「いやー予想外にあっさり集まったッス」
「日本語を話せるからでしょうか? 皆さん快く教えてくれましたからね」
フリードの言う通りに情報収集していたリントとアーシアは予想より楽に情報が集まった事に困惑していた。
「いやまあ、内容聞いたら納得ッスけど……」
「ええ……普段の行いって大事なんだと改めて実感しました」
二人が聞いた兵藤一誠の情報はフリードが聞けば「何も……変わっていない」とぼやいたことだろう。結論として一誠は変態三人組と言う覗きの常習犯。リントとアーシアが「駒王学園に入学予定の生徒なんですけど学園について教えてもらっていいですか?」と尋ねたら割とあっさり(男子生徒が)話してくれたのだ。聞かれた生徒は美少女であるリントとアーシアが一誠達の被害に遭ってはならないと正義感を燃やし、変態三人組と言う脅威が存在することを丁寧にしっかり教えてくれたのだ。近くにいた生徒達も便乗して話してくれたので情報はあっさり集まった。
「ここまで色欲に正直ですと嫌われますよね……」
「むしろ警察沙汰になってないのが不思議なんスけど……」
一誠の情報を含む変態三人組の情報を二人は呆れと軽蔑の目で見ていた。女性からすれば嫌悪の対象でしかないのだろう。
「フリードさんがあまり話したがらなかったのも納得ですね……」
「こんな男に関わりたくはないッスからね。でも正直、事前に言ってほしかったッス」
フリードへの文句を口にしながらリントは「後で一回殴る」と心に決めた。
「とりあえず帰りましょう」
「そうッスね。考えるのは兄貴に任せるってことで」
そう言って二人は帰って行った。
数日後。
「ふふふ」
「レイナーレ様? なんで笑っているんですか?」
フリードはリントとアーシアの集めた情報をレイナーレに報告していた。報告を聞いたレイナーレは邪悪な笑みを浮かべる。
「良い事を思いついただけよ」
「良い事?」
レイナーレの思いついた良い事、それは一誠に対して嘘の告白をするというもの。好きだと嘘をつき死ぬ直前に絶望させる悪趣味でしかない行い。
「レイナーレ様、個人的な意見ですがそれは止めた方がよろしいかと」
原作通りではあるがフリードは前世の頃から気になっていた事を指摘する機会だと思いレイナーレに止めるように進言する。
「……どういう事かしら?」
水を差されたからかレイナーレは不機嫌な態度でフリードを一瞥する。
「その方法は確実に悪魔に邪魔されると思います」
「根拠は?」
「兵藤一誠の扱いです」
これから話すことがきっかけで原作から剥離することになるのをフリードは予感しながらも話を続ける。
「兵藤一誠は学園内外含めて覗きの常習犯であることが知れ渡っています」
「そうね。下等な人間の中でも更に下の下のゴミね」
「そんな男が未だに平然と学校生活を送れているのは可笑しいと思いませんか? いくら堕天使のあなたから見たら下等な人間でも犯罪者予備軍を放置するなどありえません」
「それは……そうね」
フリードの言い分にレイナーレは思わず納得の声を出した。
「この不自然な状態に違和感を感じない者などいませんし、ましてや女性は明確な被害を受けています。それこそ訴えないとしても転校などして彼らの被害に遭わないように対処しようとするはずです。何より人間にはインターネットを利用して情報を拡散するという方法もあります。それらを実行していれば警察も動くはずです。しかし、そういった動きも目立たない」
「つまり?」
「どう考えてもこの地の管理者である悪魔達が関わっているかと」
「…………」
フリードの言葉にレイナーレは黙って考え込む。フリードの意見を無視できないと判断したのだ。
「関わっているとして目的は?」
「兵藤一誠は堕天使から注目を集めるほど強い反応を出す神器を持っています。同じように悪魔も目を付けていると考えるべきです」
「…………」
黙って続きを促すレイナーレを見てフリードは更に語っていく。
「悪魔が神器所有者に目を付ける理由の多くは自らの眷属、『悪魔の駒』を使うに足る人物かどうかです。強い反応が出ているという事はそれだけ強力な神器を持っているという事。眷属にするために陰で糸を引いているのだと思います」
「具体的には?」
「本人の人間性を調査した限り兵藤一誠は覗きをしながらも『自分は悪い事をしていない。男だから仕方ない事だ』と開き直っている様です。そんな人間が裁かれずに好き放題し続ければ――」
「人間社会での居場所を失い、悪魔に転生するのを躊躇わなくなるという事?」
「恐らくは」
それがフリードの予想。原作にて一誠が好き勝手出来た理由を自分なりに考えた内容がこれだ。
「現時点でもほとんど居場所が無いと言えるのに人間のままなのは、リアス・グレモリーとソーナ・シトリーの二人の貴族悪魔がいるので、恐らくどっちが自身の眷属にするかと言う取り合いをしているからではないかと」
「なるほど……その状況で私達が何かすれば確実に二人のどちらかが邪魔してくると」
「可能性は高いかと」
と、ここまで語ったフリードだが正直、そこまで深い理由は無い可能性の方が高いと思っている。決して今言った内容は適当な嘘と言う訳ではなく、彼なりに今のイッセーの状況を考察したものには違いない。ただ彼の知識ではそう言った描写が無かったので確証と言えるものがあるわけではない。それでも今フリードがレイナーレの計画に口を出しているのは自身の価値を高めて始末されない様にするためだ。
「……だとしたら下手に時間を掛けるのは不味いわね」
「そうですね。やるとしたら出来るだけ早く対処する必要がありますし」
「何か案が有るのかしら?」
そこで少しだけフリードは眉間を抑えながら「いや、さすがに……」と小声でブツブツと悩み込む。数秒経ち意を決して一誠の神器を回収する手段を口にした。
「胸の大きい美女に「胸を触らしてあげる」とでも言われればホイホイと付いていくんじゃないですかねぇ……」
本気で上手くいきそうなのが何となく嫌だった。