注意 : これは作者が整理する為に資料的な感じで書いたハリー視点の出来事を無理やり1話に詰め込んだものです。場面がコロコロ変わるし、文字数も多いので読みづらいと思います。
読まなくても本編を読む際に影響はしません。
ハリーは生まれてからずっと"夏休み"というものが嫌いだった。何たって意地悪な叔母家族と一日中同じ屋根の下で過ごさなければならないからだ。
そして、今年はもっと嫌いになった。ホグワーツで初めて出来た友達か1個たりとも連絡が無いからだ。ホグワーツ、魔法界がもはや全て夢だったのではないかとさえ思えてくる始末。
どんな魔法使い、魔女からでもいいから連絡が来ないだろうか?現実だったと証明出来るなら宿敵ドラコ・マルフォイにだって会いたいぐらいだ……。と、確かに思った。思いはしたがーー
「……」
「……」
まさか、自分の部屋に本当に彼が現れるとは微塵も思う訳がない。
不健康そうな青白い顔色に冷ややかなグレーの瞳。
向こうも予想外の事態だったらしく、見慣れたその気に食わない顔は困惑の表情を浮かべている。そして何故か頭に小汚い謎の生物を乗せてベッドに倒れていた。
驚きの余り喉に突っかかっていた言葉がようやく放たれた。
「マルフォー…「ハリー・ポッター!」
言い切る前に謎の生物の甲高い声に遮られてしまう。
妖精はハリーにキラキラした目で喋りだした。マルフォイの頭でぴょこぴょこ跳ねながら。
謎の生物もとい屋敷しもべ妖精ドビーは何やら主人に内緒でハリーに警告をしに来たようで「ホグワーツに戻ってはならない」だの恐ろしいことを言ってきた。
詳しく聞き出そうとしたのだがそこでマルフォイが青筋を浮かべてドビーに怒鳴りつけ、共にパッと姿を消してしまった。
ハリーは今のことこそ自分は幻を見たのではないかと疑っていたが、マルフォイとドビーの大声は下まで届いていたらしく商談中のバーノン叔父さんは酷くご立腹の様子だった。
嵐に遭遇したような心地だ。しかし、事はこれで終わりではなかったのだ。
商談相手のメイソン夫妻が帰ると言う時に、ドビーが再び現れて先程より切羽詰まった様子で自分がハリー宛の手紙を止めていたことを告白、ハリーにホグワーツに戻らないことを強要してきた。そんなこと簡単に「OK!」とは頷けない。
「では、ハリー・ポッターのために、ドビーはこうするしかありません!」
そこからは地獄。
叔母さん傑作の料理の数々がダドリー家を飛び交う。
最後のトドメとばかりにフクロウがメイソン夫人の頭に手紙を落として行き、ハリーの監禁生活は決定づけられた。
ハリーを救出しに来てくれたロンにその事を話すと、
「そりゃぁマルフォイの奴が君に何かしようと企んでるんだよ!しっかし、その本人も連れて来るとはかなりドジなしもべ妖精だな……」
僕ならそんな奴絶対に雇わないけどね!と続けるロンにハリーは心底同意した。
数日後、ダイアゴン横丁でまたマルフォイ、その父親までとも出くわした。
だが不思議なことにマルフォイはホグワーツ以来だと言うような言動をとる。「何を企んでるんだ?」と尋ねてみても何言ってんだコイツ?というような顔をしてくる。何故か父親の方が後ろで激しく咳き込んでいた。
ハーマイオニーにも夏休みの事件を詳しく話してみたら
「その屋敷しもべ妖精は主人に内緒でハリーに知らせたかったんでしょ?きっと忘却魔法で記憶を消されたのよ。屋敷しもべ妖精は魔法が上手いらしいし」
と、最もな意見が返ってきた。
だが、それにしてもあの時のマルフォイは変だった気がする。今日出会ったあのマルフォイが、ハリーの家にわざわざ訪れて何もせずに帰るなんてこと有り得るだろうか?
そんなハリーの疑問はクリスマスの日に解決することとなった。
『秘密の部屋』について聞き出そうとクラッブとゴイルに変身してスリザリン寮に潜入すると、なんとマルフォイが2人いたのだ!
ドラコ・マルフォイにはポラクス・マルフォイという双子が存在したらしい。魔法薬学などで一緒に授業を受けて居たはずなのだがハリーもロンも一年以上気づかなかった。
ポラクス・マルフォイは兄と同じ容姿に気取った感じの口調だったが、どこか気だるげな雰囲気に目元には濃いクマがあったので1度知ればロンの双子の兄達よりは見分けやすそうだ。
思えばダーズリー家で出会ったマルフォイにはクマがあった気がする。きっとこの弟の方だったのだろう。
ドラコ・マルフォイは去ってしまったのでポラクス・マルフォイから情報を聞き出してみたが、彼は何も知らないらしい。それと、彼らの仲は性格の違いからかそんなに仲良くないようだ。
「きっと弟にも手柄を取られたくないからドラコ・マルフォイは1人でこっそり事件を起こしたんじゃないか?」
今までの話から、ロンと様々な憶測を立てたが意外な事実のせいでマルフォイへの疑いは、何だかよく分からなくなってしまった。
クリスマス休暇以降、スリザリンの継承者による被害者は出ていなかった。被害者が出ずに過ぎていく時間に比例するようにマルフォイの機嫌が悪くなっていくので、やっぱり彼が継承者なんじゃないかとハリー達は考えたのだが……
ロックハートが大々的にもう被害者は出ないだろうと宣言したバレンタインの次の日の朝に被害者は出た。
被害者はなんとポラクス・マルフォイ。純血、しかもその筆頭格のマルフォイ家の者が襲われたという事にホグワーツ中が衝撃を受けた。
ハリーの臆病な同級生ネビルは恐怖の余り授業中もずっと震えていた。普段よりも更に調子が悪くなってしまったネビルは呪文学の授業でハリーの重ねていた教科書をロンのインク壺まで吹き飛ばしてしまったのだ。
教科書の中に混じっていた重要な手がかりがインクまみれの無惨な姿になっていたことに思わずカッとなったが、ハリーの方が罪悪感を抱いてしまうぐらいネビルがペットのヒキガエル、トレバーより小さくなるぐらい平謝りしてくるので怒るに怒れず大きなため息を吐くしかなかった。
次の授業の教室で持ち物を整理していた時、ハリーは気付いた。他の教科書の表紙が真っ赤に染まってしまった中、日記だけが何事も無かったかのように以前と変わっていないことに。
ジニーも純血までもが襲われたことがショックだった様で顔を青ざめさせ、談話室でパーシーに慰められていた。しかし「2人と、連絡が……!」とずっと何か呟いてパーシーの話は入ってきて無さそうだったが。
そんな光景を横目にしつつ、ハリーは同室の誰よりも先にベッドへ向かった。あの日記を調べる為だ。
真っ白なページに試しに文字を書き付けてみれば返事が浮かび上がってきた。その語ることによるとこの日記にはトム・リドルの記憶が保存されているらしい。話してみると彼は文字越しでも分かる理知的で魅力ある人物だった。
トム・リドルがハリーに衝撃の事実を述べた。50年前にハリーの友人であるハグリッドが『秘密の部屋』を開けたと言うのだ。
その事をロンとハーマイオニーに話したが、ハーマイオニーはかなり懐疑的だった。「ハグリッドに直接聞いてみる」という案も出たがそんな事気軽に言える訳ないので、また誰かが襲われない限りこの件は置いておくことになった。
だが、こんな悠長に構えている暇は無かったのだ。
数日後に被害者が出た。
次はレイブンクローの監督生と、そして親友のハーマイオニー。
眉間に深く皺を刻んだマクゴナガル先生に引率され医務室に訪れると、まるで石の彫刻のように硬直したハーマイオニーがベッドに寝かされていた。
ハーマイオニーが襲われてしまうなんて!
ロンは悲鳴に似たうめき声をあげた。
「グリフィンドール塔まであなた達を送って行きましょう」
ハリーとロンがマクゴナガル先生を追いかけて医務室を出ようとした時、向かいからやってきた人物と肩が擦れた。思わず顔を上げると、そこにいたのはドラコ・マルフォイだった。
だがマルフォイの目はハリーより遠くを見ているようだった。
ハリーもその視線を思わず追いかけると、この先にはハーマイオニー。そしてその隣のベッドにはポラクス・マルフォイが虚ろな目で天井を見上げハーマイオニーと同じように硬直していた。
ハリーは驚いた。
コイツのグレーの瞳は普段は人を見下すことか情けなく恐怖を浮かばせることにしか使われていないのに、今はどこまでも……寂しげだったのだ。
ふとその目がハリーに向けられる。
マルフォイの口が一瞬動いたが下唇を噛んだだけに終わった。
お互い何も言わずにすれ違う。
寮に戻ってから、ロンが口を開いた。
「仲良くないって言ってたからアイツは弟を襲ったんだと思った。けど、あの相当落ち込んだ顔は……」
「マルフォイが犯人じゃないなら一体誰なんだろう?」
「まさか、本当にハグリッドだなんてことは無いだろうな?」
2人はハリーの透明マントを使いハグリッドの小屋へと向かった。だがそこで、ハグリッドはマルフォイの父親、ルシウス・マルフォイに示唆された魔法大臣によって魔法使いが"死んでも行きたくない"と口を揃える監獄『アズカバン』に連れて行かれてしまったのだ。
更にマルフォイ氏はダンブルドアを理事長の権限で『停職』にしてホグワーツから追い出すとまで言う。
「あの野郎、息子が死にかけたっていうのにどんな神経をしているんだ!?」
一緒にマントを被って部屋の隅に隠れているロンは小声で信じられないという風にハリーに言った。
「ルシウス。お主は本当に今、わしがホグワーツを離れることが秀逸な判断だと考えておるのかね?」
「……」
ダンブルドアの去り際の問いに無表情で黙り込むマルフォイ氏。ダイアゴン横丁で出会った時の自信に満ちた表情は陰り、ボサボサの髪に石となった彼の次男と同様の酷いクマができたその姿は威厳の欠片もないものだった。
ハリーには彼が正気を失っているように見えた。
その後、ハグリッドが残した手掛かりを追ったらかなり酷い目にあったが、ハグリッドが無実だと言うことが分かった。
僅かに得られた有益な情報……「50年前に『秘密の部屋』関係の事件で死んでしまった女の子はトイレで見つかった」。
ーーまさか『嘆きのマートル』?
だがこの『秘密の部屋』の騒動のお蔭で今はホグワーツは自由に歩き回ることすら難しいのでマートルのトイレに行くことが中々出来なかった。何とか教室移動の最中にロンと共に列を抜け出す事に成功した。
しかし目を光らせて廊下を監視していたマクゴナガル先生に見つかってしまう。だが咄嗟に「ハーマイオニーを見舞いに行こうとしていた」とハリーが言い訳すると、思いの外先生はあっさり信じて涙ぐみながら医務室に行く許可を渡してきたのだ。
怒られずに済んだのは良かったが、医務室に来たところでハーマイオニーはハリー達に気付くことすらない。
相変わらず目を見開いたまま微動だにしないハーマイオニーをロンは痛ましそうに見ていたが、ハリーは顔ではなく右腕に気を取られた。よく見てみるとその拳はくしゃくしゃの紙切れを握り締めているのだ。
マダム・ポンフリーに見つからないように何とか取り出したその紙には"バジリスク"という『毒蛇の王』と恐られている化け物についての記述だった。そいつは毒とは別に眼を合わせるだけで即死させるというとんでもない怪物らしい。
そして紙の隅には『パイプ』と一言だけハーマイオニーの筆跡で書かれている。それを読んだ瞬間にハリーの中で様々なものが繋がった。
「バジリスクがスリザリンの怪物だよ、ロン!」
そうだ、バジリスクは視線で殺すがカメラや水溜まり、鏡などを通して誰も直接見なかったから石になるだけで済んだに違いない。
「だけど、そんな怪物がどうやって城の中を動き回ったんだろう?」
「ハーマイオニーのメモ、『パイプ』だよ!」
「じゃあそれ『秘密の部屋』に繋がっているんだ!」
そこでロンと確信したように顔を見合わせる。
「「嘆きのマートルのトイレ!!」」
いざ辿り着いた『秘密の部屋』への道をマクゴナガル先生知らせようとした時、ある指示が学校中に知らされた。「生徒は全員、それぞれの寮にすぐに戻りなさい。教師は全員、職員室に大至急お集まりください」という内容のものだ。
ハリー達は物陰に潜んで職員室での先生達の話に聞き耳を立てる。
「スリザリンの継承者がまた伝言を書き残しました。少年を、『秘密の部屋』に連れ去ったと」
蒼白な顔のマクゴナガル先生の言葉に先生達は息を飲む。
「誰ですか?」
その問いにマクゴナガル先生は何かを抑え込むように静かに答えた。
「ドラコ・マルフォイです」
ハリーとロンは「まさか!」と叫びたくなった。
マルフォイをお気に入りの生徒としているスネイプが目を見開きローブの袖先で強く拳を握っているのが見えた。
重苦しい空気の中に場違いに爽やかな笑みを浮かべるロックハートが能天気に入ってきたが「適任者ですね」と今までの馬鹿らしい言動を盾に怪物と闘ってこいと職員室を追い出された。
グリフィンドール塔に戻る最中、スリザリンの生徒らとすれ違った。しかし皆恐怖に震えてハリーに全く気付いていない様子だ。
「ああ、終わりだわ。怪物は純血ー…特にマルフォイ家に恨みがあったのよ!」
1人で喚くパンジー・パーキンソン。
オドオドと列の後ろの方を状況を把握しきれてなさそうな顔で歩くクラッブとゴイル。
「……いつもあれだけマルフォイにくっついてるのに。これじゃあ流石にアイツも気の毒なもんだな」
ロンが眉を下げて呆れ混じりの言葉を漏らした。
『秘密の部屋』に連れ去られたという事実に、いつもマルフォイを毛嫌いしているグリフィンドールの生徒達も何も言えないようだった。
静か過ぎる寮で過ごす中、遂にハリーは我慢出来なくなった。
「ロン、やっぱり先生に『秘密の部屋』の場所を教えに行こう」
知っていることがあって何も行動しないのは苦痛に感じた。
「でも、誰に言ったらいいんだろう?」
ロンも気まずい気持ちだったようで頷いてくれた。
「じゃあロックハートの所に行こう!アイツは『秘密の部屋』に入ろうとしている」
他に考えも思いつかなかったのでロックハートの部屋に向かったのだが、そこでなんとロックハートはホグワーツを出る準備をしていたのだ。
「ホグワーツが危険に陥っている中、闇の魔術の防衛術の先生が生徒を放って逃げると言うんですか!」
ハリーの叫びにもごもごとロックハートは言い訳を唱えだした。なんとホグワーツの教師として招かれる程の彼の実績は全て記憶を奪い取った他人の物だと言うのだ。
反抗を試みたロックハートを武装解除の呪文で返り討ちにしてマートルのトイレに彼を引きずって向かう。
「なぁ、ハリー。本当にマルフォイを助けに『秘密の部屋』に行くっていうのかい?」
「マルフォイに死んで欲しいとまでは思ってない。それにこのままじゃホグワーツは閉鎖されてしまう。そうなった時の僕の絶望は計り知れないだろうよ……。この事件を終わらせるには行くしかない」
部屋への扉はトイレの蛇口だった。蛇語で開かれたパイプにロックハートを突き落とし自分たちも入ろうとした時、ハリーはマートルと自分たち以外の人物がトイレにいることに気が付いた。
振り返ると、ハリー達より幾らか幼い風貌のホグワーツの制服を着た少年のゴースト、シグナスがいた。
彼は人見知りなようで出くわした人が殆どいないレアゴーストとして生徒たちに扱われている。しかもフードを常に深く被り顔を決して見せないのでハリー達は顔に彼が死んだ際の醜い怪我が残っているのだろうと睨んでいる。
彼は本当に謎が多い。情報通なゴースト、ほとんど首なしニックさえも存在を知っていないと思えば、何故かロンの妹とゴーストのハロウィンパーティーに現れたり。それになんと妖精の彼女持ちだ。これが特によく分からない。
ハリーは何度かシグナスと言葉を交わしている稀有な存在だがそれでも彼を掴みきれていなかった。
そんなゴーストがハリー達に「自分も連れて行って欲しい」と頼み込んできたのだ。彼はスリザリン出身らしくマルフォイが連れ去られたことに心を痛めていると話す。
ロンは怪訝な表情をしたが人手は欲しかったし、その真摯な声音は嘘ではないだろうとハリーはシグナスの同行を許可した。
ロンとロックハートとは途中分断されてしまい1番奥への部屋へシグナスと2人っきりで向かう。
黙って歩く(彼はゴーストの癖にきちんと足を動かす)シグナスを横目で窺う。
そう言えば、いつもは一緒にいる例の妖精の彼女、リャナンシーが見当たらない。危険だからと置いてきたのだろうか。
マルフォイの救出を任せ『秘密の部屋』へ入れば驚きの連続だった。
後継者は日記のリドル。リドルの正体は"例のあの人"。手助けに現れたダンブルドアのペットの不死鳥フォークス。ボロボロの組み分け帽子から抜き出したグリフィンドールの剣。
バジリスクとの戦いを死にかけながらも勝利を収め、ハリーはリドルの日記にトドメを刺した。部屋を見渡せば隅に意識が無いマルフォイを避難させたシグナスがいた。
「マルフォイは生きてる?」
そう尋ねると、
「うん。何とか生きてるよ」
そう短く答えるシグナスの声はどこか嬉しそうだった。
フォークスに捕まってマートルのトイレに戻ると、シグナスはマルフォイをハリー達に押し付け早々と去ってしまった。
その後、ダンブルドアにシグナスが協力してくれたことを話したが、ダンブルドアすら1回話したことはあれど彼のことをほとんど知らないらしい。
「彼って変なゴーストだよね」
とロンと首を傾げていたが、その話を聞いたジニーは何故か「ふふふ」と顔を綻ばせて笑った。
夏休み。ドビーに渡してくれとのメッセージ付きで5000個近くのソックスが部屋に届けられ、ダーズリー家の悲鳴の中でソックスの山に埋もれながらハリーは目を白黒とさせる羽目になった。
次は3巻か……。逆転時計、お前はダメだ。