仮想世界で繋がる縁   作:ガチタン愛好者

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毎日投稿だと思いましたか?この小説はあくまでも不定期更新です。


第74層ボス戦 ~ザ・グリーム・アイズ~

武具を新調した小次郎は今までの不在を取り返すかのように最前線で活躍した。ソードスキルを一切使わずボスを倒す姿は誰もが憧れ、多くの人がが目指し、その全員が挫折した。小次郎の剣技はとにかく切りつけるときに刃先を正す。ただそれだけのため構えと言うものも無かった。いつしか小次郎は侍という二つ名が付くようになる。

 

 

 

ある日のこと、小次郎は鍛練兼レベリングの為迷宮区に来ていた。小次郎は常に最前線のフィールドで鍛練に励んでいる。

 

「ふむ、だいぶ安定したな。これなら必殺技に手を出してもいいかもしれん」

 

今小次郎が励んでいるのは所謂必殺技というもの。ただがむしゃらに敵を切るのでは味気ないと考えたのだ。

 

「私が目指す佐々木小次郎には燕返しという技があったな。確か‥‥切りつけてそのまま切り上げる技だったか‥‥‥セイッ!」

 

そこら辺にいたスケルトンに考え付くそのままの燕返しを放ってみる。

 

シュパッザシュッ!

 

倒しきれずに思わず下がる

 

「駄目だな。返す刀では火力が全く出ない。何か別のを考えなくては‥‥‥」

 

とにかく切りまくった。

 

回転しながら切る‥‥‥目が回った。

 

突いてみる‥‥‥ダメが全く入らない。

 

「2連撃では不足か?」

 

上、下、上と切りつける‥‥‥ただのいつもの攻撃だ。だが、モンスターは倒せる。

 

「火力的には3連撃が理想か」

 

それからは振り方の研究だ。小さくて素早いモンスターを相手に研究する

 

「確実に仕留められないと必殺技とは言えない。火力は足りてるからどう振れば確実に当たるのか‥‥‥」

 

考える。左右から切る、上下に避けられる。上下に切る、左右に避けられる。そしてたどり着いたのが‥‥

 

「左下!上!右下!」

 

左下から振り上げ、上から切り降ろし、そのまま右下から切り上げる。上下左右どこに逃げられても当たる軌道である。

 

「うむ、これならどんな敵でも当たるな。後はいかに素早く3連撃を叩き込むか、今はまだ‥‥‥」

 

シュパシュパシュパン!

 

「まだ遅いな。これではいけない。それこそ必殺技と呼ぶには3連撃ではなく同時に当たる位で無ければ‥‥」

 

その日から再び小次郎は前線から姿を消した。

 

 

 

第74層迷宮区

「ふう、漸くマッピングが終わったな。しかし小次郎のやつ。またどっか行きやがって」

 

迷宮区のセーフゾーンで愚痴るキリトがいた。というのも55層のボスを倒したところで再び姿を消したのだ。

 

「またどうせどっかで鍛練してんだろうなぁ。前あいつに聞いたら「クリアより剣を磨くのが最優先だ」とか言ってたからなぁ。てか十分強いだろあいつ。何でソードスキル無しでしかも刀で前線で戦えてるんだ?ベータテスターじゃないのに‥‥‥」

 

「あいつは全刀使いの憧れだ。それくらい当然だな!」

 

赤い着物に刀を差すクラインがそう言った。そして、

 

「多分想像を越える鍛練の結果なんだろうね。キリト君」

 

横に座るアスナが答える。なんやかんやあってキリトはアスナと行動を共にしていた。クラインは腐れ縁である。すると

 

「呼んだかな?以外と評価が高くて嬉しいぞ?キリトよ。そしてクライン、私には憧れるな。私はただの棒振りだ」

 

「どわぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ビックリして飛び上がるキリト

 

「お前ビビったぞ!?後ろに立つなよ!」

 

「はっはッは、これは失敬」

 

「てか今まで何やってたんだ?鍛練か?」

 

「ご名答」

 

「やっぱりか!」

 

「相変わらずだね、小次郎君は」

 

「流石は小次郎様!気配を消すなんて訳ねえぜ!」

 

久々に出会った四人はセーフゾーンということもあり暫く談笑に耽っていた。すると‥‥

 

ザッザッザ

 

統制の取れた足音が聞こえた。

 

「ふむ、6人か」

 

「お前人間やめてないか?何で足音で人数が分かるんだ?」

 

「いやなに鍛練の時に複数の人型モンスターを相手取っていたら自然とな」

 

暫くして足音の正体が見えた。同じ甲冑を纏った6人組である。その先頭にいた一際目立つエンブレムが刻まれた男が

 

「休憩!」

 

後ろの5人が疲れを隠しきれない顔でへたりこむ。命令を出した男はキリトの元へ向かうと

 

「私はアインクラッド解放軍、コーバッツ大佐である!貴様らはこの先のマッピングは終わっているか!?」

 

「ああ、終わってるが?」

 

「ならば我々にそのマッピングデータを提供してもらおう!」

 

随分と高圧的な態度である。思わずキリトが

 

「お前マッピングの苦労知ってるのか!?それに人に頼む態度ってもんが‥‥‥」

 

「アインクラッドの攻略は全プレイヤーの悲願である!故に貴様ら一般プレイヤーが我々アインクラッド解放軍に情報提供するのは当然の義務である!」

 

開いた口が塞がらないとはこの事。すると、

 

「まあまあ良いではないかキリトよ。あー、コルベット大佐とか言ったかな?」

 

「コーバッツだ!」

 

「そうそうコンバット大佐よ。私はマッピングが終わっている。ほれ」

 

小次郎はあっさりマッピングデータを手渡す。すると

 

「私の名はコーバッツだと‥‥まあ良い。情報提供感謝する!立て!休憩終わり!」

 

ノロノロ立ち上がる部下を立たせるコーバッツ。思わずキリトが

 

「おい、お前の部下だいぶ消耗してないか?そのままだと死ぬぞ?」

 

「私の部下はそんなに軟弱では無い!前進、前へ!」

 

部下という言葉をやたらと強調してコーバッツは部下を従えて去っていった。それを見送ったキリトは

 

「おい、なんでデータを渡した?」

 

「なに、減るものではないだろう?それにあの様子ではそのまま考えなしにボスに挑むであろう。いい偵察役になる」

 

「だといいが、あの様子じゃ多分死ぬまで戦うぞ?」

 

すると奥の方から

 

うわぁぁぁぁぁぁ!!!!

 

悲鳴が聞こえた。

 

「行くぞ!」

 

キリトの呼び掛けに頷く三人、俊敏さを遺憾なく発揮してボス部屋に急いだ。

 

 

 

第74層ボス部屋

グォォォォ!

 

部屋には青い体をした角が生えてデカイ両手剣を持った悪魔と座り込んで動けない軍のメンバーがいた。

 

「おい!早く脱出しろ!」

 

「駄目だ!結晶が使えない!」

 

キリトの呼び掛けに悲壮な声で答える軍のメンバー。すると

 

「何をやっている!立て!我々アインクラッド解放軍に退却の文字は無い!全員!攻撃陣形!」

 

コーバッツの号令で横一列に並ぶ軍、それを見た小次郎は

 

「愚かな‥‥」

 

案の定ブレスで凪ぎ払われる軍。そして悪魔の振り上げた両手剣の餌食になったのは

 

ドサッ

 

コーバッツだった。誰よりも勇敢に立ち向かった彼は敵の攻撃をモロに食らって吹き飛ばされた。そして皆の目の前で

 

「あ‥‥あり、え、無い」

 

パシャァァァァァン

 

やけに響くポリゴンが壊れる音、すると

 

「駄目ぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

堪えられなかったのだろう。アスナが飛び出した。

 

「あぁ!もうどうにでもなりやがれ!」

 

それにクラインが続く

 

「致し方無いか、行くぞキリト」

 

「応!」

 

 

 

突入した四人はアスナとクラインが軍の救出、キリトと小次郎がボスの対処をしていた。だが、

 

「早くしてくれ!二人じゃ持たない!」

 

「これは‥‥心が踊る‥‥」

 

圧倒的なステータスを前に苦戦していた。そこに

 

「待たせたな!」

 

「ごめん!お待たせ!」

 

アスナとクラインが合流する。だが依然として劣性だった。

 

「おいキリトよ」

 

「何だ!?小次郎!今余裕が無いんだ!」

 

「出し惜しんで死んでは元も子も無いぞ?」

 

「!?」

 

「その顔は悩む顔だ。大方何か隠し持っていてバレるのが怖いのか?」

 

「エスパーかよ、お前は。仕方ないか‥‥おい10秒持たせてくれ!」

 

「請け負った!」

 

すると小次郎はボスの前に立ち

 

「まずは我が秘剣を食らうがいい。下がっておれ!アスナ!クライン!」

 

「応!」

 

「分かった!」

 

グァァァァァァ!

 

振り下ろされる両手剣、それを紙一重で避けつつ小次郎は左足を軸に敵に背中を向け

 

「秘剣」

 

右手で刀を握り、左手を添えた。それは小次郎が取る始めての構えというものだった。

 

「小次郎様が構えを!?」

 

驚愕するクライン。そして‥‥

 

「燕返し」

 

ヒュオ!

 

ボスに刻まれる三本の剣筋、レベルが上がっており目が良いクラインとアスナ、そして準備を終えたキリトには見えてしまった。

 

「三連撃じゃなくて‥‥‥三発同時だった!?」

 

「今の‥‥‥確かに刀が三本あったわよ!?」

 

「ほう、見切れるか」

 

感心した声の小次郎、一気に二本消し飛ぶボスのHPゲージ、そして

 

「決めろ!キリト!」

 

「応!」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()キリトが

 

「スターバースト、ストリーム!」

 

まるで舞を舞うかのごときキリトの剣さばき、時に切り下ろし、時に切り上げ、ボスには大量の剣筋が刻み込まれた。そして遂に

 

パシャァァァァァン

 

第74層ボスである、ザ・グリーム・アイズはその体をポリゴンへと変えた。




正直アインクラッド編とフェアリーダンス編は手早く終わらせたいです。いつまでもヒロイン不在ではいけませんからね。

フェアリー・ダンス編は?(やるならばヒロインの登場が大きく遅れます)

  • 全部必要!
  • 主要な所だけやってくれ!
  • 不要!さっさとヒロイン出さんかい!

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