鬼滅の刃の世界に転生したけど味方に鬼がいませんでした   作:せとり

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13.集結

 刀鍛冶の里にほど近い場所にある、案内役の隠の休憩所。

 その山小屋に、しのぶと義勇がいた。

 二人の間には、重苦しい沈痛な雰囲気が流れていた。

 

 最初は二人とも、刀鍛冶の里に上弦の伍が襲来したとの知らせを受けて、刀鍛冶の里に向かっていた。

 しかし続報によって状況が変化する。

 里には3体の上弦の鬼が確認され、行冥と蜜璃は死亡した。

 そしてお館様から、この場所で集まり、待機するように指示が出たのだった。

 しのぶと義勇はこの山小屋に一足先に到着し、柱が揃うのを待っていた。

 

 誰かが近づいてくる気配に、二人は俯きがちだった顔を上げ、扉の方を見た。

 乱暴に扉を開けて、息を切らした白髪の古傷だらけの男、実弥が小屋に入ってきた。

 

「ちっ」

 

 開口一番、実弥は義勇の顔を見て、嫌そうに舌打ちした。

 

「状況は、どうなってやがる」

「まあ、とりあえず掛けてください。冨岡さんは水とお茶を入れてきてもらえますか」

「……わかった」

 

 しのぶに言われ、義勇は奥の方へと消えていく。

 義勇を体よく追い出し、しのぶは状況の説明を始める。

 

「すでに報せを受けたと思いますが、まず上弦の壱、弐、伍が刀鍛冶の里を襲い、即座に駆け付けた悲鳴嶼さん、蜜璃さんの両名が亡くなりました」

「……ああ」

「その戦闘での被害は鬼側にはありません。鬼たちは刀鍛冶の里に留まり、生き残りの人々をいたぶりながら、こちらを挑発しているそうです」

「生き残りがいるのかよ? だったらどうして助けに向かわねえ」

 

 実弥から発せられた怒りを受けて、しのぶは重々しく溜息をついた。

 

「戦力の逐次投入は危険というお館様の判断です。これほどの規模の襲撃は例がなく、恐らくは無惨の肝いりの作戦です。まだ伏せられているだけで、上弦の鬼が勢ぞろいしている事もありえます」

「だから、里の人間は見捨てるっていうのかよ?」

「最低5人の柱が集まるか、明日藍さんがやってくるまでは待機とのことです」

「ちっ」

 

 どうやら長丁場になりそうだと思い、実弥は乱暴に椅子に腰かけた。

 

「柱が5人ってのはどういう計算だ?」

「上弦の壱とは、悲鳴嶼さんが1対1でやりあいましたが、惜しくも敗れたそうです。そいつは別格だとしても、上弦の伍と戦っていた蜜璃さんは、上弦の弐が加勢してくるまでは優勢に戦っていたそうです。上限の壱に2人、弐と伍に1人ずつ、予備選力が1人という感じでしょうか」

「その5人はいつになったら集まるんだよ」

 

 そう問われて、しのぶは遠い目をして窓の外を見た。

 

「大体の柱は所在が割れていますが、5人が集まる頃には夜が明けそうです……」

「おいおいおい、夜が明けたら鬼共も帰っちまうだろうが。そうなりゃ生き残りも助からねぇ」

「ええ、夜明けまでに間に合うかどうかは、明日藍さん次第なところがあります」

「その鳥海はどこで何してやがる。足の速いあいつがまだ来てねえなんて、実家にでも帰ってやがんのか」

「遠方へ任務に出ていたらしいですが、詳しい場所までは……」

 

 義勇がお盆に水の入った湯飲みと急須を乗せて、奥から出てきた。

 無言で水を実弥の前に置く。

 

「……ありがとよ」

 

 実弥はぶっきらぼうに礼をいい、走ってきたことで喉が渇いていたこともあり、一気に水を飲み干す。

 義勇は空になった湯飲みに、急須から湯気の立つお茶を注いだ。そして自分の席へと座った。

 

 その後、しのぶから分かった範囲での、血鬼術や戦い方などの詳細な鬼の情報を聞かされる。

 

 

 

「おせぇ……」

 

 情報共有が終わって話が途切れ、無言で待っていたところに、貧乏揺すりをした実弥が苛立ちながら言った。

 

「まだあなたが来てから30分も経っていませんよ、不死川さん」

 

 ちらりと時計を見て、冷静に指摘するしのぶ。

 今まで黙り続けていた義勇が、唐突に口を開く。

 

「苛立ったところで状況は変わらない」

「あん? 何が言いたい、冨岡てめぇ」

「……」

 

 そして義勇は再び沈黙した。実弥の苛立ちは増した。

 そんな険悪な雰囲気の中、小屋の開け放たれた窓に、一羽の鴉が舞い降りた。

 伝令だ。三人は鴉の言葉に耳を傾ける。

 

「鳥海明日藍、刀鍛冶ノ里ニ突入! 上弦ノ鬼達ト交戦! 救援ニ迎エー!」

 

 鴉が言い終わる前に、風のような速さで3人は家を出ていた。

 森を走りながら、実弥が苛立ちながら口を開いた。

 

「あいつは直行すんのかよ! 例え全ての上弦が相手だとしても1人で十分ってか!」

「さすがに、そこまで自信家ではないと思いますが……」

「だが、俺達柱が全員でかかっても手も足も出ない強さだ」

「だから俺達は必要ないってか!」

 

 実弥の怒鳴り声に、義勇が口を開きかける。二人が言い争いでヒートアップしそうなところを、しのぶが口を挟んだ。

 

「彼女は足が速いですから。もしかしたら鴉の続報が届かず、最初の指令に従って行動しているのかもしれません」

「……だとしたら、少しまずいかもな」

「ええ、初見の上弦の鬼を複数相手取れば、流石の明日藍さんでも負けかねません」

「急ぐぞ!」

 

 一行のペースが上がった。

 体力温存よりも、到着の速度を優先した走りだった。

 

 

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