盲目のヒーローアカデミア   作:酸度

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みんなかっちゃん女体化好きね(挨拶)


昼休み

 昼休みに入り麗日さんと一緒にご飯を食べる。

 発目さんと塩崎さんには一千万を失ったことを謝ったが、気にしてないとのことだった。

「おかげで企業に大アピールできました! 本選でもよろしくお願いします!」

「B組で残ったのは私だけ。ですので、もし当たるとなれば全力で当たらせていただきます」

 そう言って、それぞれのクラスに戻って行った。

「デク君、そんなにたくさん食べて午後大丈夫なん?」

「腹が減っては戦はできないよ」

 そう言いながら、僕はカツ丼大盛り五杯目を食べる。

 そんな僕に、袋が押しつけられる。この鼓動は。

「メリッサさん! 何でここに?」

 麗日さんの驚く声がする。そういえば言ってなかったっけ。

「メリッサさんはエンデヴァーのコスチューム会社の所で仕事してたんだ。だからあの日からずっと日本にいるよ」

「今日はエンデヴァーさんのご厚意で中に入れたのよ。こんにちはお茶子さん! カッコよかったわよ!」

「あ、ありがとうございます!」

「今日はイズク君に差し入れ! はい! ハチミツとガムシロップ!」

「ありがとうございます! 即効性のエネルギー源!」

「まだ食うん!? つうか何にかけるん?」

 僕はコップにハチミツとガムシロップをあけ、そのまま飲み込む。

 麗日さんはアングリとした顔をする。

「……飲む?」

「いらんわ! そんな冒涜物!」

 ぼうとくぶつ。

「常人の十倍のエネルギーが必要だもの、それくらい食べないとね」

 そうメリッサさんが笑っていうと、麗日さんが釈然としない声を上げる。

「これ私がおかしいんかなあ……」

 そこに、峰田君と上鳴君がやってくる。

「おーい、麗日!」

「さっき八百万にも言ったんだけどよー」

 そう言って、午後はチアガールに着替えて応援合戦との旨が伝えられる。

「え、ホントなん?」

「ウソだよ」

 僕は麗日さんに伝える。

「緑谷!? 何を根拠に!」

「今ウソつきって言われた瞬間鼓動が跳ねてだんだん落ち着いていった。典型的なウソつきの心音だよ」

「ふーん。そうなんや」

 麗日さんがジドっとした目で見つめる。

 というかそれ以前に。

「そもそも、衣装を八百万さんの個性で作れなんて言うわけないじゃん。そんなミスを相澤先生がするとも思えないし」

「確かにそうね」

「いや、それは、えーと……ってメリッサさん! 何でここに!?」

 峰田君がようやくメリッサさんを認識する。麗日さんのことで頭が一杯だったな。

「イズク君の応援。だめよ。嘘なんてついちゃ」

 そう言って、メリッサさんは軽く注意する、

「いや、違うんすよこれはえーと」

「言い訳はそこでバッチリ聞いてる耳郎さんに言ったら?」

「え、うわホントだ! ターミネーターみてえに近づいてくる!」

「緑谷てめえ! 重ね重ね覚えてろー!?」

 峰田君達が逃げ出すが、すぐに捕まった。

 そのまま引きずっていかれる。

「全く、仲間を騙すなんて何考えてるんだか」

 僕は呆れつつ、ハチミツとガムシロップのカクテルを飲む。

「それにしても、おめでとうイズク君。私感動しちゃった」

「いや、まだまだです。トーナメントからが本番ですから! ちゃんと僕が来たって見せてあげます!」

「うふふ。楽しみにしてるわね」

 そのままメリッサさんと笑い合う。

「むう……」

「? 麗日さんどうかした?」

「! ううん! 何でもない!」

 その時、切島君と轟君が、一緒に話しかけてくる。

「「緑谷話いいか?」」

 二人はしばし見つめ合い、僕は頭をかく。

「とりあえず、ジャンケンしてもらっていい?」

 結果、切島君が勝った。

 

 そこには、芦戸さんと瀬呂君もいた。そして問われる。

「かっちゃん。やっぱりまだ自分を許してないんだね……」

「てことは本当に……?」

「まあ不幸な事故なんだけどね」

 僕がかっちゃんにいじめを受けていたこと。

 かっちゃんが個性を使ってゴミ山が崩れたこと。

 そこを僕が庇って、薬剤を目に浴びたことを説明した。

 三人は驚愕の鼓動を示す。

「もっともかっちゃん家が治療費を全額出してくれたし。そもそももう10年近く前の話だけどね」

「緑谷は、それでいいのか? だって……」

「その後、かっちゃんは僕をいじめから守ってくれたし、何より、もう慣れたもんだからね。僕はとっくに許してる。けど、かっちゃんはそうは行かないみたいだ」

「けど、君ら仲良いじゃん!」 

 芦戸さんが納得いかなそうに手をぶんぶんと振る。

「そうだね。でも、やっぱりかっちゃんにとって僕は象徴なんだよ。過去に犯した罪の。だからついそうやって友達になりそうないい人の手を振り払っちゃう。中学時代はそれで柄の悪い友達も出来たりして、心配だったっけ」

 僕は自嘲気味に笑うが、三人は絶句していた。

 冗談を言い合っても、ともに切磋琢磨しあっても、どこか歪な関係。

 それが僕たちだった。

「だから、切島君達、是非かっちゃんと友達になって欲しい。君達なら、かっちゃんと対等な友達になれる」

「……お前は、対等な友達じゃないんかよ」

 切島君が苦しそうに言う。

 僕は自嘲気味に笑った。

「……僕らを繋ぐのは、かっちゃんはオールマイトを超えるヒーロー。僕はオールマイトだって助けるヒーロー。そうなるって約束だけ。それで十分さ。僕らは、ライバルであればいい。対等な友達になるには……、僕はかっちゃんに憧れすぎたし、かっちゃんは僕に罪悪感を抱きすぎた。だから、頼むよ」

 そう言って、僕は三人から別れた。

 ……ハチミツ舐めるか。

 

 

「お待たせ、轟君。待った?」

「いや、大丈夫だ。すまなかったな、休憩中に」

「別に大丈夫。もう食べたから」

「ああ、単刀直入に聞くが、お前、オールマイトの隠し子か何かか?」

 僕は一瞬フリーズし、やがてブンブンと首を振る。

「僕にはちゃんと単身赴任中の父がいるけど。まあ、証拠ってものは出せないけど……」

「そうか、まあどっちでもいい。お前はオールマイトの弟子で、つまりオールマイトから何かを受け継いだってことだ。俺の父親知ってるよな。エンデヴァー。万年二位の」

「うん。そりゃあ知ってるよ。僕、昔は結構ファンだった。あとメリッサさん知ってるでしょ? あの人の技術がエンデヴァーのコスチュームに使われているんだよ」

 そう言うと、轟君は露骨に不機嫌そうになる。

「……俺は、親父が嫌いだ」

「……そうなの? ゴメン」

「個性婚って知ってるよな?」

「う、うん。そりゃあ」

 

 そこから轟君によって話された話は映画のようだった。

 万年ナンバー2だったエンデヴァーが、個性婚に手を出したこと。

 自分をオールマイト以上のヒーローにすることで、欲求を晴らそうとしている父。

 そんな父親に心を病み、我が子に煮え湯を浴びせた母

 父親からの炎を使わず、母親からの冷気のみでナンバーワンになり父を完全否定しようとする子。

 轟君の心音はあくまで冷たく、僕は何も言えない。

 

「お前が何者か、オールマイトの何であろうがどうでもいい。俺は、右だけで一番になる。……邪魔したな」

 そう言って去っていく轟君に、僕は気になったことをぶつけてみることにした。

「一個いいかな、轟君」

「……何だよ」

 僕はUSJでのことを思い出す。

「ブルズアイに八百万さんが殺されそうになった時、君は炎を使おうとしたよね。アレは何で?」

「……! それは……」

「……ある人に、っていうかかっちゃんなんだけど。言われたんだ。『お前は誰かを助けるヒーローになるんだろうが。なら、やれること全部やらんと話にならんだろ。それでもし、誰かが死んだら、お前責任とれんのかよ』ってね」

 轟君は、僕の方を睨む。見えなくても視線が冷気となって肌に突き刺さる。だけど言わなきゃならない。

「もし、君がプロになった時、胸を張って言えるの? ベストを尽くしたって、僕は全力で君を助け出したって、今まで辛い思いをしてきた被害者に言えるの?」

「……黙れ」

「もしあの時八百万さんが殺されていて、君は後悔しないでいられたの? 炎を使えれば、助けられたかもしれないって」

「黙れ!」

「もし、君がそのままヒーローになるんなら、いつか絶対に後悔する! 

 ……だから、僕が君の目を覚まさせてやる」

 そう言い残し、僕は轟君の反対方向に歩き出した。

 きっと、苛烈な戦いになるだろうと予感しながら。

 

 

 

 結局、峰田君と上鳴君は制裁されたらしい。

 僕は峰田君に恨み言を言われるが、八百万さんたちには感謝された。

 まあほどほどにしてくれるよう助言しておいた。

 そしてレクリエーションの後、最終種目が発表される。

 その内容は一対一のガチンコバトル。

 そして対戦組み合わせは、

 

 1回戦 緑谷 VS 心操

 

 2回戦 轟  VS 瀬呂

 

 3回戦 塩崎 VS 上鳴

 

 4回戦 飯田 VS 発目

 

 5回戦 芦戸 VS 青山

 

 6回戦 常闇 VS 八百万

 

 7回戦 尾白 VS 切島

 

 8回戦 麗日 VS 爆豪

 

 となっていた。

 僕は初戦の心操君という人を思い出そうとする。

「あんたが緑谷出久か」

「……君が心操君か、よろしく」

 僕らは互いに握手する。どうやら、以前宣戦布告にきた普通科の生徒のようだ。

 どうやらベンチブレスやスクワットなどの筋トレはしてそうだが、特に格闘技経験者という訳ではなさそうだ。そして、普通科に通ってるということは、あまり戦闘向けの個性ではないのだろう。にも拘わらずここまで勝ち進んできたということは……。何かしらの絡め手系の個性だろう。十分に警戒する必要がある。

「また後で、いい試合にしよう」

「……俺、実はアンタのこと知ってるんだよ。アンタ、ヘドロ事件で……」

 突然言われ、僕は照れる。ずいぶん懐かしい話だ。

「ああ、あれは、幼馴染が攫われて、無我夢中で」

「無個性って話だったが、個性に目覚めたとか。いい個性で羨ましいよ」

 そう言う彼の感情に見えるのは諦観とそれでも消せない炎のようなものを感じる。

「そうだね、僕は、恵まれているよ」

 だからこそ負けない。

 僕が心操君と別れると、常闇君尾白君青山君が近づいてくる。

 

 今日は良く呼び出される日だなと思った。




お昼休憩。
突っ込めそうな時、欠かさずメリッサさんを投入していくスタイル。

かっちゃん女体化IFは体育祭終了後となります。気長にお待ちください。
体育祭もあと6話位で終わるので。(なお予定は覆る)

アンケートにお答えください

職場体験先、どこがいい? (参考)準決勝終了まで

  • 原作通り グラントリノ
  • 幼き日の憧れ プッシーキャッツ
  • インターンへの布石 サー・ナイトアイ
  • 異能解放戦線への布石 ミルコ

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