青い狸猫の異世界冒険記   作:クリスチーネ小林

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8話 ひみつ道具で特訓です!後編

佐天涙子とドラえもんは雪菜の指導するヒットトレーニングに早々にギブアップ宣言し、雪菜とシリカはその後2週目を楽々クリアしていた。

 

 

「·····はひぃ~····ぜぇっ····ぜぇ·····ほ、本当に死にそう······」

 

 

ロボットでありながら激しく息切れを起こして目を回して床に大の字になってドラえもんは青い体を更に青くしていた。佐天涙子も同様に最初こそ余裕があったが3種目めで既に体力が失くなるも何とか4種目やり通したが2セット目は流石に勘弁と雪菜に泣きつき、現在シリカに濡れタオルを額において貰っていたが未だ呼吸を荒くしていた。

 

 

「はぁ~····ぜぇ~····うぅ~ん·····正直このトレーニング舐めてた····キツ過ぎるよぉ~·····」

 

 

「でもでも、これって短時間で済ませられますし、トレーニングを終えた後でもアフターバーン効果でしばらくの時間、脂肪を燃焼し続けてくれるそうですよ。これならダイエッ·····筋力と体力が付きますね♪」

 

 

シリカは殆ど隠せていない本音を交えて行ったトレーニングの効果について死に体の佐天に聞かせた。

 

 

「さて····休憩はこの辺にして、次は···」

 

 

「ゆ"ぎな"ぁさぁ~ん!!私はもう疲れ果てて動けませんよぉぉ~!!」

 

 

佐天は嗚咽混じりに泣き叫んで雪菜に訴えた。

 

 

「う~ん····これは弱りましたね····ドラちゃん、ひみつ道具で何とかなりませんか?」

 

 

何気に佐天同様にひみつ道具を当てにしている雪菜だった。

 

「うぅ~んん····疲れを取る道具·····あっ!そうだっ!!あれがあった」

 

 

ドラえもんは寝そべりながらお腹の四次元ポケットに手を入れるとカエルのイラストが載った湿布薬の様な道具を出した。

 

 

「『ケロンパス』~!!これを身体に貼ると体中の疲れを全て吸い取ってくれる便利な道具なんだ!まず僕が使って見せるね!」

 

 

ドラえもんは自分の身体にケロンパスを貼るとみるみる内に疲れが吸い取られ元気を取り戻した。

 

「ウフフ。僕復活!!」

 

「素晴らしい!ドラちゃん、その道具は非常に素晴らしいですよ!

(この道具があれば24時間疲れ知らずに暁先輩を監視し続けられる。良い道具です····何としてもドラちゃんに譲って貰いたいものですね····)」

 

 

元気になって顔色も良くなったドラえもんは佐天の額にケロンパス貼った。

 

「う"ぅぅ········?あれ!?身体が!あれあれ!?嘘!疲れが無くなった!」

 

「ウフフ。この道具で佐天ちゃんの疲れを取ったんだよ」

 

「うわーいっ!ありがとうドラさん♪大好きー!!」

 

「う、うわっ!?佐天ちゃん!?」

 

 

思いっきり元気になった佐天は思わず衝動のまま無邪気にドラえもんに抱きいた。ドラえもんはさっき迄青い顔していたのが今度は赤くなったりと大忙しだった。

 

 

「これなら何の問題無く次のプログラムに移れますね。ではドラちゃん、例のモノをお願いします」

 

「うん!任せて」

 

ドラえもんはポケットから出てきたのは何やら小型の機械を取り出した。

 

 

「『アスレチック・ハウス』~!!」

 

「うわー何です?何です?この道具は!!」

 

ケロンパスで一気に元気を取り戻した佐天は好奇心丸出しでドラえもんに聞いた。

 

 

「うん。このアスレチック・ハウスはゴールとなる場所に設置してスイッチを押すとその空間がアスレチックジムになるんだ」

 

 

「うわぁ!!すごい、スゴい、凄いー!!」

 

佐天とシリカは瞳を輝かせてウキウキしていた。

 

 

「コースは初心者用、中級者用、上級者用そしてスペシャル特訓用コースがあるけど····」

 

 

「もう決まっています。スペシャル特訓用コース。そしれかありませんっ!」

 

 

雪菜も二人と同様に瞳を輝かせて有無を言わさずに決めた。

 

 

「う~ん余り気が進まないけど···しょうがない····」

 

 

ドラえもんは皆をポップ地下室の出入口の階段上部に集めて機械を設置し、スペシャル特訓用コースのボタンを押した。

 

 

「これでこの階段を下りて地下室へ入ったらスペシャル特訓コースのアスレチックになってるから皆頑張ってね!」

 

 

 

 

 

「·····何処へ行くんですか?逃がしませんよ····ドラちゃん」

 

ガシッ「グヘェッ!?」

 

暁古城のストーカ····監視任務によって鍛えられた観察力と洞察力によってさりげなく予備の壁紙ハウスを階段の横の壁に張りつけこっそりと逃げ出そうとしたドラえもんを見逃さずに首輪を後ろからとんでもない握力で掴んで離さない雪菜だった。

 

 

「うぐぐぅぅ·····い、いやぁ~ぼ、僕は衛星ロケットから送られてきた映像を解析しないとぉ····」

 

 

「····解析するのは後でもゆっくりと出来ますよね?ですからドラちゃんも参加ですっ!これは決定事項ですっ!!」

 

 

「のおぉぉー!!ショムにぃぃ~!!」

 

 

雪菜に引きづられながら半ば拉致同然に参加させられるドラえもんだった。

 

 

「では皆さんこれより特訓コースのアスレチックで総合的な身体トレーニングに入ります!私に続いて下さい」

 

「はい!×2」

 

「だから何で僕までぇ~!!」

 

 

階段を下りて地下室に入ると床が自分達から見て逆走してベルトコンベアーの様に流れている。

 

「先ずはルームランナーだね。これは一定の速さで走って向こうのゴールにたどり着かないと何かしら障害が追加されるはず···」

 

ドラえもんが不安混じりに説明した。

 

「特訓にしては初歩と言った所でしょう····では皆さん行きますよ!」

 

雪菜の号令と共に足を踏み入れると後ろの地下室の出入口にシャッターが下りた。

 

「これでもう後戻りは出来ない!何としても最後までアスレチックをゴールしないとこのシャッターは開かれない!機械を停止させる事は叶わないぞ!」

 

「も、もしかして···これスッゴく難易度高いんですか···?」

 

「そりゃそうだよっ!何せ特訓用のスペシャルコース何だから!!」

 

この道具を見たときはワクワクした佐天だが、ドラえもんのこの慌てぶりに顔を再び青くするのだった。

 

「ともかくやるしかないですよ佐天さん!この特訓コースを乗り切れば昨日のカロリーもチャラになりますよ。きっと!」

 

もはやダイエット目的を隠そうともしていないシリカだった。

 

全員で一斉に逆走してくるルームランナーに飛び込み足を必死で動かした。やはりここでも雪菜とシリカのツートップで佐天とドラえもんは懸命に走るもすぐに二人との距離はグングン開いた。

 

 

「お先にゴールです!てっ、なっ!?」

 

 

雪菜はいち早くルームランナーをゴールしたがゴールの場所に足を踏み込むといきなりその床が急な坂道になり、さしもの剣巫もこれに反応出来ずに簡単に滑り落ちていった。

 

 

「雪菜さん!?ドラえもんさーん、雪菜さんがっ!!」

 

 

目の前に居た雪菜が突然変化した床に滑り落ちていくのを間近で見たシリカは後ろを振り向きドラえもんに

頼ろうとするが他の二人は遥か後ろで録に声が届きそうにもなかった。

 

 

「と、とにかくゴールしないと!!」

 

 

雪菜同様にゴールすると今度は完全な落とし穴が開いてシリカは泣き叫びながら素直に落ちていった。

 

 

「ぴぎゃあぁぁ~!!落とし穴ー!?助けて~!!」

 

 

佐天とドラえもんは一定時間毎にどんどん速くなるコンベアーで既に息も絶え絶えになっておりとても二人を助けに行く余裕などなかった。

 

 

「あひっ!ぜひっ!ドラさぁ~ん!ふっ、二人が落とし穴にぃ~!?」

 

 

「ゴメン!この道具が作動している間は他の道具は無力化されて何も出来ないんだ!!だから何が何でも自力でゴールするしかないんだよぉ~!!」

 

「えぇぇー!?そんなの先に言って下さいよぉぉ~!!」

 

「ハァ、ハァ···そんな事よりもっと速く走らないと···」

 

言い終わる前に最後尾のドラえもんの後ろから巨大な玉が落ちて来て迫ってきた。

 

 

「ひえぇぇー!?何か来たー!!」

 

 

「さっき言ってた障害物だよぉ~!でもあくまでもアスレチックだから命の保証はある····と思う多分···」

 

 

「ちっとも安心できませんー!!」

 

 

佐天は障害物を見て何とかペースを上げてゴールしたがドラえもんは結局間に合わず玉の下敷きになって目を回していた。

 

 

「ムギュウ!?」

 

「ど、ドラさぁーん!」

 

 

だが、下敷きになった勢いを利用して何とかドラえもんもゴールした。

 

「はうっ···ヒドイ目にあったぁ~·····」

 

「よ、良かった無事なんですねっ?」

 

思わずドラえもんに抱きつくとまたも床が変形して底の見えない程の深い穴ができ、一部の床が柱となって立っていた。

 

 

「これはこの柱の内は何本かはダミーだから正解の柱を選んで渡らないとこの下に真っ逆さまに落ちる仕掛けのアスレチックだよ、これは!」

 

「イヤイヤ!もうこれアスレチックの領域じゃないですよぉ!?」

 

「よし!じゃあ先ず僕から先に行くよ。佐天ちゃんはしっかりと見ててね」

 

 

自ら率先して最初の一歩を踏み出し、選んだ柱にのったがいきなりハズレを引き当てたドラえもんは無情にも落ちていった。

 

 

「いきなり外したぁ~!?僕っておドジさんんん~!!」

 

「ドラさぁーん!」

 

佐天の呼び止める声が虚しく響いた。

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

その頃の雪菜は様々な色の付いた床を踏むと柱が飛び出してくるトラップアスレチックに苦戦していた。

色の法則性が分からずつい、霊視に頼って先読みして寸前で四方八方から出てくる柱を紙一重で避けていた。

 

「くっ!霊視を使わなければ録に対処も出来ないとは····!他のみんなは無事でしょうか?」

 

 

その頃シリカは底の見えないステージを鉄棒で渡らないとゴール出来ないアスレチックに挑まされていた。

 

 

「ひえぇぇ~·····た、高すぎるよぉぉ~!!何なのこの深さは···ぜんぜん底が見えないよぉぉ。ドラえもんさん、雪菜さん、佐天さぁ~ん!!」

 

今のシリカの身体能力なら渡りきることは十分可能だが精神的に追い詰められていて上手く渡れず、達成が困難になっていた。

 

 

 

一方その頃ハズレの柱を選んで落ちていったドラえもんは太い縄でできた網に救われていた。

 

「う~ん!?どうやら安全装置はしっかりと作動してるみたいだけど流石にこれは厳し過ぎるなぁ·····とにかくこの縄を使ってよじ登らないとっ!うんしょ!よっとっ!ハッ!」

 

 

どこまでも高い天井を見上げながら必死で綱を握ってよじ登るドラえもんだった。

佐天の方は何とか覚悟を決めて選んだ柱に足を置いていた。

 

「ハァ、ハァ····な、何とかここまで正解だけど最後の三つの柱のどれかはハズレだから慎重に······って!こんなの分かる訳ないよぉ!こうなったらここは女の勘でぇ·····うりゃっ!」

 

だが悲しくも佐天の勘はあっさりとハズレて置いた足の柱は崩れ去った。

 

「うっきいぃぃ~!!女は根性ォォー!!」

 

必死で僅かなタイミングを逃さず何とか向こう側へ片手と片足を引っかけてギリギリ、クリアした。

 

 

「ぜぇ····ぜぇ····これってもう····特訓じゃなくて·····罰ゲームの間違いじゃないのぉ~!?」

 

 

佐天の叫びが虚しく響いた。

 

 

 

その頃雪菜はやたらと段差のある階段のフィールドに足を踏み入れていた。

 

「もうこれは階段とは呼べるモノではありませんね。しかし高神の杜での鍛練に比べたらこれくらいどうと言う事はありませんっ!」

 

常人とは比べようのない見事な跳躍力で高い段差の階段を駆け巡る雪菜だったが突然上から金ダライがふって来たのを寸前でかわした。

 

「なっ!?こ、これは確かバラエティ番組などであった金ダライ落とし!?こんな手には引っ掛かったりなどしませんよ!」

 

 

しかし次のステージで雪菜は頭を抱えた。

 

 

「こ、この飛行機を操縦して最高度まで飛んで、そこからパラシュートで落ちなさい····ってこんなのはもう、アスレチックじゃありませんよぉ!?そ、それに機械の扱いと高い所は私苦手なんですぅぅ~!!無理ですよぉ~!!暁先輩ィ~!!ドラちゃぁ~ん!!」

 

 

姫柊雪菜は余り知られていないが機械と高い所が大の苦手でこのお題はまさに彼女にとって最大の難関だった。

 

 

シリカの方は鉄棒渡りのステージを辛くもクリアして新しいステージを必死で泳いでいた。遥か先にフラッグが置いてあり、それに触れればゴールなのだがこの水のステージは最初のマラソンと同様に逆流して水が押し寄せてなかなか前に進めなかった。何よりやたらとバカデカいサメが鋭い牙を剥き出しにしてシリカの後ろを追撃してきているのだ。

 

 

「いやあァァー!!サメ!サメがぁー!!餌にされちゃうぅぅー!!もうこんなのアスレチックじゃないよぉー!?助けてドラえもんさん!雪菜さん!ピナァー!!」

 

 

必死で泳いで助けを求めるシリカだった。

 

 

 

その頃のドラえもんは、とにかく地道に縄をよじ登ってゴールにたどり着いた。

 

 

「はひぃ~ぜひぃ~!!ま、まだ真のゴールは遠いのかなぁ····」

 

 

ウンザリした眼差しで横の扉を開くと、そこにはハムスターがよく使って運動するやたらと巨大な回し車が設置されていた。説明文が記載されており、『この回し車を一定の速度で一定時間中で走って回せ』と書いてあった。

 

 

「はァァ~····しょうがない···やるか」

 

 

渋々ながら回し車に乗り込んで走り始めると後ろから巨大なハムスターが出現して回し車を追いかけてきた。

 

 

「ギィやあァァー!!!??ね、ね、ネズミぃぃ~!!やだやだやだぁー!!!」

 

 

ネズミではなくハムスターだが、ドラえもんにとっては同じげっ歯類で泣き叫びながらステージ内を縦横無尽に駆けまくった。

 

 

 

 

 

 

その頃の佐天は数々の障害ステージ

を危うくも切り抜けて次のステージに足を踏み入れた。

 

「ぜはぁっ、ぜひぃっ·····鉄棒で大車輪かましたり、ロッククライミングしたり、ライオンに追いかけられたり·····ってもうアスレチックでも何でもないじゃないですかァァー!?

いつまで続くのこれぇ····」

 

 

もう体力、精神力もギリギリに追い詰められている。

 

 

「この扉を開いたら、またとんでもないステージだろうなぁ····あ"ぁーもう、自棄だっ!矢でも槍でも鉄砲でも来いっ!!」

 

 

扉を開いた瞬間佐天の耳数㎝を何かが掠めた。

 

「へっ?」

 

そのステージには無数の小さな穴があり、ソコから矢じりや、槍、鉄砲の弾丸が飛び出してくる危険なステージだった。

 

 

「イヤイヤ!確かに?矢でも槍でも鉄砲でも来いって言いましたよ?だけど本当に来なくたっていいんじゃないのぉー!?」

 

 

そうこうしていると後ろから突然壁が現れ押し寄せてきた!

 

 

「って!ちょ、ちょっとこれってもう完璧に殺しにかかってるんじゃないのぉ!?死ぬ死ぬ本当に死んじゃうぅー!!」

 

 

あくまでもこの道具はアスレチック用の道具なので安全装置はしっかりと機能していたのだが、そんな事頭から抜け落ちてパニックになる佐天。いくら人体に無害とは言え、矢、槍、銃弾に囲まれて佐天の精神はピークに達した。

 

 

 

 

(···あ、あれ?これってもしかして走馬灯ってやつですかぁ!?····ドラさん、雪菜さん、シリカさん····白井さん、初春に御坂さん····

そうだ···私も御坂さんの様に····絶対に能力者に····へこたれてなんて居られないっ!!)

 

 

 

肉体と精神が疑似的とは言え追い詰められた佐天涙子にほんの僅かだが奥深く眠っていた能力が発動した。

 

 

 

佐天涙子の両の瞳が深紅に輝き、この空間全体の動きが把握出来た。

 

 

 

正面、斜め前に向かってくる銃弾と槍の動きがやけに遅く感じられ、

身体を僅かにずらすしてやると槍や銃弾がそのまま通り過ぎ去っていった。

 

 

 

特に何の感情もわかなかった····

ただ、目の前の物体を避けようとは思わずに邪魔なのは自分の身体だと感じて静かに移動しただけと認識した。

 

 

 

 

気がつくと佐天はこのステージのゴールに静かにたどり着いていた。

 

 

 

佐天の通りすぎたステージは矢や、槍が廊下を突き刺さっており、銃弾の弾痕等が所々に付いていた。

 

 

 

 

「案外こんなものか····」

 

 

 

佐天はまるで雲の中を軽く泳ぐ様な、流れに乗って歩いたという奇妙な表現をせざる得ない認識でステージを後にした。

 

 

 

 

そして次のステージの扉を開くと長く細いロープが張ってあり、当然下は底の見えない深い谷になっていた。横に説明文が立ててあり、『ここを遥か先のゴールまで綱渡りで手を使わずに立って歩いて移動せよ』と書いてあった。

   

 

 

佐天は特に乱れる事なく淡々と散歩するかの様に歩き、上から降り注ぐ槍や網が佐天を襲うがまるで槍と網が自分から避けてく様な感じで全く当たらずに渡り···そして渡った先に置いてあった赤いボタンを押した。

 

 

佐天の目の前に扉が現れ、開くとポップ地下室の出入口の階段が見えた。佐天は階段に設置してあったアスレチック・ハウスの終了ボタンを押して今回の特訓を終わらせた。

 

 

運動会で聞いた様な笛の音が鳴り響いて元の地下空間に戻った。

 

 

「ぜぇ····あひぃ····あ、あれ!?元に戻ったぁ!?」

 

 

目を回して床に這いつくばっていたドラえもんが少し遅れて気づいた。

 

 

「も、元に戻ったァァ~助かったァァ~!!」

 

 

シリカが半べそをかきながらドラえもんと佐天に抱きついた。

 

 

雪菜も周りをキョロキョロと見渡してホッと安心してため息を吐いた。

少し目に涙が滲んでいたので誰にもバレない様に涙を拭って三人をまとめて抱きしめた。

 

 

「もう本当に死ぬかと思いましたよっ!もうアスレチックとは絶対に呼べませんよこれはっ!」

 

 

何が合ったのかを三人に勢いよく喋るシリカに、雪菜は居たたまれない気持ちになって頭を下げて、皆に謝った。

 

 

「皆さん、今回は本当にすみませんでした。自分が現状に甘えてると焦って強引に考えを押し付けてしまい深く反省してます!」

 

 

「ええっと···そんなに謝らないで下さい雪菜さん。私からやると決めたのでそんなに頭を下げられると···」

 

 

「う~ん···まあ、でも雪菜ちゃんはみんなの事を考えてやった訳だからさ···僕もこれからはもう少しだけどら焼きを食べ過ぎないようにするからさ。頭を上げてよ雪菜ちゃん」

 

 

「そうそう!流石に今回みたいのは懲りごりですけど、何かあるか分からない以上もう少しだけレベルを下げてやりましょう。少なくとも決して訓練が無駄になるってことは有りませんしね!」

 

 

みんな雪菜の気持ちはしっかりと理解していたので何の遺恨もなくこの話しは終わった。

 

 

「それにしてもこの特訓用の終了ボタンを押してくれたのは佐天ちゃん何だね。一番にたどり着いてクリアするなんて凄いねぇ」

 

 

「あ~それなんですけど····私今一自分がやったという実感と自覚が妙に薄いんですよねぇ···何でだろう?」

 

 

「きっとそれだけ無我夢中になって集中してやり遂げたって事だと僕は思うよ!ようし!みんなで佐天ちゃんを胴上げだー!」

 

 

「ええェェー!!本気(マジ)ですかぁー!?」

 

 

 

ハムスターから助けられたドラえもんは佐天に感謝して胴上げする事を提案した。サメに追いかけられていていたシリカも賛同し、何処か吹っ切れた雪菜も快く参加した。

 

 

「そーれっ!バンダーイ!バンダーイっ!!」

 

 

「って!流石にっ、ちょっと、恥ずかしいんですけどォー!!····まぁいっか♪」

 

 

みんなが楽しそうにしてくれているので佐天はこの胴上げを受け入れて一緒に楽しんだ。

 

 

 

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