幼馴染が無双するそうなので便乗したいと思います。   作:馬刺し

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本格的な戦闘描写は初めてなので、温かい目で見て頂けると幸いです。


5話 幼馴染と死闘。

 氷龍の見た目を簡単に説明するとして、一番似ているのは、モン○ンの○オレウス・希少種だろうか?

 銀色の翼を、大きく羽ばたかせるだけで、状態が大きく崩れる。  

 それでも、ギリギリでスタン状態に陥らないのは、デバフ無効のバフによる恩恵がデカかった。

 

 

「まず……一発持ってけ!」

 

 初手から、左手に装備していた初心者の短剣をぶっ放していく。

 巫女バフ盛り盛りである今、俺のステータスは過去最高の状態である。

 

 心臓部の方が、ダメージは入るのかもしれないが、圧倒的な火力を持つであろう氷龍に対して、優先的に行うべき行動は弱体化。

 よって、目や脳などの重要器官が目一杯詰まった頭部に目標を定めた。

 

 飛来した刃は、クリーンヒットしたように見えたが、氷龍のHPは0.5%減ったかどうか、というレベルである。

 あと200回か……嗚呼、心折れそう。

 いや、がんばるけどね?

 【一極集中】を込みで考えれば、もう少し大変では楽になるかもしれないが、何はともあれ、ここから火力を上げていかなければならない。

 

「【超速交換】!」

 

 先程俺に投げられ、氷龍の頭部に命中するも、そのまま落下していった短剣が、空中で姿を消した。

 それと同時に、先ほどとは違う短剣が、ストレージから取り出される。

 一秒かからずに、重みが左手に戻ってきたことに対して、内心驚きながらも、嬉しい誤算と判断する。

 これで、ストレージ操作を行う隙がなくなる。

 

 二発目を撃ち出そうと、一歩右足を踏み込もうとした瞬間……氷龍の動きが、ほんの一瞬だけ止まったような気がした。

 下手すれば、ラグか何かかと勘違いするレベルであり、戦闘中でなければ気づきもしなさそうな……そんな気がしたレベルの違和感。

 それでも、全速力で体を横に転がらせたのは、勘以外の何物でもない。

 

 轟音

 

 俺が先ほどまで立っていた地面から、刺さったら痛そうな氷が、突き出ており、慌てて距離を取ったにもかかわらず、膝をついてしまいそうになる程、振動が伝わってきた。

 

「……あれ、食らったら即死だな。めっちゃ、痛そう」

 

 起き上がるついでに、手首を高速で動かして、短剣を放った。

 手首の力だけで投げられた、その短剣はコツリ、と本当に当たっただけで、氷龍の頭部に弾き返されてしまう。

 だが……今はそれで構わない。

 

 一発目を当てて、わかった。

 勝負になるのは……【一極集中】スキルが、完全発動してからだと言うことを。

 

「【超速交換】!」 

 

 叫んだと同時に、氷龍が飛びかかりを仕掛けてくる。  

 すれ違いざまに、左手に持った短剣を扱い、勢いを流すようにして受け流すことで、被ダメを防いだ。

 別に、VRゲームでの前衛が、未経験というわけではないため、防御はメイプルよりも巧いのである。

 

 小回りが効く、という点だけは相手に優っている為……すれ違い、互いに背を向けた状態からの接近戦を制したのは、俺の方だった。

 すれ違ったのを確認した瞬間、左足の膝をつき、右足は慣性に逆らう方向……つまり、今氷龍がいる後方へと踏み出す。

 

 VRならではの、イメージできる動きは実際にやることが出来る。

 その特徴を活かした俺なりの最速の動きで、巨大な氷龍の背中を駆け上がり……持っていた短剣を、その背中に突き立てた。

 

 瞬間……至近距離で放たれた咆哮という名の、音爆弾が俺を襲った。

 ダメージは入っていないが、聴覚がおかしくなっている。

 

 窮地に追い込まれた、そう判断した瞬間、一気に集中力を高める。

 

 状況……把握

 敵行動予測……首だけを後方へ振り向かせる可能性、7割!

 

 予想が外れれば、相手の目の前に隙だらけの背中を晒すことになる。

 それを覚悟の上で、背中を足場に体を宙に踊らせた。

 今はまだ、その先は、何も存在しない雪原であったのだが……氷龍は、予測通りに後ろへと首を向け、背中に居る外敵を排除しようとしてきた。

 

 そう、俺は、賭けに勝ったのである。

 

 新しく出来た氷龍の頭(足場)を使い、氷龍の攻撃範囲から離脱するため、AGI全開で飛び上がる。  

 

 

『スキル【跳躍】を取得しました』

 

「今かよ!?」

 

 どんな時でも、ツッコミを入れる自分を褒めてやりたくなった瞬間だった。

 

 ツッコミ云々は置いておいて、左手に握られている短剣に意識を持っていき、感覚で氷龍との距離が5メートル以上だと判断した瞬間、三発目を撃ち出した。

 多少、無茶な体勢からの攻撃だったが、そこは流石【投剣Ⅴ】と言ったところか……しっかりと頭部に命中する、

 

 集中を元のレベルに落とした。

 ーーーっ、一気に頭が重くなった気がするが、多少無理をしなければ、勝てない相手であることは間違いない。

 疲れなんて、忘れろ。

 

 サリーのように、常に未来予知クラスの回避が出来るほど、俺に集中力はない。

 出来るとしても、精度はサリーより低く……継続時間は数秒で、反動も大きい。

 

 ただ、今使わなければ、間違いなく一撃もらっていた。

 瞬間的にサリーと同様の方法で回避を行う、という奥の手を切った甲斐もあって、氷龍の体力は既に3%も減っている。

 

 このままいけば…………って、タフだなぁ、コイツ。

 3%"も"じゃねぇよ!って話だ。

 

 だが……HPが減る以上、勝てない相手ではない。

 

 ブツブツ独り言、泣き言、恨み言を溢し続けて構わない。

 わざわざ、女装までしているのだ……正直もう負けなければ、なんでもいい。

 

「第二ラウンド、行くぞ!」

 

 気合入れを兼ねて、そう叫んだ俺は、四発目、五発目を間髪入れずに打ち込んでから、再び氷龍の懐へと飛び込んだ。

 

 

◇◆◇

 

 

 そこからは、文字通りの死闘。

 

 翼による吹き飛ばしは、地面が雪に覆われていたため、しっかりと受け身を取ればノーダメージで凌ぐことができた。

 地面からの氷による攻撃は、気のせいレベルではあるが、なんとか攻撃のタイミングを見極めて回避して凌ぐ。

 

 体力が8割を切ってからは、巨大な氷柱を真上から降らされたりしたのだが【潜影】スキルを回避に使い、影へと避難。

 影が消えた瞬間、地上に放り出されたことには少し驚いたが、広範囲攻撃を無効化できたのは大きかった。

 

 体力が5割、3割と削られていくにつれて、それぞれ、攻撃パターンの変更が存在したのだが、初見時のみ擬似サリー回避を使用し、どうにか危機を凌ぎ続けている。

 

 だが、その二回の奥の手使用による代償が大きすぎたのだ。

 2時間かけて、相手の体力が残り1割とほんの少しという所まで来たのだが、本能も理性も主張し続けている。

 ラストのパターン変更時には、集中力が残っていない、ということを。

 

 正直、既に意識は朦朧としてきているのだ。

 繰り返してきたパターンをそのままなぞっているだけで、気力などはとうに尽きている。

 

 

 絶望的な状況は、更に重なる。

 

 

 偶々、このタイミングで十二時を回ってしまった結果……天候が、大きく変化したのである。

 

 吹き荒れる風に、視界は雪によってかなり悪くなってしまった。

 最も、影響が大きかったのは、氷龍が天候が発動条件であろうパッシブスキル【保護色】を使用してきたことであった。

 

「……………………」

 

 もう十分だろ、俺にしてはよくやった。

 おかしいのは、アイツらの方だ。

 別に弱くても、アイツらは俺を見捨てない。

 

 うん、確かにそうだよな。

 きっと、ここで負けてもアイツらと、楽しくゲームはできる。

 

 だから、無理をする必要はない。

 

 

 

 

 

 ……で、どうする?

 

 決まってる。

 

 

 

 

 

 

「……ぶっ倒す」

 

 

 

 

 

 

 たった一言、そう口にする。

 確かに次にパターン変更がきたら、そこで負けるのは目に見えてる。

 

 よって……

 

「残り1割ちょい……一撃で、仕留める」

 

 彼は、そう言ってのけた。

 

 ホームラン宣言をする最終打者のように。

 コインを弾く御坂○琴のように。

 構えをとる猿人野菜戦闘民族のように。

 

 相手を真っ直ぐに見据え、投剣の構えを取り、左手に武器を装備する。

 

 【一極集中】の効果は最大上限分発動している。巫女バフも消えていない。

 この状況で攻撃を当てれば、1%程は体力を削ることができるだろう。

 ただ、それじゃ足りない。

 そんなチンケな火力では、全く足りていない。

 

 それが、これまでの最大火力だった。

 氷龍は、それが少年の最大火力であることを、疑っていなかったのだ。

 そう……モノの見事に、氷龍は()()()()()()()()()()()のである。

 

 

「【ペネトレーター】!」

 

 このタイミングまで、温存されていた初の攻撃スキルが放たれる。

 

 加えて、今回の弾は……

 

【小太刀:飛天・竜殺し】

 

 ちょっと侮れない、龍特攻持ちの武器。

 

 残る気力も僅かであるアサギによって、放たれたその一撃は、驚くほど簡単に、氷龍の命を断絶させた。

 

「さく、せん……どーり」

 

 そう、一言だけ残して、ボフッと雪原の上に寝転がる。

 奇しくも、全く同じタイミングでサリーが地底湖のダンジョン奥で寝そべっていたわけだが、もちろんそんなことを知る術はなかったのだが……

 

 

「ほんっと、もう……むり。しぬ……つかれた」

 

 気付けば、泣き言を言っている俺の隣に、宝箱が置かれていた。

 とりあえず、開くだけ開こう。

 そんで……寝よ。 

 

 本当に限界だったようで、戦闘終了後のレベルアップは勿論、いくつか取得したスキルにすら興味は向かず……宝箱の中身だけは取得して、即ログアウト。

 

 その後、何も考えずに眠り続けた。

 

 

 振り返ってみると、勝因は……偶々、洞窟内で竜殺しの武器を見つけたこと……ではない。

 それも、勝利に必要な要素で間違ってはいないのだが、一番の勝因は、あえて……火力が低い短剣のみで、残り体力1割ちょいまで、削り切ったことである。

 

 氷龍には保護色があった、ステータスを考えると、俺の攻撃速度程度、軽々と躱すことも、迎撃することも可能だったはずだ。

 しかし、氷龍は絶対に受けてはならない攻撃を受けてしまった。

 優に100を超える布石によって、避けなくても問題ない……という考えが刷り込まれていたことが氷龍の敗因だったのだろう。

 

◇◆◇

 

 とある管理者たちの会話

 

「おい!遂に【氷龍】が単騎相手で落とされたぞ!」

 

「おい!【地底湖の底の水中洞窟】が、単騎攻略されたぞ!」

 

「「「は?」」」

 

 それは、全くの同タイミングに起こった。

 ある意味、奇跡の瞬間だった。

 

「おい待て、まず【地底湖】の方だ!攻略者は、誰だ?」

 

「め、メイプルのパーティーメンバーのサリーというプレイヤーです」

 

「また、メイプル関係者か!?」

 

「【氷龍】も、同様!この前の図書館野郎のアサギで間違いない!」

 

 …………………………沈黙

 

 そして、爆発。

 

「め、メイプルは俺たちに怨みでもあるのか!?」

 

「クッソー、メイプルめ……」

 

「極振りが〜!」

 

 仮にこの光景をメイプルが見ていたとしたら、こうツッコミを入れずにはいられないだろう。

 私、関係ないんだけど!? と。

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