死神ワールドに転移したが全力で米花町を脱出する   作:伝説の類人猿

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第5話

キッドでわちゃくちゃした警視庁を去ったのは結局の所翌日の昼になってしまった。

その理由は結構まともなものでキッド対策会議に特別出席していた小五郎のオッチャンをコナンと一緒に待っていたからだ。

……まぁ一緒という部分には些かの疑問符がつくかもしれないが。

 

だってアイツさっそく他の刑事にキッドの犯行手口とか今回の事件の情報とか聞き込んでたし。

そういや結局高木刑事はそのまま出勤する羽目になってた。本当に申し訳ない。後で癒し効果のあるアロマ送るから佐藤刑事と一緒に楽しんでください。

 

「“黄昏の獅子から暁の乙女へ、秒針のない時計が12番目の文字を刻む時、光る天の楼閣からメモリーズ・エッグをいただきに参上する”ってまぁなんとも洒落た予告状なこっちゃ」

 

「ねぇおじさん。キッドの担当は中森警部がやるんだよね?どんな事するつもりなの?」

 

「バァーカ教えれるわけないだろ普通に考えて。あぁん……ただまぁ会議に出たがありゃ相当腹わた煮えくりかえったな」

 

メモリーズ・エッグにキッドとなると導かれるタイトルは世紀末の魔術師。

……だったよな?合ってるよな?

いやまぁループ世界において世紀末なんて存在するのかと聞かれたら微妙だけど。

 

でもタイトルとそのメモリーズ・エッグの仕掛けぐらいしか覚えてないという悲劇。

でもまぁ俺にとって重要なのはキッドとの接触。所詮事件は二の次よ。

どうせ事件が進展したらいかにもなファイナルステージにたどり着くんでしょ?知ってる。

 

んで俺はその時にキッドと接触し自分を売り込めばいいわけだ。

いやぁなんと楽なことか‼︎もはや近づければ小判鮫の如く無理やりくっついてアジトまでついてくつもりだし勝ったなガハハ。

 

「まぁでもどのみち俺たちゃキッドの狙うそのインペリアルなんちゃらってのを拝めるんだ。どうにかなるだろうよ」

 

「それもそうだね。……あっそうだ!一郎兄ちゃんに伝言があったんだった!あのね、園子ねーちゃんが『あんたも一緒に来て楽しみなさい!』だってさ!」

 

「願ったり叶ったりじゃねえか‼︎行くよ行く行く!さっすが園子さん!」

 

今回ばかりは事件に巻き込まれて万々歳だ!

ぐふふ……!この機を逃さずうまく利用して魔都米花からの脱出を図ってやるッ!

 

「待ってろよキッドォ‼︎」

 

((……アイツあんなキャラだったっけ?))

 

*****

 

鈴木近代美術館とは近々オープンする鈴木財閥の新しい美術館である。

大阪城公園内とかいうトンデモ立地によく建てれたなぁとは思うがまぁこの財閥に不可能はないんだろう多分。

 

空調も行き届いていてなおかつオープン前だから人気もゼロ。

快適空間すぎてダメになりそう。やっぱ持つべきものは金持ちの知り合いやな。

 

「ねぇねぇコナン君、キッドの狙うメモリーズ・エッグってなんなの?」

 

「卵なんて近所のスーパーでも買えるよなぁ……あっ!ひょっとして超美味い卵とかか!」

 

「違いますよ元太君。いいですか?メモリーっていうのは記憶っていう意味なんです。ですからきっと……記憶がある卵なんですよ!おそらく中のヒヨコが自分の前世を覚えてるんです!」

 

「ええー⁉︎じゃあまだ中にヒヨコさんが入ったままなの⁉︎そんなのかわいそうだよ!早く出してあげなくちゃ!」

 

俺以外にも園子さんは誘ってたらしくその際たる例が今目の前ではしゃいでいる少年探偵団である。ついでに博士と灰原も一緒だったりするから気分的にはいつもと変わらなかったりはする。

 

「ほほー最近の子どもはなかなかの推理力やなぁ。そんだけトンチを利かせられるんなら大阪でもやってけるで」

 

「もう平次ったら!ごめんなぁこの兄ちゃん人を揶揄うのが趣味なんよ許してやってくれへん?」

 

もっと言うと西の工藤こと服部もこの場にいたりする。まぁキッド相手だし色々と惜しまずに全力で捕まえる努力をしたいんだろう。

警察と鈴木財閥の意気込みがよくわかる。

 

……それはともかくとして居候させてくれない?

まだキッドとの雇用契約がうまく行くか分かんないし保険が欲しんだよ。

 

「おまえを養うつもりはないって前も言うたやんかい」

 

「お前にじゃねーよ色黒偽工藤!大天使遠山さんにお願いしてるんです!俺を地獄から救い上げてくれませんか?」

 

「あはは〜……今日も元気そうやね一郎くんは」

 

でた!日本人の断り文句の最上位グレード「愛想笑い」‼︎

その笑いって実質拒否ってことでいいんですよね!畜生。

遠山さんなら……彼女ならきっとこの俺を階段下のスペースに押し込めてくれるぐらいの慈悲をもたらしてくれると思ったのに。

 

「そもそもいい年した男女が一つ屋根の下で暮らすような状況を親が認めるわけないやろ。アホか」

 

「うっせー。ああ……もはや俺に残された最後の希望はキッドだけだ。さらば服部。次会うときは犯罪者だ」

 

「探偵の前でどうどうと犯罪者宣言するやつ初めて見たわ。でも心配せんでええ。お前が犯罪者に成れるビジョンがこれっぽっちも見えてこんわ」

 

いいや成れる!俺だって夢追い人だ!

夢はいつかききっと叶うんだってジャンプとかから教えてもらったんだよ!

えっそこはサンデーにしろって?ごめん俺ジャンプしか読まないんだ。

 

「相変わらずキマッってる一郎のことは放っておくとしてガキンチョたち、残念ながらその推理は外れよ!せっかくだしこの私が直々に説明してあげるわっ!」

 

相変わらずテンション高いっすね園子さん。

あれ?そういや君いま俺のことを薬中みたいに言わなかった?ねぇねぇ……あっはい説明が進まないから黙れってことですね分かりますとも。

 

「メモリーズ・エッグっていうのはねうちの蔵に眠ってたロマノフ王朝の秘宝なのよ。ああロマノフ王朝っていうのはロシアに昔あった王国のことよ。それでねーもうすっごく綺麗で輝いててねーー」

 

「エッグって言う名前がついてるのは文字通り卵を模して作られたから。金や宝石が余すことなく使われているそれは皇后への贈り物として作られた……だよね園子ねーちゃん!」

 

「せっかくのあたしの出番を奪うなっての!」

 

コナンってそういうとこあるよな。一番美味しいところを持ってくとかさ。

いつか逆恨みされそうだなって思いながらそれがいつになるのか予測してるけど悲しいことに未だにそのXデーは訪れない。

ああ、そういや贈り物といえば俺も渡すもんあったわ。

 

「贈り物で思い出したけど俺からも少し渡すもんがあるんだわ。ほい灰原。この間の詫びなこれ。あと探偵団たちと一応博士にも」

 

「あら?キーホルダーなんてちょっと洒落てるじゃない。どうしたの?頭でも打ったかしら」

 

ひっでぇ言い草で草も生えないんですがそれは。ある意味灰原の通常運転とも言えるかもしれないが。

君黒の組織が〜って言ってる割にはこれっぽっちも子供のフリしてないよね。

 

見ろよ探偵団(と博士)たちのはしゃぎっぷりをさ。えっ?博士のははしゃいでるんじゃなくて俺が贈り物をしたことに驚愕してるだけだって?

キーホルダーぶつけんぞ髭爺い。

 

「あたしのはウサギさんだ!かっわいぃ!」

 

「へへへ!俺のは仮面ヤイバーのだぜ!」

 

「僕のはあの世界的人気を誇る大ヒットゲームの大大大人気キャラのピカチュウですよッッ‼︎やっぱりイブカスの時代は終わったんです!」

 

今光彦からそこはかとない畜生オーラを感じた気がするが気のせいか?

それはともかくとして博士以外の連中も驚きすぎじゃないかと思うんだ。

俺だって人並みの倫理観はあるし子供には優しくするんだぞ。一部例外はあるが。

まぁ正直元太のやつはうな重のにしようかどうかすごく悩んだけども。

 

うん?そうじゃなくて俺が自分の痴態の詫びをする事自体が驚きを通り越して恐怖を感じるだって?

この場で性犯罪者になってやろうかお前ら。

 

「まぁともかくとして詫びは詫びだ。素直に受けとれよ、特に灰原」

 

「ふーん……十字架のキーホルダーねぇ。まっあなたにしては極めてまともな選択じゃないかしら?けどホントにどういう風の吹き回しなの?」

 

「そこの嬢ちゃんの言う通りやで大谷。こんなことされたらキッドに宝を盗まれるどころか通天閣が爆発するわ」

 

俺だとなに言ってもいいってわけじゃないからな服部?

そんなに理由を知りたいなら教えてやるよ。俺が詫びの品を送った理由をな……!

フフフ……どうしてこんな簡単なことに気付けなかったんだろうな。あたしって、ほんとバカ。

 

 

「よくよく考えればさ、性犯罪者には俺一人でもなれるんだ。ほら、フルチンで街を練り歩けば捕まるだろ?そんなわけで無駄に俺の行動に付き合わせた分の詫びってわけさ」

 

性犯罪者になるには襲う相手が必要だとばっかり思ってた。

けどもう時代は違うんだ。今ならインターネットに自分の息子を晒すだけでも通報できるぐらいにはお手軽になった。

 

駅前で裸になれば問答無用で警察も逮捕してくれるはず。

警察は俺で実績を上げることができて、俺は安全地帯の独房に避難できる。

ああ…!なんと完璧なwin -winの関係かッ‼︎

 

許せ灰原。お前が常日頃俺に言ってくることは正しかった。

俺は馬鹿だ。こんな簡単なことにも気付けないなんて脱出者失格だ!

ま、キッドにくっついて行く予定だし実際にやることはないだろうがな。

 

「まちなさい。何も良くないどころかますます悪化しているわ。鈴木さんちょっとこの人病院に送って行くから私と博士は席を外れるわ」

 

おっおいこら!真顔で俺を掴むんじゃない!

やめろこら!離せこら!あっあっあっ!服部まで真顔で掴みかかってくんじゃねえよ‼︎

博士も何か言ってくれ!ていうかここで病院にブチ込まれたら俺のキッド接触計画大阪編がご破算になるから!ねぇちょっとみんな聞いてる⁈

ねえってば!

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