ポラクス・マルフォイは陰キャを極めたい   作:於涼

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キャラ崩壊注意


14話 僕は朝からでもチョコパフェなら食べたい。

普段、ポラクスでいる時は誰かに認知されることなんてほとんど無い。しかも姓を言わずに名前だけで僕の存在を思い出せる人なんていただろうか。

話したこともない人物から知られているというのはどうも気持ち悪く感じる。ちゃんと色が付いてる時より透けているゴーストの時の方が存在に気付かれやすいって、我ながらどうなんだらう。

 

「友達と言う程の関係でもないと思うけど……。多分ハリーが言っていたシグナスは僕だよ」

 

「けど話したりするんでしょ。お願い、今私がしてたこと皆んなに、ハリーに言わないで欲しいの!」

 

目に涙を溜めて必死に懇願するジネブラ·ウィーズリーにリャナンシーは不思議そうに首を傾ける。

 

「あら、チキ活っていうのは1人で豪快に丸々食べちゃうものなの?人間って思ってたより消化器官強いのね」

 

「チキ活?何それ。よく分からないけど、好きでこんな所にいるんじゃないわ。……最近私、おかしいの。記憶が途切れたり、今みたいに気づいたら変なところにいて、変なことをしてたりして。夢遊病なのかしら。そんなことハリーに知られたら……!!」

 

夢遊病ではない。もっとタチの悪い悪に堕ちた魂の破片に彼女は取り憑かれている。我が父上によって仕込まれた"例のあの人"の学生時代の日記帳に。

 

怯えきった目で自身の手を見るジネブラ·ウィーズリーに何を思ったのか「なるほど!」とリャナンシーは艶めかしく口角を上げた。

 

「アナタ……ハリーが好きなのね。いいわ、いいわよ!その初々しい恋心!!」

 

「えっ、ええ、まぁそうだけど」

 

ハイテンションになったリャナンシーに引き気味になりながらジネブラ·ウィーズリーは小さく答える。

 

「分かるわよ、分かるわ。恋愛のプロである恋の妖精のお姉さんには!」

 

「何がお姉さんだ、立派なババアだろ」

 

「シグナス、今度はもっと頂いちゃうわ」

 

凄みのある笑顔が返ってきた。事実を言っただけなのに。

 

「ズバリ、アナタは愛しきハリーのことを想い過ぎてまるで生霊のごとくさ迷ってるのよ!!」

 

違う。しかし、原作の知識なんてある訳ないジネブラ·ウィーズリー目をこれでもかというぐらい見開き衝撃を受けていた。

 

「ハリーを想い過ぎて、ですって!?」

 

「ええ、ええそうよ。なんて素晴らしい恋心。なんて素晴らしい執念!けど生霊になるまでは流石に危険よ、殿方に気味が悪がられてしまう可能性がある。

……この恋の妖精リャナンシーに任せなさい!アナタのその素晴らしい恋、全力でサポートしてあげる!!」

 

なんか話の方向がおかしい。

 

「私ったらそんなにハリーを想っていたなんて!

ありがとう、私に気付かせてくれて!どうかこの未熟な小娘に、あの人を、ハリーを振り向かせる方法をご教授ください!!えっと…·リャナンシーさん」

 

まさかのジネブラ·ウィーズリーの方も超乗り気だ。こんなにがっついた子だっけ?

 

「師匠、とお呼びなさい。こっちの彼は私のダーリン、シグナスよ。さぁ、そうと決まれば今日からターゲット"ハリー·ポッター"の調査を始めるわよ、シグナス!」

 

「誰がダーリンだ!ってか待て!!まず彼女がおかしい原因はそんな可愛いもんじゃ……」

 

「私はジネブラ·ウィーズリー。ジニーって呼んでください!よろしくお願いします。師匠、それに旦那様!」

 

「旦那様はガチで止めてくれ!!」

 

もう、僕の脳は追いつかない。

 

 

その日からというものの僕はその影の薄さを利用してハリーを観察する任務に無理やりつかされた。何が悲しくって男をストーカーしなければならないというのか。

 

3日に1回、僕がゴーストになる夜には生徒が寝静まった真夜中のグリフィンドール寮の談話室の片隅に招集をかけられる。

 

「ターゲット調査の報告よろしく、シグナス」

 

「えー、今日ターゲットは普段通り寝癖をそのままに友人ロナルド·ウィーズリーと共に大広間で朝食をとり、その時の会話から糖蜜タルトが好物と判明。そしてハーマイオニー·グレンジャーとも合流して呪文学の教室へと向かいました。独自調査から、ターゲットとグレンジャーの関係性に恋愛感情が含まれている可能性は低いと思われます。どちらかというとロナルド·ウィーズリーの方がむしろー…」

 

なんで僕は人様の青春をこんなに知らなければならないのか。

 

「なるほど、糖蜜タルトが好物と判明したのは大きいわ」

 

「はい!師匠。私の母は料理が得意なので今すぐにでもレシピを送ってもらい、練習したいと思います。

よくやってくれたわ、シグナス!!」

 

なんとか旦那様呼びと気持ち悪い敬語は回避したが、もう状況がカオスでしかない。ほんと、なんでこんな事になって、僕はこんな事しているのだろう。

 

原作2巻ではもっと可愛らしい、控えめな恋心だったのに。確かに物語が進むにつれジニーは情熱的な女性に成長していったが、それでもこれは……。

 

この生活が数週間たった今、もう僕以上にハリー·ポッターについて詳しい人間は殆どいないだろうと確信するほどになってしまった。

利き手、得意科目、苦手科目、杖の材質、チェスプレイの癖、ホクロの数、来ているローブのサイズ、使うシャンプーのメーカー、メガネの度、人生で何回目玉焼きを作るのに失敗したかだって知っている。

 

そんな自分について改めて考えたら、とてつもなく複雑な気分にさせられた。

 

 

 




あったらそこそこ好評かもしれないものパート3

『Mis.パーキンソン特製手編みマフラー』

・商品説明
色は彼女の好みにより男性用でもショッキングピンク。これを恋人に装着させると、ユニ○ーサルスタジオのクリスマスツリーのライトアップにおいても見失うことないなくだろう。しかし初心者がつくった品の為に編み込みが甘くちぎれやすいことは注意。とある屋敷しもべ妖精によると、そのもろさ加減が素晴らしく締め付けても窒息寸前でちぎれるので自虐道具にピッタリだそう。
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