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「さて、まずはレベリングだな。最低限戦えるだけの力を持たなくては」
木綿季に絞られた為、ちゃんと時間になったら知らせてくれるタイマーを仕掛けてALOにログインしたコハル。
「さて、今の私でどこまで行けるか‥‥‥」
身近なモンスターに狙いを定める。レベル的に所謂初心者向けのモンスターだろう。慣れ親しんだあの構えを取る、
「秘剣、燕返し」
シュパシュパシュパ!
パシャァァァァァン!
「むう、衰えたか‥‥‥」
技があっても体のステータスが追い付いていない。本来は三発同時の燕返しだが、三連撃になっていた。
「最低限のステータスと武器を揃えるのが目標だな。この剣で燕返しは出せはするが出しにくい。やはり物干し竿かそれに準ずる刀が欲しいところだ」
とにもかくにもレベルと金が足りない。時間の許す限りコハルはレベリングに勤しむのであった。
そしてそれから数週間。ゲームの時間が思うように取れなくて時間はかかったが満足の行くレベルに達したコハル。金もある程度は貯まった。
「では、武器の調達だな。武器といえばレプラコーンとか言う種族が武器製作に長けていたはず。だがここはインプの領土、ここに居ては会うことは出来ない。確か世界樹の麓に中立都市があったはずだ。そこに向かおう。名前はアルンとか言ったか」
アルンを目指すことにしたコハル。だがALOにテレポートと言った便利な機能はない。オープンワールドをひたすら飛ぶしかないのだ。しかし飛行時間には制限があるため一回の飛行では辿り着けない。その為飛んで着地してはレベリングを繰り返した末
首都アルン
「到着だ!」
一度に取れるゲームの時間が短いせいで二日掛かったが何とか辿り着くことができた。
「まずは情報だ。良い武器屋を探さなくては、その為には優秀な情報屋もいる」
回りの人に聞いたところ鼠のアルゴという情報屋が好評だそうだ。まさかな‥‥‥
「行ってみないと分からない。もしかしたら同姓同名かもしれん」
「ヨッ、何か用カ?」
「ははは、いやはや、ははは」
「何ダ?用がねえなら帰るゾ?」
ホントにあのアルゴだよ。髭のペイントも健在だ。ケットシーの猫耳と尻尾が大層似合ってる。可愛い。
「いやなにここいらでオーダーメイドができる武器屋を探していてな。刀が欲しいんだ」
「ほう、ならここがいいだろウ」
送られるマップデータ。そこには
[リズベット武具店]
とあった。思わず
「運命とは‥‥面白いものだ。ここまで一致するか」
「何のことダ?」
「いや、以前今と全く同じ状況を味わったことがあってな。あのときのアルゴは怖かったぞ?」
「ん?‥‥‥オメェ‥‥誰ダ?」
「名前もアバターも違うからな、分からんのも無理は無い。ではこれでどうだ?私が欲しいのは長い大太刀、ソードスキルを使わない」
「‥‥‥まさか!」
「はっはっは、久し振りだな。元気そうで何よりだ」
「小次郎か!何で名前変えたんダ!?」
「既に使われていてな、これを機会に自分オリジナルのプレイヤーネームを考えたのだよ」
「まあ小次郎って結構有名な名前だからナ」
「ああ、それとアルゴに聞きたいことがもうひとつ」
「何ダ?」
「未帰還のSAOプレイヤーについて何か知らないか?」
すると顔が明らかに暗くなるアルゴ
「あくまでも推測何だがナ、この画像を見てくレ」
見せられた画像には見覚えのある、キリトの最愛の人物アスナさんがいた。だが
「これは‥‥‥鳥籠?それに服装も」
「これがアーちゃんと決まった訳じゃ無いけど有力だろウ?まあこれ以外に証拠らしい証拠は無いけどナ。現実でも出来る範囲で調べた結果今のところこのALOが一番怪しいんダ」
「やはりか、だが武器を揃えたとしてどうすればいいんだ?」
「グランドクエスト‥‥‥だナ。あれが相当理不尽な難易度らしい、端からクリアさせないと思える程の難易度だそうダ。何かあるんだろウ」
「分かった。取り敢えずはレベリングだな。ところで情報料は?」
「SAOの頃からの客だからナ。この程度の情報タダでやるヨ」
「恩に着る」
「おお、見覚えのある看板だ」
コハルは首都に店を構えるリズベット武具店に来ていた。
ガチャ
「いらっしゃいませー。リズベット武具店にようこそ!」
出迎えたのはピンク色の髪をしたレプラコーンの女性、リズベットだ
「ははっ何一つ変わっていないな」
「冷やかしに来たんですか?」
「おおっと、いかんいかん。武器のオーダーメイドをお願いしたい」
「要望は?」
「刃渡り2m程の刀だ。物干し竿と言えば分かりやすいかな?あれは良い刀だった」
「物干し竿を知ってる?でもあれを作ったのはSAOの頃‥‥‥‥あなたは?」
「名前もアバターも変わったから信じて貰えないかもしれないが、SAOの頃は小次郎と名乗っていた」
「ホントに!?」
「ああ、物干し竿は君が徹夜で休まず目の下を真っ黒にして作ってくれた刀だ」
「それを知ってるって事は本物か、分かった、作ってあげましょう。飛びっきりの刀!長さはあれくらい?」
「ああ、だが今回は急ぎじゃない。徹夜までしなくて良いぞ」
「りょーかい。出来上がったら連絡するわ」
それから数日後、ログインしたコハルに出来上がったというメッセージが届く。店に向かうとそこには
「お待ちどうさま。素材から厳選したせいで時間がかかっちゃった。私の自信作よ!」
テーブルに鎮座する一振りの刀。とても長く、鍔がない。
「銘は同じ、物干し竿よ。振ってみて」
シャラン
小気味良い音を立てて抜かれる刀身、美しい波紋が広がっている。軽く振ってみて
「素晴らしい。最高の出来だ。これ以上はない。値段はいくらかな?」
「うーん。10万ユルドで!」
「私としては倍出しても良い。それくらい良い出来上がりだ」
「そうね。なら‥‥‥見せてくれない?あなたの燕返し。一度も見たこと無いのよね」
「見せてもいいが場所は?」
「裏に試し切りのスペースがあるからそこで」
店の裏には槍も振り回せそうな広いスペースがあった。ターゲットの案山子も置いてある。
「特とご覧あれ。これが私の唯一無二の剣技」
いつもの様に左足を軸に右足を下げて刃先を上に構える
「秘剣」
「燕返し」
ヒュオ!
十分なステータスと武器から放たれた燕返しは三発同時の真の燕返しであった。消し飛ぶ案山子が威力を物語る。
「凄い‥‥‥これが‥‥‥」
「満足していただけたかな?」
「ええ、十分。ありがとう」
見せ終わったコハルは背負った鞘に刀を納める。その後ろ姿はまさしくアインクラッドにいた侍の後ろ姿であった。
最近やけに寒いですね。我が家の桜はまだ花が残っています。気温の変化が激しいので体調には気を付けてください
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