今回は無謀な挑戦、なんと東方projectに手を出してしまいました。
ともあれおはよう、今日は、今晩は、コマンタレヴー。
五百蔵鼎です。
初めましての方へ、よろしくお願いいたします。
またテメェかの方へ、そうですまたです。
酷いことこの上ない文章ですが、楽しんで頂ければ幸いに。
第一話・ENGAGE/夜の帳が下りた中で
雲の多い夜、疎らな星と上弦の月が雲の切れ目から覗き、地上に僅かな光を零す。
光を受けるのは竹林、無慮数百から数千は生えていようか。広い土地で雄々しく背を伸ばす太い竹は、時折吹く風を受けてざわめき揺れる。
竹林の中、竹に紛れるように建つ広い広い屋敷がある。
漆喰と瓦の塀で囲われた屋敷は、庭に鯉の泳ぐ池と鹿威しがあり、建物は木材と木釘で組まれた純和風の体を成していた。
その屋敷の長い廊下を歩く影が二つ。
影は人で、一人は質素な着物を着た妙齢の女性、もう一人は少女だ。
見た目こそ大人に差し掛かった雰囲気を醸し出しているも、今はまだ幼さが際立つ。
全体的に繊弱なイメージを抱かせる体格で、ほっそりとして触れれば折れそうな肢体を包むのは白の着物に黒い羽織だ。
白い着物から覗く肌は雪のように白く、薄い唇に浅くひかれた紅が無表情ながらに凛々しく端正な顔立ちに彩りを添えていた。
艶やかで瑞々しい黒髪はやや長めにのばされている。
その髪を形容するに、鴉の濡羽という言葉が相応しい。
その髪を、緩い風が撫でて揺らす。
「…………」
──……良い夜。
少女──名を月見里燈火という──は竹林の隙間から覗く夜空を見て、心内で呟いた。
燈火の後ろを歩く女性、伊織はそうですねと短く同意する。
何も言っていないのに何故分かったのか。
「───」
ふと、燈火が歩みを止めた。
顔を動かす事なく視線を、屋敷を囲う塀よりも向こうの竹林にやり、数秒見据えた後燈火はやおら振り返るなり、自らの後ろに立つ従者に顔を向けて言う。
「……伊織、もう下がっていいよ」
「はい、では失礼致します。燈火様、お休みなさいませ」
伊織は燈火に頭を下げると、その場から煙の様に掻き消える。
お休み、と燈火は伊織の消えた虚空に返し、懐から厚底の高下駄、それも大きな鈴付きのものを取り出し、廊下から庭に下駄を下ろして穿いた。
──……りん、と。
高下駄の歯が地を叩き、鈴が奏でた実に耳触りのいい透き通るような音が大気に染み入る。
いつもと変わらぬ音色に一度頷いた燈火は庭先に一歩、二歩と踏み出して三歩でその場から掻き消えた。
忽然と、突然と。
△▽
次の瞬間に、燈火は竹林の中にいた。
風にざわめき、揺れる竹。擦れる葉音、差し込む月明かり、動物らしきものはこれといって見えず、ただ燈火が立っているだけ。
見晴らしの極めて悪い竹林を一度見回し、彼女は大きく息を吸い込んで、言う。
「お兄さん達、誰」
抑揚の感じられぬ、しかし凛々しい声は、周囲に鋭く突き刺さる。
一拍、その程度の僅かな間を置いて、彼女がお兄さん達と呼んだ者達が現れた。
太い竹の影から、大きな岩の影から、あらゆる影よりぬるりと現れるは、人でこそあるもののおよそ一般人ではない。
暗緑色の迷彩服上下に身を包み、マガジンの収められたチェストリグやボディアーマー、顔には黒いフルフェイスマスク、ヘルメットに固定された
人数は九人、全員とも全く同じ服装で装備もほぼ同様、性別もまた同様、全て男だ。
違いがあるとすれば体格程度、それ位しかない。
燈火は彼等を一度半目で見やり、懐から黒い鉄扇を取り出して開かぬまま口元を隠し小さく可愛らしい欠伸を噛み殺した。
「ぁふ……。で、お兄さん達誰。要件なら手短にお願い。僕もう眠い」
子供だからね、と言葉の最後に
彼等は姿勢を整え、提げたSCAR-Lの銃口を地面に向ける。
それから、隊長と思わしき一人が口を開いた。
「夜分遅くの訪問、申し訳御座いません。我等は〝特六○六対妖機甲師団・虎杖〟の第九対妖歩兵分隊・黒塚と申します」
一呼吸、間を置いて続ける。
「〝古き黒鉄の大妖〟月見里燈火様──我等と共に来ていただきたい」
燈火が眉根に皺を寄せ目を剣呑に細めた。
「……………」
鉄扇を開き、端正な顔の下半分を隠して先程より幾分か低い声色で言う。
「……〝虎杖〟に、〝黒塚〟……思い出した、お兄さん達〝妖狩り〟だよね」
「明察に」
「
「人は、日々進化するものにありますれば」
「ふーん、あっそう。で、妖狩りが僕に何の用。僕妖怪だよ、人は食べないけど」
金属音、燈火が鉄扇を畳んだ音だ。
畳まれた鉄扇の先を、さながら刀の切っ先を突き付けるように彼等に向ける。
その頃には、美しい顔から表情は消え失せていた。
「妖狩りが、妖怪である僕に、狩る対象に『共に来て頂きたい』って、どう言う事。教えてよ」
そもそもがちゃんちゃら可笑しい話だ。
妖狩りは本来、霊であれ妖怪であれ無害有害有益無益に関わらず、全て例外なく撃滅する。
人の形をなしていながらも、人の範疇より外れた者達を蛇蝎の如くに嫌う。忌み嫌う。
妖狩りの根は深く、少なくとも千年以上前から存在し、妖怪達と相容れる事終ぞなく争い続けてきた。
殺って、殺られて、殺り返して。そんな悪循環の輪を幾年月も刻んで来た妖狩りが、たかだか五百年程度の時間で妖怪達と仲良しこよしの関係になるとは到底思えない。有り得ない。
「──……我等妖狩り、妖怪の撃滅が最たる使命也。妖怪と言う種はこの世界に必要無し。
改めて、
「月見里燈火様、我等と共に来て頂きたい」
「──……断る。と言ったらどうなるの」
一拍の間も置かぬ燈火の問いに対し、返って来た返答は一つだけだった。
金属音、SCAR-Lのボルトを操作し、初弾を薬室に送り込んだ音だ。
「実力に訴えるのみに御座います。我等をただの人と侮られぬよう」
前半部分、実に妖狩りらしい台詞だと燈火は思う。
まあ、例え妖狩りに協力したとしても、最終的には殺されるのだ。
協力する気などさらさらないが。
「分かったよ、お兄さん達」
直後に銃撃が来た。
サウンドサプレッサーによるくぐもった銃声が響き、五・五六ミリ徹甲弾の嵐が燈火に吹き荒れる。
「───」
しかし、燈火には掠りもしなかった。
既に回避を終えていたからだ。
地を蹴り、竹を蹴り空中に身を踊らせる立体機動。
蝗のように跳ね回り、回避しているのだ。
「やーい、九人がかりで弾丸中てられないやーつ」
抑揚のない挑発。
黒塚部隊は散開、ナイトヴィジョンを使用し暗い竹林を駆け抜けつつ、燈火に対し銃撃を続行。
数多の空薬莢が地を跳ね、徹甲弾による幾重もの弾幕が竹に弾痕を穿つ。
「じゃ、僕も攻め手にまわるよ」
燈火は回避を続行しつつ、着物の袖に手を入れ、中にある物を一気に引きずり出す。
右手に握られたのはEOTech ホログラフィックサイト及びサウンドサプレッサー付きのAR-57だ。
ろくすっぽまともな構えもとらず、さながら拳銃でも扱うかの如く右手でグリップを握り、左手でボルトを引いて初弾装填。
「ろけんろー」
そして銃撃。
まともな構え方ではないものの、妖怪の腕力にものを言わせたリコイル制御により正確な銃撃を叩き込む。
「───!」
聞くに耐えない悲鳴が上がった。
5.7㎜弾が黒塚部隊の一人の脚に十三発分叩き込まれたのだ。
一名無力化、残り七名。
地に倒れ込む男を視界の端に捉え、薬莢が地を跳ねる音を聞きつつ、体をぶん回して照準を他にやる。
硝煙のくすぶる銃口が空に半弧を描き、散開し 走り回る黒塚部隊を捉える──寸前で疑問が生じた。
──……一人足りない。
燈火が無力化したのは一名。挑発したわりには一人だけしか無力化出来てないのか、やーい、弾丸中てられないぼーく。
いや、自らをおちょくっている場合ではない。
七名を残し、何処ぞへ消えた一名。逃げたのならいい。しかし、妙に頭に引っ掛かる。
早く見つけないと、マズい予感が――
刹那、燈火の胸の真ん中に殴られたような衝撃が後ろから襲い、彼女の前に生える竹に
「?」
衝撃を感じた胸を見下ろす。
大量に血が滲んだ孔。つまりは銃創、大口径ライフル弾並みの銃創だ。
燈火は後ろを振り向く。後方三百二十メートル、銃口から硝煙を靡かせるAI ASM338狙撃銃を構えた黒塚部隊の一人がいた。
狙撃である。
一人消えたのはこの為か、と今更気付いた所でもう遅い。
第二射目が彼女の左膝関節を破壊した。
立っている事は最早出来ずに膝をつく。
「――御覚悟を」
味方内で自滅せぬよう射線を避けた配置で、黒塚部隊が燈火を囲み、銃口が向けられた。
「最後に問います。我等と共に来て頂けますか?」
隊長格が問い掛ける。
燈火はそれに対して何を言うでもなく、無言でべーと舌を出した。
「………。分かりました」
燈火に向けてトリガーが絞られた。
銃声、七人分のSCAR-Lから5.56㎜が放たれ、燈火の線の細い体に弾痕を穿ち肉を引き裂いた。
一マガジン三十発×七、二百十発が彼女の体を食い散らす。
そして、燈火は自らの血の海に倒れ伏し、沈んだ。
こ れ は 酷 い 。
何がって文章が。恥ずかしい。でも(ry
原作キャラが登場するのはいつになることやら。
気長にお待ちいただければ幸いに。
この辺で失礼。どろん。