青い狸猫の異世界冒険記   作:クリスチーネ小林

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13話 分断

持ち前の驚異的な視力で岩場の岩をすり抜けて皆のせたヨットは進んだ。

 

 

「ふう~何とか、あの霧の魔物の幻覚から抜け出せたね···」

 

 

「すみませんドラちゃん···私がもっと早く気づいていたら···なんと言う不覚····」

 

 

雪菜は己の失態を恥じて自分自身を責めた。そんな雪菜を皆は励ました。

 

 

「大丈夫ですよ雪菜さん。少なくともこうやってみんな無事にあいつから逃げだせれたんですから!」

 

「そうですよ。私なんてオタオタしてただけで、運転も佐天さんがしっかりとしてくれてましたし···」

 

「とにかく、こうやってみんな無事だから元気出して。もう少し進んだらお昼にしようね!」

 

 

「ドラちゃん、皆さん····ありがとう」

 

 

佐天から運転を代わり、衛星ロケットの地図に示したルートを見て進んでいると目の前の進行ルートのど真ん中に巨大な山がそびえ立っていた。

 

 

「ん~?あれぇ~!?おかしいなぁ····昨日モニターで確認した時にはこんな黒い山なんてなかったのに···」

 

目の前の山と昨日確認したデーターを見比べてドラえもんは困惑した。

 

 

「ドラちゃん!!これは山ではありません!!これは···」

 

 

雪菜の言葉に皆は一斉に山に注目すると黒い山と思っていたモノは蠢いた。それの正体はとぐろを巻いていた恐ろしく余りに巨大な黒蛇だった。

 

 

天辺から少し頭を下げてその巨大な頭を皆に向ける。爬虫類特有の感情を感じ取りにくい無機質な眼が獲物を見定め、特殊な魔力で皆の動きを封じていた。

 

 

かつて仲間と共に大魔境へと挑んだ際、巨大な丸太の様なアナコンダに遭遇した過去があるドラえもんは今、目の前にいるこの山脈の如し黒蛇に比べればなんと可愛いかったんだろうと感じた。

 

 

佐天とシリカは二人揃って睨まれた蛙の気持ちを理解していた。動きたくとも身体はマトモに動けずただ、小刻みに震える作業しか出来なかった。

 

 

佐天は腰に差してある電光丸を握ろうとするがそれすら出来ず黒蛇の眼に縛られていた。

 

 

シリカも黒蛇の眼から発せられる魔力に縛られていた。それとは別にかつて仮想空間で捉えられた際、巨大な怪物とよく対峙していたがそれよりも遥かに巨大で何より生身の身体で直に遭遇して巨大な存在感と圧力によって精神的にも棒立ちしていた。

 

 

沈黙を撃ち破ったのは雪菜の声だった。

 

 

「皆さんしっかり!!動いて、ハァー!!」

 

 

魔力による縛りを壊し、いち早く動いた雪菜は地面を蹴り、跳躍して自分の全体重と力をのせた無敵矛を黒蛇の頭部へと撃ち下ろした。

 

 

ガキィーン!!「なっ!?」

 

 

威力十分な矛の一撃は簡単に跳ね返された。

 

 

「くっ····!(か、硬い!あの鱗はこの鋼鉄を貫ける矛でも無傷!これではどうすれば···!?)」

 

 

黒蛇は雪菜の一瞬の迷いを見逃さず人一人簡単に丸飲み出来る程口を開きながら突進してきた。

 

 

(皮膚が駄目なら唯一柔らかい眼を狙えば!)

 

 

雪菜は無敵矛を両手で握り、踏み込んで黒蛇の左眼を狙った。だが、その動きを察知したのか、黒蛇は瞬時に頭の軌道を変えて雪菜からの刺突を避け、雪菜の遥か斜め後ろに立ち竦む佐天に狙いを変えた。

 

 

「なっ!?私の動きを読まれた!!」

 

 

黒蛇は大きく開いた顎から牙を剥き出しにして佐天に襲いかかる。

 

 

佐天は目を見開き未だ身体を震わせて棒立ちしており、腰に差してある電光丸を握る事すら叶わない状態だった。両の瞳からはうっすら涙すら滲ませてすらいた。  

 

 

「佐天さん!!黒雷(くろいかずち)!!」

 

 

雪菜は八雷神法(やくさのいかずちのほう)の一つ黒雷を発動させた。霊気を練り上げ呪的身体強化による敏捷性の上昇により、残像すら生み出せるスピードで佐天に迫る獰猛な黒蛇の牙へ向かった。

 

 

「間に合ってー!!」

 

 

雪菜は矛を握りながら右腕で間一髪で佐天を抱き寄せ庇ったが無防備になっている左側面の左腕上部に黒蛇の牙を掠めてしまった。

 

 

「う"ぅーっ!!」

 

 

左肩部分の制服が引き裂かれ傷を負い鮮血が吹き出した。

 

 

雪菜の鮮血を見てようやく正気を取り戻した

 

 

「ゆ、雪菜さーん!!」

 

 

倒れた雪菜を抱き抱えて、地面に倒れ込んだ。顔を見ると顔色は悪くなっており、意識が溷濁した状態になっていた。

 

 

「わ、私を庇って!!雪菜さんしっかり!····も、もしかしてこれは毒にやられている?そんなっ····!!ドラさーん!!」

 

 

 

一方その頃のドラえもんは魔力による縛りから解き放たれて、慌ててポケットに両手を差し込み道具を取り出そうと必死であった。

 

 

「うわぁぁ~!?えっと、えっとこういう時は、桃太郎印のきび団子ォ~って、これは但のどら焼きぃー!!だったらひらりマントで····ってこれはどら焼きの安売りのチラシー!!あーもー何で僕は慌てると何時もこうなってしまうんだぁー!!」

 

 

如何に大冒険の経験があってもこの慌てる癖は治らず今もバケツやひび割れた丼等関係無いガラクタを取り出して無意味に状況を悪化させていた。

 

 

シリカは雪菜のお陰で拘束から解き放たれたものの、極めて巨大な黒蛇の迫力と無機質なあの眼に睨まれた恐怖と圧迫感に身体がマトモに動けずにその場に伏せっていた。

 

 

(あ"っ、あ"っ····そんなっ···私はSAOや、ALOで散々巨大で手強い怪物達と戦ってきたから平気だと思っていたのに···身体が震えて何も出来ないよ·····これが仮想空間と現実の違い······怖い、怖いよぉ、ピナァ····)

 

 

巨大な黒蛇に間近で睨まれてしまい、シリカの精神(こころ)は容易くへし折られてしまっていた····

 

 

黒蛇は標的だった佐天を仕留め損なってしまったが、もう一人の無力的な獲物に気がつきその巨大な全身をしならせて身体の末端部分である尻尾を鞭の様に振るってシリカに放とうとしていた。

 

 

シリカに巨大な鞭の如き尻尾がウネリを上げて迫ってきた。それに気づいたドラえもんは咄嗟に飛び出しシリカを抱き庇った。

 

 

「シリカちゃーんっ危なーいっ!!」

 

 

バチィィィーンッ!!!

 

 

「うわぁぁ~!!!」

 

「どっ、ドラえもんさーん!!?」

 

 

尻尾の一撃がドラえもんに直撃し、シリカを抱き抱えたまま、転がる。

運悪く転がった先は昨夜の地震で崩れて出来上がっていた急角度の傾斜でそこに二人は転がりながら落ちていった····

 

 

 

ドラえもんとシリカが黒蛇の尻尾の一撃を受けて落ちて行く様を、なまじ視力が高くなった佐天はハッキリと見てしまい、唖然としてしまう。

最早この危機を打開する方法は思い付かず、目の前の黒蛇と抱き抱えている雪菜を交互に目をやりふと、ヨットが視界に入った。

 

 

(いっ、今は逃げるしかない!!)

 

 

佐天は黒蛇がシリカとドラえもんが落ちていった方角を見つめている隙にヨットに雪菜を乗せて何でも操縦機を手にして脱出を図った。黒蛇はそれに気づいて全身を伸ばして囲い込む様にして脱出経路を塞ごうとする。

 

 

「道がっ!くっ、シリカさん達が落ちていった逆方向しか逃げ道が無いっ!?·····このぉー!!」

 

 

ハンドルを握りしめて急加速して黒蛇から離れた。黒蛇は逃げる獲物を逃すまいと頭を天空に伸ばし、勢いをつけて突進してくる。

 

 

「なにくそぉー!!」

 

 

昨夜地下室で見せたドライビングテクニックを駆使してギリギリ間一髪直撃を避けて更に加速してその場から緊急離脱に辛くも成功した。

 

 

(どんどんドラさん達の落ちていった方向から遠ざかっちゃう····でも今はこうするしか····)

 

 

自分の無力さに唇を噛みしめ、悔しい気持ちに焦燥感が加わるが今はただ、逃げるより方法がなく、ハンドルを握り雪菜を連れて、ひたすら安全な場所を求めて移動する佐天だった。

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁぁっ~!!!」

「ドラえもんさんっ!?」

 

 

その頃のドラえもんはシリカを抱き抱えケガをさせぬ様に庇いながら急角度の傾斜を転げ落ち、途中で倒木等にぶつかりながらもようやく平らな地面に到着して動きを止めた。

 

 

「うぅっ···ハッ!?、どっ、ドラえもんさんっ!?しっかりっ」!

 

「うぅぅ~ん····」

 

 

しばらく意識を朦朧としていたシリカは正気を取り戻し、目の前に自分を守ってくれたドラえもんに寄り添った。恐怖と絶望に支配され録に身動きすらままならない自分を抱き抱え、黒蛇の攻撃と転げ落ちている最中もケガをしないように庇ってくれたドラえもんを心から心配し、その身案じていた。

 

 

「あぁっ···私を庇って、こんなにボロボロに····私、どうすれば····」

 

 

嘆き、焦りオロオロしているとドラえもんの意識が戻った。

 

 

「ん"ん"····あっ···シリカちゃん。良かった無事だったかい?何処か痛い所はないかい?」

 

 

「わ、私なら大丈夫ですぅ!ドラえもんさんのお陰でぇ·····私、怖くて何も出来なくって····私のせいでゴメンなさぁ~い!!」

 

 

シリカは自分の不甲斐なさと弱さのせいでドラえもんにケガを負わせた事に堪えきれずにとうとう泣き叫んでしまう。そんなシリカを優しくドラえもんは慰めた。

 

 

「シリカちゃん泣かないで。僕はロボットだから少し位ボロボロになってもへっちゃら何だからさ。それに前に言ったでしょう?僕が君達を絶対守って元の世界へ戻すって!だから大丈夫さっ!」

 

 

「ドラえもんさん····」

 

 

ボロボロの状態であっても優しい言葉で励まし、慰めてくれるドラえもんにシリカは深く感激して感謝した······が、

 

 

プッシュー!!

 

 

突然ドラえもんの頭から煙が吹き出し、両目がスロットマシーンの如く回り様子が急変した。

 

 

「アバババ!テケテケテケボー!!」

 

「へっ?えっ、えっ、えっ!?」

 

「ガーガー、ピーピー!!」

 

 

「も、も、もしかしてこっ、壊れちゃたのぉ~!?そんなっ?ドラえもんさんしっかりー!!」

 

 

ドラえもんの身体を必死で揺するが一向に元に戻らない様子にシリカは混乱しつつ、慌てて頭を捻って考えて考えた。

何とかしないと!ッという焦りからシリカは自分でも気づかない暴挙に出てしまう。

 

 

(えーと、えーと·····私のせいでこうなったんだから自分で何とかしなきゃ!どうする?どうすれば?考えろ、考えろー!!·······はっ!そうだっ!!)

 

 

焦りながらも必死で頭の中で考えて突如、ある事を思い出した。それは元の世界で何気なく視聴していたバラエティ番組で、ある芸人が

「今の家電製品は精密過ぎますなぁ。昔のテレビとかだったら、こう、空手チョップとかで簡単に不具合も直せたんですのに····」

とっ、言った事を思い出した。

 

 

「ゴクッ····チョップ···素手だと痛そうだから、この借りてる模擬戦用のゴムダガーの柄で····」

 

 

思考が暴走して昔のテレビと22世紀の未来から来たロボットをごちゃ混ぜにして昭和の時代の家電製品の直し方を実践しようとするシリカを止める者は今、誰も居なかった·····

 

 

「よ、よーし行きますよぉ···ちょっと痛いかも知れないけどガマンして下さいドラえもんさん」

 

 

緊張して力み過ぎる余り、模擬戦ダガーにエネルギーが行き渡っているのにすら気づかず、シリカはドラえもんの側頭部にダガーの柄を叩きつけ様とする。

 

 

「えっと、確かこう···気合いを入れて····チェストォォー!!」

 

 

ダガーにエネルギーが行き渡り、ソードスキルが無意識に発動した。

 

 

ドゴッ、バキッ、メキィッ!!

 

 

「あ"っ····································」

 

 

プッシュ~···········

 

 

 

「あっぷくぷーのチンチロリ~ン」

 

 

 

 

「間違ってシャドウ・ステッチ発動してトドメさしちゃったぁー!?」

 

 

シリカは一人心の底から叫んだ。

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

その頃、辛くもギリギリ黒蛇から逃げる事に成功した佐天はヨットを走らせて、何とかドラえもんに合流出来ないか道を探してはいたが完全に迷子なって途方に暮れていた。

 

 

「何とかあの黒蛇のいる場所を避けてドラさん達が落ちていった所を目指さないと·····」

 

「ゴホッ!ゲホッ····」

 

「ゆ、雪菜さんっ!?しっかり!どんどん顔色が悪くなってるどうすれば·····何も浮かばないよう·····」

 

 

雪菜は黒蛇の攻撃から佐天を守る際、毒を受けてしまいひどく衰弱してしまっていた。出血部分は佐天がスカートを裂いて包帯代わりにして腕に巻いて止血したものの、顔色はどんどん悪くなりグッタリとして身体に力が抜けている様子に目に涙が溢れてしまう。

 

 

(くぅぅっ····!ダメッ。泣いてる暇なんて無いっ。とにかくさっきの道を辿ってドラさん達と合流しないと·····えっ?)

 

 

気が付くと周りの木々の配置が明らかに変わっており佐天はまた、さっきの霧の化け物の仕業なのかと思ったが良く見ると木々が移動して自分達の周りを囲い、にじり寄っている事に気が付いた。

 

 

「こ、これって確か弟のゲームで出てきた感じの樹木の姿をした魔物!?」

 

 

「ボォ~」 「ウゥ~」 「ヲォ~」

 

 

樹木に人の顔の様なシミがついており、不気味なうめき声をあげながら佐天と雪菜を標的にして近づいてきた。

 

 

佐天はさっきの黒蛇程の圧迫感や魔力による縛りはなかったので、直ぐ様腰に着けていた電光丸を手にして構えた。

 

 

「く、来るなら来いっ!斬って斬りまくってやるんだから!!」

 

 

雪菜を守る為、気合いを入れて対峙する佐天に樹木の魔物達は自分達の身体の一部である葉っぱを硬質化させ、飛び道具として放ってきた。

 

 

電光丸のコンピューターが鋭く反応して四方八方から迫ってくる硬質の葉っぱの矢を叩き落とす。

 

 

「うりゃ、うりゃ、うりゃぁー!!」

 

 

電光丸の対応は問題なく機能し、これならイケると佐天は前方だけの攻撃に集中していて背後から迫る複数の樹木の魔物に気がつかずいた。

 

 

樹木の魔物が腕と言うべき部分を槍の様に伸ばして佐天に攻撃してきた。それを電光丸でいなし、流して本体に近づき、気合いと共に斬りかかる。

 

 

「てぇりゃああぁぁー!!」

 

 

電光丸で鮮やかに自分だけ(・・・・)に向かって攻撃してくる魔物達を容易く斬ると、おかしな事に気がついた。斬られた魔物はその骸を残さずに光の粒子となって消え去り後には、大小の大きさや、輝きの異なる奇妙な石と数本の材木が残ったのだ。

 

 

(これってシリカさんに聞いたMMORPGみたいなんですけどっ!?どういう事なの?ここはゲームの世界なの?)

 

 

沸き上がる疑問を深く考える間も無く、次から次へと向かってくる魔物に佐天は集中し直すが、その直後、後ろから歓喜染みた魔物のうねり声が木霊(こだま)し、佐天は思わず後ろを振り向くと別の樹木の魔物達が毒に犯され録に抵抗も僅かな身動きすら出来ない雪菜をその樹腕で巻き付けて高く掲げ、歓喜している様子が眼に映った。

 

 

「えっ?なっ、しまった!雪菜さんっ!!」

 

 

 

注意が後ろに向いた隙を逃さず魔物達は樹腕を佐天の両手両足に巻きつかせて動きを封じてきた。

 

 

「なっ!?これじゃ、うっ、動けないっ····!!」

 

 

何とか脱出しようともがくがビクともせず、為す術がなかった。

 

 

樹木の魔物の顔の様な染みがまるで下卑た笑い顔を表し、揃った魔物達が一斉に不気味で下品なうめき声の様な笑い声を響かせ、佐天と雪菜に向けられた。そして捉えられている雪菜の首元に枝が伸びて命を刈り取ろうとしていた。

 

 

 

それが両の眼に写った佐天に急激な変化が訪れた。

 

 

 

「·····ねえ、お前達····調子に乗りすぎだよ·····」

 

 

 

佐天涙子の両目が赤く染まり、深紅の輝きを放った。

 

 

樹木の魔物達は一瞬で沈黙し、佐天から放たれる静かな圧力に怯んだ様子を見せた。

 

 

比較的年若く、勢いのある樹木の魔物が樹腕を槍の様に尖らせ佐天の身体に向かって放たれる。

 

 

バキィッ!!メキィッ!!

 

 

突き刺さる直前、佐天の身体を縛り付けていた樹腕が砕け散り、佐天の姿が消えた。

 

 

樹木の魔物が慌てた様子を見せると攻撃を仕掛けた魔物が無数の木片に斬り刻まれ、消滅した。

 

 

「ウ"ッ~!?」 「ヲ"ォ~!?」

 

 

「ふむ····今の状態(・・・・)での念動力だと至近距離でしか使えないな····まあこんなモノか·····それにしてもあんた達驚いてるの?それとも恐れているの?·······まあ、どっちでもいいか·····全部斬る事に変わりないしね······」

 

 

妖しい深紅の瞳が魔物達に向けられ、魔物達はほぼ、全員共通の意思にまとまった。

 

 

これ(・・)に手を出してしまったのは大きな過ちだった』と······

 

 

ここで、雪菜を捉えていた個体は間違いを犯す。依りにも寄って捉えている雪菜に無数の尖った枝を寄せて人質がいるのだと明ら様な行動を示したのだ。

 

 

 

「········お前何してるのかな?·········」

 

 

 

電光丸を肩に背負ってその個体の行動を確認した佐天涙子は静かに、それでいて荒々しく一瞬で間合いをつめて右手に握っている電光丸から、閃光を疾らせて雪菜を人質だと示した愚かな個体を無数の木片に斬り刻んで消滅させた。

 

 

解放された雪菜を抱き抱えそっと、地面に下ろす。

 

 

樹木の魔物達は一斉に呻き出し身体を萎々にして戦意を喪失した様子を見せるがもう余りに遅く、何より無駄だった。

 

 

 

佐天涙子が樹木の魔物達の間をすり抜けると時間差で次々と魔物達は叫び声すらあげられずに消滅していった·····

 

 

 

 

 

 

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