鬼滅の刃の世界に転生したけど味方に鬼がいませんでした   作:せとり

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8.パワハラ会議と無限列車

 琵琶の音と共に、上弦の鬼たちが召喚される。

 一人欠けた上弦の鬼たちが、無限城に集められていた。

 

 童磨が猗窩座に絡んだりと上弦たちが顔を合わせる中、最後に女装姿の無惨が現れる。

 

「!!?」

 

 その姿に驚く上弦たち。

 しかしつい先日行われた下弦の鬼の解体の時と違い、すぐさま跪いたのは年季の深さ故だろう。

 

「妓夫太郎が死んだ。上弦の月が欠けた」

 

 女装姿の無惨が不機嫌そうに言う。

 

「誠に御座いますか!」

 

 場にそぐわぬ軽い調子で、童磨がニコニコと叫んだ。

 

「それは申し訳ありませぬ! 妓夫太郎は俺が紹介した者故……どのようにお詫び致しましょう。目玉をほじくり出しましょうか。それとも――」

「黙れ」

 

 怒気を浮かべた無惨が人の胴体よりも太い触手を生やし、童磨を叩き潰した。

 

「近頃の柱はどうなっている? 追い詰めれば痣を浮かべ、刀を赫くする者ばかり」

 

 鬼殺隊の柱のレベルが、近年急速に上がっていた。

 柱と遭遇した上弦の鬼が追い詰めると、戦国時代の柱たちのように痣を浮かべて、赫い刀を使い始めるのだ。

 相手をした上弦の鬼があわや倒されそうな場面もあり、ここ数年の無惨は上弦たちを不甲斐なく思い、苛立っていた。

 

「それに比べて貴様らはどうだ? 100年前から何も変わらない。産屋敷一族を葬れない。青い彼岸花を見つけられない。挙句の果てに柱にすら負けそうになっている。貴様らは一体、これまで何をしてきた?」

「ヒイイッ、どうかお許しくださいませ!」

 

 青筋を浮かべて怒る無惨を前に、上弦たちは縮こまることしかできなかった。

 

「妓夫太郎は敵の姿を見ることなく、一瞬で殺された。またこの殺され方だ。ここ最近、同じ殺され方をした鬼が増えている。柱の変化も同時期だ。二つの現象に関わっている鬼狩りがいる」

 

 無惨は冷ややかな目で上弦たちを睥睨した。

 

「そいつを見つけ出し、殺せ」

 

 何の情報もないのにどうやって見つけるんだろう。

 そう思った誰かがいたのだろう、無惨は鋭い目をその思考をした者に向けた。

 

「お前は考える頭もないのか? 上弦を殺す鬼狩りが柱でないはずがないだろう? 簡単なことだ。柱を探し、手当たり次第に殺せばいい。わかったな?」

 

 言いたいことだけ言って、無惨は琵琶の音と共に消えていった。

 

「ヒイイッ、承知いたしました……!」

 

 消えた無惨に対して畏まる半天狗。

 引き締まった空気を壊すように、いつもの調子の童磨が口を開いた。

 

「いやぁ、大変だね! あれほど怒った無惨様は初めて見る!」

「仕方ない…事だろう。我らの…不甲斐なさが…原因だ……」

「柱の成長には驚きだね!俺もちょっと前に女の子の柱と戦ったんだけど、いやぁ強かったなぁ。黒死牟殿みたいな痣を浮かべて刀を赫くしてさ! それで斬られると再生が遅くなるんだもの! あれには驚いたなぁ。結局食べ損ねちゃったし」

「赫い刀で斬られると酷く痛むのだ。ヒイイッ、恐ろしい恐ろしい!」

「私は危うく殺されるところでしたよ……」

 

 過去を思い出して震える半天狗と玉壺。

 黙りこくる猗窩座に対し、笑顔の童磨が話しかける。

 

「猗窩座殿はどうだい? 強くなった柱と戦ったかな?」

「……」

 

 猗窩座は答えなかった。

 それに気分を害した風もなく、童磨は矛先を転じた。

 

「黒死牟殿はどうだい?」

「……壮年の柱と…戦った」

「へえ! どうだったんだい?」

「……」

「赫い刀はどう思う? 黒死牟殿は同じことができないのかい?」

「……」

 

 黒死牟はそれ以上話すことなく、鳴女を見た。

 

「そろそろ…送れ…」

「畏まりました」

「えー、もう行ってしまうのかい?」

 

 童磨の問いかけに応えず、琵琶の音が鳴り、黒死牟の姿が消えた。

 

「わ、儂も……」

「ヒョヒョっ」

「……」

 

 それに他のものも続き、順々に送り帰されていった。

 

「おーい、琵琶の君。もしよかったらこの後俺と――」

「お断りします」

 

 べべん。

 最後には鳴女のみが残り、無限城には静寂が訪れた。

 

 

 

 

 夜の駅に来て、機関車番号が無限の客車に乗り込む。

 俗にいう無限列車だ。

 そこに潜むと思われる鬼を倒しに来た。

 下弦の壱の……なんだったか。とにかく催眠系の血鬼術を使う鬼だったはずだ。

 

 列車での被害はまだ報告されていないが、待っていればそのうち来るだろう。

 鬼殺隊士が張り込んでいるのをばれないように、隊服は脱いで一般人に変装して、木造のボックス席に座っていた。

 

 発車までの時間を、窓から外を眺めてぼうっと過ごしていると、よくないものが列車内に入り込んだのを感じた。

 視線を向けて、意識を集中する。

 間の車両や人を透過して、見つけた。

 黒髪の中性的な容姿の、鬼にしては珍しい洋装の鬼だ。

 そいつを見て、原作の記憶が呼び起こされる。あれが下弦の壱で間違いない。

 

 席を立ち、懐に隠し持つ短刀に手をかけながら、車両を移動する。

 下弦の壱もまた車両を移動していた。機関室に向かっているようだ。

 速足で追いついて、肉眼で捕捉する。

 背後からの強襲。

 気配を一切感じさせない神速の居合斬りに、下弦の壱は背後を振り向くことすらなく首を斬られた。

 確実に殺した手応えがあった。

 騒ぎになる前にそのままの勢いで車外に逃走。遠目から鬼の消滅を見届けて、帰路についた。

 

 これで、下弦の壱の被害は未然に防ぐことができた。

 原作通りにすれば上弦の参ともエンカウントできたが、別に猗窩座は下弦の壱と連携していたわけではなかったはずだ。

 別件でたまたま近くにいただけだとメモ帳には書いてあった。

 下弦の壱を倒したことで、猗窩座の行動が変化することはないだろう。

 原作の無限列車の時期に、この線路の周辺に猗窩座がいる可能性は高く、それを捕捉して倒すのが次の課題になる。

 

 時期は、機能回復訓練中の炭治郎達が任務に復帰する頃だ。

 おおよその場所も時期もわかっている。

 そんな有利な状況で見つけ出すことが出来なければ、全国のどこにいるかもわからない無惨を探し出すなど夢物語だ。

 絶対に見つけ出して、必ず倒す。

 

 私はそう意気込んだ。

 

 

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