入試
僕はI・アイランドを離れた後も、トレーニングを続けていた。週に2回ずつのボクシングと柔道のトレーニング、週3回のオールマイトとのトレーニング。
あいた時間で受験勉強も頑張った。メリッサさんとは週に何度かインターネット通話をして、科学知識を深めていった。
身長は少し伸びて170センチに、体重も65キロになった。
そして、今日、ついに、受験当日。
「ここが雄英高校か」
「俺の前に立つんじゃねえデク」
「はいはい、かっちゃん」
僕は横にずれて立ち止まる。
すると、女の子とぶつかりそうになり、慌ててよける。
「あぶないあぶない、大丈夫?」
「え、うん平気。ウチもボーっとしとった。えっと、何で分かったん?」
女の子は僕のバンダナが巻かれた目と、杖を見て疑問に思ったのか言う。
「ああ、耳が良くてね」
その少女は身長は155センチ程度だろうか。
方言の特徴から三重辺りの出身で、整髪料の量からボブカットの女の子だ。
「え、入試の場所わかるん? 大丈夫?」
「お気遣いありがとうございます。でも、僕もヒーロー志望なので、自力で頑張ります」
僕の言葉に彼女の心臓が跳ねる。
「そっか、立派やねえ。頑張ってね」
「はい、君も是非頑張って」
そう言って、その女の子に手を振って別れる。
「ナンパか、ヨユーだな」
「違うよかっちゃん! 人聞きの悪い!」
僕らは言い合いながら、試験会場へ向かった。
途中、「なあアレ、バクゴーじゃね」「ヘドロのときの……。隣は小麦粉の奴だな」という会話が聞こえる。
僕はシェフかな?
かっちゃんはとたんに不機嫌になる。
かっちゃんの中で、あれは黒歴史なんだろうな。
筆記はつつがなく終わり、実技試験。
点字の問題用紙もあって助かった。
「さあ皆、実技試験の時間だ! 盛り上がれ-!! エヴィバディセイヘイ!」
プレゼントマイクだ。ラジオは受験勉強しながら良く聞いていた。
「こいつはシヴィー!! それじゃあさっそく演習内容を説明していくぜ!! アーユーレディー!! イエー!!」
僕らの反応が薄かったからか、自分で言いだした。
「リスナーの諸君にはこれから模擬市街地演習に取り組んでもらうぜ!」
「同校同士で協力させないようにか、受験地がバラバラだな」
「そりゃそうだよね」
「お前と白黒つけられねえじゃねえか」
「そんなの入学すればいくらでもできるよ」
まあ、僕はかっちゃんとは連携を取ろうとしても取れないだろうけど。
かっちゃんの爆破は僕のレーダーセンスを著しく阻害するから。
それも最近の訓練で大分克服したけど。
持ち込みは自由とのことで、ビリークラブとブレスレットを握りしめる。
「演習場には仮想敵を3種設置しており、合計のポイントで合否を決める!」
「ご質問よろしいでしょうか! プリントには4種の敵が記載されております!」
そう言われ、僕は貰ったプリントを手でなぞる。
インクと紙の質感から、記載された内容をチェックする。
すると確かに、プリントには4種のヴィランが記載されていた。
「オーケー受験番号7111のリスナーナイスなお便りサンキューな!
その4種目のヴィランは会場を所狭しと暴れまわる0Pヴィランだ!」
どうやらこれはいわゆるお邪魔虫らしい。
僕はゲームはやれないので例えがよくわからなかったが。
「それでは諸君、かのフランスの英雄ナポレオンボナパルトは言った!『真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていくもの!」
「
「それでは皆、良い受難を!」
僕はブルリと武者震いする。
試験説明後、会場に向かって歩く。
周りの声を聴くと、僕へのコメントが結構多い。
「ヘドロ事件で突っ込んでったやつだ」
「無個性って話じゃなかったっけ」
「目が見えないみたいだけど、大丈夫なのか?」
そんな反応を示す周りの中に、今朝の女の子を見つける。
声をかけようかとも思ったが、精神統一をしている最中のようで、話しかけたら悪いと思ってやめた。
「ああ、君、ちょっと良いかい」
僕に声をかけてきた人がいる。身長は180センチ程度、音の反射からふくらはぎの辺りに違和感がある。先程プレゼントマイクに質問していた人だ。
「君は、目が見えないようだが、この試験大丈夫なのか」
その声色は本当にこちらを気遣っているようで、僕は苦笑する。
「大丈夫。これでも結構自信あるんだよ。だから、君も僕をライバルだと思ってくれると嬉しいな」
そういって握手を差し出すと、彼も戸惑ったように握った。
「ふむ、流石最高峰、すまない! 君を見くびった発言だったようだ!」
「真面目だね! お互い頑張っていこう!」
そこに、プレゼントマイクの声が響く。
「スタート」
「それじゃ、行こうか」
そう言って、僕は駆け出した。
「ワンフォーオール・フルカウル……60パーセント!!」
僕は素早くビルの上に一踏みで飛び乗る。
ふと、他の受験生みんなが止まっていたのが気になったが、とりあえず頭の隅に起き、目の前の仮想敵に意識を集中させた。
「この入試は敵の総数も配置も伝えていない」
「限られた時間と広大な敷地。そこからあぶり出される。情報力、機動力、判断力、そして戦闘力」
「今年は結構豊作ね。見てよ」
ビリー・クラブとガントレットはなるべく使わない。
純粋に、自分の力で勝負したかった。
「これで、30ポイント!」
大きさは脅威だが、強度はさほどでもない。
僕はある敵は拳で、ある敵は投げ飛ばして倒していく。
「この試験会場の中では、僕が一番のはず。いや、周りは気にするな。もっと! 誰もいないほうへ!」
すると、丁度受験生が誰もいない地区を見つける。
そこに入り込んだのは、僕のほかにもう一人。
身長は186~187センチ、腕が6本生えている人だ。
「お前も探知系の個性か? たしかヘドロ事件の……」
彼が僕に尋ねる。
「うん、まあそんなとこ。僕は向こう側から狙っていくから、君は近場を狙って」
「……かたじけない」
僕はフルカウルにより強化した脚力で仮想敵を飛び越えていく。
そして、さらに30ポイント程稼いだ時、急に轟音が響いた。
レーダーセンス越しにわかる、その重量感。
いや雄英やりすぎでしょ!
あれがお邪魔ギミック。
僕も他の受験生のように逃げて他の狩場を目指そうとした。
僕はビリー・クラブを手に取り、柄の部分を耳に当て、地面と接させることで音をより深く聞く。
するとかすかに、誰かのうめき声がする。
僕は、迷わずそちらのほうへ走った。
「おい、そっちへ向かってどうする!? あれは0Pだろう!?」
さっきの腕6本の人が問いかける。
彼に僕は言い返す。
「誰かのうめき声が聞こえた! すぐ向かわないと!」
そう言って、僕は走り出した。
その女の子は、今朝話した子だった。
いや、そんなことは関係ない。
彼女を救う、安全で最短な方法は。
僕は仮想敵をにらみつける。
「ちょっと! 黙ってろ!」
僕はフルカウルを維持し、飛んだ。
「メリッサさん、使わせていただきます!」
ブレスレットのスイッチを入れると、ガントレットが再構成される。
「フルガントレット! 起動!」
コークスクリューブローの要領で、仮想敵を殴りぬける。
「トルネイド! スマッシュ!!」
僕の一撃は、仮想敵をクラッシュさせ、殴り倒した。
僕は着地に備え、もう一発地面を殴ろうとすると、先ほどの女の子が浮かび上がってきているのが視えた。
そのまま、女の子にビンタされる。
すると、ふわりと、僕の体が浮いた。
「試験終了―!!」
僕はふわふわしたまま、試験終了の声を聞いた。
女の子が個性を解除すると、地面に降り立つ。
彼女へお礼をしようと近づくと、何と嘔吐し始めた。
僕は慌てて女の子に駆け寄り、背中をさする。
「あ、あんま見んとい……おええ」
「だ、大丈夫!? 個性の反動? ああ、しゃべんないで」
「う、うん。ありがとうね、助けてくれて」
「いや、こちらこそ」
そう言って、ハンカチで顔を拭ってあげる。
「わ、わるいよそんなの。ハンカチ汚れる」
「気にしないで、多分長い付き合いになるだろうからさ」
僕は女の子をリカバリーガールに預け、試験会場を後にした。
そういった感じで、僕の入学試験は終わった。
障子君もおんなじ会場だったから出してみた。
このイズク多分転倒しないから、お茶子をどう絡ませるか悩みました。
しばらくは原作沿いで進みます。