龍騎神弓クラシカルサキ 〜with魔法戦記リリカルなのはForce an official if〜 作:高町魁兎
龍騎神弓クラシカルサキ、始まります
AM04:00
真っ白な天井…ここ、病院?…そっか、そういえば私…
「How are you feeling awake?(お目覚めの気分はどうですか?)」
「あんまりよくないよアークウィンガー…って言うか、直してもらえたんだ。」
「Isn't that phrase terrible?(その言い草は酷くないですか?)」
・・・酷いって・・・もう何と言われようがもう何も思わない。
「ごめんね、アークウィンガー・・・私にはもう、君を引く勇気はないよ。」
「why?」「・・・なんでもいいでしょ。」
「Please explain properly(ちゃんと答えてください)」
「・・・」「master」
答えたらきっと、アークウィンガーが・・・だってあの子を傷つけキャロさんを殺めかけたんだ、やっぱり私の力は・・・奪う力だなんだって、もう怖いだなんて・・・
「Where are you going?(何処に行くんですか?)」
「どこだっていいでしょ・・・私はきっとここにいちゃいけない・・・さよなら。」
私は窓を破って外に出た。
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AM06:00 スバル・ナカジマの自宅近郊
「(このコースを走るのも結構久しぶり・・・あれ?)もしかして…サキちゃん?」
昨日の休暇を利用して自宅に帰り、久しぶりに家の近くでウォーミングアップしていると、見覚えのある子が堤防に腰掛けて海を眺めていた。
「サキちゃん♪、目が覚めたんだ・・・もー連絡くらいしてよ。」
何故かずっとシカトされる。質問変えるか。
「こんなところに何しに来たの?」
「・・・海、眺めに来たんです。」
いつもとは違い髪を結んでいないから、潮風に吹かれてよくなびいている、でもそのおかげで泣きそうな顔をしているのがはっきりわかった、きっと、ほっといちゃいけない。
「景色見るの好きだねぇ・・・。」
私も隣に腰掛けた。
「まあ・・・はい・・・スバルさんこそ・・・この辺りで…」
「私ね〜、この辺にマンション借りてるんだよ。」
「はあ・・・そうなんですね・・・。」
「折角だし、ちょっと上がってく?一緒に6課まで行こ?
「それは、遠慮します。」
そう言うとサッと立ってそのまま走って逃げて行っちゃった…
「サキちゃん!ちょっと、咲ちゃん!・・・私気に障っちゃったかな・・・」
『・・・スバル、緊急で会議や、大至急出勤できるか?』
もしかして・・・
「失礼します!」
「来たな…で今回の議題なんやけど…。」
「サキちゃんのことですよね?」
「なら話が速い、さっさと座り。」
いつもの定例会議と似たような配置で着席してと…
「で、捜索自体は他の隊たちにも連絡するとして…」
「いや、今夜までに見つからなかった場合多分見つけるのは無理だと思います。」
「なんでや?」
「アレ!?…なんで会議に。」
何食わぬ顔でなんでソウシくんが…
「下手するとサキ、余裕でトカゲとか虫調理して食べますし、最悪その木の上で寝てたりするので…移動可能距離は結構長いと思います。」
「そう言うってことは旅しとる間にしとったゆーことか…とりあえず、この話はやめにしてもう一個なんやけどな。」
はやてさんの顔がキリッとすると資料が投影される。
「昨日の夜からなぁ、衛星軌道に何かがここの上あたりに居座っとるらしいって報告が入ったんやけど…」
「衛星軌道に…もしかして!」
「そのまさかやろうなぁ、あの子んたちが言とった“クトゥルシア”の可能性が高い、詳細な画像はあらへんけど。」
そう言いながら荒い画像を拡大する、ただこの状態じゃ大まかな影しか見えない。
「とりあえず、新情報の共有は以上や、んでなぁ…」
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AM8:00 ナカジマジム付近
おかしいな、まだ残暑が続いてるせいか、それとも…頭がクラクラしている訳でもないはずだけど、フラフラして上手く動けない、視界もまだマシだけど少しぼんやりしている。
「…やっぱり、いや自分で決めたんだ。」
ひとり言のように呟く、でも私は…もう、私は…なんで…なんで自分で決めたのに、こんなに寂しく思うんだろう、恋しくなるんだろう…
「キャロさん…」
思わず口に出てしまった、ダメだ、ダメだダメだ、もう戻れないのに…なんでこんなに…
「あっ…すみません。」
「いいっていいって…ってお前…」
誰かにぶつかった、下向いて歩いてたせいかな、とりあえず顔を上げて…
「やっぱりなぁ、よっサキ、何してんだ?」
ぶつかった相手はノーヴェさんだった。
「関係ないですよ、ノーヴェさんには。」
「ほーう、今は一人になりたい時期ってことか、わかったそっとしといてやる、でもソウシが心配してたぞ、早く帰ってや…電話?スバルからか。」
『あっ、ノーヴェ?ごめんね突然連絡しちゃって。』
「別に今は選手たちのランニングの付き添いで外出てただけだし全然。
で用件は?やっぱり…」
『うん、サキちゃん。そっち来てない?』
「いるいる、ちょうど…って待て!どこいく!?」
電話の相手に気がついた時、勝手に体が動いていた。
「悪い、居たにゃいたけど逃げた、後で折り返す。」
『ちょっノーヴェ!?』
「あれ?ノーヴェ会長、どこいくんですか?」
「ヴィヴィオ、フーカ、アイツを追え!」
「は、ハイ!」「押忍!」
ヴィヴィちゃんたちも私を追いかけてくる、当然勝てるはずもなく、すぐに追いつかれた。
「咲さんっ!」「ダメ!ヴィヴィちゃ…ウッ…グゥ・・アァ…」
ヴィヴィちゃんが私の手を掴むとその瞬間に胸にあの痛みが走り、手からは赤い火が出て、それに驚いたヴィヴィちゃんは反射的に手を離して尻もちをついた。
「…あれれ?…火傷してない。」
「ヴィヴィオ!」「ヴィヴィさ〜ん!」
二人も駆け寄ってくる、その時私は自分の身体から湧き出る火を抑えられず、苦しみながら唸っていた。
「咲さんっ!」「離…れ、て…」
「…?」「どうした?フーカ。」「いや、合宿の時は青い火だった気がするのですが…どう言うことじゃろうか?」
「確かにな…でも。」「ウッ…アッアァ…」
体に纏った赤い火を見る度に頭にあの光景がまた過ぎる…最初の記憶…燃え盛る客室…
「咲さん!」「サキさん!」「サキ!」
その呼び声で回想していた景色が薄れた…
「…ごめんね…ケガ…させたくないから…ッ!」
「オイ!」
私は公園の横を流れる川に身を投げた。
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12:00 特務6課隊舎厨房
「なんやキャロか、なに作っとるん?…材料的にシチューか?」
「八神部隊長、いつから居たんです?」
「そう言うキャロはお手伝いか?」
お昼休みにはちょうど良い頃、休憩時間厨房にいた私をはやてさんが訪ねてきた。
ちょうど私がこの後保護隊によるマギアクリスタルの研究成果を聞きに顔を出しに行くので、先に下ごしらえしていたところでした。
「違います、サキちゃんの事が心配で、マリアージュ事件の時のことふと思い出したんです。」
「それシチューとどう言う接点なん?」
「あの日スバルさんに振る舞ったんですよ、このレシピ辺境自然保護隊のキャンプでよく作ってたシチューで…」
「で、また食べたくなったんか。」
「いえ、また皆さんに振る舞いたくなったんです、ホントは、サキちゃんが目を覚まして元気になったら一番最初だけ食べさせてあげたかったんですけど。」
「そーゆー事やったんか、なら私は手伝えへんなぁ…」
下ごしらえを手伝ってくれる気満々だったはやてさんが包丁を置いた。
「えっ?」
「サキに食べさせたいんやろ?やったらキャロ一人で作った方がええ。」
「なんでですか?」
「昔、ヴィータが言ってた事やけどな“レシピどうり作りゃ誰が作っても美味い、だけどやっぱりはやてが作る方がともっと美味い、だからギガウマなんだ“ってなぁ、どう言う意味だと思うん?」
「えっと…同じレシピでも作る人で味が変わる…とかですか?」
「ちゃうよ、だけどまぁ答えは自分で探し、その方がええ。」
そう言いながらはやてさんが部屋を出ようとして、去り際にこんな事を聞かれた。
「あと、今日はヴィヴィ来るから多分寸胴一杯じゃ足らへんかもなぁ〜♪(´ε` )」
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「あの!八神部隊長!」
「スバル、どないしたん?」
「ノーヴェから連絡があったんですが…」
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「あれからもう一月ですか…」
「そして我々の目的の日も近い…」
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17:15頃
「はぁ…」
川に飛び込んだ後、流れ着いた先で薪に出来そうな乾いた木を探して組んで火を放つ、するとパチパチと言う音が響く。
そうしてその火の周りに取った虫や蜥蜴を焼べる。
しばらく食べなくても睡眠だけで生きていける体のはずなのに勝手にお腹は空くし舌は色々が恋しくなっている。
かと言って自らの火で焚き火して焼いた虫料理も塩気が無くて美味しくないしお腹も全然満たされない、でもお金は全部置いてきたから許可証は買えず魚を頂くのも無理…これまでの暮らしがいかに豊かだったか、6年でいかに人間に染まったか、そして調味料がいかに偉大かを家出して初めて思い知らされる。
でも・・・やっぱり、自分の火を制御しきれない今あの場所には、戻れない。
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「ああ、それか?はやくこっちのから搬入してくれ…どうした?時間が…」
「これ、管理局が注意喚起を出してた…」
「それがどうし…!?」
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『エリオ、キャロ。聞こえるか?』
「八神部隊長?もしかして。」『そのもしかしてや、保護隊の方も今回の件はまた別日にするそうや、てなわけで場所はマリンガーデンの水族館付近、今ちょうどヘリで数名向かっとる、合流できるな?』
「了解!」「ところでクラッシュウィンガーは?」『調整を終えて早々に初陣や、とりあえずなるべくはやくな、頭数は多い方がええ。』
通信を切って全速力でエリオ君がバイクを走らせると、道の脇にある林から光が見えた。
「キャロ、アレ!」「こんなところに…」
多分あの木々をかき分けた先でもくもくと立っているあの焚き火、こんなところにあるだなんてそうとしか考えられない。
「エリオくん、二手に分かれよう。」
「わかった、じゃあ…」「いや、エリオくんがフリードと行って。」
「それじゃ後でどうやって合流するの?」「エリオくんのバイクあるし…」「じゃあ、頼んだよ。咲ちゃんのこと。」
「うん、ちゃんと連れ戻して来るよ…蒼穹を走る白き閃光…」
「ストラーダ、セットアップ!」「竜魂召喚!」
エリオくんとフリードを見届けて茂みの中へ入り川の近くに出ると、服は泥だらけ、靴もボロボロ、そして手足は擦り傷だらけで焚き火を焚いている…さながら紛争地の子供…いやそれよりは少しマシだけど、中々都会っ子とは思えないほど、野生児と言うワードが似合いそうなくらいの姿になっていた。
そしてその状態で私を観ると、怯えるように後退った。
「こんなところに居た、心配したよ。」
「なんで…探しに来たんですか。」
「逆になんで探さないと思ったの?」
その質問を投げかけると驚いた目で私を見ていた。
「ほらっ、一緒に帰ろう?」「ダメ…なんです、それは。」
「なんで?、みんな待ってるよ。」「ダメ!…私に近づいたら…」
そうやって手を伸ばすと、動揺してまた距離を離されて、そして赤い火がサキの身体から噴き出した。
「サキちゃん…」「だから…ダメなんです、このままじゃみんな傷つけちゃうんです、だから…。」
私はため息をついて、燃えるサキちゃんを抱きしめた。
「キャ、キャロさん!?…熱くないんですか?」
「全然、むしろ暖かいくらいだよ、でもこれで私たちを傷付けちゃうかもって思って家出したなんて、ハリネズミみたいだね。」
「だって…私…あの…」
「私も起動6課の頃、自分の力が怖かった、召喚したフリードを上手く制御できなくて…」
「えっ?」「だけどなのはさんが教えてくれた、“キャロのそれはみんなを守れる力なんだよ“って、それからは少しずつ扱えるようになれた、だからきっとその火を操れるようになれるから…いや操れるようになるまで面倒みてあげるから、一緒に探そう?その方法を。」
そう言うと少しサキちゃんの震えが収まって火も少し小さくなった。
「あの…キャロさん…助けてください、私、あの時キャロさんやあの子を傷つけて、怖くて…目が醒めてからもずっと怖くて、火を抑えれなくて…このままじゃ、また誰かを傷つけちゃいそうで、怖いんです、だから…助けて!」
「いいよ、一回の失敗なんか誰にでもあるし、逆にしない方が怖い、だから何度でも助けてあげる、だからもう勝手にいなくならないでよ。」「…は…ふぁい。」
サキちゃんはそのまま泣き出してしまい…私を抱き返してきた、すると泣いてスッキリしたのか、火が少しずつ青に近づいていってる。
「も〜何泣き?」「別に泣き虫でいいです。」
「ちょっとまだ泣き虫とは言ってないよ…とにかくほらっ、見てみて、火の色。」
サキちゃんは自分の蒼い火を見ると、蒸発するように火が消えた。
「ほら、早速見つかったね。」「それどう言うことですか?」
「ソウシくんが教えてくれた、その火は感情に連動してて、落ち着いてる時ほど青くて精神が乱れてると赤くなるって。」
「じゃあ…」「行こう、サキちゃん。」
立ち上がって右手を伸ばすと、サキちゃんはその手を取って立ち上がって、涙を拭いた。
「早速、出動になるけどいいかな?」
「どこにですか?」
さっきまでとは一変してキリッとしたいつもの顔つきを取り戻し、そして私はマリンパークの状況を伝えて、アークウィンガーを手渡した。
「I was waiting, Be prepared to help you further(更にあなたの役に立てるようなって待っていましたよ)」
「まだ、覚悟が決まりきってないけど…アークウィンガー、もう一回力を借して。」
「ok,my buddy ,that' more please call NEW my name(では呼んでください…新しい私の名前を)」
サキちゃんは唾液を飲んでからいつものように前に勾玉を突き出すけど、足はまだ震えている。
「サキちゃん…やっぱりまだ怖い?」
「いえ、だ、大丈夫です、あの…やっぱり、一緒に言ってもらっていいですか?キャロさん?ケリュケイオン?」
「sure」「わかった、じゃあ…」
そっとサキちゃん顔に触れてあげると二機が号令を出した。
「「standby ready?」」
サキちゃんと一緒に大きく息を吸って…
「ケリュケイオン!」「アークウィンガーアルテミス!「セ〜ットアップ!」
To be contend
次回予告
水族館付近に現れた海竜、そして再び現れる赤い稲妻…だけど弓を引いた手は離せない…
だけど決めたんだ私にできる事を全力全開でやるんだって!
次回、龍騎神弓クラシカルサキ
diary 22「フィリス•フカミ」
一緒ならきっと、できるよね