ヴェル…、悪いなオヤジもエースも守れなかった…。」
マルコはヴェルに謝る。戦場で初めて見た白ひげの死をヴェルは心から悼んだ。そして、友であるエースの死も簡単に受け入れられることではなかった。
「オヤジはお前に次期船長を託した。これはこの戦場の誰もが聞いたことだ。」
「オヤジが俺に船長を?」
「あぁ、引き受けてくれるよな?」
マルコの言葉に驚きつつも、ヴェルは、
「いや、マルコさんがやるべきだ。俺は戦場にすら出してもらえなかった未熟者だし、何よりマルコさんの方が実力も人望も上だ。」
と返す。だが、それにマルコは強く反論した。
「おいヴェルいいか、オヤジはお前に託したんだよい。もちろん、その決定を受け入れられない者もいるかもしれねぇよい…!
だが、お前は未熟者が故に戦場に出られなかったんじゃない、オヤジが自分が死んだとしても遺してぇと思ったから戦場に来させなかったんだ。オヤジの遺志を汲み取ってやれよい!!」
これにはヴェルも感じ入った。白ひげの後を継ぐというのは、本当に険しく重く困難なことだ。それに耐えてその椅子に座るのは誰にでも出来ることではない。
だが、白ひげはそれを自分になら出来るだろうと思って託したということが何よりヴェルは嬉しかった。
「わかった…、マルコさん!俺やってみるよ。」
その言葉にビスタやその他の隊長たちも頷く。こうして、白ひげ海賊団は白ひげを失いつつも新たな希望を胸に再出発していくのだった。
「おい、ところでヴェル、お前どういう経緯でここまで来たんだ?」
白ひげやエース、その他の仲間の遺体の回収を終えた後、ビスタとマルコはヴェルに話しかけた。
「あー、それはですね。」
そうしてヴェルはここに至るまでの経緯を話し始めた。
改めまして、信秀です。
この小説では頂上戦争後の白ひげ海賊団を軸にストーリーを展開します。内政系や無双系をほぼ出さず、本来のONE PIECEに近い作風にしていこうと思ってます。
これからよろしくお願いします。