龍騎神弓クラシカルサキ 〜with魔法戦記リリカルなのはForce an official if〜 作:高町魁兎
迫ってくるのは別れの日。
ワガママは何度も通らない、それでも変わっていくものを受け入れなきゃ…
龍騎神弓クラシカルサキ第二部、フィナーレです。
ただひたすらに真っ白で何もない世界…そこにはまた私にそっくりな顔に青い髪と橙色の瞳をした少女…と言うより私とソウシくんがユニゾンした時のような外観の少女が黄昏れるように座っている。
そしてまた、私は青い鳥の姿…
あぁ、なるほど…私はまた生死を彷徨って精神世界でフィリスと、つまり私の脳に微かに存在する、私の身体になっている彼女の人格とまたコンタクトしてしまったみたいだ。
「お疲れ様、サキちゃん。」
「フィリスがいるって事はまた私瀕死なの?」
そう言うとフィリスは苦笑いをしながら答えた。
「…まあね…でもありがとう、仇打ちしてパパがもう悪さする必要をなくしてくれて。」
「…そこはいいよ、私がただ勝手にやった事だし。」
「でもこれでサキはもう自由の身♪兵器としてでも道具として使われることももうないんだよ♪」
「私は初めから自由だった気がするけど。」
「だから、私ともう会わないよう幸せに生きて…この身体ももうサキのものだから…」
「…このまま私生きてて大丈夫かな?」
その質問を投げかけるとフィリスは少し悩んだ。
「なんでそう思うの?」
「だって…何度も甦れてしまう、その何度が何度か分からないんじゃ…あのまま溶かされて消えちゃった方が…イタッ」
フィリスが私の頬を叩きそれから目を合わせて語ってくる。
「逆に考えて、確かに別れは人より沢山経験するし、大好きな人を全員看取ることになるのも仕方ないけど…それ以上に沢山…世界中の誰よりもたっ...くさんっ!思い出を作れるんだよ!
いい思い出も、悪い…思い出も。」
「思い出を…たくさん?」
「そう、だからこの身体もなにもかもサキちゃんの好きなように使って幸せに生きてよ、君は青い鳥なんだから…」
ここで意識がハッキリして来てフィリスの姿は見えなくなっていった。
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次に目を開けたら見えたのは真っ白な天井と点滴台、どうやらちゃんと帰って来れたみたいだ。
「おはよう、サキちゃん。」
すぐ横から聞き慣れた声が聞こえる。シャマル先生だった。
「おはようございます、シャマル先生…あの…今日何日ですか?」
「10月17日、10時間くらい気を失ってたわ。」
シャマル先生は変にご機嫌なご様子だ。私の寝顔でも堪能してたんだろうか?
「とりあえず点滴がなくなるまでは絶対安静でお願い、あとみんなにも目が覚めたって伝えて来るから。」
「あの…待ってください!」
「どうしたの?」
「ソウシくんは…」
少し苦い顔で私を見ている…って事はやっぱり。
「ソウシくんはね…」「そこにいるよ。」「クルル♪」
キャロさんが部屋に入って来て、さっきまでシャマル先生が腰かけていた椅子に座って私の手を握った。
「…ごめんね、話全部盗み聞きしちゃった。…って聞いてる?」
「ごめんなさい…キャロさん…」
「そうなっちゃうのも無理ないよね。」
机の上には卵が置かれている‥厳密には卵形の水晶が。
「サキちゃんが大事に抱えて振ってきたのに、覚えてないの?」
「…私が?…」
全く身に覚えがなかった。
「きっとソウシくんが残してくれたんだよ、サキちゃんが寂しくないように。」
後に詳しく調べた結果あの卵はソウシくんの半分であるガーディアレウスのマギアクリスタルである事がわかった。
そして、その数週間後には天馬とグリフォンの物も発見され、渦に呑まれた街の一部も半分ほど全く別の遠い場所で発見された。
恐らくイヴァが堕ちる前に吸収されなかった分がランダムに転送されたようです。
それからマギアクリスタルのうち、海竜、盾竜、天馬グリフォンの4つは私が所有する事を認められ、新たに水晶召喚士と言う新たなレアスキルが確立された後、クトゥルシアのものは永久凍結が決まり、あの二人が使っていたデバイスとアークウィンガーもまた、私が所有する事が認められた。
また今回の事件の首謀者であるユージ•フカミは罪を認め裁判は起こらず、また更生の余地ありとして終身刑が決まった。
こうしてマギアクリスタル事件改め、YF事件は終結した。
このあともこのロストロギアを盗難、悪用した事件は起こったけれども。
さて、この事件が終結したと言う事は同時に私、深海咲は臨時戦力として6課にいる事が出来なくなる。
とりあえず4月までは置いといてもらえることになったから期間はかなり長くもらえたけれど、進路はそれなりに豊富だった。
古巣に戻り無限書庫で働くもよし、ヴィヴィちゃんたちと学校に通うもよし、お誘いに応じて別の舞台に行って前線で活躍するのもよしと‥だけど、キャロさんや皆さんと離れたくないなんてワガママな思いが、決断を鈍らせている。
ただ、その様子が表に出過ぎたのか、ある日突然なのはさんから呼び出された。
「サキちゃんはやりたいこと探しの旅をしてたんだったよね?」
「はい、景色のいい場所を巡りながら…それがいつのまにか臨時戦力として部隊配属されちゃいましたけど。」
海に浮かぶ訓練設備が見える防波堤に腰かけて、潮風を受けながらなのはさんと二人きり、昼下がりの陽射しはすでに肌寒かった。
「なんでそんなこともう一回聞いたんですか?」
「次の場所が決まったら6課から巣立っちゃうんだよね、だけど次の場所が決めれないんでしょ?」
「…」「ごめんね、図星だったかな?」
なのはさんはずっと私と目を合わせたままだったけど、私が黙ると視線を離した。
「私のひとりごとだからちゃんと聞かなくてもいいけど…サキちゃんはやりたいことをもう見つけてると思合宿の時には既にね…だけど私の思い違いだったのかな。」
あの時にはもう…?
「にゃはは♪時間取らせちゃってごめんね。」
「いや、ありがとうございます、なのはさん。
あの…私、やっぱり自分の力を誰かのために使いたいです・・・でも、やっぱりいろんな景色も見に行きたいです。」
なのはさんはニッと笑うと紙を一枚私に差し出した。
「そう言うと思ってこんなの用意してみました。」
「合同新人陸士講習?」
「今度私が出張で教導に行くんだけど、サキちゃんも来る?」
「お誘いは嬉しいんですが・・・」
「でも、この講習はね、サキちゃんのやりたいこと探しにピッタリだと思うんだけど。」
その紙の裏面には様々な部隊の訓練を色々ごちゃ混ぜにした内容の日程が載っている。
「いろんな部隊の活動を体験できるって状態に近いからね。」
「行きます・・・行かせてください。」
「じゃあ、決まりだね。」
そして4月を迎えて・・・
「色々とお世話になりました。」
深々と見送りに来たみなさんに頭を下げる。
「あっちに行ってもがんばってね咲ちゃん・・制服、似合ってるよ。」
キャロさんに言われて少し照れてしまった。
今更説明すると、あの後結局合同訓練に参加したのち、私は辺境自然保護隊へ行くことに決めました。
あの場所ならキャロさんと一緒にお仕事も出来るかもしれないし、何より色々なところに行けるのが大きかった、まあお仕事で観察やバイヤー退治で行くキャンプだけど。
「じゃあ、そろそろ行こうか。」
「はい。」
この日はユーノ司書長が時元港まで送ってくれることになっているから、かなり久々な再会でもありました。
「じゃあ、いってらっしゃい。」
”いってらっしゃい“というキャロさんの声が頭の中でリフレインする・・・だけど私はもうクヨクヨしないって決めたんだ。
「キャロさん・・・さびしくなったら、会いにきてもいいですか?」
「もちろんだよ、ここはサキちゃんの帰ってくる場所、だった場所だもん。」
泣そうになっている私の頭をキャロさんが優しく撫でる、やっぱり私はこれに弱いっぽい。
「じゃあ・・・いって・・・きます。」
助手席に乗ってドアを閉めると、ユーノ司書長がこんな事を言った。
「サキ、いい顔になったね。」
「どう言う事ですか?」
「もうキャロから聞いてたなら2度目になるかもだけど、君の名前にはね、もう一つ意味があるんだ。」
「可能性の花を咲かせてっていう・・・だけじゃないんですか?」
「その名前はね、ずっと笑顔でいて欲しいって言う願いが籠ってるんだよ。」
「笑顔・・・か、フフッ」
きっとキャロさんもなのはさんも、ユーノ司書長も・・・ソウシくんだってきっと、私が笑顔で笑っていることを願ってたのかな?
「だから、ボクの知らないところでちゃんと笑えるようになってて安心したよ。」
「司書長・・・」
失ったものは沢山あったけれど、寂しさもずっと感じてたけれど・・・無限書庫にいた頃からもう私は要らない子じゃなかった、必要とされてはなかったけど、一人じゃなかった、気にかけてくれる人はずっといたんだ・・・私なんてバカなんだろ。
でもこれはきっとこれからも同じなんだよね・・・
私はまた会う日までなるべく笑顔で居ようとこの日、桜吹雪に吹かれながら心に決めた。
Dragon knight‘s bow Classical Saki
Is the end
But this story doesn't end
As long as she lives tomorrow and Write a diary
ここまで読んでくださった方々ありがとうございました。
と言う訳で龍騎神弓クラシカルサキ、色々結末を変えてしまいましたが、一応完結?でございます。
でも、一番最初の予定に近い終わりに仕上がりました。
本当は最終決戦の地は海鳴市にしたかったのですが、流石にくどい長さになるかなと思い、やめにしました。
余談なのですが、この作品を書いてて何度か痴がましい事をしてしまったなぁと思うことが度々あり、2次創作はあんまりやりたくないなぁと改めて思った時が数回ありましたがとりあえずここまで書けたのには満足してますが、実は語り手が二人いたのはキャロと咲がお互いの日記を読みあっていて、故に話数の数え方が「diary」だったとカミングアウトするのが出来なかったのと、オリジナルから存在している6課メンバー達を上手に描けなかったのが心残りです。
ではまた次の作品で…お会いできたらいいですね。