[WR]FGORTA YAMA育ちレギュ [66日22時間15分32秒]   作:HIGU.V

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書いてないシーンというのは、つまりそれを書くまで未確定。
どういう形にもなるのだ。
でも後から急に書くこともあるかも知れません。


裏:関係性について

魔術協会の調査が終了した日。もはや鬼気迫るという言葉が似合うほどの作家陣を避けて、シンドバッドは手狭になってしまったリビングスペースで体を休めていた。靴を履いたまま生活する英国人は、入室の際に靴をマットで綺麗にしてから入室する。そのため彼らの感覚であると、多少行儀が悪いという程度ではあるが、普通に床に座って、犬をなでながら中空を眺めていた。

 

しかし、何かを思い立ったのか、小さく頷くと自分のサーヴァントではなく、マシュの方へと歩み寄っていく。

 

「あ! シンドバッドさんお疲れ様です」

 

「おつかれ」

 

マシュは先程集めた情報を自分なりに整理して読み返していた。特異点にいる間は常にデミサーヴァントとしての霊基を纏うため、カルデアの時のメガネ姿ではなく、裸眼で読みふけっていた。そんな彼女はシンドバッドに気づくと、高低差の関係で顔を思い切りあげて声をかける。

自分に用事があるのであろうと、近づいてきた彼に意識を向けたのである。

 

「マシュは、大丈夫か? 俺はこれがあるけど」

 

シンドバッドはダ・ヴィンチちゃん特製の耐毒のお守りを触りながらマシュにそう問いかけた。すでに探索も3日目であり、聞くタイミングとしては遅すぎるのだが、マシュは律儀にきちんと応えた。

 

「はい、私はデミ・サーヴァントですので問題ありません」

 

「ならよかった」

 

「でも、皆さん苦しんでます。早くこの特異点を攻略しなくてはいけませんね」

 

「そうだな」

 

話しかけに来たのに、どこか不明瞭な様子のシンドバッド。マシュは少しばかり不思議に思い、何時もはどうだったかを考える。するとよく考えるとシンドバッドと話す時は、何時も間に先輩がいた事に気がつく。

誰とでも仲良くなれるマスターはシンドバッドさんとも仲が良いので、あまり話さない私達にも話を振ってくれます。と改めて尊敬を深めつつ、せっかくこんな機会ですしと、彼女も聞きたいことを聞くことにする。

 

「あの、シンドバッドさんは、サーヴァントの皆さんと、その……お付き合いしてらっしゃるのですか?」

 

マシュから見て、シンドバッドは数少ない先輩ではない人間だった。なんというか、彼女自身自分が色々足りないことを知っているが、彼は自分が足りないこともよくわかっていないようだった。『君は白いキャンバスみたいだ』と、この旅で自分のことを例えられたマシュ。どんな絵にもなるであろうという意味だと彼女は解釈している。

それならばシンドバッドはきっとそう、床と水だけ入った水槽だ。既に何になるかは決まっていても、ビオトープになるのか、水草水槽なのか。どう進むかがまだわからない。

 

だからこそ、聞いてみたかったのだ。いつの間にか召喚したサーヴァントととても仲が良い様子の彼がなにをしているのかを。どこまで行っているのかも少しばかり。

 

「ああ。キャスターも、マタ・ハリも、ミストレス・Cも皆好きだ。結婚もするつもり」

 

「っけ!? い、いえ。それはとっても素敵なことです!」

 

マシュは思いの外進んでいることを改めて意識する。なんかいつの間にか、勝手に先に行かれたような感じですごく不思議な、体験したことのないような思いが彼女の中に渦巻く。

 

「で、でもその。皆さんと結婚……なさるんですか?」

 

「皆好きだからな」

 

「……そういうものなんですね」

 

「そうじゃないのか?」

 

マシュはこういう時先輩がいれば、きちんと話をつなげてくれるのになぁ。と思いつつ、自分がそうできるようにならないと。とより成長することを決意した。

 

「キャスターは優しいし色々教えてくれるから好き。マタ・ハリは何時も一緒に遊んでくれるから好き。ミストレス・Cは……格好良いから好き」

 

「そうですね。好きなものは、きっと良いことのはずです。でも私は先輩がステンノさんに魅了された時、少し嫌な気持ちになりました」

 

マシュは、ふとローマでの出来事を思い出す。それは、彼女にとっても不思議なことだった。ステンノは確かに此方に嫌がらせのように試練を授けてきたが、それ自体はギリシャの神様だからと全然不快には思わなかった。でもその後はどうしてか、すこしばかり嫌な気持ちになった。

 

「それなら、そう言えばいい。俺も誰が一番好きって聞かれて困った。皆好きだから。それを皆に言ったぞ」

 

「それで、どうなりました?」

 

「好きに順番ができたら教えてって言われた」

 

「好きの順番……なるほど」

 

マシュは、何を話していたかも段々わからなくなってきたが、それでも初心に立ち返って思っったこと言いたいことは、しっかり立香に伝えようと決意した。

さっきから、少し離れた所でこっちを見ているマスターを横目に捉えながら。

 

少しばかり非難げな目でこちらを見るシンドバッドのサーヴァントから目をそらしながら。

 

「(そうですね、自分の恋路を話されたら恥ずかしいですよね! ごめんなさい)ありがとうございます。シンドバッドさん」

 

「どういたしまして。俺もマシュと話せてよかった」

 

シンドバッドはそう言って、元の場所に戻っていく。結局どういう用件なのかはわからなかったが、彼が満足そうなので、よしとすることにする。

 

立香とシンドバッドのサーヴァント達が、なぜか微笑ましげに自分たちを見ていることに気づかずマシュは、資料へと目線を戻すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふーん、そういう形になったのか」

 

「やっぱり製作者として気になるのかい?レオナルド」

 

カルデアの管制室にて、レオナルド・ダ・ヴィンチは送られてきた情報に目を通していた。それは、シンドバッドの装備している礼装に対して、現地の作家の英霊がスキルを用いて、宝具と化したものである。

最初に話を聞いたときには、万能の天才たる自分であれば、似たようなことはできるであろうな。といったものであったが、そこにつぎ込む時間的リソースとそれに対する効果を考えれば出来なかった手法でもある。

 

「まぁ、彼自身を宝具としてより、後からの拡張性を高めたのは良いけど、その分なんというか突飛な感じがないね」

 

「いや、そんなに言わなくとも」

 

レオナルドとしては、自分より後の時代に生まれた二人の作家の作品に関しては、知識としては知っていても生前に読んだことは勿論ない。生前自身の作品を様々な形で批評されたことはあるが、このような形で評価された経験はなく、言い得ぬ感情が湧き上がってくるのは事実なのだ。

 

しかも、アンデルセンとやらには、製作者の意図まで見抜いた上であえてそこに乗っけてきたのだ。自分が思いついたのに、それをこんな事で誇っているのか? と言わんばかりに。

 

「まぁ、でもこれでシンドバッド君の命が守れるのならば、良いことじゃないか?」

 

「それは否定しないよ、ロマニ。そうだね、時間がつくれたら、私も立香くんに何かしてあげたいけれど……わざわざ宝具にする必要はないよね」

 

「ああ、まぁ確かに。なんていうか、立香くんはこのままで良いような気がする」

 

 

ロマニもそう云う通り、立香もシンドバッドと同様のものは渡されている。サイズは当然違うが。最も目的が若干異なる竜鱗のアンダーウェアしか彼は着用していない。後は単純な魔術よけのアミュレット程度である。

そもそも敵がサーヴァントである以上、マシュの守り以上に信用できるものがない。今回のロンドンのような、環境を害してくる形のものへの対応は必要であろう。立香にはなぜか高い耐毒性があり、必要なかったが。

 

「それよりも、7番目の神代環境への適応ができるような装備もそろそろ準備しておくべきだろう」

 

「わかってるよ。タイムスケジュール的にまだ余裕はあるけれど、ロンドンは短期間だから良いけど、管制室のスタッフの疲労もある。この限られた人数で3人を観測する必要があるんだ、そっちもどうにか出来ないかとこの天才は日夜研究中だよ」

 

「僕はそれよりも、根本的なリソース不足をどうにかしたいよ。見ているであろうアイツに頼るしかないのかなぁ……」

 

 

カルデアの快進撃、それを支える二人の悩みは尽きないのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだよ、宝具もらってもそんなに戦い方が変わるわけじゃねーのな」

 

モードレットは、後ろで魔本を握りつぶして消し飛ばしたもうひとりのマスターを見てそう呟く。此処数日行動をともにしたことは何度かあったが、基本的にモードレッドは立香とともに行動していたので、あまり関わりがなかった。

戦力のバランスを考えれば、どう考えても護衛、砲兵、前衛と揃っている立香よりも、支援妨害に特化したシンドバッドのほうが良いのは誰が見ても明らかであったが、モードレッドがそう望んだためにそうなったのである。

 

それはモードレッドが、マシュ・キリエライトの持つ武装をみて納得したことからが大きな理由だ。盾野郎と呼ぶ英霊が宿っているマシュの事を気に入っており、英霊の真名を把握しているようだが、明確に告げることはなかった。

事情を知るサーヴァントと同行することで、彼女が英霊の真名を知ることができるかも知れないという点と、この特異点から仲間になったミストレス・Cが高い機動性を少人数限定とはいえ持っていることもあり、ロマニも強く口出しをすることはなかった。

 

しかしもっと根本的な理由として、モードレッドが彼の連れているサーヴァントのような雰囲気を持つ女性があまり好ましくなかったからである。

別に害を与えてきたわけでもないので、嫌いというわけではない。ただ苦手なのだ。まぁモードレッドから見ればよくわからないミストレス・Cという者以外は民草と見るべき存在である。嫌う理由も嫌いなやつに似ていると言った程度である。

 

そういう訳で、これまでの戦闘では、立香とともに最前線に出て、少し引いた所で数は多い雑魚を処理しているシンドバッド一行は、あくまで目の片隅に入れてフォローができるように観察する程度だった。だが、流石にこの最後の敵の本拠地に行く道中では、手に入れた宝具を試す目的なのか、肩を並べる機会が増えた。

 

 

「戦い方を変えることはできない。これしか知らない」

 

「ッは! 違いねぇ。にしても無手でマスターが戦うとか正気じゃねぇな。魔術とは行かずとも、自衛の銃くらいは持たされてないのか?」

 

「俺もシンドバッドも、魔術師じゃないし、銃の扱いがわからないからね」

 

 

 

追いついてきた立香がそうつなげるが、事実である。自衛用の武器を持ったマスターがパニックになって乱射するリスクがある以上、しっかりとした扱い方を学ぶ時間を作る余地、その時間をサーヴァントとの連携に当てたほうが、ずっと効率が良い。

 

故に、立香も礼装の基本的な魔術と、基礎体力の向上位しか自分を高めることはしていない。自分を守るということならば、マシュに全て任せているのだから。

 

「そーかよ。まぁシンドバッドは筋は悪くねぇ。円卓とは言わなくとも騎士くらいなら目指せるんじゃねーか?」

 

「それは嬉しい。ありがとう」

 

そう返しつつも魔本を吸収したシンドバッドは、少しばかり呆然と虚空を眺めていたが、新手が湧いてくると、すぐに構えを取り戦闘態勢へと移行した。

 

 

「どうやら、そろそろ敵さんの本拠地みたいだぜ」

 

徐々に広くなる通路と、前方より濃い霧と、魔力が流れてくるのを感じ取る一行は、敵の首魁3人組の最後の一人である、Mのいる場所までついにたどり着いた。

 

 

「来たか……カルデア。勝てない戦いに奔走する者達よ」

 

それは、この時代に生きている、普通の人間であった。いや、人間だからこそ、聖杯の持ち主に成れたのであろう。簡単に御すことができたのであろう。敵は魔術師であれば誰もが頭を垂れるような存在なのであろうから。

 

マキリが長々と御託を並べている間、シンドバッドは止まらぬ動悸と発汗に苦しみながらも、自身のサーヴァントの前に立つ。

 

そしてマキリが召喚の口上を読み上げ始めたその時、背筋に感じた直感に従い、近くにいた立香を掴む。

 

「なっ!!」

 

「マシュ! ヤバイ!」

 

そして、サーヴァントたちにも身を守るように指示を飛ばして、マシュの盾の後ろに転がり込んだ。普段ならば自分のサーヴァントをかばおうとする彼が、立香をなぜかかばいに走った。その意味はすぐに分かる。

 

狂化のための一節を追加された召喚が完了した瞬間。閃光と震動が走り、天井が崩落して来る。一瞬の出来事であったが、マシュは応えてみせた。盾をかまえ、そのサーヴァントの膂力で自身を含めて3人を庇えたのである。

 

他のサーヴァントも吹き飛ばされるほどの衝撃とともに現れたニコラ・テスラは、自身を呼び出したマキリがモードレッドによって一撃で葬られていることを気にもとめず、それでいて人理焼却の片棒をかつぐのに抵抗があるのか、走ることも飛ぶこともせず、ただ歩いて悠然と立ち去っていく。

 

直ぐに敵を追撃するかどうか何人かのサーヴァントは逡巡したものの、相手が仕掛けてこないならばと、警戒しつつもまずはマスターたちを助け起こすことにした。

 

 

「おい、大丈夫か?」

 

「な、なんとか」

 

「はい、無事です」

 

「平気……だ」

 

 

生身の肉体を持つ3人は無事だった事が確認できたので、彼らはすぐさま今歩き去った敵へと追いすがるのであった。

 

 

 

 




公園デビュー回

レイシフトしてから、あやば、空気に毒入ってね? とかロマニそれ人類最後の希望に対する態度なん? とか

魔術師や鯖、幻想種以外やばい。なのに現地人の非魔術師のジキル氏が大丈夫なところとか

そもそも人がいないロンドンに敵が徘徊しているのを、路地とかで建物を一切傷つけずに戦うとか

どうすればいいのかわからなくてただただ悩んだロンドン編終了です。
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