ポラクス・マルフォイは陰キャを極めたい   作:於涼

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20話 僕は出会い系サイトでは年齢詐欺に注意したい。

It's often defficult to see what's right in front of your eyes《灯台もと暗し》とはまさしくこのことを言うのだろう。

 

 

 

「僕、用事があったこと思い出した」

 

「えっ、急にどうしたの!?」

 

ジニーの問いに答えもせず、僕は石壁をどんどんすり抜けてスリザリン寮に向かって疾走する。

 

寝室のベッドでドラコがしっかり寝ているのを確認してから、ドラコのトランクをこっそりと開ける。予備のローブ、クディッチの本、それにドラゴンのぬいぐるみは入っていたが日記らしき物は無い。

だが、絶対持っている筈だ。

 

思い返せばおかしい所はあった。

 

クリスマスのあの日、体調が悪いとドラコはベッドに向かったが、僕と居たくないからだと思っていた。ずっとイライラしているのは僕に対しての怒りが収まらないからだと思っていた。

 

けど、僕はドラコと僕の関わりしか見ていなかった。クラッブとゴイルとはどうしていた?他の日の体調は?他の寮生とはどんな様子だった?クディッチのチームではどうだった?

 

僕は何も知らない、僕は見ていなかった。

 

ドラコの言う通り僕はホグワーツに来てからはドラコに余り近付かなかった。原作に関わりたく無かったから、下手に関わったら最後、何が起こるか分からない。どんな火の粉が降り掛かってくるかー…

 

僕自身に、そして家族に。

 

僕は何の為に逃げていた、隠れていた?

この戦場で僕の望む日常(平穏)を手に入れる為だ。

 

手に入れる"手段"に振り回され過ぎた。譲ってはいけない家族(ドラコ)が傷付いていることに気付かずに。

 

 

ドラコの机の引き出しを開けると、あった。

黒い革製のカバーの手帳。間違いない、リドルの日記だ!

 

直接手で触れないよう、杖で突つきながら取り出す。

こんな凶悪なキーアイテムがまさか自分の寝室にあったとは……。

 

 

「あっ、この不味そうな魔力!最近バジリスクと一緒に学校中にはびこっている魔力と同じだわ!」

 

「もう少し声を小さくしろ。まぁ闇の魔術にどっぷり浸かった魂の成れの果てなんて美味しくないだろうな……って、お前バジリスクのこと知ってるのか!?」

 

リャナンシーがさも当たり前の様に口にした秘密の部屋の化け物の正体の名前。

 

「うーん、昔の知り合い?」

 

「昔って、あのバジリスクは確か1000年前から……」

 

その年月は幾ら妖精基準で考えてもババー…

 

「乙女は永遠の20歳よ、20歳なの」

 

その自称20歳の1000歳オーバーが明らかになった妖精は、精々10歳ぐらいの姿で艶やかな微笑を浮かべる。

これは合法ロリと言うやつなのだろうか。僕個人としてはもはや深く考えてはいけない領域なのではないかと思う。

 

「アナタこそ何でバジリスクのこと知ってるの?この変な日記のことも知ってたし、時々変なことも言うし……。私とアナタの仲に秘密ごとなんて無しよ!」

 

約980歳の年齢詐欺している奴が何を言ってるんだ。

 

 

「ああ、僕も知りたいよ」

 

「ねー、知りたいわよね!……ところでお兄さん、どなたかしら?」

 

横を振り向くと、やけにイケメンな少年がいた。

 

「っ……!!」

 

反射的に距離をとる。

 

 

 

僕と同じくホグワーツの制服を身にまとった、何歳か年上だろう顔立ちの整った少年がいつの間にか床に置いた日記の上に立っていた。

 

彼は体を強ばらせる僕に対して緊張を解かせるように人当たりのいい笑顔を浮かべる。

 

「こんばんは。悪いね、急に口を挟んで。余りにも君達の話が興味深かったものだから」

 

 

「あら、中々のイケメン。けど悪いわね、私面食いじゃなくて魔力食いなの」

 

読んで字のごとく……じゃない。そんなこと言ってる場合じゃない。

 

「リャナンシー……君は妖精の1種かな?そしてそっちの彼はゴーストか。面白い組み合わせだね」

 

目を向けられた瞬間、背筋が凍るように感じた。

単純な恐怖心、そしてその虚偽に塗れた笑顔への嫌悪感。

 

「……」

 

「僕はトム・リドル。この日記に封じられた記憶さ。君達のことは出来れば沢山話を聞きたい所なんだが……。何故、バジリスク、秘密の部屋とこの日記の関係を知っている?」

 

……まさか、もう実体化出来るほどチカラを蓄えていたなんて。

 

父上が例のあの人から預けられていた分霊箱、つまり禁術によって創られた例のあの人の分身体。長年放っておかれていた細かく分割された魂のパーツは、原作ではジニーに約1年間取り憑いてやっと実体化したのに。

 

「……僕はホグワーツに住むゴーストだ。何を見ていても、知っていても可笑しくないだろう?」

 

「ああ、確かに普通の生徒と非道理的な存在のゴーストを比べたらいけない。けど、僕はあらゆる対策をして事を起こしてきた。実際グリフィンドール塔のゴーストも石にしたが、君以外のゴーストは何も気付いていない」

 

分霊箱は通常の攻撃では一切破壊出来ない。通用するのは魔法界に存在するごく一部の貴重な物質だけだ。金で簡単に買えるような品ではない物が殆どだ。

 

こちらからは何にも抵抗が出来ない。ならば取れる行動は1つ。

 

予備動作なく身体を翻しフードが勢いでズレる。目指すのは石壁。

 

 

 

しかし、僕の身体は半分も翻らない内に硬直する。

クラッブとゴイルのベッドの横にある大きな窓。その外に取り付けられた雨水を流す用のパイプ。

 

そこから見えたのは闇の中に爛々と光る縦長の瞳孔。

 

「今は大事な時だ。どんな理由で知っているのであろうとも、とりあえず邪魔される訳にはいかないんでね」

 

遠くなる意識の中でトム・リドルの高笑い、リャナンシーの怒りの絶叫が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドラコは最近疲れが溜まっているのか授業中でもウトウトしてしまい、夜は気絶するかの様に寝ることが続いていた。

 

ギリギリまで睡眠を取ろうと思っていたのに日が昇ったばかりの朝、狩から帰って来たのだろう兄妹のフクロウが煩く鳴き喚くものだから普段よりも2時間程も早く起きてしまった。

 

餌が足りなかったのかと半開きの目で部屋を見渡した時、彼はベッドの傍で石の彫刻のように固まって倒れている弟を発見したのだった。

 

 

 

 

 

 

 




ドラコって、大体の2次小説で苦労人になりますよね。
明日も投稿予定です。
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