死神ワールドに転移したが全力で米花町を脱出する   作:伝説の類人猿

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今更ですがこの小説では著しいストーリーの変化とキャラ崩壊が存在します。


第2話

誠に残念ながら西の高校生探偵は非情だった。

それどころか「うちがあるんならそっちに帰れ」とか吐かす始末である。

ああなんと言うことか!見よ!この人間の残酷さを!

 

遠山さんの方は「そない本気で泣くって…ひょっとして虐められとるんか?」と心配してくれた。天使かな?

でも実際それに近いんです。俺は虐められているんです。変な蝶ネクタイをつけた最終学歴を高校にしようとしているサッカー探偵に。

 

そんなことを言ったら後ろからぶん殴られた。そう言うとこやぞ工藤。

なおその工藤は毛利さんに蹴られて地面にめり込んだ。ざまあみろ。でも工藤を叱ってくれるのは有り難いんですけどやり方が結構怖いです毛利さん。

 

そのあとなんのかんのと西と東の鍔迫り合いがあったがそこは省略。ただ純然たる事実として俺は必死の抵抗虚しくヨハネスブルグへ収監されることとなったのだった。

 

で、今現在俺は新たなる脱出プランを練っている所である。正直な話大阪組はあと一歩のところまで行けてた感触はあったので個人的に工藤抜きでまた大阪に助けを求めに行こうと思う。

 

ではそれ以外には何も可能性は無いのか?そんなことはない。

そう我らが黒幕にしてコナンssであり得ないぐらいの頻度で光彦を〇〇するスイッチを開発している畜生こと阿笠博士である。

 

「というわけで阿笠博士、押すたびに工藤の性癖が歪むスイッチを作ってくれ!」

 

「いやわしそんなの作れないし作ろうとも思わないんじゃが…」

 

こいつ本当に博士か?まともな倫理観を有してるとかさてはお前偽物だな。

騙されんぞ!

 

「一郎君のわしに対する印象について大いに問いただしたいところじゃが本題はなんじゃね?」

 

あっそうそう俺の名前は大谷一郎なんだわ。別にメジャーに出るわけでもないし野球が好きってわけでもないからな。

 

「俺は如何にかしてこの呪われた町米花を脱出したいんだ。ところが今の今までろくに上手くいかなかった……。失敗した原因は一つ!横の移動をしたからだと悟った‼︎‼︎」

 

(また頭のおかしいことを言っておる……)

 

博士がジト目で見てきているがそんなの知ったこっちゃねェッ‼︎

こちとら毎日デスゲームしてるんやぞ!昨日も殺人に巻き込まれたし!

 

「地球のプレート上を移動するのはもう時代遅れッ!これからは地下だ!俺は穴を掘って日本の反対側へ脱出する!…というわけでサンダーバードのジェットモグラ タンクみたいな穴を掘る道具を作ってくれ!マントル貫通できるくらいの!」

 

「多分地球上にはマントルでも溶けないなんていう物質は存在しないと思うぞ」

 

「そんな!あなたそれでも博士なんですか‼︎無能!嘘つき!黒幕!御茶ノ水博士みたいな見た目してるくせに!」

 

絶望した!まさか公式チートの阿笠博士ですらこの町の脱出においては無力だったなんて!

ああ、神様どうかこの哀れな羊に慈悲を……ってよくよく考えれば神は畜生で俺の敵だったわ。くそっ!それもこれもループするコナン時空が悪いんだ。

 

「まぁそんなに慌てても仕方なかろうて。わしに狂人の発想は理解できんが博士として何か言うとすれば、物事に詰まった時は気分転換することが成功につながるということじゃ」

 

「ふむぅ……。まぁ確かにそうだけどさ」

 

あれ?てか今こいつさらっと俺のこと狂人ってディスってなかった?

この清く正しい俺を狂人と申すか貴様。表に出ろ。久々に切れちまったよ……。

 

「君がメンチ切っても変顔にしかならんのはいつものことじゃの。ほら紅茶とクッキーじゃ」

 

「う、うるさいやい!仕方ないから紅茶とクッキーに免じて許してやらぁ!」

 

あっクッキーうまし。やはりクッキーはバターが王道。2番手はロシアン……何とかって言うジャムがついてるやつ。

 

でも本気でどうやって脱出をしたらいいのだろうか?

引きこもる?それは無理。工藤と毛利が引っ張り出すのは目に見えてる。

地下室も無し。前にアイドルと閉じ込められて俺は殺されそうになったからな。

 

じゃあ空はどうかというと有り得ない。この間珍しく脱出以外で飛行機に乗ったらハイジャックされた。

居住を考えたら飛行船だけどどうせこれもなんか爆発とかするんだろ?容易に想像できるわ。

 

……あかん。安全な場所が全く思いつかない。

本当にこの町はどうなっているのだろうか?一ヶ月に一回は爆弾騒ぎが起きるとか普通じゃねえって絶対。

 

「なあ博士ぇ、どっか殺人事件に巻き込まれない異空間って作れないの?」

 

「なんじゃ藪から棒に。…そうじゃのう、そういえばわしも関わってる研究でバーチャルリアリティ関係のものがあったはずじゃが」

 

それってひょっとしなくてもノアズアークじゃないですかやだー。もう映画のことなんて朧げにしか覚えてないけど絶対なんか大変なことになるやつでしょそれ。

 

「電脳空間とかプログラムがハッキングされたらアウトじゃん。却下です却下」

 

「そこまで骨のあるハッカーなんているのかのぉ……?」

 

「週一で連続殺人が起きてる町なら絶対いるでしょ」

 

仮にもわしと彼らの共同制作なんじゃがなぁとか言ってるけど絶対なんか問題が起きるはずである。だってここコナン時空だし。

生存性については一切信用できない場所ではあるが危険性については確実な米花である。問題が起きないこと自体が問題であると断言できる。

 

……もっとマシなことで確信を持ちたかったなぁ。主に安全とか。

 

しかしこれはあれか、もう科学は万策尽きたのか。

技術的なアプローチが無駄だとなると後はオカルトかスピリチュアル方面に頼るしかない。

そうなるとまずはあの疫病神の呪いを緩和する所から手をつけるべきか……。

 

「工藤に塩ぶっかけたら溶けてこの世から消えないかな」

 

「新一はナメクジじゃないと思うんじゃが。というかよくそれで今まで友達としてやっていけたのう」

 

いや友達でもなんでもないんですけど。アイツが勝手に付きまとってくるんです。

そしてその結果俺が命の危機に陥るんです。

 

「まぁ犯罪を解明することで快感を得る頭のおかしい奴ですからきっと生きている人間とのコミュニケーションが欲しいんでしょ。アイツの人間関係の9割は見ず知らずの死人ですし」

 

「多分じゃがそんな調子で友達のいない君を心配して接してくれているんじゃないかのぉ……」

 

そんな馬鹿な。これでも友達はいたんだぞ!元の世界に!

カラスのサブ吉にダンゴムシのヨルナンデスとかサボテンのサボちゃんとか。

彼らはみんないいやつだった……。辛い時に俺の話を静かに聞いてくれたし。

 

「っていうかそんなことはいいからなんかこう除霊とか清め関係の資料とか文献ってない?」

 

「なんに使うかは知らんが昔友人から貰った霊媒師の本ならあるぞい」

 

*****

 

なんたることか!どうやらこの霊媒師の本によると幻の土地ムーに存在するセイクリッドジェネシスアークと呼ばれる聖剣を引き抜くことができればもろもろの厄介ごとから逃れられるらしい。

 

「のぉ一郎君、もうだいぶ夜も遅いしそろそろ帰らないと親御さんが心配するんじゃないかの?」

 

「いやいまちょうどいい所なんだよ博士。主人公のクールが宿敵グリーンハーブ将軍と対決して惑星タブーを救う所なんだ。あと両親は(この世界では)見かけたことがないから大丈夫」

 

「さらりととんでもない闇を聞いてしまったんじゃが。あとそれ本当に霊能力の本なのか?」

 

いやしかしこのクールスッピンウォーターにはかなりの親近感が湧く。

師匠のクロ=オビが事件に突っ込んでそれに巻き込まれるというのが彼のテンプレなのだ。

彼が将軍と戦っているのも実は成り行きで本人としてはとっとと隠居暮らしがしたいのに師匠のせいでそれができないという……。

 

あっちょうどいい所なのに第一巻が終わってしまった……。ていうかこの本って二巻もあるのね。

この本の作者には文才があるわぁ〜。

 

「あっ巻末になんか書いてある」

 

後書きかな?せっかくだし読むか。

えーっと、『この本を最後まで読み終えたあなた、魔女であるわたくしの占いによりますとこの後すぐに人生を変える厄介ごとに巻き込まれます。諦めて天命を待ちましょう』…………っは?

 

「博士ぇぇぇぇ‼︎‼︎大変なんだ!俺の体が縮んで子供になっちまった‼︎」

 

「なっ‼︎?ひょっとしてその姿!小学生の頃の新一かァッ⁈」

 

居間の方から聞こえてきた大声なんて聞いてないし聞くつもりもない。ないったらない‼︎

…………あかんこのままじゃ厄介ごとに巻き込まれるゥ⁈


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