青い狸猫の異世界冒険記   作:クリスチーネ小林

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19話 亜種聖杯大戦

ドラえもんはひみつ道具をフル装備し、シリカはピノ、イーブイと共に臨戦態勢をとった。ミニドラはドラえもんの指示に従いタケコプターで上空に待機して渡されたタイム風呂敷を持って大きな隙が出来るタイミングを伺っていた。

 

 

先程のシリカ達の連携プレーに不覚をとったブレイドケルベロスはシリカ達に狙いを定め、3つの口からそれどれシリカとピノとイーブイ達三人に狙って火炎を吐いた。

 

 

「ゴバアァァァー!!!」

 

 

それを読んでいたドラえもんはシリカ達の前に掛けて行き、装着しているひらりマントを身体の前面に広げ、火炎を反射させた。

 

 

「ひらりマントォー!!!」

 

 

火炎がブレイドケルベロスに跳ね返り、自ら吐いた火炎が身体を包み込んだ。

 

 

「グギイィィ~!?」

 

 

まさか自分が放った火炎が己に帰ってくるとは思わず、無防備に喰らい驚いている。その隙を逃さずシリカとドラえもんは魔物の周囲に回り込んで連携をとった。

 

 

「ピノッ、こおりのつぶて、イーブイはスピードスターを奴の顔面に放ってっ!!」

 

 

「クピピッ!」 「イブイッ!」

 

 

ピノは両翼から氷の礫を生成し、イーブイは身体から星型のエネルギー弾を無数に生成して撃ち放ち、シリカもダガーにエネルギーを溜めつつ携帯していたショックガンをブレイドケルベロスの顔面に狙って撃った。

 

 

それと同時に魔物の後ろに回り込んだドラえもんは左腕に装着した空気砲とラジコンロボ、ポケットからホームミサイルをセットして同時攻撃を展開する。

 

 

「これならどうだっー!!」

 

 

ピノ、イーブイ、シリカ、ドラえもんの一斉攻撃が魔物に容赦なく降り注いだ。

 

 

ブレイドケルベロスの右顔面にピノの氷の礫が、真ん中にシリカの撃ったショックガンが、左顔面にイーブイのスピードスターが、斜め後方からドラえもんの空気砲とラジコンロボの特攻とホームミサイルが見事命中し、堪らずブレイドケルベロスは背中に生やした翼刃で防御態勢をとった。

 

 

唯一、無防備な腹にドラえもんがあらかじめセットし、命令しておいたオモチャの兵隊が潜り込んで一斉掃射。不意討ちを喰らってのけ反り、そこをころばし屋が追い討ちをかけて見事に転ばした。

 

 

だがっ、ブレイドケルベロスは翼刃を広げ一旦、空中へ逃れようとする。それを読んでいたドラえもんとシリカがコンビネーションを組んで近接攻撃を仕掛けた。

 

 

「くらえっ、名刀電光丸ー!!」

 

 

タケコプターで上空からドラえもんが電光丸を振りかぶった。

 

 

「はぁーっ、ファッド・エッジッ!!」

 

 

シリカはジャンプしてブレイドケルベロスの腹に狙いを定めて短剣で4回突き刺す高速4連撃のソードスキルを放った。

 

 

シリカのソードスキルの4連撃が無防備な腹に見事に決まり、続けてドラえもんの一撃がブレイドケルベロスの後頭部に命中、衝撃に耐えられずに地面に叩きつけられて倒れた。

 

 

「よしっ!ミニドラ今だーっ!タイム風呂敷を被せるんだっ!!」

 

「ドララッー!!」

 

 

ドラえもんの指示で上空にて待機していたミニドラがタケコプターで全速力で地面に伏せっているブレイドケルベロスに風呂敷を向けて突進して行く。

 

 

だが突然ブレイドケルベロスの背中がやたら不気味にでこぼこと蠢き、奇っ怪な動きを見せる。

 

 

「あっ!ミニドラさんだめーッ!!」

 

 

それに一瞬早く気づいたシリカが咄嗟に駆け抜け、ミニドラを両手で羽交い締めにして止めた。

 

 

ブレイドケルベロスの背中からまるで剣山のように細く長い刃が皮膚を貫いて大量に飛び出し、まるでロケットミサイルを思わすように根元の部分から火を吹いて一斉発射されたのだっ!!

 

 

 

危険を察知したドラえもんは慌ててみんなに呼び掛ける。

 

 

「なっ!?シリカちゃん、みんなぁー!!僕の後ろに集まってーっ!!!」

 

 

それを聞いたシリカとピノ、イーブイは急いでドラえもんの背後へと集まった。ドラえもんはひらりマントを広げ、降り注いでくる細く長い刃に備えた。

 

 

上昇を続けた刃は一旦、空中で停止し、そして····方向転換して下へと集中落下し、ドラえもん達に向かってきた。

 

 

 

 

ゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾッーーーーー!!!!!

 

 

 

まるで目でもついているかの如く正確にシリカ達を狙って降り注ぐ剣山の雨を必死で防いではね返すドラえもん。伝わってくる激しい衝撃にシリカは堪えきれずピノとイーブイ、ミニドラを強く抱きしめて悲鳴を上げてしまう。

 

 

「キャアァァァー!!!」

 

「なっ、なんて数なんだっ!も、持ちこたえられないっ!?」

 

 

一向に攻撃が止まず、まともな跳ね返しが出来なくなり、ひらりマントの耐久限界が迫りつつあった。

 

 

「だっ、駄目だっ!!マントがもう持たないーっ!!」

 

「ドララァーッ!!!」

 

 

 

    ズドーーーンッ!!!

 

 

 

     ・・・・・・・

 

 

 

やがて大きな土煙が巻き上がり、それが止むと、ドラえもん達がいた場所はひらりマントの破片が散り散りとなって剣山に突き刺さっており、まるで墓標のような雰囲気になっている。だが、肝心のドラえもん達の姿がそこにはなかった·····

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

「ふうぅ~···ありがとうミニドラ、助かったよ!」

 

「ドォララッ!」

 

 

ドラえもん達は·····地面の中で無事に生存していた。

 

 

マントがもたないと判断したミニドラが機転を利かしてドラえもんの四次元ポケットの中に突っ込んで『ドンブラ粉』を取り出し、皆に振りかけたのだ。

 

 

この道具は缶に入ったパウダー状の道具で、身体にまぶす事により、触れている床や地面が水のようになって地中を泳ぐことができ、普通に地中でも呼吸が可能になる道具だ。

 

 

「私、もうダメかと思いましたよぉ~····」

 

シリカとポケモン達も無事に地中の中で危機を免れ安堵の息を漏らしている。

 

 

「しかし、あんな剣山みたいになられちゃ、もう隙を作ってもタイム風呂敷を被せる前にビリビリに引き裂かれてしまうしなぁ····う~ん····どうすれば····」

 

 

 

地中の中で腕組みして対策を考えているとふと、ポケモン達の姿が目に入り、妙案が浮かんだ。

 

 

「ピノちゃん···イーブイ····ポケモン····あっ、そうだ!これなら何とかなるかも知れないぞっ!!」

 

「何かいい案が浮かんだんですか?」

 

「うんっ!正直上手く行くかはわからないけど····」

 

「どうすれば良いのか言って下さいっ!私何でもしますよっ!!」

 

「クピッ、クピピッ!!」

 

「ブイブイッ、イブイッ!!」

 

「ドラ、ドララッ!!」

 

 

シリカとピノ、イーブイ、ミニドラ達も皆心は一つだった。

 

 

「みんな、ありがとう。えっと、先ずは······」

 

 

 

その頃地上で、再び背中に剣山を生やしてドラえもん達の匂いを嗅いで行方を追跡しようとしていたブレイドケルベロスは全く匂いがしない事に不思議がっていた。

 

 

執拗に地面の匂いを探していると不意に後ろに気配を感じて振り向く。そこにはいつの間にか頭にタケコプターを着けたイーブイが居て、ケルベロスを挑発した。

 

 

「ブイッ?····ブブイブイッ!!」

 

 

「グオォォー!!」

 

 

ブレイドケルベロスは容易く挑発に乗り先ほど同様に剣山を飛ばそうとする。だが、その瞬間己の身体がみるみる内に地面沈み、さしものケルベロスも訳がわからなくなり一瞬の隙が出来た。

 

 

そこに丁度、ブレイドケルベロスの真上の空中からどこでもドアが現れ、足にモンスターボールを掴んで飛んで来たピノがブレイドケルベロスに向かって放り投げた。

 

 

モンスターボールがブレイドケルベロスの頭に当たると真ん中からパカッと開き、光の粒子が広がりケルベロスを包んだ。

 

 

ケルベロスを閉じ込めたモンスターボールはジタバタと地面を跳ねている。そこを地面からタケコプターで浮かび上がってきたドラえもんがひみつ道具を手にしてスイッチを押した。

 

 

「『急速冷灯』ー!!お願いだ、これで決まってくれぇー!!」

 

 

ドラえもんが手にしてしている道具はどんな物でも急速に凍らせる事の出来るひみつ道具で、光を当てるとたちまちモンスターボールは凍りついて動かなくなり、そのタイミングを狙って地面からタイム風呂敷を広げたシリカがタケコプターで地上へ出て凍りついたモンスターボールに被せる事に成功した。

 

 

 

ちなみに作戦の内容はこうだ。

 

先ず、イーブイがわざと地上へ出て姿を見せ挑発し、ブレイドケルベロスが地面の匂いを嗅ぐ動きを止めさせ注意を反らす。

 

 

そして地中の中で待機していたミニドラがドンブラ粉をケルベロスの死角から振りかけ、地面に沈み込ませ、動きと視線を地面に向けさせる。

 

 

そこをどこでもドアで地中からケルベロスの真上へと移動したピノが足に掴んだモンスターボールをケルベロスの身体のどこかでもいいのでぶつける。すると自動的にボールが開いて強制的にケルベロスを封じ込められという段取りであった。

 

 

ちなみにこのモンスターボールはピノが中に入っていたのをドラえもんがそのままにしておくのも何となく嫌だったので、拾ってポケットの中に保管しておいた物だ。

 

 

だが、本来このボールはある程度力が弱まってから閉じ込める道具で、ましてや進化した魔物を封じ込められてもせいぜい5、6秒、下手をしたら2、3秒位でそこから飛び出して脱出してくる可能性が非常に高く危険な為、ドラえもんがダメ押しに急速冷灯で凍らせる役割を担った。

 

 

モンスターボールで閉じ込め、更に凍らせて完全に封印し、そこへシリカがタイム風呂敷を広げ被せる役割を担った。そして見事成功したのであった。

 

 

数秒後、タイム風呂敷を取ると氷が綺麗さっぱりと無くなり、モンスターボールは不気味に沈黙をしている。

 

 

突然ジタバタとモンスターボールが動き出し、一堂が緊張して見守る中····

パカッと勢いよく開いたボールの中から白い体毛に刀剣類を思わす牙を生やし、凛々しい眼差しをしているサーベルウルフのボスの姿があった。

 

 

「や、やったー!!作戦大成功ー!!」

 

「やったー!!やりましたね、ドラえもんさんっ!!」

 

「クピィ~♪」「ブイブイッ♫」

「ドララッタァ~♬」

 

 

ドラえもん、シリカ、ピノ、イーブイ、ミニドラ達が手を取り合って大喜びした。

 

 

サーベルウルフのボスは何が何やら訳が判らずキョトンとした顔になっていた。そこに隠れていた仲間のサーベルウルフ達が集まり、何やら事情を説明している。

 

 

やがて事情を知って理解した白いサーベルウルフのボスはドラえもん達の前に歩み頭を下げ、何か話し出した。

 

 

「ギャウ、ガウガウッ、ガウルゥ····」

 

 

「····ふんふん····そうか、成る程·····え?いやいや、僕こそ君の仲間に助けられたし、へ?·····ふむふむ」

 

 

「あのぉ~何って言ってるんですか?」

 

 

「あっ、ゴメンゴメン。えっと、このボスのウルフが言うには『此度は私の暴走を止め、同胞の命を救って下さった事、誠に感謝する。奇妙な穴から放たれる光によって自分の意識が無くなり、ひたすら破壊衝動に走ってしまい迷惑をかけた。本当にありがとう』····と言っているよ」

 

 

「な、何ですかっ、それ!?滅茶苦茶礼儀正しくて理知的じゃないですかっ!魔物ってこんなに知性が高いんですかっ!?」

 

 

「う~ん···みんなが、みんなこのサーベルウルフみたいなのかは僕にもわからないけど、少なくともこのリーダーのウルフはとても知性が高くて、話しが通じるタイプみたいだね」

 

 

かつて仮想空間で常に生きるか、死ぬかの戦いを強いられ、この世界でも黒蛇やら巨大なウサギやらに襲われたシリカにとって目の前の本物の現実の魔物がこんなに話しが通じるタイプだという事実に軽くショックを受けていた。

 

 

「ガウガウッ、グゥルルゥ····」

 

 

「ふんふん····このリーダーが言うには昔から空や地上にたまに、奇妙な穴が開いてそこへ怪しい光が放たれ、その光に当てられた魔物達は軽く興奮状態になったり、身体が強くなったりとした事は前から合ったんだって。でも数年前から頻繁に穴の数が多くなり、しかも当てられた魔物や動物達は理性を失って凶暴になって姿形まで変異して厄介な事になっていたんだってさ」

 

 

「う~ん····本当に一体なんなんでしょうかね···?」

 

 

「それについては詳しく調べないとわからないけど、少なくとも今の僕らがしなくちゃならないのは佐天ちゃんと雪菜ちゃん達と合流して元の世界へ帰る事だよ。だからもうそろそろ探索を再開しよう」

 

 

ドラえもんは再び訪ね人ステッキで二人のいる方角を探した。

 

 

「ふむ、ここから更に真っ直ぐ進むと二人と合流出来るみたいだ。まあ、確率70%だけど····」

 

 

「闇雲に探すよりずっと頼りになりますよ。あと····その、ドラえもんさん、この子···イーブイも連れてっていいでしょうか····?」

 

 

イーブイがシリカやピノ、ミニドラ達と離れるのを恐れ、必死で皆にしがみついていた。

 

 

「うふふっ。もちろんいいとも。一人、二人増えても何の問題もないさ。これからヨロシクね、イーブイちゃん!」

 

 

「イブイ、ブイブイッ~♪」

 

「ドララァ~♫」「クピィ~♬」

 

 

三匹は共にジャレ合って喜んで、イーブイを歓迎した。

 

 

「ありがとうドラえもんさんっ!よろしくね、イーブイ!それじゃ二人の探索に····

きゃっ!えっ?」

 

 

再び二人の探索に意気込もうとするシリカの足元にリーダーのサーベルウルフがすり寄って何かを訴えていた。

 

 

「ガウガウ、ギャウギャウ」

 

 

「あのぉ····ドラえもんさんお願いします···」

 

 

「はいはい。えっと···何々、この先を行くのなら是非お礼に我々の背に乗って案内させて欲しい、安全な道筋を知っているから····だってさ。確かにさっき望遠鏡で覗いた時、大きな木々が並んでてタケコプターで行ったらうっかり二人の居る場所を通りすぎちゃうかも知れないから、ここはこの子達の言葉に甘えようか」

 

 

「わー!すごく助かりますね。それじゃ今度こそ出発です!」

 

 

「うんっ!それじゃ頼んだよみんな!」

 

 

「ガウルゥー!!」

 

 

 

ドラえもん、シリカ、ピノ、ミニドラ、イーブイ達一行はこうしてサーベルウルフ達の背に乗り二人の居る場所へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「いよいよ始まってしまうな·····」

 

 

 

とある部屋の一室に設置されているテーブルに三人向かい合わせに座ってお茶を嗜んでいた少しウェイブのかかった髪型の、未来的な服装の少女が深くため息をついた。

 

 

「そうね···今居る人類の生存をかけた戦争が···かつての古い文献や資料に残された情報からみると余りに変則的で他に類を見ない

【聖杯戦争】が····」

 

 

テーブルを挟んで座っていた黒髪ツインテールの少女がお茶の入ったカップを皿に戻して、神妙な顔つきで答えた。

 

 

「実際は聖杯なんてもうどこにも無いのに便宜上聖杯戦争と呼ぶのは無理があるね···まあ、敢えて聖杯と言うなら彼、ドラえもんが聖杯の代わりを担っているがね···」

 

 

「まあ、実際の所、赤と青と黒と白の複数の陣営が入り乱れて争うんだから敢えて名前をつけるなら【亜種聖杯大戦】って呼ぶのが相応しいかもね。もっとも私達、白の陣営は中立の立場で監督役を担っているから何とも微妙な立ち位置よね」

 

 

「まあ、仕方ないさ。私が偶々創造者で観測者と管理者をしている立場だから中立にして監督役にした方が他の陣営に任すより少なくともよっぽど公平だと判断されたからね。ただ、どっちの陣営に転ぶかわからないという不信感を持たれてしまっていて少々窮屈というのが本音だが····」

 

 

「窮屈さよりも暗殺される危険性の方が無視出来ないわよ。身の安全の為にせっかく呼び出したサーヴァントを彼、ドラえもんとあの娘達を助けるために向かわせて本当に良かったの?」

 

 

「ああ、君と君のサーヴァントが居てくれるから今の所問題はないだろ?それにそもそもサーヴァントを呼び出したのは身の危険から命を守る為だけでなく、今回の大戦での公平さを保つ為でもあるからね。本来ならあの娘達はそれどれ赤、青、黒の陣営に呼ばれる筈だったのを我が叔父の派閥が裏取引で白の陣営にまとめて呼び寄せるなどという公平さを欠いた所業を行ったからね」

 

 

「本当にあなたの叔父様って何を考えているのかしら?今はみんなが生き残るために何とか人工の魔力回路に適合出来た人間が必死になって自分の命を削ってサーヴァントを召喚して備えているというのに····」

 

 

「彼···叔父にとって中立という立場は何ともあやふやで不安定だと感じているのだろうね。表向きはどの陣営からも一目置かれてはいるが、実際はいい顔はされずに蝙蝠扱いされ自分の命すら危ういと危機感を感じて、今回何とか裏取引を成功させてあの三人娘をまとめて白の陣営に呼んで足場を固めるつもりだったんだろうね」

 

 

「それをいち早く知った貴女が私と手を結んで何とかして阻止しようとしたけど肝心の送り返す為のエネルギーが足りず、やむを得ず観測していた星のとある国で勇者召喚しようとしていたのを知って急遽あの国へまとめて召喚先をねじ曲げたのが今回全ての始まりよね···」

 

 

「ああ、そうだとも。まさか記録(ログ)キューブで繰り返し何度も見ていたあのドラえもんがまさか【降臨者】(フォーリナー)としてあの世界へ降り立つなんて夢にも思わなかった。正にこれは奇跡だったんだ····」

 

 

まるで子供が誕生日プレゼントの前で目を輝かす様に瞳をキラキラさせて軽く興奮気味に呟いた。

 

 

「でもこの情報は残念な事に既に全陣営に知られてしまって非常に厄介な事になってしまってるわね。これから先どの様に対処するかで頭が痛いわ····」

 

 

「それは正直私もだよ。だからこそ24世紀の今日に至るまで魔術師としての命脈を保ち続けてきたカレン····いや、今は当主名の

【遠坂凛】と呼ぶべきだね。遠坂凛、君の協力が必要なのさ」

 

 

「別に無理してそう呼ぶ必要は無いわよ····今の私···いいえ、今残っている全人類全てが帰る場所を失い、漂流者となっている現在じゃもう然程の意味を持たないのだから····」

 

 

少し、憂鬱気味に自分の受け継がれてきた血筋と魔力に虚しさを感じて口をつむいだ。

 

 

先程から余計な口を挟まず、静かにテーブルに座ってお茶を優雅に嗜んでいたもう一人の少女がカレンこと、遠坂凛に語りかけた。

 

 

「でもマスター、私は貴女の魔力によってここへ呼び出されたわ。代々受け継がれてきた人工ではない本物の魔力回路の力によって·····それは誇るべき事だと私は思いますよ」

 

 

 

「ふふ···そうだね。誇るべき事に違いない。しかし、古い資料を読ませてもらったけど、遠坂というのはよくよく【アーチャー】のクラスと縁深いのだね····今回の大戦においてもまさか同じクラスを召喚するとは思わなかったよ」

 

 

「····別に狙ってアーチャークラスを呼んだんじゃないわよ。知ってのとうり今の私達では呼び出したいクラスの触媒なんてもう用意する事が叶わず、ほぼ運任せでサーヴァントを呼び出すしかなかったんだから!偶然よっ!偶然!!」

 

 

「まあ、酷い。私、必要とされてなかったのですね····シクシク」

 

 

芝居かかった泣き真似をする金髪の縦ロールが綺麗に揺られ、それを見た遠坂凛はこれは演技だとわかってても、つい焦って弁解する。

 

 

「ちょっとっ!別にそこまで言ってないでしょうがっ!!ただ私は何故か遠坂の一族がアーチャーしか呼び出せないかの様に言われた事に少し憤慨しただけで別に貴女を蔑ろにするつもりなんてこれっぽっちもないわよっ!!」

 

 

「ふふ···だ、そうだよ。白のアーチャー殿····いや別に名前で呼んでも支障は無いんだったね。【巴マミ】さん?」

 

 

「ええ、勿論わかっていますよ、マスター。つい反応が可愛いので悪ノリしちゃいました」

 

 

「あんた達ねぇ~······はぁ~まあ、いいわ。とにかく今後の対策を練るわよ。いいわね、

ノノカ、マミ?」

 

 

「ああ····」

 

 

「それじゃお茶を淹れ直しますね」

 

 

 

優雅な所作で白のアーチャー巴マミは台所へと歩いた。

 

 

 

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