緑谷出久のヒーロー名は
僕は空港へメリッサさんの見送りに来ていた。
「イズク君、体育祭優勝おめでとう! 今度はエキスポで会おうね!」
「はい! メリッサさんも色々ありがとうございました。今度は僕が会いに行きますね!」
「うん、楽しみにしてるわ」
そう言うと、メリッサさんは僕にハグする。
僕もまた、メリッサさんの背中に手を回す。
「あなたは、体育祭をやり切ったわ。だから、今度は私の番。また凄いアイテムを作るからね」
「はい! メリッサさんもピンチになったら必ず僕を呼んでくださいね」
「ええ! 待ってるから! そうだ、ヒーローネーム。決まったら教えて? コスチュームに変更をしたり、イメージにあったサポートアイテムを作ったりするから」
「はい! 決まったら真っ先に教えます!」
「サイクロプスさんとストームさんもお元気で」
「……メリッサのことなら心配するな。ブルズアイに遅れは取らないさ。君がもたらした個性の情報もある」
「将来チームアップすることもあるかもね。貴方となら」
この二人はメディア露出は少ないが、それでもトップヒーロー並みの実力を持つと言われるヒーローだ。
メリッサさんの護衛として過ごすうちに、すっかり仲良くなってしまった。
「はい。その時が来るよう、精進します!」
そして、メリッサさんの乗る飛行機に、僕は何度も手を振った。
他にもボクシングジムと柔道場にも挨拶にいった。
両方とも門下生の方たちにもみくちゃにされたものの、皆一様に喜んでくれた。
そして、休校明け。
「あの子、雄英体育祭の子じゃないか?」
「おお、あの完全優勝の!」
「すごーい、サイン貰えないかな!」
「あ、隣は準優勝の子じゃないか」
「仲直りできたんだな。良かった」
僕は、かっちゃんと一緒に通学していた。
入学してから今まで、一度もなかったことだ。
「ケ、俺はおまけかよ」
「そういうこと言わないのかっちゃん」
すると、電車通学中の小学生が、僕に近づいてきた。
「ん? どうかした?」
「あの……その……握手してください」
「え、僕?」
「はい!」
僕は驚いて、思わずかっちゃんを揺さぶる。
「揺するなクソが! はよしたれや!」
「う、うん。これでいい?」
「……すごく! 格好良かったです!」
そう言うと、その子はかっちゃんにも向き直る。
「あなたも」
「ケ! ……これでいいんかよ」
「ありがとうございます! 決勝戦、凄かったです」
「おう、……俺の真似はすんなよ」
そう言って、かっちゃんはそっぽ向く。
素直じゃないな。
その後も、たくさんの人に声をかけられた。
「朝から疲れたね」
「お前がいちいち対応するからだろうが」
でもやらないわけにいかないし。
校門に近づくと、知った足音が聞こえてくる。
「何呑気に歩いているんだ緑谷くん、爆豪くん! 遅刻だぞ!」
「んだメガネ! 始業5分前だろうが!」
「雄英生たるもの10分前行動が基本だろう!」
飯田くん、そういえば、インゲニウムは。
「兄の件なら心配かけたな! 大丈夫だ! 命に別状はなかったしな」
「そっか」
そう言って飯田くんは先にいってしまった。
「かっちゃん、飯田くん……」
「お前じゃなくても分かるわ。ありゃやべーぞ」
そうだよねえ。
僕とかっちゃんが教室に入ると、切島君が近寄ってくる。
「おう、優勝準優勝コンビ!」
「相変わらず元気だなクソ髪」
「お前ら、仲直りして、俺は」
切島くんが涙ぐむが、かっちゃんは青筋を立てる。
「泣くんじゃねえクソが」
「顔爆!」
「おめえらも気をつかったりコメントしたりすんじゃねえクソども! 散れ!」
そう言って、かっちゃんはずけずけと席につく。
「ごめんね皆。こんな感じで」
「まあでも決着ついたみたいで良かったよ」
「ありがとう……心配かけたね」
そう言うと、皆一様に笑い出した。
「余計なお世話はヒーローの本質、らしいぜ」
「メリッサさんが言ってた、オールマイトの言葉だよ」
その言葉に、僕の胸も温かくなる。
「ありがとう」
何かメリッサさんには、助けられてばかりだな。
チャイムが鳴って席につく。
「おはよう。お前ら。体育祭おつかれさん。早速だが今日のヒーロー情報学、ちょっと特別だぞ」
なんだろう。テストだろうか。
「コードネーム! ヒーローネームの考案だ」
「「「「「胸ふくらむヤツ来たああああ!!!」」」」」
騒ぐ僕らは相澤先生の眼力で鎮圧される。目が見えなくてもこわいんだなあ。
「というのも、体育祭の指名にかかわってくる。指名が本格化するのは経験を積み即戦力として判断される2・3年から。
つまり今回来た指名は将来性に対する興味に近い。興味が削がれたら一方的にキャンセルとかよくある話だ」
成程、頂いた指名が自分へのハードルになるのか。
「そして、来た指名の数が、これだ。例年はもっとバラけるんだが、三人に注目が偏った」
音声読み上げ機能により、数字が読み上げられる。
爆豪 2423
緑谷 2225
轟 1528
常闇 360
飯田 301
上鳴 285
八百万 108
切島 74
麗日 24
瀬呂 14
尾白 9
葉隠 1
うーん、やっぱり、盲目のハンディキャップは重いなあ。
「一位二位逆転してんじゃん」
「デクくん……」
「まあ、仕方ないよ。ていうか思ったより多いくらいだ」
「あとはB組の塩崎が二千超えだったらしい。……これを踏まえ、指名の有無関係なく、いわゆる職場体験に行って貰う」
成程、それでコードネーム。
「まあ仮にとはいえ、適当な名前は」
「つけたら後悔しちゃうわよ!」
「ミッドナイト先生」
「この時の名が、世に浸透してヒーローネームになってるヒーローが多いからね」
そうなのか。でも、実は僕は決めていたんだ。
I・アイランドで、メリッサさんと話したあの日から。
何故か発表形式で進められる。
「さあ、まずは。おっと緑谷くん早いわね! 一発目行ってみよう!」
「はい、盲目ヒーロー デアデビル!」
「意味は恐れ知らず! その心は?」
「はい! ある人に言われたんです。僕のことをデアデビルだと。いつだって、ヴィランや災害に向かって恐れを知らず立ち向かえるように!
そして、僕自身が、ただの恐れを知らないだけのただの人であることを忘れないように、この名をつけました!」
「そう、シンプルかつキャッチー。そして強そう! いいわね!」
「ありがとうございます!」
その後はかっちゃんが爆殺王と名付けようとしてミッドナイト先生に止められた以外は、平穏に済んだ。
そして、指名。
僕は食堂で、紙面を撫でながら思案する。
目の前にはかつ丼とハンバーグランチと坦々うどんの空になった皿がある。
「この中で一番ランキングが高いのは、ナンバー7、ラビットヒーローミルコか……。確かサイドキックも事務所ももたないチームアップもほとんどしないヒーローだよな。
そんな人が何で、僕に……」
「……ミルコですか」
そう話しかけてきたのは、知った人だ。
「塩崎さん、こんにちは」
「こんにちは緑谷さん。お隣よろしいでしょうか?」
「ああどうぞ。麗日さん飯田くんいいよね?」
僕は二人にことわる。
「うむ、かまわないぞ」
「塩崎さんこんにちは。クラスのみんなはええん?」
「ええ、その、クラスの皆さんに送り出されてしまって」
そう言うと、塩崎さんはおずおずとバスケットを差し出す。
「その、作ってきたのですが、緑谷さんはお食べになられましたよね。
おやつでも夕食でもいいですので、どうか」
(女子の手作り弁当だとー!!)
その瞬間、食堂中の男子の殺気が僕に叩きつけられる。
「サンドイッチですので、クラスの皆様にあげられても……」
「いや、全部食べるよ。折角、塩崎さんが作ってくれたんだし」
鈍い僕でも、彼女がどんな気持ちで作ったのか位わかるつもりだ。
「……良かった。飯田さんと麗日さんも、良かったら」
「え、ええよ! デクくんに作ってあげたんだよね」
「うむ、これは緑谷くんが全て食べるべきだ」
遠慮する二人をよそに、僕はとりあえずタマゴサンドを手に取る。
パンと卵の甘味と、卵にはいった粒胡椒の辛みがマッチしている。
「おいしい! このパンってひょっとして、手作り? 既製品じゃないよね」
「い、一応私が、生地から焼きました」
「すごいや! バターは無塩だよね? 気を使ってくれてありがとう」
「は、はい。わかるんですね」
「一応味覚も鋭敏でね。でもありがとう。女の子に手作り弁当をもらうなんて、初めてだよ」
そう言って笑うと、塩崎さんの心音が早くなる。
やっぱり、この人って僕のことが、好きなんだよなあ。
そう思うと、サンドイッチもさらにおいしく感じ始めた。単純なものだ。
「あの、話が戻りますが。私はミルコは緑谷さんとあっていると思います。
お二人とも感覚が鋭敏ですし、何より高機動力と近接戦闘で噛み合っていますし」
「そっか、他に候補がなければそうするよ。一応、プッシーキャッツがあったら受けたかったんだけどないみたいだし」
麗日さんがへーっと声を上げる。
「デクくんワイプシのファンなん? 意外」
「昔無個性だと診断されてたって話してたよね。その時、僕が参考にしたのがイレイザーヘッドとプッシーキャッツのマンダレイなんだ」
「成程、どちらも身体強化の個性でないにも関わらず、自分の近接戦闘スタイルを確立していますね」
そう、だから指名があれば是非受けたかったというのが本音だ。
僕もボクシングと柔道を組み合わせているが、他にもエッセンスがあれば取り込みたい。
「そう言えば、ミルコは足技が得意なんだっけ。僕は足技の格闘技はやってないからいいかもな」
そこで、僕は気になったことを聞く。
「塩崎さんは何処に行くか決めたの? 沢山指名来てたらしいけど」
「私は、シンリンカムイ事務所を考えております。個性も近しいですので、何か参考になればと。ランクの高い事務所ですと、ベストジーニスト事務所が一番高いですが」
「うん、でもやっぱり個性が近い方が良いかもね。シンリンカムイは僕も生で見たことあるけど、無茶苦茶強いよ」
「そうですか、頑張ってみます!」
そう塩崎さんは張り切って宣言した。
とりあえず弁当は完食した。
塩崎さんは目を丸くしたが、また作りますと言っていた。
こんど材料費を渡さないとな。
そして、僕はオールマイトとも相談することにした。
「ミルコか! 私もチームアップしたことこそないが、本人に望まれて何度か手合わせをしたことがある」
「え、そうなんですか?」
「うむ、単純な格闘戦での戦闘力であれば、おそらく私を除けば日本で一番のヒーローだ。
本人の気質としては爆豪少年に似てると思うぞ。君との相性も悪くないだろう。いいんじゃないか?」
「成る程、じゃあここにしようかな」
「うむ、少し好戦的すぎるキライはあるが、だからこそ今の君が学ぶべきことも知っているだろう」
僕が学ぶべきこと?
「おっと、それが何かは自分で気づかないとな。
……ところでこれは別件なんだが、君に会ってもらいたい人がいるんだ」
オールマイトが? 珍しいな。
「誰です?」
「その人の名はグラントリノ、ワンフォーオールのことを知るお師匠様の盟友だった方で、雄英在学中の私の担任でもあった方だ」
「そんな方がいるんですね? でも何故今頃?」
「雄英体育祭で君の活躍を見たので久しぶりに接触してきてね。本当はとっくに隠居されているのだが。そこで君が見たお師匠様の夢の話をしたら是非一度会いたいと」
「そういうことなら歓迎です! いつ頃にしましょう?」
「できれば職場体験が始まる前がいいかな。今度の日曜日は空いてるかな?」
「ではそこで、よろしくお願いします!」
「うむ。すっげーこえー方だからくれぐれも粗相のないようにね。あ、足が」
オールマイトの下半身が言うこと聞かなくなってる。
え、どんな人なの?
デアデビル以外のマーベルキャラはチョイキャラです。
シールド親子は絶対襲われない大丈夫だよと読者に安心感を与えるためだけの登場です。
アッセンブルは多分しません
ミルコはこの時点だと多分七位かなと、違ったらごめんなさい。
(神野以降はランクアップして五位、クラストが六位をキープしていることから)
アンケート締め切り、明日の12時になります
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