「不死属性。説明してもらえるかな?ヒースクリフ、いや、茅場殿?」
私の問いかけにヒースクリフは
「ここでバレてしまうとは、想定外だったな。ああ、私こそが茅場晶彦その人であり、君達を第100層で待つ予定だったラスボスでもある」
その言葉に固まるプレイヤー達。その中で唯一立ち上がったのは
「俺達を‥‥‥騙してたと。そう言うんですか!団長!」
一人の血盟騎士団の団員であった。手には巨大なハルバードが握られている。
「ああ、そうだ」
短く、素っ気なく返すヒースクリフ。すると
「俺の‥‥‥忠誠心を‥‥‥返せぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
ヒースクリフに突進する。しかし
「それは困る」
ヒースクリフが手を振った瞬間ここにいる全員が地に伏した。見れば麻痺の状態異常が着いている。そのアイコンの下にある有効時間を示すカウントは99:59:59を指していた。
「何だ‥‥‥これ、99時間の麻痺状態?まさか貴様!ここで全員始末する気か!?」
ヒースクリフは穏やかな表情を崩さず
「いや、そんなことはしないさ。予定が狂ったが私はここで君達と別れるとしよう。何、この部屋はボスが死んだ今どのモンスターも湧かないし、入ってこないセーフゾーンだ。安心したまえ。それに私が去った後で君達の麻痺は治してあげよう」
そう言ったヒースクリフはおもむろにキリトの元へ行く
「だが、私の正体を見破ったことを評価してキリト君か小次郎君のどちらかに今この場で私に挑むチャンスをあげよう。何、不死属性は解除するし、私がもしここで破れればその瞬間にSAOはクリアとなる。悪い話ではないだろう?無論拒否しても構わないがね」
それは願ってもない話だった。目配せをした二人は
「俺がやる」
キリトがそう言った。
「馬鹿を言うな!」
「挑発に乗るんじゃねえ!キリト!」
皆がそう言うがキリトは真っ直ぐヒースクリフを睨んだ。
「うむ、よかろう」
するとヒースクリフはキリトから離れ再び手を振った。キリトの麻痺を解除したのだろう。立ち上がるキリト
「では‥‥」
キリトの元にメッセージが届く。ヒースクリフから完全決着モードでの決闘が申請されました。というメッセージだ。完全決着、それはHP全損まで戦うモード。普段では決して使われないはずの禁忌のモードだった。迷わずキリトはそれのOKを押す。
3
カウントが始まる。お互いに剣を抜き、一言も喋らない。
2
微動だにしない二人、それを見守る地に伏したままのプレイヤー達
1
「言葉は不要か」
口を開くヒースクリフ
ピーッ!
「ぜあぁぁぁ!」
切り掛かるキリト、防ぐヒースクリフ。
『こいつはこのゲームの製作者、ソードスキルのモーションを全て覚えてる筈。ならソードスキルは使っては駄目だ!』
そう考えるキリト、その考えは正しかった。慣れないソードスキル縛りの戦いをしつつ
「やっぱすげえよ小次郎は、普段からソードスキル無しで戦ってるんだからな!」
「おや、ソードスキルを使わないと思ったら、流石に気がつくか。私にソードスキルが通用しないことを」
「当然だ!」
切る、防がれる、切られる、避ける、その戦いは苛烈を極める。だがその均衡もいつまでも続く訳はなく
「ぐっ」
「ぬぅ」
お互いに少しずつダメージを受ける。端から見るとソードスキルの輝きもないつまらない戦いだが当事者にとっては必死だった。何せ生死がかかっているのだから
「相変わらず堅すぎるぜ!あんた!」
「そちらこそ。二刀流を持つに相応しい素早さだな」
暫く膠着状態が続く。ここで年齢と落ち着きの差が出てしまった。往々にして若者は年配者より抑えが効かない傾向にある。そして癖というものは分かっていてもなかなか抜けない。つまり何が起こったかというと‥‥‥
「ちくしょぉぉぉぉ!!!!!」
ヒースクリフがわざと見せた隙に反応して思わず放ってしまったのだ。しかも硬直の長い27連撃の二刀流最上位ソードスキル、ジ・イクリプスを。当然ヒースクリフは
「フッ」
キリトを見もせず盾で的確に防ぐ。放ったソードスキルは自分の意思では止められないため
「くそっ!ここまできて!」
ヒースクリフのHPは何と黄色まで削れていた。当たれば倒せただろう。当てられたなら。そして遂に
バキャ!
最後の一撃と共に砕け散る水色の剣。それを見届けたヒースクリフは
「では‥‥さらばだ、キリト君」
硬直で動けないキリトにゆっくりと、絶望を与えるかのように剣を‥‥‥
ザシュッ!
「何‥‥‥だと?」
振り下ろせなかった。何故ならヒースクリフの胸元から一本の刀が生えていたからだ。
「まさか‥‥‥だがどうやって?」
かろうじて後ろを向くヒースクリフ。そこには
「美味しいところだけ横取りするようで申し訳ないが‥‥‥」
ズプ
刀を抜く
ヒュオ
一閃、そして次の瞬間
パシャァァァァァン!
ヒースクリフが、その体をポリゴンへと変え、消えた。そして
『ゲームはクリアされました』『ゲームはクリアされました』
アナウンスが繰り返される。小次郎は
「すまんなキリト。生きているか?」
「ああ、生きてるよ。死ぬかと思ったけどな」
「キリトくぅぅぅぅぅぅん!!!!!!」
アスナさんがキリト目掛けて飛び付いた。生きてて嬉しいのと危ないことをしたことへの怒りとが混ざりあった何とも言えない表情をしていた。
「しかし‥‥‥ここはどこだ?」
キリトとアスナ、小次郎の三人は空中にいた。見れば目の前に崩れ行くアインクラッドがある。すると突然
「圧巻だな」
茅場晶彦がいた。ヒースクリフではない、白衣を着た姿で
「お前!死んでないのか?」
「難しい質問だね。そうとも言えるしそうでないとも言える」
すると茅場はこちらを向き
「まずはこれを言わないといけないな。ゲームクリアおめでとう。現在アインクラッドに残った全てのプレイヤーのログアウトとサーバーの削除が進んでいるところだ」
「あ、ありがとう。その‥‥茅場、実は死んだプレイヤーは現実では生きてるとかは」
「無い。人の命は一つだからね」
キリトの質問にそう答える茅場
「狂っていると思うかい?何、私の幼い頃からの夢を叶えた結果なんだ。昔の私は空飛ぶ鋼鉄の城をよく想像したものだ。何故デスゲームにしたのかというと‥‥‥ゲームを越えた、もう一つの現実を知ってほしかったんだ。ところで一つ聞きたいことがあるんだが」
「何だ?」
茅場は爽やかな顔で
「どうだったかな?この世界は?」
暫くの間を置いて
「「「最高だった!」」」
三人の声がハモる。それを聞いた茅場は満面の笑みを浮かべ
「製作者冥利に尽きるというものだな」
そう言う茅場の体は崩れつつあった。
「おい!どういうことだ!茅場!」
「何、無理をしてここにいるということだ。そろそろ限界なのでね。この辺りで失礼するよ。では諸君、さらば!」
そう言い残して茅場は消え去った。だがまだ城は崩れきっていない上に自分達もまだ消える気配はない。
「どうやらまだ猶予があるらしいな。キリトよ。最後に何か聞きたいこととかあるかな?」
「最後の‥‥どうやったんだ?麻痺があっただろ?」
「ああ、あれか。それはな」
口を開ける小次郎。そこには細かいガラス片が刺さっていた。
「万が一に備えて口の中に状態異常回復ポーションを仕込んでおいたのさ。私はソロなのでね、最悪を想定していつも仕込んでいるのだ。幸い解除可能な類いのものだったからな」
「そんなのするのお前くらいだよ。小次郎」
「ははっ、違いない。おや?」
気が付くと小次郎はログアウトの光に包まれていた
「時間が無いな。おい!キリトよ!」
「ん?なんだ!」
「またどこかで会おう!」
シュン
そして鋼鉄の城に名を馳せた一人の侍は姿を消した。
これにてアインクラッド編は完結です。
フェアリー・ダンス編は?(やるならばヒロインの登場が大きく遅れます)
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全部必要!
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主要な所だけやってくれ!
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不要!さっさとヒロイン出さんかい!