すみませんでした。
コラそこ!その割に分量少ないとか言わない。
「また異なっておる」
重桜の国に咲く神木『重桜』の下にある神殿。
その玉座に座る、巫女の恰好をした少女は報告書を見てため息をつく。
「戦果の報告というものは、多少の誤差が出てしまうものだというのは分かる。生死をかけた戦場で敵船が何隻沈んだかなど確認している余裕がないことも多い。しかし、これはあまりに違いがありすぎる。もはや誤差の範囲ではあらぬぞ」
鉄血の報告書。
ロイヤルとユニオンの報告書。
戦果が大幅に異なっているのはこれで何回目なのだろう。
「東煌に潜らせたスパイからの報告がこちらになります」
赤城の隣で座っていた加賀が立ち上がり、書類を長門に渡す。
「これは……やはりと言うべきなのか」
「東煌に情報を渡しているのはロイヤルとユニオン。なぜ情報源が同じなのに重桜に渡された報告書とこれほど違うのでしょうね。しかも、東煌のデータは多少違いはあれど鉄血のものと類似していますわ」
「……ロイヤルとユニオンは重桜に虚偽の報告をしていたというのか」
長門のその言葉に驚きはない。
虚偽の報告については以前から感づいていたのだろう。
「長門様。やはりアズールレーンを脱退すべきですわ」
玉座の前で正座をしていた赤城が強くそう進言する。
鉄血が抜けた今、アズールレーンは重桜・ユニオン・ロイヤルの三か国のみ。
そしてユニオンとロイヤルは重桜に虚偽の報告をしている。
重桜は仲間外れにされている。
それどころかロイヤルとユニオンは、重桜と戦争中の東煌の肩を持っている。
このままアズールレーンにいても、メリットはない。
「お言葉ですが、ここでご決断されないと重桜に未来はありません」
加賀も強く進言する。
『決断次第では最悪の戦争が起こるだろう』
三笠様が繰り返し言っていた言葉。
争いをさけ、世界中と協力する道を選ぶ。
ここで決断してしまえば、その道は閉ざされる。
しかし——―
「……皆を集めてくれ。緊急会議を開く」
深く考え込んだ後、長門はそう口を開いた。
「仰せのままに」
彼女たちは礼をし部屋を後にする。
「戦いはいつの世も変わらないということか」
その背中をみてこれから起こる悲劇を受け入れる覚悟を決める。
今後襲いかかってくる厳しい選択を躊躇なく選べるように。
すべては重桜を導けるように。
「よろしかったのですか」
赤城らが立ち去った後、真っ先にそう言ったのは江風だった。
「そうだよ長門姉!三笠先輩には慎重に決めるべきだった言われてたのに」
陸奥も純粋な疑問をぶつけてくる。
「ああ。余もそう思っておった。この判断は、おそらくこれから人類は今までに見たことがない戦乱を起こす。セイレーンとの闘い以上のな」
「だったらなんで?長門姉?」
「前回ユニオンが押し付けてきた東煌との戦争の停戦条件。江風は知っておるだろう」
「……はい。あれはひどいものでした」
「うむ。もともと東煌の土地だった場所だけでなく、明らかに重桜の土地であった場所の譲渡。莫大な賠償金。東煌を今後10年物資を支援し続ける条約の締結。どれも重桜が圧倒的に不利な条件」
「そして今回のこの仕打ち」
「もはやあちらに、重桜との和平の道を歩む気はない」
以前からセイレーンの技術の導入についてなので、ユニオンらとは亀裂が入っていた。
余は亀裂が入るくらいなら導入しないと思っていたのだが、赤城達率いる新統派の強い主張とそれを応援する多数の民の意見を尊重し、結局導入を推し進めてしまった。
結果として、重桜は
代わりに東煌がその地位につき、重桜の民は以前からの東煌への怒りの感情が爆発して戦争に至った。
(余があの時、導入しないことを主張していたら……)
「もうユニオンやロイヤルの子とは仲良くできないのかな」
陸奥の言葉が心に深く刺さる。
自分の意志を強く持たなかったから戦争は、悲劇は起こってしまった。
きっとまた仲良くできる日が来る、と返答することは長門にはできなかった。
廊下を行く赤城と加賀。
それを照らす夕日と舞い散っている大樹『重桜』の花びら。
大樹が花びらを散らすたび、心なしか弱ってきているように感じる。
「……ようやく決断してくださったわ。ここまで長い道のりだった」
赤城が口を開く。
「今になってようやくの決断とは……。長門には覚悟が足りん」
加賀は不満を言い始める。
「そんなことをいうものではないわよ、加賀。それもまた深い愛があってのこと」
「ですが、姉さま」
「この決断は重桜だけでなく世界をも動かすもの。長門様は自分で考えたのか誰かに助言されたかは知らないけれど、そのことの重みを知っていた。慎重になるのも無理はないわ」
「しかし、その慎重さが重桜の危機につながるのですよ?」
「ええ。だから私たちがいるのでしょう?」
赤城の足音が止まる。
天を見上げた彼女はささやくように言った。
「平和のために、愛のために、選択を躊躇しない私たちが……」
彼女のどこか悲しげな眼は、加賀の頭から離れなかった。
何とか文字数増やそうと試行錯誤してたら、こんなに時間たった上に内容がゴミになったので元に戻した感じです。