龍騎神弓クラシカルサキ 〜with魔法戦記リリカルなのはForce an official if〜 作:高町魁兎
大地が吸い込まれ、失うものをひとつ…足枷をまたひとつ
忘れられない別れはその日で待ち構えていただなんて。
龍騎神弓クラシカルサキ…はじまります
新暦0082年10月16日
時元航行船ウォルブラム ブリーフィングルーム
「ホントにだいぶ迫って来おったなぁ…」
その軌道上の怪物は徐々に近づいて、ついに成層圏を抜けた。つまり、その怪物がついに来るという事。それはこの事件の大詰めに迫っている事も同時に意味している。
「さて、無限書庫のみんなが頑張ってくれたおかげで分かった事を共有するな、…」
クトゥルシア、時元を超える怪物。
神話上では世界間の移動の際に時元震を起こし、また世界丸々を捕食しかねない化け物。こいつのせいで滅んだ文明があると神話にかかれるほど。
そんなものと…厳密にはそれを再現した生物と戦わなきゃいけない。
いつも危険と隣り合わせな仕事だけど、今回は格が違う。
「てな訳で、ミット防衛の為の総力戦になる…ええな?」
「はい、」「「「「「「了解!」」」」」」
それから編成が発表される、私の担当はその怪物とではなく、あっちの勢力が送り込んでくるであろう獣たちと、あの二人だ。
「サキ…」「大丈夫、トーマさんたちもいるし、きっと…」
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「ついに、私たちの戦いも…決着の時ですか。」
「これが終われば、この時代とはサヨナラ、次はきっと無いだろうけど。」
『4人揃っていないのが残念だが、私が事故で生み出したものだ。
落とし前に付き合わせて、申し訳ない。』
「いえ、我々は目覚め時たからずっとこの目的を果たす事だけが使命、なにも未練はありませ…(何故だこのモヤモヤとした感じは)」
『ああ、頼むぞ…』
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Alert!Alert!と画面に表示されながら警報音が鳴り響く、例の怪物はまだ現れていない。
「スターズ6サキ、スタンバイOk、」「同じくソウシ、いつでも行けます。」「トーマ・アヴェニールと「リリィ・シュトロゼック」」「それからアイシス・イーグレッドもスタンバイOKです。」
『了解や、先鋒チーム…出撃!』
足元のハッチが空き青空が顔を出す、大きく深呼吸して心を落ち着かせたら、100mちょっとのカタパルトを走って踏み切り空へ飛び込む。
「アークウィンガーアルテミス!」「クラッシュウィンガーアポロス!「セットアップ!」
「「エンゲージスタンバイ…「リアクト、エンゲージ」「アーマージャケット、オン!」
「flyer fin」「Fine wheel」
私だけ飛べないけどそれぞれ武装して戦地へ、と言ってもアークウィンガーに搭載されたファイアホイールのおかげで滑空中はローラースケートで滑るように移動できるけど。
雲海を抜けると例の魔導師二人が奪われてしまったクリスタルを覚醒させた獣たちを引き連れ、いや野放しにして待ち構えている。
「来ましたか…”daughter“それに”sealed“」
相変わらずこれ…いい加減覚えろっての。何度も言うのダルいんだから。
「…違う、私は時空管理局特務6課臨時嘱託魔導師、深海サキ!」
「同じく深海双賜!」「あなた達を公務執行妨害及び無断脱走及び指定管理異質物の盗難、悪用、それから器物破損及びその他諸々の罪に無差別破壊行為を上乗せして、上官からの許可のもと武力行使により鎮圧、逮捕させていただきます。」
場には重たい空気が漂い、私の後ろでは出る幕を無くしてしまったトーマさん達がこっちを見ている。
「…あなた達の手を借りれば確かに早かった…ですが、命令を達成するまでは…邪魔をさせるなと言われている間は…戦うしか!」
彼女は杖を振り回して私に迫ってくる、それを足のローラーを用いて交わして…ワイヤーを繋いだ矢で隣のビルに移ってもまだ追ってくる。
「トーマさん、リリィさん、アイシスさん!こっちは…」
「わっわかった…無事で戻ってきてよ!」
「りょう…かいです!…」
トーマさん達が獣たちを対処している中、私とソウシくんは二人の的となっている。
だけど二人はその目に涙を浮かべながら、必死に焦るように攻めてくる。
「…命令は…絶対ッ…」「いいの?命令に従うだけ従って、用が終われば捨てられて…そんなんでいいの!」
地面に叩きつけられてすぐさまアークウィンガーを投げて両手を開け、ヘッドスプリングいやハンドスプリングの要領で体をバネのように使って両足で蹴り、怯んでる間にアークウィンガーを拾う。
「構わない…元々あなたも私も兵器…感情など持たぬ使い捨ての武器同然…これが唯一の…」
「嘘だ、ならなんで泣いてるの!」「知らないっ!」
その一撃は他の攻撃の比にならないほどの衝撃でコンクリートの屋上に穴を開けて下の階の壁一帯にヒビを入れた。
「私が知っているのは…戦い、ただそれだけ…」
「本当に戦いしか知らないなら…もっと好戦的に、遊ぶ様にその力を振るってるはずだ、君は戦い以外の事を知ってるからこそ、戦う事に違和感を持ってる…ホントは戦いたくなんか無いんだよね?…」
少し間があってから彼女は答えた。
「…戦いたく…ッ…」
「今ならまだやり直せるよ、10何年もかかるだろうけど。」
私は手を差し出して近づくとその手を振り払われる。
「…その手を取りたくとも、私は…まだやる事が残っている。」
「使命感に囚われすぎ、素直に頼れば早いのに。」
「…それは我々の主に言ってください。」
この会話の間、また何度も手を振り払われる、でも私はまだ手を差し出し続けた。
「…もっと楽に考えなよ、命令よりも大事なこと、忘れてるんじゃない?」
「…そんなものありません。」「あるよ、君の意思って言う大事なものが。」
「意思…」「うん、誰かが言ってたけど、自由とは全地的生命の権利であると、命令とは別の君の意思…君はどうしたい?その事をする為に今していることは必要なの?」
驚いた顔でこちらの目を見つめて…とそこにソウシくんともう一人が突っ込んできて、壁にソウシくんが押しつけられている。
「…まだ…だ…」
「ソウシくん!」
「…私のしたい事…そんなもの考えた事もなかった、ですが…考える前ににこの事態を終わらせねばならない。
だから”daughter“…あなたをここで討つ!」
「…そんな…」
もう一人が近づき、手を繋いで…
「「ウィングクロスユニゾン」テイク」「オフ」
二人が重なり、例の紅の稲妻が姿を表した。
「…あなたは本当に人間に被れている…その綺麗事こそがあなたの足枷であると教えてあげましょう…」
「…綺麗事なんかじゃない…足枷でなんか、もっとない!」
「…こっちも、いくよ。」
「OK、「ウィングクロスユニゾン…「テイク!」「オフ!」
こちらもその身を重ね、青い炎に身を包んでユニゾンすると両手に生成したフライヤーフィンで飛び上がり…「この、わからず屋ぁぁぁぁぁぁぁ!」と叫びながら蹴りを入れるけど剣の原で押さえられてしまう。
「…私は兵器…私は…」
その剣は荒ぶりこちらへ向かってくる、それを拳法で払いながらも呼びかけ続けた。
「やめようよ…こんなの…意味ないから!」「命令は…命令は…」
「(ソウシくん、エクリプスウィンガー、…一気にケリをつけよう。)」「(一か八かだけど…やろう。)」「There is also a fear of self-destruction. Please take care a little …Bat I'm going out with you(自壊の恐れだってあるんです、少しはいたわってください…まあお付き合いしますが)」
あっちも刃を納めた、考えは同じみたいだ。
「「「………カードリッジダブルロード、ブラストシステム……スタートアップ!!!!!」」」
紅の稲妻と青い火の玉が再びぶつかり離れまたぶつかり、閃光を散らしながら争い始めた…
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「おかしい…なぜ降りて来ない… ッ!?こんなにも早い…何者だ?」
船の外壁に穴を開け突入し、私達の班は船の舵を握っている操舵室へたどり着いた。
「特務6課です、無駄な抵抗はしないほうが身のためですよ。」
扉を撃ち抜き、そのまま銃口を向けたままなのはさんが脅迫する、あちらからは余裕が伺えない。
この状態でなら…。「流石エース•オブ•エース…想定より早かったか。」
なのはさん以外にも私、キャロ・ル・ルシエとエリオくん…それからギンガさんにヴィータ副隊長だっている、仮に抵抗されてもどうにかなるメンバーだ。
だけどあちらはもう抵抗はしないと両手を上げて降参している。
「ユージ•フカミ、指定管理異質部の盗難と無許可な収拾、使用により新暦0082年10月16日、現行犯逮捕します。」
大人しく手錠をかけられると、悔しそうな顔で妻の名を呼びながら嘆いている。
「こちらアレグッサー1無事身柄を確保。」
『了解この後ダブルヘッダーになるけど一旦お疲れや。」
「さて、連行したら危なっかしい二人の援護に…」「オイ、なのは…あれ…。」「ふぇ?…え〜!?」「ウソ。」
そう言っているとサキちゃん達が壁をつき破りこの部屋に飛び込んできた。
「わかった?…これがあなた達が足枷と言ったものの強さだよ…」
サキちゃんはそのまま弓を構え矢をつがえる…
「…降参する?」「ここが潮時ですか…」
このまま手錠をかけようとした時、そこに小さな女の子が現れた。
「やっぱり…なんかつまんないなぁ…」
「イヴァ?…なんでここにいるの?」
そう、その少女はサキちゃんが誤射して傷つけてしまった少女…
「しばらく見物してみたけど、やっぱり満たされそうな気はしないや…」
「さっきから…何を言ってるの?」
「気づいてないんだ…まあこうでもしなきゃ気がつかないよね。」
その子の目の色が変わると、サキちゃんが苦しみだした。
「ッ!?…ア“ァァ…」
「サキ!」「サキちゃん…」
「さっきまでの乱戦でいい場所ができた…刮目せい。」
「…どう言う…こ…と…ア”ァ“ァ...」
既にサキちゃんは肩で息をしている様な状態だ…でもなんで…
「ガァァ・・・ハァ・・・治っ…た?」
「少し借りたぞ、その魔力。」
『皆さん!成層圏の巨大な怪物が降りてきます!』
「今!?」「とりあえず…キャロは咲ちゃんを、後は全員で…」
そうやって、いる間にイヴァがその怪物の中に吸い込まれるように入っていく…どうやらあの怪物のコアだった様だ。
そして降りてきた怪物は悍ましい姿をしていて観るだけで正気ではいられなさそうな気さえするような気色悪さで、さながら資料で見た闇の書の防衛システムの様な外観をしていました。
「…私も行かせてください。」
「サキちゃん、そんな状態で行っても結果は目に見えてる、だから上官として許可できないよ。」
「ダメだとしてもどーせ私は!」「そうやって命の価値を自分で下げるのも良くないよ、大人しく下がって…」
「でも、出し惜しみして撤退だなんて、嫌です!」
なのはさんは少し難しい顔をした。
「分かった、今回だけサキちゃんの監督を放棄するよ…何が起きてもどんな結果でも自己責任、いいね?」
その答えは想像していた斜め上のものだった。
「分かりました。」「八神部隊長、いいですよね?」
『…なのはちゃんも残酷やなぁ、上司としてビシッと止めたらんと。』
「言ってももう決めたならサキちゃんは曲がらない子なのは知ってますし、ちゃんとやり遂げてくれるって信じてるから。」
「ありがとうございます!」
それからヘリに身柄を引き渡した後、私たちはその怪物の元へと飛び、サキちゃんは宝石を投げてエールを呼び、いつもどうり、深呼吸して…
「(ザフィーラさんと何度も練習したんだ、きっと、できるはず…)」
そして遅れてヘリから飛び降りると、身体を青い火に包みながら本来の姿である火の鳥へと変身した、でも今回はちゃんと体の火は青く、非常に安定しています。
「ディバイ〜ン、」「サンダー…」「バスター!「レイジ!」
迎撃が開始されたけれど、あちらは攻撃してくる気配がピタリと止まり大きなワームホールの様なものを作り始めました。
「なのは、あれ。」「…街を吸い込んでる?」
『いかん!このままミットを捕食する気や、そんな事はさせへん、私が出るっ!』
するとその通信を横切るようにサキちゃんが怪物に突っ込んでいき、何度か蹴りを入れるとその間だけ生成がストップした。
「サキちゃんが気を引いてくれてる…今なら拘束して運べるかもね。」
『…せやな、なるべく早くそっちにいって、リインにも手伝ってもろて準備する…ちと時間稼ぎ頼むよ?」
「それってどのくらい?」『10分程度は要るかもしれへん。』
でも、その希望は儚くサキちゃんが振り払われ海へ投げられて、海面を少し蒸発させて体の火が鎮火された。
「サキちゃん!…ヒャッ!」
フリードと海に飛んで咄嗟に人間の姿に戻ったサキちゃんを引き上げるとすごい発熱で息が荒くなっている。
「やっぱり、あっちの姿になると…どうも熱が出ちゃうみたいで…でも、まだ…」
「これ以上無理しなくて良いよ…サキちゃんは十分がんばったよ。」
「でも、事態は終わってませんし…シェルクエールだっています…」
「お前らよそ見してんじゃねぇ!」
怪物はサキちゃんへの怒りを露わにしているのかこちらへ触手を伸ばしてくる、それをヴィータ隊長とシグナムさんが斬り伏せ、エールもそれを遮る様に叩き落としているけれど、その数は果てることを知らずフリードに乗った私たちを追いかけてくる…だけどフリードはすでにかなり疲れてきている…
「もうすぐなのに…」
船まではあと数十m程まで接近したところで捌き切れなかった分が追いついた。
「あと少しなのに…」「キャロさん…私まだ…」
「だめ、これ以上は無理させたくないから。」
だけど目と鼻の先で逃げきれず、フリードの脚が掴まれた。
「フリード!…ッ…」
船から距離を離されていく中目の前で光が走り引っ張る力が消えた…
その光の正体は…あの2人だ。
「…ありがとう、二人とも…」
「あの怪物を退け封印もしくは行動不能にして散る、それが使命ですから…あっ…あぁ…」
「…大…丈夫?」
「言いましたよね…私は遅かれ早かれ…うっ…」
フリードの足を掴んでいた触手を落とす際にどうやら別の腕で攻撃を喰らったみたいで、さっきのサキちゃんとの一戦で負った傷と合わせて、もう飛んでいるので精一杯の様でした。
「…あなたの言う、やりなおしをしてみたかったと…今すごく思っています…ですが…」
「バカ…するのはこれからでしょ…」
「いえ、我々にはもうその余力はもう無い…だからせめてお詫びとして。」
そう言って咲ちゃんに鞘ごと剣を持たせると魔力を咲ちゃんに供給した…
「…なんで…こんなこと…」
「私に穏やかな生活をいつか教えて欲しかったですが、その前にこの世界を守り抜いてください…」
剣から手を離すと微かな魔力で出来た羽を羽ばたかせて…怪物に二人が突っ込んでいく…
「…待って2人とも!」
「サキちゃん…大丈夫なの?…あっ」
その言葉に聞く耳も持たずに怪物の中へただその身一つで飛び込んでいく…
「さよなら…サキ。」
そうとだけ言い残して光を放ちながら散り…引力が止まり怪物の動きがパタリと止まりました…
そしてサキちゃんは…悔しそうに拳を握って唇を噛み締める。
「…バカ…」
To be continue
次回予告
救えなかった…救いたかったあの二人と、崩壊寸前の市街地
噛み締めた悔しさは、二つの身と4つの武具を重ね合わせて…不死鳥の少女と2騎の龍に力を与えて。
次回、龍騎神弓クラシカルサキ
diary 26「戦乙女」
ありがとう…そしてさよなら…キャロさん、ソウシくん…みんな…