死神ワールドに転移したが全力で米花町を脱出する 作:伝説の類人猿
ちなみにそこに至る展開とかストーリーとか一切思いついていません(迫真)
なんなら久々に書いたので雰囲気違うと思います(1敗)
せせらぎの音と小鳥のさえずりをbgmにして朝の支度を始めるシーンって偶に洋画であるよね。あれってたいていお金持ちとかがしているやつでそういうのを見るたんびにあんなののどこがいいんだクソ野郎。こちとら毎朝スマホのアラームじゃいって思ってたんだが……。
「ん~……今日もおいしい平和な空気だ。観よあの小鳥たちを。今日も一日輝いているではないか。ご苦労だよ雀たち!」
あぁ……なんという最高の朝。なんという最高の始まり方!
これこそ我が人生におけるごーるでん!
「毎朝毎朝よく飽きないもんやね。一度病院に連れて行こうか?」
「ふはは~!今日も空がきらめいてるなぁ!……いやすみません。冗談です、はい」
いやさ、ほら、こぅ人生で一度はこの世の勝ち組みたいな人生舐め腐った発言ってしてみたいもんじゃない?
えっそんなことないって……そんな……。
まぁとにかく現在の状況を説明するついでに整理しよう。
結論から言うと紅葉さんは俺の協力者になってくれた。しかもそのおかげで俺はあの米花町から脱出することが出来たのだ。
そして今は紅葉さんの実家の方に居候(穏当な表現)させてもらっている状態である。
どうしてあの魔境から逃れられたのかといえばなのだが、やはりカギになったのは作品に登場したキャラクター(それも一回の出演で終わりではない何か特別性のある)だった。
俺が一人でどうにかしようとしていたときはキッドを利用してコナン時空からフェードアウトしようとしたわけだがその計画は結局とん挫してしまった。
その時点でもうこの方法は使えないだろうと半ばあきらめていたのだが、無限ループとこの計画を含めたこれまでの体験を紅葉さんに話したところナイスなアイデアを閃いてくれたのである。
「いやーにしてもこれで何度目の春なんやろね。にしても不思議やわぁ……。世界がループしているなんて言われるまで全く気がつかんかったのに気づいたらもう違和感しか感じんのやね」
「まぁそれも最初のうちだけでしばらくしたら慣れるけどね。それよりもそろそろ学校もまた始まるし準備をしておかないと」
「せやね」
そのアイデアというのが引っ越しである。とてもシンプル。分かりやすい。
ただし俺が今までやってきたようなものというわけではない。
色々と細かいことは省くが俺は大岡家の関係者となったのだ。
とはいえ別に家族になったとかそういうわけじゃなく、あくまで大岡家はパトロンとして俺はその支援を受けるためということで”やむを得ず”、そう”やむを得ず”京都に引っ越す必要が出来たのである。
まぁ名目なんかはハッキリ言ってどうでもいいのだ。そもそもそのあたり全部紅葉さんがやってくれたんで俺は一切分らん。何とかなるやろ(楽観的希望観測)。
そしてやはりというか俺の予想通り今回の引っ越しでは俺は強制的に米花町に戻されることはなかった。
このことを踏まえるとこの世界は原作キャラクターによる変化しか受け入れないのだろう。メタ的に言うならば新たな展開を生み出すためのキャラ人事というところかな?
とはいえ慎重を期するためにも長い時間をかけてちょっとずつ”当たり前”になるように行動はしてきたのだが。
正直上手くいったときの元日は泣いた。超泣いた。おもっくそ泣いて泣きまくりましたとも。
ああ……ようやくこの地獄はいったんの終わりを迎えたんだな……って。
感動のエンディングですよ?ほら泣けよ。
とはいえ完全に安全か?といわれるとそうでもないところではある。
なにせここは京都。映画の舞台になったのは数知れず。しかもたいていスペシャルでいつもより火薬多めな事件が起きるわけで……。
まぁそれでも毎日人の死体を見るよかはるかにマシである。
それにどう頑張っても、それこそ普通のコナンワールドでない現実世界でだって殺人事件に合う時は合うのだ。
そのあたりはもう潜在的な、取り外しのできないリスクとして甘受するしかないだろう。
実際俺もそんなレベルまで求めてないし。
まぁ積極的にかかわろうとは一切思わないし巻き込まれたくもないがな!
とにかく!こうして俺は素晴らしき平穏を呈に入れることが出来たのだ。悔いはない。
……っあ嘘です。割と結構色々あるんで許してくれ。
「いやはやしかし!なんというかこう清涼な空気っていうのは時間を忘れさせてくれるものだよね!具体的には丸一年くらい!」
「何やらツッコミ入れて欲しい空気は分かりますけど、ウチは大阪の人やないですからやりません」
時間と空間には関係性があるし子供の頃の1日と大人の1日は感じ方がまるで違うしなんかそういうアトモスヒアなスーパーエネルギーが大岡邸にはあるのだろう。
ナムサン‼︎イヤー!
「というわけで今日は気分もいいしちょっと遊びに行ってくるよ」
「学校はないですけど部活はあるってこと忘れてません?」
忘れた!っていうか米花町での一件以来紅葉さんが微妙に辛辣で辛い‼︎辛いじゃなくて辛い。ここポイントな。
それに問題はない。どうせループするからやり直すチャンスはある。
「自分で言うのもなんだけどこれ絶対しないやつだ。自信もって言えるよ」
とはいえちょっとは真人間なところを見せないと立場がやばそうではある。居候()で学業(部活)も不真面目でよろしくないとかこれ腹切案件では?
コナン時空だし下手すりゃ恨み買ってて殺されるかも分からんね。
子供が被害者の事件って記憶にないけどこれから起きる可能性は十分にあるわけで…………あれ?俺ひょっとして堕落しすぎて生命がやばい?
「……たまには永遠の青春を味わうのも悪くないかな。うん。超世紀エンクロジャジャリオン最終章を見るのはまたにするよ」
「なんとなく考えていることは分かりますしそれが考えすぎってこともわかりますけど結果良ければってやつにしといた方がよさそうやね」
あっちなみに部活は世界を大いに盛り上げることも特になさそうな文化系の部活である。具体的にはって?まぁ好意的にいえば万屋。
えっそうじゃないならなんて言うかだって?……うん、まぁその、都合のいいやつ?
「説明しよう!何度もループを重ねるうちに大概のことは出来るようになったのだ!つまりは毛利さんの超人化現象だな。流石に弾丸は避けれないけど」
おかげさまで7面ロップだっけ?なんかそんな感じのことわざみたいに多方面で大活躍である。
結果としていろいろな部活から勧誘がかかり最終的に各部活同士の抗争に至りそうになったが俺が共有財産として扱われることで解決に至ったらしい(紅葉さん談)。
それを聞いて俺は最初にこう思ったね。「いや俺の人権は?」
とはいえ頼られるのも悪くないしマジで事件も起きなくて平和なので気分転換も兼ねて活動している。
共有財産になったことで独自の部活の作られたんだぜ!名前はボランティア部。部長は俺!部員は俺!以上!すくねぇ!
「孤独を再確認したところで今日の遊び(部活)の準備をするかね」
「ウチも午後は無理やけど午前は空いてるんで見させてもらいます」
しかし考えられないほど平穏だな……。今までなら絶対部活なんてしなかったと思うし確信してる。
どう考えても部活関係で事件に巻き込まれるだろうしね。
それになんのかんので阿笠博士とか灰原とかコナンにそこそこ(重要)迷惑かけてたしあっちもこれで一息つけるだろう。
いや一息どころか永遠に息をつけててほしいしなんならコナンはぜってぇこっちに来るなとは思ってるが。
「案外向こうは気楽にやってるかもな!わはははは!」
なんて自分でも分かるくらい阿呆なことを言いながら俺は紅葉さんと支度を始めた。今日は雲一つない快晴である。
*****
「のぉ新一……流石にあれはまずいんじゃないかのぉ」
「わぁってるよ博士。流石にあれはどうにかした方がいいよな」
阿笠邸の居間で物陰に隠れながらヒソヒソ話しているには家主の阿笠博士とその知り合いのコナンである。
2人が見つめる先にいたのは灰原哀であった。
「………………………ッチ」
訂正する。傍目で見ても分かるくらいメチャメチャ機嫌の悪い灰原哀であった。
なんというかもうオーラがすごい(KONAMI)。
とはいえ灰色の脳細胞っぽい何かを持つコナンにとって原因はすぐに推理できた。
「どう考えても一郎が引越ししたからだよな博士……」
「そうじゃな新一。ついでに言えば『大丈夫だって。たまには連絡するし帰ってくるよ』とか言いながら一度も帰らず挙句の果てに“新天地で平穏に暮らしてます。ぶち壊しに来ないでください”なんて手紙を堂々と笑顔の写真と一緒に君らに送ってきたからじゃないかのぉ」
「ああ、ちげえねぇ。もっと言えば大岡さんの胸にデレデレしてた写真だったからな……」
冷や汗を流しながらコナンは阿笠博士の仮説に補足をする。その瞳は確信があるようだった。
「そういえば灰原のやつ今何やってんだ?」
「よくは分からんが……そういえばこの間アマゾオォンで頼んだ覚えのない藁の束が来ておったな……」
「あっ(察し)」
本日の米花町は曇天。ちなみに今週はずっと雨の予報である。
コナンはこの頭痛を季節外れの梅雨のせいだと信じたかった。