「んん?」
目を覚ました俺は保健室のベッドにいた。時計を見ればほんの数分しか経っていない。しかし生前もだが肉体労働は苦手だ。だから今の俺に出来るのは彼女に寄り添い、支えてやることくらいだ。お人好しだって?どうせ本来は無い筈の人生だ。好きに生きるさね。おや?
「良かった。割と早く目が覚めましたね」
「ああ、先生。ありがとうございます」
「お礼は紺野さんにしなさいね?あの子が呼ばなかったら多分あなたのお母さんも帰ってこないって大騒ぎだったはずよ?」
「そうだったんですか‥‥‥あの‥‥凄く痛いんですがどうなってました?」
「幸い骨とかに異常は無かった。でも傷が酷かったから暫くは痛むと思うよ。どうする?家族の人呼ぶ?」
「いや‥‥‥つぅ‥‥大丈夫です。歩けます」
「無理はしないでね?他人も大事だけど一番は自分の体よ?」
「はっ、一人の女の子を守れたんです。名誉の傷ですよ」
「今までも思ってたけど君ってやけに年食った中年みたいなこと言うよね?普通の男の子ならやられた相手に仕返しをまず考えるよ?」
「仕返しはいいです。やったって無駄ですから」
「そういうとこだよ‥‥‥まあいい。なるべくここには世話にならないようにね?」
「善処します」
その日の夜、家に帰った俺は両親に根掘り葉掘り聞かれた。誰にやられた?どうしてこうなった?とね。でも、
「騒ぎ立てないで。骨には異常は無いし、ああいうのは学校側は何もしてくれないから」
こう言うと不承不承といった表情でそれ以上は聞かず一度は引いてくれた。だが、
「次は見過ごせない。次があったら学校に訴える」
顔が本気だった。まあ我が子がこんな目に遭えば普通の親はこういう反応をするだろうな。だが騒ぎになると不味い。下手すると全国区に紺野さんのAIDSが知れ渡る。それだけは絶対に防がなくては。未だにAIDSへの差別は根強いからな。部屋に戻った俺は宿題等をこなしつつ
「明日からは地獄だぞぉ。十中八九俺も虐めの対象になるだろうからな。まあ虐めの対象が増えれば分散するからあれよりはマシか‥‥」
脳裏に浮かぶのは忘れたくても忘れられない生前やられた虐めの数々。なまじ俺一人がターゲットだったせいできつかった。無視や物を隠されるのは序の口。一番辛かったのは耐えかねて先生に直訴したとき。無表情で
「あれはおふざけ。何?そうやって自分だけが可哀想とでも思ってるの?そんなんだから虐められてるって勘違いするんだよ。迷惑だからもう来ないでね?」
あっ俺に味方なんていないんだって思った瞬間だった。そう、虐めで何が辛いって味方がいないと思うこと。俺はそれ以降極度のコミュ障になった。そのせいで出会いの出の字も無い人生だった。だからこそ
「精神的な年長者として彼女は救ってやらねばな。生憎ぼっちには慣れてる。はっ!人のためになるってのはこうも心が踊るのか。ボランティアとかで報酬は人々の笑顔って言い切る奴等の気持ちが分かるよ」
さて、寝るか。体力は温存しとかないと。家族には迷惑は掛けられないからな。
次の日から案の定俺の予想通りとなった。来る日も来る日も虐められる毎日。ただ紺野さんとはその分とても仲良くなり、登下校から給食まで一緒に過ごした。ある時
「ねえ。どうして謙二はボクの為にそこまでするの?ボクを庇ったせいで謙二まで虐められてるじゃん?」
「俺にも良くわからん。ただ一つ言えるのはほっとけなかったってことさ」
「‥‥‥そうなんだ。ありがと」
珍しく元気の無い返事に
わしゃ
「そんな暗い顔せんでくれ。俺が進んでやったことだ。紺野さんに責任はないよ。な、元気出してくれ」
つい頭を撫でてしまった。キモいとか言われないかな?
「むぅ、分かったよ!ボクはいつでも元気なのが取り柄だからね!」
あら?悪く思われてはないらしいな。
パッ
「あ‥‥‥」
なんでぇ!?なんで撫でるのやめただけでそんな捨てられた子犬のような目をする!?
「ん?どしたの?」
「なんかお父さんに撫でられてるみたいだった」
「それは俺が老けて見えるってことか!?」
「いやいやそうじゃないよ!なんか‥‥こう‥‥安心するというか‥‥」
「‥‥‥‥」
誰か教えてぇ!こういうとき何て返したらいいのぉ!?
「あはは!その‥‥またいつか落ち込んだときは撫でてくれてもいいんだよ?」
「ああ、してほしかったら言ってくれ」
この話の後から割と頻繁になでなでをねだられた。そっか、思ったより溜め込んでたんやなって。少しは支えに‥‥なれたかな?
始まりがあれば、終わりがある。雨にも負けず、風にも負けず、虐めにも負けず、そんな生活も永遠に続く事はなく
「もう、お別れか‥‥」
「長いようで短かったな‥‥」
「じゃあ、これからも頑張ってね!」
「それはこっちの台詞だ!」
卒業後は別々の中学に進むことになる。紺野さんは所謂特別支援学校というやつに行くらしい。まああそこなら理解もあるし虐められることも無いだろう。だいぶ俺に依存してる節があったが流石に健常者の俺は特別支援学校には行けないからな。これで一人立ちしてくれれば良いのだが‥‥‥ん?いかんいかん。思考が父親みたいなことになってた。さて、忌々しい学舎に別れを告げていざ、帰るとするか!因みに中学は前世の知識も総動員して私立に特待生で受かってやった。公立に行こうもんなら同じ学校だったやつらに虐められるからな。前は紺野さんがいたし耐えられたが一人じゃまず無理。親は学費が‥‥‥とか言ってたけど特待生で学費免除を勝ち取ったら文句は言わなかった。さて、この卒業から入学までの空白の時間にあれをやるとするか‥‥‥
家に帰り、飯を食べ、部屋に戻った俺の目の前には今まで見たことの無い頭をすっぽり包むヘッドセットがあった。ナーヴギアと呼ばれるこいつはゲームの世界に入れる夢のようなゲーム機だ。前世にこんなのは無かったからな。これだけでも転生できた甲斐があったというもの。さて、親にはちゃんと許可はとったしやるか!
「どれどれ?ソード・アート・オンライン?見た感じ剣で戦うMMORPGといったところか。うむ!心が踊る!」
早速ベッドに横になり、有線のネットケーブルを繋ぎ、ナーヴギアを被っていざ行かん!電脳の世界へ!
リンクスタート!
そう言った瞬間だった。体がふわーっとして宇宙に漂ってるような(行ったこと無いけど)そんな感じ。暫くふわふわしていると
welcome to SAO
というロゴが。なるほど、ソード・アート・オンラインの頭文字でSAOか。何々?まずは名前の設定からか。ふむ‥‥
小一時間程悩んだ末決めたプレイヤーネームは
[KOJIRO]
はい!そうですよ!大剣豪の佐々木小次郎から取りましたとも!だって?剣豪といったら日本人なら憧れるやん?あれっ?これで刀が無かったら最悪じゃ‥‥‥
『ではプレイヤーメイキングを‥‥‥』
まだあるの?
名前決めで疲れはてた俺は日本人っぽいアバターにした。よし!これで!
『では空飛ぶ鋼鉄の城、アインクラッドを心行くまで楽しんで下さい!』
そんなシステム音声と共に視界が真っ白に染まる。視界が戻るとそこは中世の町並みだった。人々の喧騒を前にここがゲームの世界であることも忘れて見とれてしまった。
ようやくSAOにログイン!はてさてこっからどうなるやら。
フェアリー・ダンス編は?(やるならばヒロインの登場が大きく遅れます)
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全部必要!
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主要な所だけやってくれ!
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不要!さっさとヒロイン出さんかい!