雷の鳳は天を翔る   作:ルプス・ハティ

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お待たせしました、仕事の合間にちょっとづつ書いてたものを上げます。


第3話宇宙を夢見る兎

やってくれたね、ちーちゃんの弟くんは!これは束さんも激オコ案件だよ!私の大切なやっくんになんてことをしてるんだ!まぁ、大怪我の原因であるちーちゃんにはその日に電話でお説教したけどね。

 

一夏「イテテテ、一体誰が…っ!束さん?!」

 

束「気安く呼ばないでくれるかな?弟くん、束さんは今すっごく怒ってるんだよ。」

 

いや、ホントのホントに怒ってる。殴りたい衝動に駆られてるもん、ヨシ、ゴリライズしてパンチングコングしてパンチングブラストしてやろう。うん、そうしよう。

 

千冬「束。」

 

束「何?ちーちゃん。今から弟くんにパンチングブラストしてやろうと思ってたんだけど?」

 

止めないでね、コレもう確定事項だから。

 

千冬「せめて、フィーバーにしろ。それよりも、お前あのアリス服どうした?」

 

ヨシ、ブラストフィーバーに変更だね。ちなみに私の今の服装は、上下お揃いの作業着に黒の無地Tシャツを着て。あ、作業着の上は腕まくりにファスナー全開だから。でないとねぇ…収まらないの。ナイスバディだから。

 

束「え、だって。これ仕事着だし、私これでも就職してるんだよ?」

 

おー、ちーちゃんがびっくりしてる。そりゃそうだ、私が就職なんてするハズないなんて思ってたんだね。両親なんて泣いて喜ばれたなぁ。

 

千冬「就職?!お前が?!何処にだ?!」

 

束「私?あの、亡国機業の宇宙技術開発部門兼IS開発部門に就職してるの。そこで、今はチーフ任されてるよ。」

 

いやー、おかげで毎日が大忙しだよ。会議は長いし、残業多いし、こないだなんて皆深夜テンションでISのブースターで焼肉したなぁ。後で社長にバレてしこたま怒られたけど……。やっぱり、ISのブースターで焼肉ダメ絶対。また怒られたら、お給料減らされる。それだけは絶対阻止!

 

千冬「束…。」

 

何?ちーちゃん、私の肩なんて掴んで。私そろそろ弟くんにブラストフィーバーしたいんだけど。

 

千冬「りっばになっだな。(立派になったな。)」

 

うわ!汚ねぇな!元とは言え世界最強のブリュンヒルデがしていい顔じゃないよ!あーあー、涙と鼻水で顔ヤバいよ顔。

 

一夏「束さん!」

 

あ、弟くんのこと忘れてた。

 

束「何?覚悟出来た?」

 

一夏「何の覚悟ですか?!」

 

うるさいし、そろそろ黙らせよう。えーと?アレ?どこしまったっけ?パンチングコングキー、アレ?

 

???「チーフ、ここに。」

 

束「あ、ありがとう!くーちゃん!」

 

いやぁ、できた助手を持つと色々楽だねぇ。書類とたまの始末書の山からは逃げられないケド。

 

千冬「束、この女性は?」

 

束「あー、この子はね…。」

 

???「クロエ・ボーデヴィッヒと申します。此度は、社様の専用機専属メカニックとして、亡国機業から出向して参りました。以後お見知り置きを。」

 

千冬「なるほど、彼女か。話は学園長から聞いている。教員用の部屋があるので、そこで寝泊まりしていただくが宜しいか?」

 

クロエ「はい、ありがとうございます。」

 

うんうん、私の助手のつかみはOKだね。さてと…。

 

束「じゃ、弟くん。そろそろ殴るね。」

 

一夏「イヤイヤ!束さん!おかしいd『 POWER!!』」

 

ん、相変わらず硬いなこのロック。ギチギチいってるけど気にせずやりますか!

 

束「ぬぅぅぅぅぅぅあぁぁぁ!!」

 

女の子が出していい声じゃないけど、これぐらいしないとコレのロック外れないんだもん!誰だよ!こんなに硬いロックにした奴!!名乗り出ろよ!私だ…。

 

千冬「束、貸せ。私が開けてやる。」

 

え?ちーちゃん、左手でやるの?まぁ、しょうがないか。利き手折れてるもんね、うーわ。メキャメキャ鳴ってるよ。しかも、親指だけでメキャメキャ鳴る?

 

千冬「墳っ!」カキン!!

 

開けた?!嘘でしょ?!両手でも開けられないのに片手で?!指で?!もう、あのキーはちーちゃんにあげよ。

 

千冬「開けたぞ、ここからどうすればいい?」

 

束「ん?あ、それね。もう1回ボタン押したら。ブラスト出来るよ。」

 

千冬「ならば。『 POWER!!』」

 

軽快な待機音が鳴り響いてるね。この待機音。やっくんの携帯着信音にも設定されてるんだよね。カッコイイよね、エイムズショットライザーの必殺技待機音。私はGIRIGIRIチャンバラの返信音が変身音に設定してるんだよね。

 

千冬「束、ここからは?」

 

束「後は、そのまま殴ればOK!」

 

千冬「分かった。一夏ぁ!歯を食いしばれぇぇ!!」

 

一夏「えぇ?!千冬n!ゴッハァ!!」

 

わーお、躊躇いがなかったねぇ。左のストレートか、フックやるかなって思ったけどまさかのストレートかぁ。くーちゃん?なんで小さくガッツポーズしてるの?そんな性格だった?束さん知らないくーちゃんの一面を見たよ…。

 

???「千冬さん!貴女!自分の弟になにを?!それに姉さんも!自分たちが何をしたか分かってるんですか?!」

 

ん?うわぁー、今まで空気だった奴がしゃしゃり出てきたよ。コイツがいるとややこしくなるから嫌いなんだよね。

 

千冬「織斑先生だ、篠ノ之箒。分かってるかだと?分かってやってるに決まっているだろ?」

 

束「そうだよ、それにやっくんはウチの、つまりは亡国機業の企業代表なんだよ?本来なら訴えられてもおかしくないんだよ。分かる?裁判されたら賠償金まで発生する案件を弟くんはやったんだよ?」

 

その言葉に教室がザワつくケド知ったことか。あの子は私の夢を応援してくれているんだ。あの子だけじゃない、社の皆も同じ夢を持っていたり叶えて欲しいから応援してくれる人達がいるから。私は頑張れる、走っていける。例えつまづいても、転んでも、私は走り続ける。そうやっくんに誓ったんだ。

 

箒「あんな男が死んでも、変わりなんて掃いて捨てる程いるではないですか!」

 

その言葉にザワついていた教室が静かになった。変わりだって?掃いて捨てる程いる?ふざけんな!

 

束「ふざけんな!やっくんはやっくんたった一人だけの存在だ!死なせない!絶対に!」

 

千冬「束の言う通りだ。アイツは死なせん、アイツには叶えて貰いたい夢があるからな。」

 

束「ちーちゃん、聞いたんだ。やっくんの夢を…。目標を…。」

 

千冬「ああ、私達では達成出来なかった目標をアイツはしっかりと持っていた。だからこそ、全力で応援する。」

 

やっくんの目標はいずれ自分から言ってもらおう。それよりも…。

 

束「おい、愚妹。知ってる?お前、絶縁されてるってこと。」

 

箒「なっ!嘘だ!」

 

束「本当だよ。ここに絶縁状まで両親から預かってる。いつか渡そうと思ってたケドまぁいいや、良かったじゃん。私からの関係が切れて。」

 

そう言って私は絶縁状を愚妹の机に叩きつけた。愚妹は一心不乱に絶縁状を読んでいたのだがやがては、大人しくなった。私は知っていた。この愚妹が私を憎み、都合が悪くなると私の名前をだして黙らせていたことを。当然、そんなことをしたら真っ先に連絡がいくのが両親だ。そこから私にも連絡は回ってくる。酷い時なんて社に殴り込みにくるパターンだ。その時の私はひたすらに謝るしか出来ない。私や両親がどれだけ頭を地に擦り付けたかはこの愚妹は知ることもない、そもそもコイツは他人に興味なんてない。剣道をやっているのも、ただの憂さ晴らしと他者を屈服させる手段として用いている。おかげで門下生は軒並み居なくなり、道場を畳むなんて大惨事が起こったほどだ。全く、ロクでもないったらありゃしない。

 

束「さて、私の用事も終わったし。やっくんの治療にいかなきゃ。それにあのイギリスっ娘にもお礼しなきゃだし。」

 

千冬「なら医務室まで案内する。山田先生、そこに転がってるバカは、放っておいて自習をさせておいて下さい。」

 

真耶「は、はい!」

 

クロエ「では、私は学園長にご挨拶に行ってきます。チーフ、社様をお願い致します。」

 

助手にそう言われたら張り切らないワケがない!

 

束「任せてくーちゃん、必ずやっくんは助ける。それに『あの子 』のことよろしくね。」

 

くーちゃんがコクリと頷くのを確認してから、私はちーちゃんの案内で医務室まで走り抜けた。医務室前の廊下であのイギリスっ娘が自分の身体を抱いて壁に向かって蹲っているのを見つけた。その壁にはベッタリと赤い赤い血が付着していた。きっと座りこんだ拍子に音が鳴って、振り返ったんだろう。ちーちゃんは私に目配せで「頼む。」と言わんばかりの視線を投げかけた。私はそれに応えるように頷き返して、医務室に駆け込んだ。医務室のベッドには、呼吸器をつけ全身に汗と血を流しているやっくんの姿があった。

 

束「やっくん…。」

 

保険医「失礼ですが、部外者の方は退室をお願いします。」

 

束「亡国機業から来ました。篠ノ之束です。やっくん…。彼のことを聞きつけて馳せ参じました。」

 

保険医「篠ノ之束博士?!失礼しました!」

 

束「いえ、こちらこそすみません。彼の容態は?」

 

保険医「今は、解熱剤と痛み止めの作用で落ち着いています。先程までは、本当に危険な状態でした。」

 

そっか、ならこの子の出番だね。

 

保険医「博士、それは?」

 

束「今、亡国機業で開発している医療ナノマシンです。名前は『デンジャラスゾンビ 』。」

 

今どっかで「ホウジョウエムゥゥゥ!!」って聞こえた気がする。うん、気にしたら負けだね。

 

保険医「大丈夫なんですか?」

 

束「試験的に私にも投与しています。問題はありません。副作用として、代謝が上がり垢が出やすくなったり、ちょっとした傷なら瞬く間に完治します。」

 

ただ男性に投与したことないから、もしかしたら他にも副作用でるかもだけど…。

 

保険医「な・・・なるほど。ただ名前が凄く不安ですが…。」

 

うん、だよね。ネーミングしたのは、ウチの社長なんだよね。社長デンジャラスゾンビ好きだもん。

 

束「ネーミングについての、クレームは社長にお願いします。」

 

保険医「変えようとはしなかったのですか?」

 

束「押し切られまして。」

 

気迫がヤバかった。本当にヤバかった。あそこまでの社長見た事なかったから皆気圧されたんだよね。おっと、話が逸れちゃった。早速、保険医の人に注射器を借りてナノマシンを投与した。心做しか少しやっくんの顔が穏やかになった気がした。ふと首のロザリオに目をやって、静かにロザリオを外し目を閉じて胸に抱いた。

 

束(ごめんね、少しの間だけやっくんと離れ離れになっちゃうけど直ぐに会えるから。我慢してね。)

 

束「やっくんごめんね、このロザリオちょっと借りてくね。必ず返すから、だからやっくん負けちゃダメだよ。」

 

私はそう言い残して、医務室を出た。

 

千冬「終わったか?」

 

束「うん、もしかしたら2~3日で目が覚めるかな。もしかしたら傷跡は残るかもしれないね。その間にこの子をちょっと調整するよ。」

 

千冬「刀隠のロザリオ?」

 

束「やっくんには、黙ってるけど。実はコレISなんだ。それも、『白騎士 』よりも先に作ったIS。」

 

千冬「何?!ならそれのコアは!」

 

さすがはちーちゃん、察したね。そう、この子のコアは『白騎士 』のコアのNo.001とは違うNo.000。つまりは本当の意味での始まりのコアと機体。やっくんにはお守りとして10年前に渡したもの。

 

束「誰にも反応しなかったこの子が、唯一反応したのがやっくんだったの。一応、私とは会話はしてくれるけど、機体に搭載しても起動出来なくて。持て余す格好になっちゃったんだよね。」

 

たまたまのやっくんとの出会いでこの子が反応したから、やっくんに託した経緯があるけどそれは、また別のお話で明かそうか。

 

束「じゃぁ、私は会社に戻るね。この子を完璧に調整しないと、また訓練機みたくバッキバキに壊れるからね。」

 

もー、やっくんの身体能力が高すぎるのも考えものだよねぇ。

 

千冬「束、コレ。貰っても良いか?」

 

そう言って、ちーちゃんがパンチングコングキーを私に見せてきた。

 

束「どうぞ、それはちーちゃんにあげるよ。お仕置き用にでも使う?」

 

ちょっと冗談で聞いて見たのに、真剣に考えて「アリかもな…。」なんて呟いてた。学園の皆ごめんね、余計なことしたかも…。

 

束「じゃ、じゃぁ、ちーちゃん。私そろそろ行くね。なるべく早くこの子届けにくるから。」

 

罪悪感に押し潰される前に、この場から去ろう。そうしよう。

 

千冬「ん、分かった。受け取りの際は私が受け取ろう。」

 

束「それがいいね、この子はちーちゃんになら。触れていいって言ってるし。ただやっくんがねぇ…。」

 

千冬「刀隠がどうした?」

 

束「社長とかに聞いたんだけど、やっくん。この子のこと、余程心から信頼した人じゃないと触らせてもくれないんだって。ん?そっか、ならお願いね。」

 

千冬「相変わらず、ISとの会話が出来るのはお前ならではの利点だな。」

 

そりゃあ、生みの親ですから。世界のコアは私の娘みたいなものだよ。

 

束「この子はやっくんともお話したくて、堪らないんだよ、早くお話させてあげるからね。ちょっとだけ待っててね。」

 

そのためにも、一刻も早く調整を終わらせないと。会社の皆に協力してもらおう。終わったらご飯でも奢ろう、焼肉かなぁ?しばらく食べてないからなぁ。

 

束「じゃぁ、ちーちゃん。やっくんのこと頼んだよ。」

 

千冬「任された。刀隠は全力を持ってサポートさせて貰う。私達の夢の為に。」

 

私達は微笑みながら、グータッチをして別れた。正門に社員の人が迎えに来てくれていて、車内で研究室に電話をしたら、皆ノリノリで了承してくれた。これは、束さんの貯金ちょっとだけ崩す覚悟決めとかなきゃね。なんて考えながらロザリオを握りしめた。

 

束(待っててね。やっくん、この子を完璧に仕上げちゃうからね。)

 

私は後部座席の窓から青空を見上げた。まさに蒼天といわんばかりの空がそこに広がっていた。

 

 

 

 

 

 

後日、私の貯金から4分の1が消し飛んだのは、痛い思い出になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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