自分の構成力不足に泣かされました、
すいません。
既に故郷の星、地球は滅んでいる···!
そうノノカに真実を聞かされたドラえもん達は驚きを隠せず、全員ノノカに視線を注ぐ。躊躇い気味にドラえもんはそれは確かな事なのかと答えを求めた。
「···残念だが、地球と周辺の星々の消滅は紛れもない事実なんだよ····」
少し間を置いて、重く閉じた唇を開いたノノカは、一見すると冷静さを保ってはいるものの、胸の前に組み合わせている両手は強く互いを握り締め悔しさに震えているのをドラえもんは見逃さなかった。
「私が不完全ながら創り出した地球に偶然たどり着いた22世紀からの来訪者達の協力により、惑星の環境が安定を見せた矢先だったんだ····
唐突に次元震の規模と進行速度が極端に高まったのを観測情報によって知った各国が協力し合って、予め建設して用意していた巨大宇宙船に物資を積み込めるだけ積み、エネルギーをチャージして人々を乗せ、一旦地球を離れワープを始めたその瞬間だったよ····
凄まじい振動が宇宙空間を包み、眩い光が炸裂して本物の地球···いや、太陽系銀河の星々全てが消滅し、唐突に終焉を迎えたのさ····」
地球消滅を説明終えたノノカは、深くため息をついて部屋の天井を仰ぐ。
目を見開き落ち着かない気持ちを必死で抑えながら更にドラえもんは問いかけた。
「でっ、でも船で避難した地球の人達は宇宙空間に落ち延びているんだよね?」
暫しの沈黙の後にノノカは口を開く。
「····いや、残念なことに事態はより深刻な状況なんだよ。避難の為、遥か遠い宇宙の端にワープする予定が次元震による破壊エネルギーの余波衝撃によって、ワープ航法が大きく乱れ、多数の宇宙船が散り散りになって行方知れずとなり、現在生存が確認されているのが私が居る船を含めて僅か4隻のみなんだ····
しかもワープの失敗で、船の今いる場所は超空間の狭間···亜空間と言うべき所に漂い、
言うなれば我々は帰るべき場所を失った寄る辺のない哀れなホームレス状態なのさ····」
「そっ、そんな····」
「そこまで酷い状況だとは····!」
「········」
佐天は驚愕の事実に後に続ける言葉を失い、雪菜は雪霞狼を強く握りながら状況の深刻さを噛みしめ、シリカはピノとイーブイを抱きしめて言葉を失っていた。
「それじゃ、生き残った人達は皆、この星に移住しているのかい?」
急かす様にドラえもんはノノカに聞く。
「いや···帰る母星を失い、他に行き場のなかった我々人類にとって最後の希望は私が創造した人工の地球だけとなり、そこへ移住する計画を立てたんだ。だけど、サポートAI
『カトウ』の観測情報による計測から実に最悪な答えが返ってきたんだ····
不完全な状態で創り出してしまったことが原因からなのか、我々『24世紀の人類』がその地球に
眉間にシワを寄せて絞り出すようにノノカは答えた。
「そ、そんな···22世紀のポケモンを連れてきた人達は良くて、24世紀の人達はダメだなんて····そんなの絶対おかしいですよ!!」
遣る瀬ない想いからシリカが叫んだ。
「その『カトウ』ってAIが出した答え、本当に正しいんですか?」
AIの答えに納得いかない佐天が疑いの眼差しでノノカに聞いた。
「私も疑ったさ····だけど余りに不完全な状態で作成したからね。正直な所、何が起きても不思議ではないと私は思っているんだ。
確かめるにしても手段がなくてね···ちなみに4隻の巨大宇宙船に乗員している人間全て合わせた総数が約五千人。創世した地球に降りてもエラーが起きない人数は『カトウ』が試算した答えが約二千人。残りの三千人は犠牲になる計算だ····」
「そ、そんな···残りの3千人の人達が犠牲になるなんて····!」
シリカはかつて自分が天才量子物理学者、
RPG「ソードアート・オンライン」の仮想空間に閉じ込められた過去を思い出し、顔色を悪くしていた。
そのゲーム世界で死亡した場合、現実世界のプレイヤー自身も本当に死亡するという最低最悪なデスゲームを余儀なくされ、閉じ込められた2年間の間に約1万人の内、実に4千人のユーザーが犠牲となった経緯から他人事ではないと感じていたからだ。
「私は悩みに悩んだよ····だけど結局、何の手立てがないまま時間だけが無駄に過ぎていたそんな時だった···
ある1人の魔術師が生き残れる人類の選別を、遥か昔に行われた魔術による戦争を密かに開発したこの2つの道具を使って再現して決めないか?と、各陣営の代表者に持ち掛けてきたんだ。長らく協議を重ねた結果、とうとう正式に決まり、各陣営の
「希望って?」
「それは君だよ、ドラえもんくん!!!
君はかつて、幾度となく襲ってくる地球の危機をご先祖ののび太くんを始めとした勇敢な仲間達と共に立ち向かい救ってきた。
様々な冒険を繰り広げ皆を励まし、希望を照らしてくれる存在を、私は
先ほどまで何処か飄々としながらも、陰鬱な面立ちだったノノカは一転して、まるで無邪気な子供のような眼差しで嬉々と語りだす。
呆気に取られるドラえもん達を余所にテンションが上がり続けるノノカを隣で静観していた【遠坂凛】こと、カレンが手をたたいて納める。
「ハイハイっ!こぉらっノノカ!!一人で勝手に盛り上がり過ぎ!!駄目でしょ?まだ全部説明し終わってないんだから。
巻き込まれちゃったこの娘達の疑問をしっかりと解いて上げないと···もう、本当にそんな所は昔っから変わらないんだから····」
呆れながら何処かカレンも嬉しそうにノノカを
「ほら、一旦向こうでお茶でも飲んで落ち着きなさい。マミ、ハーブティーお願い」
「はい。すぐに用意しますね」
金髪でゴージャスなカールをした穏やかな顔の少女が画面越しに同じサーヴァントで仲間のロゥリィの姿を見かけ、ウィンクで挨拶しながら優雅にお茶の準備に勤しみ、まだ興奮の覚めないノノカを奥へと連れていった。
「ふふ···相変わらずねぇ···私のマスターとマミは···♥」
マスターの何時ものドラえもんに対する憧れの感情を爆発させた様子をやや、呆れながらどこか安心したような顔でロゥリィは見送った。
「えっ、え~と···」
「ああっ···ゴメンなさいねぇ?彼女ったら昔っからドラえもん····貴方に憧れていたから···
私のことは気楽にカレンって呼んでね」
彼女はツヤのある綺麗な黒髪をツインテールにしており、ノノカの着用している未来的な服装と違って実に現代的な装いをしていた。赤い服の胸元に十字架の刺繍が編み込まれ黒いミニスカートニーソックスを着用している。
「さて···取り敢えずさっきのノノカの説明で今、私達24世紀の残されている人類の現状については理解して貰えたと思うわ。ここからは先は私が説明させて貰うわね」
「···それは私達三人がこの世界に呼ばれた理由と狂気に狂わされ、強制的に操られた先輩の事も含まれていますか···?」
雪菜は少し険しい顔になりながら、鋭い視線でカレンに問いかける。
「ええ、勿論よ。理解が早くて助かるわ。結論から言うとね、貴女達は人類同士の生き残りを掛けた戦争の為の戦力として呼び出される
「あっ!そうそう、そう言えば確か如何にもネット小説の異世界ファンタジーのお約束って感じで異世界の魔法使いの召喚魔法で勇者として私達呼ばれたんですよねっ!」
不謹慎ながらもついつい、ワクワクが止まらず佐天は浮かれた様に喋る。
「残念だけど実際呼び出したのはそっちの世界の人間じゃないわ。
元々最初に貴女達を召喚しようとしたのは
私達と同じ24世紀の未来人でノノカの義理の叔父にあたる人物····
クロウ・D・タチバナって奴が、貴女達をサーヴァントとして呼び出す予定だったのよ」
「サーヴァント····!?ロゥリィちゃんも自分をサーヴァントって言ってだけど、どういう事なの?」
ドラえもんに名前を呼ばれたロゥリィはニコニコ顔になって手を振っている。
「ちゃんと順を追って、しっかりと説明するわよ。
まず、サーヴァントとは神話や伝説にお伽噺とかに登場したり、実際に実在した英雄たちの魂【英霊】を儀式によって召喚して使役する最上級の使い魔を指すの。そしてサーヴァントのマスターとなった証として、手の甲に三回だけ強制的にどんな命令でも執行させられる呪令と呼ばれる緋色の紋章が刻まれるわ」
「···使い魔に強制執行の令呪ですか···」
理性を失い、暴走した暁古城の顔を思い浮かべ、より一層険しい表情をする雪菜。
「召喚されるサーヴァント達は皆、本体の情報をコピーされたような存在だと考えてくれればいいわ」
「えっ!それじゃ、ここに居るロゥリィさんと、雪菜さんの先輩さんも本人だけど、本人じゃない存在ってことになるんですか!?」
超空間モニターの横に立つロゥリィをまじまじと見ながら佐天が驚いて叫ぶ。
「そのとうり、本人なんだけど貴女達の世界に存在する人物とはまた別の存在ってことになるわね」
「ま、又々ややこしいお話ですね···」
一気に様々な情報が飛び交い、シリカの頭は軽く混乱していた。
「···私がこの手で討った先輩は本人の情報からコピーして作成された先輩で、だだ都合よく利用されたというのですね····」
雪霞狼で胸を貫かれた痛みを堪えながら、優しくもどこか哀しい眼差しで自分を名前で呼んでくれた、あの暁古城の顔が脳裏に浮かび、雪菜は悲しみと怒りに震える感情を1人静かに鎮めていた。
「それでカレンさん、そもそも聖杯戦争って何なの?」
人類選別のために行われる争い···聖杯戦争についてドラえもんは訪ねた。
「【聖杯戦争】····それは魔術師達が、かつて古の昔あらゆる願いを叶えるとされる万能の願望機【聖杯】の所有をめぐり、一定のルールを設けて繰り広げた戦いのことなの。
サーヴァントを呼び出し互いに戦わせてバトルロイヤルを行い、最後に生き残った1人が全てを手にする魔術師達が作り出したシステムなのよ···
もっとも今回行われるのは一部の人類の生き残りを賭けた凄惨な争いだけどね····
そして私、カレン・A・トオサカは遥か昔、
地球の冬木の地にて行われた第五次聖杯戦争をパートナーのサーヴァントと共に駆け抜けた魔術師【遠坂凛】の子孫で、24世紀の
世界においてもその命脈を保ち続けている
由緒正しき魔術師よ」
辛うじて生き延びた人類の生存権を巡るこの戦いに、カレンは密かに心を痛めていた。
AIがはじき出した情報をノノカは躊躇いながら残っている4隻の宇宙船全てに通達。只でさえ先行きの見えない不安な状況下で、更なる混乱を招くのは目に見えてはいたが、それでも何も知らずに生き残った全人類が不完全な地球に降りたち、エラーが起きて全滅しては元も子もないと考えての苦渋の決断の上であった。
当然、全ての宇宙船内で大きな混乱が起き、各宇宙船の代表者達らは必死で超空間モニター越しに話し合いを行うも、話し合いは平行線を辿るばかりでいたずらに時間を浪費するだけの日々が続いた。
そんな停滞した空気が流れる中、宇宙船に避難出来ていた奇妙な
かつて古の昔、本物の地球で行われた聖杯戦争を復活させ、サーヴァント達を呼び寄せ互いに戦わせる代理戦争を行い、最後に勝ち残れた陣営のみがあの星へと移住して生き残れる様に選別してみてはと····
当時、次元震の災害が起こる前から、地球政府と太いパイプを持っていた一部の魔術師達は政府の協力で、魔術と科学を交差させた極めて特殊な道具の開発を進めていた。
その道具こそ【人工魔術回路】と【英霊召喚儀式シート】である。
この道具を開発した目的は2つあった。
1つは、24世紀の未来世界においてもごく僅かではあるものの、魔術やオカルトの世界に傾倒している人達はいまだ存在しており、
魔術師の末裔と共に寂れて久しい魔術の力と血脈、そして栄光を取り戻すのを目的とし、もう1つが古今東西南北あらゆる時代に存在し、後に英霊として奉られている者達を呼び出して既に失われた古の叡智と神秘を再び手にする為だった。
だが、次元震による星々の消滅によって、
本来の目的からは程遠い一部の人類の生き残りを賭けた争いの道具として使われる事となる。
人工魔術回路は魔力を持たない通常の一般人でも、埋め込むことによって、疑似的に魔術師にできる道具だが、元々魔術師としての適性を無視して無理矢理身体に魔力をもたらす為、細胞に多大な負担をもたらし、寿命をすり減らすというデメリットもあった。
英霊召喚儀式シートは魔力を宿した疑似魔術師が英霊を呼び出す触媒が無くても道具で得た魔力を注ぎ込むことで呼び出せるよう作成された。
本来サーヴァントを召喚するにはその英霊に関連した遺物を用意し、それを触媒として使用する必要がある。
だが、24世紀の未来の世界において既に貴重な触媒は入手するのは余りに困難となっており、また様々な要因が重なって遺物その物がこの世から数多く失われていたため、今回のサーヴァントの召喚はどのようなクラスの英霊が召喚されるかは、実に運任せの割合が非常に高く、また1騎のサーヴァントに複数のマスターが魔力で契約を結び、強力な存在に仕立てることも可能であった。
梟の仮面を被った魔術師の提案に各陣営の代表者は最初こそ疑問と非難の声を上げたものの、他に有効な手段が見つけられず幾度の議論の末、遂にやむ無く聖杯戦争を始める運びとなる。
生き延びた4つの宇宙船は船体に塗られたカラーリングになぞらえて赤・白・黒・碧の各陣営に分けられ、ノノカは白の陣営に属しており、創世セットを復元し人工の地球を創造した功績と、観測と管理を任されていた実績から今回行われる聖杯戦争の監督役として任命される運びとなっている。
更に幼馴染みにして相談役兼、専属魔術師のカレンも補佐官として認められ、4つの陣営中、唯一中立の立場を得る結果となり、今回行われる通常とは異なる聖杯戦争は敢えて言うならば【亜種・聖杯大戦】といった様相であった。
そんな中、白の陣営に属するノノカの義理の叔父、クロウはあらゆる手段を用いて魔力を得た疑似魔術師達を独自に集め、多数のサーヴァントを呼び出す手筈を整ていた。
その事を知ったノノカとカレンは、この様な状況下であっても任された監督役としての責務を全うしようと動く。
召喚の魔力の流れを辿り、そこから自分とカレンの魔力を注ぎ込んで召喚を阻止しよとするが、又も予想外な事態が起きる。
召喚の流れを邪魔している最中に時空間から何かしらのエネルギーが干渉してきたのだ。
これが原因で雪菜・佐天・シリカ達3人は
召喚されかけた所を別の次元世界の勇者召喚の魔法陣の流れに引き寄せられて王宮に降り立った···というのが今回の真相であった。
ただ、もう1つイレギュラーな存在も召喚されていた。
それがドラえもんである。
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