ポラクス・マルフォイは陰キャを極めたい   作:於涼

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この設定どうなんだろう……?と思いながらも投稿した作品を評価してくださったのはとても嬉しかったです。




6話 僕は改めて辞書を引きたい。

人目がないことを確認しながらスリザリン寮に戻ったが、とても寝ることは出来なさそうだったので、談話室のソファで変身術の教科書を読みながら夜明けを待った。

 

日が昇ると、リャナンシーが言った通り確かに身体が透けなくなった。ほっと一安心していると、男子寮の階段からドタバタと誰かが駆け下りてくる。

 

「まだポラクスがいない!やっぱり寝る前に探しに行くべきだったんだ……!

クラッブ、ゴイル!ノロノロするな!!ああ、ポッター達を引っ掛けられたのは良かったが、ポラクスが巻き込まれていたら!!」

 

朝一番に起きてきたのはドラコだった。

後ろからまだモゴモゴとローブを着ている最中のクラッブとゴイルも現れた。

 

こちらを見たドラコと目があう。

グレーの瞳が大きく開かれた。

 

「ポ、ポラクス……!」

 

ベッドに居なかった僕を探しに行こうとしてくれていたようだ。

今のドラコはきっと、僕と見分けがつかないだろう。何故なら彼の目下もよく『ゾンビのよう』と比喩される濃いクマが出来ていたからだ。その様子に罪悪感が胸にのしかかった。

 

「おはよう、ドラコ」

 

「おはようじゃないよ!全くどこ行ってたんだ!!」

 

とりあえず挨拶すると、ドラコは大袈裟にため息をついた。

 

「心配かけてごめん、図書室でギリギリまで宿題してたんだ。

あと……探してくれようとしたのは凄い嬉しいんだけど、確認してからの方が良いかも。

後ろの2人、下にパンツしか履いてないよ」

 

そう指摘すると、本人達はズボンを履いていないことに今気づいたようで慌てて男子寮に戻っていき、ドラコはしかめっ面になった。

 

 

 

 

隠し部屋に迷い込んでしまった日から、リャナンシーは一日中僕に付き纏ってくる。鬱陶しいことこの上ない。

妖精というのは何でもありなのか、姿を小さくして僕のローブのポケットに潜り込み授業中まで離れない始末だ。

 

夜になると嬉嬉として僕の生命力を吸い取ってくる。

こないだなんて2段ベッドの上で寝ていたものだからゴーストになった途端、下で寝ていたドラコをすり抜けながらベッドから落下してしまった。

 

突然の悪寒に目を覚ましてしまったドラコに見つからないように部屋から出るのは苦労したものだ。

 

 

「なぁ、3日に1回吸うのは多すぎるんじゃないかい?

僕、多分このホグワーツで1番寝不足な人間だよ……」

 

「アナタはゴーストにならなくったってろくに寝られないんだからいいじゃない」

 

悪びれなくそう言うリャナンシー。

元から濃かったクマがもはや染み付いてしまい、取れなくなってしまった。

 

毎日睡魔と戦い続ける日々を送っていたら、気付けばハロウィンの日になっていた。

 

授業後の夕食はそれは素晴らしいご馳走だった。

ハリー達がグレンジャーと友達になるイベントがある日だ。

確かトロールが出て大騒ぎになるんだっけ。なら、今のうちにカボチャパイをいっぱい食べておかなければ。

 

 

クラッブとゴイルに食べ尽くされないうちに好きな料理を自分の皿に取り分け、お腹いっぱいになってきた頃。

やはりトロールが現れたという知らせを大広間に闇の魔術に対する防衛術のクィレル先生が持ってきて、そのまま気絶してしまった。……この人が黒幕なんだけど。

 

監督生に率いれられて僕らはスリザリン寮に帰らされる。

 

他の生徒達が談話室でトロールがどうやって入ってきたのかやらを興奮気味に話してる中、僕は1人抜け出し自分のベッドに寝転がる。

 

 

……ここからなのだ。原作の、"例のあの人"の動きが出てくるのは。

今はまだ良い、敵以外は誰も死なない。今のように何かが起きても皆笑いながら噂話を出来る。

 

けど時が経つにつれて、"例のあの人"が活発化するようになるにつれて人は簡単に死んでしまうようになるのだ。

 

下から聞こえてくる子どもの楽しそうな話し声。ドラコが人一倍大きな声で自身の見立てを語っているのが聞こえてくる。

 

 

この時間がいつまでも続けばいいのに……。

 

 

 

そんなことを考えていた時、ふと思った。

 

「あれ?もしかして、トロール出現している時点で平穏ではない?」

 

 

トロールが出現してもショックなんて受けず(受けている奴がいたとすればロングボトムぐらい)、マグル界で、田舎の学校で校庭にサルが出た放送を聞くぐらいの感覚でいるホグワーツの生徒達。

自分も世の中平和だな……と凪いでいた。

 

凄腕の魔法使いのダンブルドアに護られている、という気持ちでいるせいなのかもしれないが、それにしたってホグワーツは平常運転だ。

誰かが石になったり、死喰い人ぐらいが侵入してこないとレポートの提出日さえ延長にならない。1年生が使える魔法で入れてしまう場所に三頭犬がいるぐらいなのだ。トロールなんて今更、序の口。

 

やっぱりヤダ、この学校。

 

 

 

……今一度、魔法界全体で"平穏"の定義を話し合い、ホグワーツの"安全体制"も協議すべきだと思う。

 

 

 

 

 

 

 




魔法省に教育委員会なるものはあるのだろうか?
いや、絶対にない。

このホグワーツの緩さは現校長のダンブルドアのせい……、と言うよりは英国魔法界自体かなり適当にやってるからじゃないかと思います。

だからこそ魅力的な魔法の世界であるんでしょうけど、冷静になると中々恐ろしい場所ですよね。
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