青い狸猫の異世界冒険記   作:クリスチーネ小林

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22話 再会と令呪

 

ドラえもんとシリカはサーベルウルフに乗って森林地帯を移動していた。すると突然静かな森の中、ドラえもんのポケットから、とても大きくけたたましい音が鳴り響いた。

 

 

「きゃっ!?ドラえもんさん何なんです、この音は?」

 

 

シリカは音に警戒して動きを止めたサーベルウルフにしがみつきながら片手で耳をふさいで尋ねた。

 

 

「これは···『虫の知らせアラーム』のお知らせの音だっ!!これが今鳴ったって事は、佐天ちゃんと雪菜ちゃんに危機が迫っているんだっ!!」

 

 

虫の知らせアラームは蜂のような虫の形をしたアラームで、仲間に危機が訪れると鳴って知らせてくれる道具だ。

 

 

「これだけ大きく鳴ったって事は、比較的二人は近い距離に居る可能性が高い····」

 

「···佐天さん、雪菜さん····」

 

シリカはこみ上げてくる不安に胸を詰まらせる。

  

ドラえもんは白いサーベルウルフのボスの背中から降りてポケットから再び『たずね人ステッキ』を取り出し、二人の居る場所をもう一度探った。

 

 

コロン。「この方向に二人が····」

 

 

ステッキの方向に目をやると更にポケットからのアラームが強く大きく鳴った。

 

 

「不味い!これだけ大きく鳴るのはとんでもない危険が二人に····よーし!こうなったから···ゴメン、シリカちゃん!僕は道具を使って取り敢えずステッキの指し示した方角へ先行してみようと思う。ステッキの的中率は70%だから絶対に二人が居るとは限らない。だから、シリカちゃんはウルフ達と後からついてきて!」

 

 

「私なら大丈夫です。早く二人の元へ行って下さいっ!!私達も直ぐに追いつきますから!」

 

 

「ありがとう。それじゃミニドラ、ウルフの皆シリカちゃんをよろしく頼むよ」

 

 

ミニドラとウルフ達は任せろと言わんばかりに頼もしく吠えた。そしてドラえもんはポケットから小さな小瓶を取り出した。

 

 

「『チーターローション』!!」

 

 

チーターローション。この道具は中に入っているローションを足に塗ると、目にも止まらぬ速さで走ることが出来るひみつ道具だ。ただし効力は短く、使用者の体力によっても個人差が表れる道具だ。

 

 

ドラえもんは短い足に塗り、ステッキの方角を見定め身体を屈めモーレツなスピードで風を纏って森林を駆け抜けていった。

 

 

「きゃあっ!?どっ、ドラえもんさんの姿がもう見えなくなっちゃった···凄い速さ···え~と、それじゃ私達もドラえもんさんの走っていった方角へ出発!」

 

 

ミニドラ、ピノ、イーブイ、サーベルウルフ達と共に移動を再開した。

 

 

 

ドラえもんは超高速で木々の間を抜け、ひたすら走った。薄暗い森林の中、益々アラームの音が強く鳴り過ぎるので虫のしらせアラームのスイッチを切った。

 

 

「ふうぅ、流石に耳がジンジンする。でもそれだけ二人にとんでもない危険が迫ってる。とにかく急げぇ~!!」

 

 

そして遂に森林地帯を抜けるとそこは煙が立ち上る更地が広がり、遠目から小高い丘にいる佐天、雪菜の姿が見えた。

 

 

「見つけた!佐天ちゃん、雪菜ちゃん!!どうやら間に合ったか?はっ!何だっ?あの人間は?いけない雪菜ちゃんが危ないっ!!こうなったからこのまま僕の石頭で突撃だーっ!!」

 

 

ドラえもんはチーターローションによる加速を利用して前のめりのフォームで更に速く駆け抜け、ジャンプして自身を一つの砲弾の如く飛ばしてバーサーカーを自慢の石頭で吹き飛ばした。

 

 

 

 

「ドラさぁーんっっ!!」

 

 

佐天涙子は駆けつけてくれたドラえもんに全力で抱きついて人目を憚らずに号泣した。そんな佐天をドラえもんは優しく頭を撫でて泣き止ます。

 

 

「どっ、ドラちゃんっ!!」

 

 

雪菜もドラえもんに駆け寄り倒れ込むようにして寄り添った。

 

 

「良かった。どうにかギリギリ間に合って···ゴメンねぇ二人共僕のせいで怖い目に逢わせて····」

 

 

「そんなっ!ドラさんは悪くないですよぉ~っっ」

 

 

「そうですっ!ドラちゃんは何時も私達を気にかけてくれて····優しくしてくれて···あっ、此処にドラちゃんが来てるなら····」

 

 

雪菜は辺りを見渡し、そして·······

 

 

「雪菜さぁぁーんっ、佐天さぁぁーんっ!!!」

 

 

少し遅れてタケコプターで上空からシリカが涙声で二人の元に飛んで来たっ!

 

 

「シリカちゃんっ!!」

 

「シリカさんっ!!」

 

 

シリカの顔を見て二人は歓喜の声に涙を流しながら満面の笑顔を浮かべた。シリカは勢いそのままに二人に抱きつき、佐天、雪菜もシリカを互いに抱きしめ合い再会と無事の喜びに打ち震えた。

 

 

「····良かった···二人共無事で本当に···また逢えて···良かったよぉぉっっ~~~!!!」

 

 

シリカは顔をグシャグシャにしながら涙で顔を濡らし強く、強く二人を抱きしめる。つられて佐天は瞳を滲ませる。雪菜も同様だった。

 

 

「シリカさんっ····グスッ」

 

「シリカちゃんも無事で···本当に····」

 

 

「クピィ~!」「ブイブイッ!」「ドララッタァ~!」

 

シリカの後にポケモンのピノ(フリーザー)とイーブイ、そしてミニドラも笑顔で喜んでる。

 

「なっ!?何ですかこの赤くて小さいドラさんに、この青い小鳥に···え~と···ウサ···ギ?みたいに可愛いモフモフはっ!?」

 

一同再会の喜びに浸っている一方でバーサーカー暁古城の呼び出した眷獣たち二体は健在で突然現れたドラえもん達に敵意を剥き出しにして唸り声を出していた。そんな空気の読めない眷獣達にロゥリィは、

 

 

「····ウッフフフ♥駄目よぉ?せっかくの感動の再会に水を差しちゃぁ···これでも喰らって、しばらく黙ってなさいっ!」

 

 

主たる暁古城がこの場に居なくなってしまい僅かな間動きを止めていた眷獣達はロゥリィの反撃に反応が遅れてしまい、ハルバードの強烈な一撃、二撃、三撃、四撃をマトモに喰らって主同様に後方にぶっ飛んでいった。

 

 

「なっ!?あんな巨大な怪物達をあんな小さな身体で吹き飛ばしたっ!?君は一体誰なのっ!?」

 

 

凶暴な怪物達を黙らせたロゥリィを見てドラえもんは驚き、誰なのか尋ねた。

 

 

「ドラさんあの人は私達を絶対絶命のピンチに助けてくれたんですっ!頼もしい味方ですよっ!」

 

佐天はウキウキとした気持ちでドラえもんに教えた。

 

小さな身体に余りに不釣り合いなハルバードを担いで彼女はドラえもん達の側にやってきた。

 

 

「はぁい♪初めまして、ドラちゃん····♥

こんなはしたない姿で失礼。私の名は

ロゥリィ・マーキュリー····死と狂気、戦争と断罪の神『エムロイ』に仕えし亜神····そして

今はマスターノノカに仕えしサーヴァントの【ルーラー】よぉ。以後は気楽に愛を込めてロゥリィちゃんって呼んでねぇ。ウッフフフッ····♥」

 

 

「エムロイ?サーヴァント?ルーラー?聞いたことのない単語ばかりで何が何やら?」

 

 

ドラえもんの頭の中で幾つものはてなマークが飛びかう。

 

「細かい事は後でしっかり、ゆっくりと説明するからぁ···今は奴らを何とかするのが優先事項よぉ?」

 

ロゥリィが視線を後ろに向けると遥か後方で吹き飛ばされた獣達が怒りの咆哮をあげながらドラえもん達に向かって来るのが見えた。

 

 

「なぁに、大丈夫さっ!シリカちゃん、佐天ちゃん、雪菜ちゃん、ミニドラ、ピノ、イーブイ·····みんなっやろうっ!!!」

 

「はいっ!!」

 

「よぉーしっ!!いっくぞぉー!!」

 

「任せて下さいっ!!」 「クッピィーッ!!」

 

「ドララッ!!」「イブイ、ブイブイッ!!」

 

 

シリカを始めに佐天、雪菜、ピノ、イーブイ、ミニドラ達も気合いを漲らせて答えた。

 

 

危険と不安で一杯な目に会いはしたが、素敵な出逢いと大好きな仲間との再会にシリカは熱く不思議な高揚感に包まれていた。

 

ピンチと言える状況でありながらも佐天はどこかウキウキになってしてしまう。かつて元の世界で友と仲間と一緒になって例の事件(・・・・)を解決したあの時の気持ちを思い出していた。

 

雪菜は暁古城の変貌に心を痛めてはいるが、ドラえもんとその仲間たちの顔を見てきっと何とかなる!と彼女にしては楽天的な考えに至り、例え今は無力であろうとも気持ちだけは負けないと誓った。

 

 

ドラえもんはポケットから道具を取り出しみんなに渡した。

 

ロゥリィに吹き飛ばされたバーサーカー暁古城が召喚した9番目の眷獣双角の深緋(アルナスル・ミニウム)と2番目の眷獣牛頭王の琥珀(コルタウリ・スキヌム)の二体が猛気を吐きながらロゥリィとドラえもん達目掛けて再び舞い戻り、進撃してくる。

 

 

「先ずは私から!イーブイっ、スピードスターをあの二体の目線に向かって放って!!」

 

 

「イーブイっ!!」

 

 

イーブイはシリカの指示で身体から星形のエネルギー弾を大量に発生させて眷獣二体の目線を遮り、一瞬だけだがその場に止めて牽制するのに成功する。

 

 

そこへすかさずドラえもんから渡された瞬間接着銃で佐天、雪菜の二人が眷獣達に向かって撃ち放つ。

 

「当たれっ!!」「絶対に外しませんっ!!」

 

 

撃った瞬間を逃さずにドラえもんがある道具の光を当てる。

 

 

「ビッグライトー!!」

 

 

このひみつ道具は懐中電灯の形をした道具でスイッチを押し、発せられる光を物体に当てるとその物体を巨大化させる道具だ。

 

 

ドラえもんはこの道具を使って瞬間接着銃の粘液を巨大化させて巨大な体躯を持つ眷獣達へ放った。

 

 

 「ヒヒィーンンッ!?!?」

 「ブモオォォォー!?!?」

 

 

巨大な粘液が身体に粘りつき動きを封じ込められた二体が必死で暴れた。

最強吸血鬼第四真祖の眷獣達はその強靭な生命力で粘着液の拘束から逃れ様と足掻き、解き放たれようとしていた。だが、

 

 

「ミニドラァー頼んだよ!!」

 

「ドララッター!!」「私も行って来ます!」

 

 

ミニドラ、シリカの二人はタケコプターで上空へと移動して手に持っているひみつ道具『ドンブラ粉』をもがいている眷獣達二体へと振り掛けた。

 

 

粘液の拘束から逃れ様としている二体はみるみる内に地面がまるで底無し沼の様に変化した地面へと沈んで行く。如何に最強眷獣と言えど掴まれる物体が無く身体の自由が録に効かない状態ではなす術はなかった。

 

 

9番目の眷獣双角の深緋(アルナスル・ミニウム)と2番目の眷獣牛頭王の琥珀(コルタウリ・スキヌム)の二体は無念の怨嗟の唸り声を最後まで発しながら地面へと沈んでその姿を消した。

 

 

その手際を眺めていたロゥリィは拍手して称えた。

 

 

「ウフフ···ドラちゃんとその皆様方、

とぉ~っても素敵なチームプレイだったわぁ。本当に惚れ々しちゃう。でもねぇ·····」

 

 

「えっへへ!やりました!!」

 

「上手く行きました♥」「ドッララッ~♪」

 

「ブイッブイッ♫」「うんっ。本当にみんな···」

 

 

驚く程スムーズに巨大な二体の眷獣を追い帰すのに成功した佐天、シリカ、ミニドラ、イーブイは喜び浮かれて気を緩める。ドラえもんが皆の働きを労おうとした瞬間·····

 

 

「まだですっ!!皆さん油断しないでっ!!」

 

「その娘の言うとうりぃっ!油断しすぎねぇ」

 

 

この中でロゥリィを除いて唯一、雪菜が気を抜かず一番の難敵の姿を見据え構えた。

 

 

「ウオォォォ━━━━━━ッッッ!!!」

 

 

全身に雷と殺気を疾走らせたバーサーカー暁古城が舞い戻り、皆に緊張が走る。

 

 

「うわぁ···!こいつ、なんて頑丈なんだっ!僕の石頭の頭突きをマトモに喰らった筈なのに無傷だなんてっ!!」

 

 

ドラえもんの最後にして最高の武器は何なのか?

と、問われたなら、皆一様にポケットの中の様々なひみつ道具を思い浮かべるだろう。

 

 

だが、真の最後にして最高の武器はドラえもんの石頭と断言する。実際に本人もそう認識し、かつて雲の王国での自らの致命的な失態と反省の欠片など皆無の愚かな密猟者によって雲の王国の要であるエネルギー州が消されたのを目の当たりにして、天上人を救う為、彼は捨て身の特攻での頭突きで堅固なガスタンクを破壊し、それをきっかけにして雲の王国並びに地上世界をも守ったのだった。

 

 

そんな切り札の頭突きもこの暴走しているサーヴァントには残念だが効果的ではなかった。

 

 

「くっ!···暁···先輩」

 

 

警戒を一層高め身構えた雪菜が悲痛な面持ちで呟く。

 

 

「暁古城?それって、あの話しに聞いていた雪菜ちゃんの先輩さんなの!?」

 

 

「····はい、彼が私の···先輩です。ですがドラちゃん、先輩は見てのとうり理性を失い暴走している状態です!!今は躊躇わずに···ハッ!これは駄目っ!!皆、急いでここから離れてっ!!」

 

 

暁古城をよく知る雪菜が剣巫の能力の一つ

未来視によって次に来る攻撃を予知し、急いでこの場を離れる様に伝えようとするも、バーサーカーは強力かつ、大量の魔力を展開して新たな眷獣を召喚する。

 

 

「ウ"ウ"ッ···ぐうっっ!!かっ···

焔光の夜伯(カレイドブラッド)の血を継ぎし者···

あ····暁古城が···汝の枷を解き放つ···来やがれ···

7番目の眷獣····夜摩の黒剣(キファ・アーテル)!!」

 

 

  ゴゴゴゴッッッ・・・・

 

 

上空の大気が大きく震え、魔力の呼応によって遥か上空より空間の渦から独特の形状をした全長数百メートルに及ぶであろう巨大な剣が出現した。

 

 

この眷獣は意思を持つ武器、『インテリジェント・ウェポン』であり、重力制御能力による加速によって超音速で天空より飛来し、その力は直撃したならば、地上の範囲数十キロメートルが消滅する破壊力を有している。単純な攻撃力だけならば第四真祖の数ある眷獣の中でも最強を誇っていた。

 

 

それが今、ドラえもん達一行に迫り来る。

 

 

「なっ、なんだアレはっ!?でっ、デカイっ!!そして速いぞっ!!みんな、どこでもドアで脱出をっ!!」

 

 

ドラえもんがポケットに手をやるとバーサーカーが逃がすまいと攻撃を仕掛けてきた。

 

 

「グオォォォ━━━━━ッッッ!!!獅子の黄金(レグルス・アウルム)!!!」

 

 

暁古城の身体から黒い猛毛に眩い雷光を纏った獰猛な獅子が飛び出し、ドラえもんに狙って襲いかかって来た!!

 

 

「グルオォォォ━━ッッッ!!!」

 

 

「なっ、ひらりマン····間に合わないー!?」

 

「ドラちゃんー!!」「ドラさんー!!」

 

「ドラえもんさーん!!」

 

 

雪菜、佐天、シリカが必死でドラえもんに駆け寄ろうとするが、到底間に合わない····

だがっ、

 

 

「ダメよぉ···獣の分際で私のドラちゃんに手を出すなんて1000年位早いわぁ!!」

 

 

ドラえもんのピンチにロゥリィがその膂力によって振るったハルバードの会心の一撃が5番目の眷獣の顔面に直撃した。

 

 

ドッバーンッッ!!!

 

 

顔面の直撃をマトモに喰らった獅子の黄金(レグルス・アウルム)は、

 

 

「キィヤァイィィーンンンッッ!!!??」

 

 

眷獣とは思えぬ情けない鳴き声を上げて、その場で消滅していった。

そして一切の気を抜かずに、すかさず天空より舞い降りようとする巨大な剣を見据える。

 

 

「ノノカァ···聞こえてるかしらぁ?バーサーカーの奴、どうやら複数のマスターと契約させられてて魔力勝負じゃ分が悪いみたいなのよねぇ···悔しいけどアレを押し返すのに今の私の残存魔力じゃ厳しいわぁ···だからマスター!!私と貴女、二つの令呪で魔力を限界までブーストさせるわよぉ!!!」

 

 

ロゥリィは何処かに存在し、こちら側を観察しているであろう己のマスターに令呪使用を要請する。

 

伝え終わるとロゥリィは自身の肉体に刻みこまれている無数の令呪の一画を発動させる呪文のごとき台詞を紡いでいった。

 

 

「【ルーラー】ロゥリィ・マーキュリーが令呪を持って自らに命ずる···私の愛しいドラちゃんとその仲間達を守り抜けっー!!」

 

 

『令呪を持って命ずる···我がサーヴァント【ルーラー】よ、ドラえもん達を守り抜けっ!!』

 

 

己とマスターらしき人物からの令呪による

魔力ブーストがロゥリィの身体に駆けめぐった。

 

 

「んっ!ふぅ···ああぁぁぁ~~~んんっっ♥良いわぁぁ···痺れちゃうぅぅ♥癖になっちゃいそう····♥」

 

 

何故か色気のある喘ぎ声を押し気もなく張り上げた。そして、

 

 

「さぁて、バーサーカーのマスター並びにいずれの陣営の小細工や裏工作が大好きな皆様方····私【ルーラー】のサーヴァントにして

【死神】ロゥリィ・マーキュリーが見事この眷獣を両断せしめてご覧に入れますわぁ♥

とくとご覧遊ばせぇ♪」

 

 

まるで一流の舞台女優の様に立ち振る舞い、軽快なステップと共に巨大な斧槍を鮮やかに廻す。大地を蹴り上げ迫り来る7番目の巨大な眷獣夜摩の黒剣(キファ・アーテル)へとハルバードを喜々として振るって向かって行く。

 

 

驚異的な跳躍力で天空より飛来せんとする剣の形をした眷獣の切っ先へと斬り込んだ。自身とマスターからの二つの令呪による魔力ブーストによる漆黒のオーラがロゥリィの身体を包みこみ輝きを放つ。そして【ルーラー】の気迫のこもった一撃が解放された。

 

 

 

 

 

「はぁぁぁ━━━━━━っっっ!!!!」

 

 

 

 

 

ロゥリィのハルバードが夜摩の黒剣(キファ・アーテル)と衝突した。

 

 

膨大な力と力がぶつかり合い、その影響なのか?周囲の空間が歪み、世界が塗り替えられるかのような錯覚をドラえもん達に与えた。

 

 

 

「気持ち良くイッちゃいなさいっっー!!!」

 

 

 

 

 

ロゥリィがそう発すると拮抗しあっていた力の天秤が崩れさった。そして一瞬にも満たない静寂の時間が流れた後、眷獣の身体、いや刀身に【死神】ロゥリィのハルバードの刃が食い込みやがて、刃を中心にひび割れながらその巨体は二つに別れた。

 

 

 

両断された憐れな剣の姿をした眷獣はその役目を果たす事なく惨めにその躯を晒してからゆっくりと消滅していった···

 

 

 

 




書きためた分はこれで最後です。更新ペースはこれまでより遅れますが、どうかこれからもよろしくお願いします。

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