盲目のヒーローアカデミア   作:酸度

13 / 47
VS黒霧、ミッドレンジ

「くそったれな情報ありがとうよ緑谷。俺だけに聞かせたのは賢明だ」

 イレイザーヘッドは、ゴーグルを被る。

「先生! 一人で戦うんですか!? イレイザーヘッドの持ち味は個性を消しての捕縛だ、あの人数では」

「緑谷。俺に憧れてんなら覚えておけ。一芸ではヒーローは務まらん」

 そう言うと、相澤先生は凄まじいスピードでヴィランの群れに突っ込んでくる。

 先生は個性を消しながら、捕縛布を使いヴィラン達を倒していく。

 なぜか、あの男は動かない。おそらく酒を飲んでる。

 何故だかわからないが、チャンスだ。

「とにかく皆! 逃げよう!」

 僕は皆を促す。あの男が動き出す前に逃げないと。

「させませんよ」

 そのとたん、モヤのような奴が僕らの道を塞ぐ。

 エコーロケーションでは映らないので嗅覚に頼る。

「僭越ながら、我々の名はヴィラン連合。今日来たのは、平和の象徴オールマイトに息絶えていただきたいとおもってのことでして」

 切島君が飛び出そうとするが、隣にいたかっちゃんが止めた。

「クソ髪! 宇宙服先生の邪魔だ!」

 13号先生が、モヤヴィランを吸い込もうとする。

 独特な臭いが、13号先生の後ろに来る。

「ダメだ13号先生!」

 13号先生が、ブラックホールを止めた。

「成程カンがいい生徒がいますね、あと少しで自分自身をチリにしてしまっていたところを」

「く……」

「私の役目はこれ」

 そのとたん、独特な臭いのモヤが、辺りに散らばる。

 僕は片足を高く上げた。

「散らして嬲り殺す」

 思いっきり振り下ろす。

 四股だ。

 突風と地響きが、ヴィランのモヤを吹き飛ばした。

「な……!! グフ!」

「アホが!」

 ヴィランが怯んだ隙をついて、かっちゃんがヴィランを爆破した。

「ば、爆豪なんだよ! 俺を止めたり向かって行ったり!」

「ああ!! 状況判断だよボケが!! おいメガネ! とっとと走って増援よんでこいや! 相澤先生がやべえぞ!」

 かっちゃんの一喝に、飯田君が再起動する。

「あ、ああ! わかった!」

 

 

 

 

「おいおい、黒霧のやつ、やられちゃったのか。はあ、予定より早いが仕方がない。

 行け。脳無」

 

 

 

 

 

 13号先生が、声も上げられず吹き飛んだ。

 瞬間、飯田君の目の前に、オールマイト以上の体格の大男が現れる。

「フルカウル! 65%!!」

 僕はすんでのところで飯田君の前に立ち、その一撃を受け止める。

 衝撃波が吹き荒れ、皆が吹き飛ぶ。

 僕の腕の骨が、軋む音がする。

「何だ! この脳みそ剥き出しの奴!」

 峰田君の叫びがこだまする。

「飯田君! 早く!」

「わ、わかった!!」

 そう言って今度こそ、飯田君は走り出した。

 そして、ゲートの外に出た。

 

 

 

「あ、逃げられた。……ゲームオーバーか」

 その手だらけの男は、落胆のため息を吐く。

「黒霧も使えねえなあ」

「だが、どうするんだ、あの黒霧という奴がいないんじゃ帰れねえぞ」

 酒を飲む男の声に、手だらけの男は声を荒げる。

「酒ばっか飲んでるあんたに言われたくない。出入口を奪還しよう。ブルズアイ」

「へいへい。全く世話がやけるぜ。だが、まずはイレイザーヘッドだな」

 そう言うと男は、ベルトのパックルから手裏剣を取り出した。

「さあて、Let's play」

 

 

 

 

 

「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 僕と大男は殴り合いを始める。

 だが、こちらの攻撃は全然効いていない。

 おそらくショック吸収の個性。

 それに加えて尋常でない身体能力。

 殴り合いでは無理、集中力を切らすな、相手の攻撃をすべて躱せ。

 そのすきに、かっちゃんの爆破、瀬呂君のテープ、芦戸さんの酸、峰田君のもぎもぎ、青山君のレーザーが当たる。

 だが。

「全然効いてない!」

「何だありゃあ!」

 視ると、傷口が片っ端から再生していく。

 こいつに有効なのは。

「轟君! 凍らせてくれ!」

「わかった! どいてろ!」

 僕が離脱すると同時に大男の体が凍っていく。

 だが、こいつが、体を震わせると割れた体があっと言う間に再生してしまう。

 僕は、背中に回り、首を絞める。大男は力任せに剥がそうとする。

「デクくん!」

「麗日さん!?」

 麗日さんがこちらに駆けてくる。

「うおおおおおおおおああああああああああ!!!」

 僕は叫びながら、力の限り締めあげる。

 そのすきに、麗日さんが大男に触った。

 そのとたん無重力状態になり浮かびあがった大男を見て、皆は歓声を上げた。

 大男は拳を振り回すが、空中を漂うだけだ。

 僕はビリー・クラブを投げつけ天井を割ると、その穴からヴィランを追い出した。

 

「あらら、改人脳無が無効化されるとは」

「おいおい、あんなので本当にオールマイトがやれたのか」

 その男達がするりとやってきた。

 その途端身構える1-A19名。

 だが、その男は、別格だった。

 片腕に持っている人がいる。

「あ、相澤先生!」

 相澤先生が、視るからに重傷な彼が引きずられていた。

「さて、取引だ、そこの無重力の嬢ちゃん、個性を解除しな」

 男は、相澤先生の首元にカードを突きつける。

「さもなきゃあ、君らのために戦った勇敢な先生は、死ぬ」

「は、はったりだ麗日、トランプで何やるってんだ!」

 峰田君が叫ぶと、男はクスクスと笑う。

「確かにそうだ、これじゃ分かりにくい。ホッと」

 男が指をはじくと、トランプが鉄製の武器、琉球の武器である釵になった。

 そして、そのまま背中から、イレイザーヘッドをひと突きする。

 誰かの叫び声がこだまする。

「安心しろお嬢ちゃん、急所は外してある。だが、次はどうかな」

「ブルズアイ。あんた、趣味が悪いな」

「は、あんたらほどじゃないよ。トムラ・シガラキ。おい、どうすんだ!? 俺は気が長いほうじゃねえぞ!」

 僕たちはぎりぎりと歯噛みする。

 特に麗日さんの心音が危ない。

「……聞く……な……麗……日」

「先生!」

 相澤先生がはっきりと言葉を言う。

「最後の教えだ……お前ら、クソどもの言うことは、絶対に聞くな。ヒーローやってきゃあ、こういうことはある。

こいつらは麗日の個性を解除したら最後、その脳無とやらで俺を殺し、お前らも殺す。だから、死んでも解除するな。これが最後の……命令だ。……お前らはよくやった」

 そんなことは理屈ではわかっている。けれど。

 相澤先生は、言った。

「麗日を守れ、1年A組、最後に任せたぞ」

 そう言うと、相澤先生はブルズアイの足の甲を踏みつけ、拳を振り上げる。

「バカだぜ、アンタ」

 そう言ってブルズアイは、釵で相澤先生の胴体を貫こうとする。

 瞬間、僕の体は勝手に動いていた。

(……! 速い!)

「手、離せ!」

 ブルズアイがバク転でかわし、ポケットからカードを何枚も取り出す。

 そのカードたちは全て相澤先生のところに、僕は相澤先生に覆いかぶさった。

 




黒霧ワープ阻止。
そして麗日強すぎワロリエンヌ
やっぱ最初に爆豪と切島が飛び出さなければ良かった模様

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。