【完結】フリーズランサー無双   作:器物転生

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【あらすじ】
通訳を辞めて主人公組の下を去り、
ファラは片手を切り落とされ。
レイスは主人公組と出会いました。


主人公組の故郷は灰になる

 ファラに魔女さんと呼ばれていた、あの人が居なくなった。キールも契約が終了したと言って、学問の町ミンツへ帰って行った。残された俺とファラとメルディの3人は、レイスと名乗る商人と出会う。商人であるレイスはオージェのピアスを持っているため、メルディの言葉が通じるらしい。

 メルディの通訳として、レイスは同行してくれる事になった。乗船許可証を持っていなかった俺達は、レイスと共に海を渡る。「レイスは」というか「レイスも」何かトラブルを抱えているらしく、船に乗るまで騎士に追い回されていた。だが、それでもレイスのおかげで船に乗れたんだ。もしもレイスが居なかったら、乗船許可証を持っていない俺達は船に乗れなかっただろうぜ。そんなレイスの存在は都合が良すぎる気はするが、今は他に海を渡る方法がなかった。

 

「なんだか、レイスって魔女さんに似てるね」

「そうか? ぜんぜん違うじゃねーか」

 

「似てるよ。一歩離れた場所から私達を見てる所とか、話し方とか」

「同じピアスを着けてる所とかな。あれってレイスが言うにはオージェのピアスなんだろ?」

 

「うん、魔女さんは晶霊術士だからメルディの言葉が分かってた訳じゃなくて」

「オージェのピアスを着けていたから、メルディと会話が通じてたって事だな」

 

 それは、あの人がオージェのピアスについて、俺達に黙っていた事を示している。思い返してみると、あの人は王国語でメルディに話しかけていた事もあった。なぜ、あの人はピアスを持っている事を俺達に話さなかったんだ? 木陰の村モルルでオージェのピアスについて、あの人は知らない振りをしていた。意図して隠していたとしか思えないだろ?

 

 

 「風晶霊の洞窟」で風の大晶霊の力を借り、「火晶霊の谷」で火の大晶霊の力を借りる。そうして「水と風と火」の大晶霊が揃った事で、統括晶霊である光の大晶霊が降臨した。そこで俺とファラとレイスは、大災害が人によって引き起こされている事を知る。それをメルディは知っていた。知っていて黙っていたらしい。

 

『うまく説明出来なくて、怖くて、言えなかったよ。ごめんな、ごめんな!』

「うまく説明できなかった。怖くて言えなかった。そして言えなかった事を彼女は謝罪している」

 

「やっぱりセレスティア人は、エターニアの壊滅を望んでるってわけ?」

『違うよ! グランドフォールはバリルが責任、バリルがグランドフォールを起こしてる』

 

「君のいうバリルとは、誰の事なのかな?」

『セレスティアの総領主、王様みたいな人』

 

「それは、セレスティアの指導者という意味でいいのか?」

『ん、うまく言えないよ。バリルはセレスティアで一番強い人、セレスティアの支配者』

 

 レイスを通して、俺達はメルディの言い分を聞いた。だが、信用できねぇ。それはファラも同じ気持ちらしい。メルディの態度は、嘘を取り繕っているようにしか見えなかった。思えばメルディが空から落ちてきて、それから俺達の平穏な日常は一変したんだ。故郷を追放され、衛兵に追われた結果、あの人が王を殺害した。

 セレスティア人であるメルディが、空から災厄を持ってきたんじゃねぇか? 大災害を起こしているのがセレスティア人だなんて、そんな大事な事が今さら明らかになって、おまけにメルディ本人が明かしたんじゃない。その前に事実を明らかにしたのは光の大晶霊だ。そんな様で、今さら信じられるとでも思ってるのかよ?

 俺は怒りを覚えている。メルディは最初から全て話すべきだった。そうでなくちゃ不公平だろ? 全て話しても信じて貰えないんなら、それを補えるように信じて貰えるように努力するべきだった。うまく説明できないんなら、説明できるように努力するべきだった。なにも話さず「信じてくれ」なんていう奴を、信じられる訳がねぇだろ。

 

「私、なんで、こんな所まで来ちゃったのかな」

 

 俺の横でファラがポツリと呟く。苦労して大晶霊を集めた結果が無駄に思えた。それでも俺達は、まだ軽い方だ。あの人はインフェリア王を殺した。その罪が消えることはねぇ。あの人は俺達のように後戻りできない。兵士に追われる俺達を救うために、あの人は犠牲になったんだ。

 

「ファロース山へ行く前に、一度ラシュアン村に帰りたい。今は考える時間が欲しいよ」

 

 そう言ったのはファラだった。すでに、あの人によって進むべき道は示されている。ファロース山にセレスティアへ続く道があるらしい。それを何故、あの人は知ってたんだ? まるで何もかも知っているかのようだった。あの人も全て知っていて、メルディのように最後まで黙っていたんだろうか?

 

 

 風の大晶霊が提供してくれたエアリアルボードという物を使って、俺達はラシュアン村へ帰る。風の上に乗って、海の上も高速移動できる優れ物だ。そうしてラシュアン村へ帰り着いた俺達を迎えたのは、何者かの襲撃を受けた村だった。ほとんどの家が焼け落ち、さらに地面には無数の穴が開いている。

 

「なに、これ?」

「ちくしょう、どうなってんだよ!?」

 

 あちこちに兵士の死体が転がっていた。見知った村人の死体もある。村の中を見て回ったものの、生きている奴はいなかった。俺の家も、ファラの家も、それ以外の家も焼け落ちている。なにも残っていない。なにが起こったのかも分からなかった。誰も生き残ってねぇのか?

 俺達は情報を集めるためにレグルス道場へ向かう。すると村長が生きていると分かった。生き残っていると分かった。だけど全身に大火傷を負っているため、長くは持たないらしい。ライフボトルで復活させても、全身の大火傷による継続ダメージが、村長の命を削りつつある。状態異常を治療するパナシーアボトルを使っても、深部に負った火傷まで回復に至らなかったらしい。そこまで重傷になると、火傷している場所を切除しなくちゃならねぇ。

 村長は、まともに会話できるような状態じゃなかった。俺とファラが村長に話しかけると、最後の力を振り絞るかのように「出て行け」と呟き始める。その目は見えていなかった。その声は掠れていた。耳を村長の口元に近付けて、やっと聞こえるような声だった。だが、その声を聞いたファラは「ひっ」と悲鳴を上げる。

 

「出て行け出て行け出て行け出て行け出て行け出て行け出て行け出て行け出て行け出て行け出て行け出て行け出て行け出て行け出て行け出て行け出て行け出て行け出て行け出て行け出て行け出て行け出て行け出て行け出て行け出て行け、お前達の顔など見たくもない」

 

 最後の声は憎悪に塗れていた。そんな状態の村長から話を聞ける訳がねぇ。他に事情を知っている人を捜していると、あの人から話を聞いた人がいた。レグルス道場の連中から聞いた話によると、あの人を捕らえるために兵士達が来たらしい。その兵士達は、あの人に加担しているという理由でラシュアン村に火を放った。

 そうして村の皆は殺された。だけど、村が燃えていると気付いて駆け付けたあの人によって、兵士達は皆殺しにされたらしい。村の地面に開いていた無数の穴は、あの人の使った晶霊術の跡だ。でも、あの人が救えたのは村長一人だった。その村長も虫の息だった。レグルス道場に村長を預けたあと、あの人は「仇(てき)を討つ」と言って旅立ったらしい。

 ラシュアン村を焼き払った兵士達は、あの人に対する追っ手だ。インフェリア王を殺したあの人を、捕らえるために追って来たのだろう。村を焼いたのは見せしめと、あの人に協力していたという罪と、あの人を村に誘き寄せるためか。だけど、これが王を殺した罰だってのか?

 俺は帰る家を失った、帰る故郷を失った。10年前よりも悪い。みんな死んだ、みんな殺された。村長一人を残して全滅だ。焼き払われた村の中で、兵士と村人の死体が転がる中で、焼け落ちた家の前で、俺は泣き喚いた。なにもない。なにも残っていない。すべて失った。

 

「くそっ。これが、これが人間のやることかよぉ!」

 

 もう二度と平穏な日常は戻って来ない。俺の中には闇(くら)い感情が根付いていた。ああ、村長も、こんな気持ちだったのか? これから先、俺が安らかに眠れる日は来ないだろう。なにを憎めばいい? なにを呪えばいい? 村を滅ぼした兵士達か、村を滅ぼす原因になったあの人か、それとも村を滅ぼす原因を作った俺達自身か。そして俺は一つの疑問を思い浮かべる。

 

 こんな世界に救う価値なんてあるのか?

 

 

 死体の埋葬を終えて俺達は、あの人の後を追う。その途中でレイスが、あの人に関する話をキールから聞きたいと言ったので学問の町ミンツへ寄った。そしてレイスは「税金の支払い」とか「国の監査」とか言って、キールを雇う事に成功する。そうしてキールを加えた俺達は、王都の目前まで来ていたあの人を発見した。

 

「私はレイスという。君が魔女と名乗る者か?」

「魔女と名乗った覚えはありません。そう呼ばれているだけです」

 

「ならば君の本当の名前を、教えて貰えないだろうか?」

「偽名を名乗る貴方に、返す言葉はありません。そうですよね? 王国元老騎士のレイシス・フォーマルハウトさん」

 

 「ああ、やっぱりか」と俺は思った。都合が良すぎるから、そんな気はしてたぜ。あの人によると商人だと思っていたレイスは、国に属する騎士だったらしい。その指摘をレイスは否定しなかった。俺達を調べていたのか? いいや、違う。本当の狙いは俺達じゃない。あの人だ。くそっ、あんたも俺達を騙(だま)してたのかよ!

 

「それで何のようですか? 王国元老騎士のレイシス・フォーマルハウトさん」

「君を止めにきた。これ以上、犠牲者を増やす訳には行かない」

 

「私を殺して終わりにしようと言う事ですか。ずいぶんと貴方にとって、都合のいい話ですね」

「ラシュアンの事は言い訳の仕様もない。兵達の行為は許されないものだった。君と、そしてリッド達にも謝罪する。すまなかった。それでも、どうか怒りを鎮めて欲しい」

 

「泣き寝入りしろと? 無かった事にして大人しくしていろと? 貴方は、どこまで人をバカにしているんですか?」

「王が崩御された後、人々は混乱している。そこへ、さらに襲撃を受ければ治安を維持できない。なにも知らずに暮らしている人々まで巻き込むべきではない」

 

 はぁ、とあの人は溜め息を吐いた。俺はレイシスの後ろで、愛用の斧を抜く。今すぐ、この詐欺師の頭を、叩き割ってやりたかった。だけど、そんな俺の腕をファラが掴む。城で衛兵に切り落とされて、片方しか残っていない手で、その手で俺の腕を止めていた。ファラは首を横にフルフルと振って俺を止める。なんでだよ! 許せねぇだろ! こいつは村の皆の仇(かたき)なんだ!

 

『レイス、うしろ!』

 

 メルディが叫ぶ。俺とファラにはメルディが何を言っているのか分からなかった。だけどレイシスにはメルディの言葉が通じる。背後を振り返ったレイシスは、斧を握る俺と止めるファラを目に映した。するとレイシスはメルディを庇うような位置に立ち、あの人と俺達の両方に向かい合う。

 

「リッド、ファラ。君達は、」

「嘘吐きには付いて行けねぇよ。正論を振りかざす、あんたにもな」

 

 あの人の周囲で空間が揺らぐ。そこから氷の槍が突き出し、レイシスへ向けられた。不利を悟ったレイシスは、メルディと共に後退する。レイシスに雇われたキールも一緒だ。そのままレイシスとメルディとキールの3人は去って行く。その間、あの人はレイス達を攻撃しなかった。

 

「なんで、あいつらを見逃したんだ?」

「何んだ彼んだ言って、あの人は剣を抜いていません。戦う意思がないのならば見逃しますよ」

 

 やさしいんだな。きっと俺達が裏切らなかったら、レイシスの命は無かったに違いない。あの人が地面へ氷の槍を放つと、無数の氷が突き立った。そして、あの人は王都へ向かい始める。その後を俺達は追った。しかし、あの人は足を止めて振り返ると、俺とファラに向かって不思議そうな顔をする。

 

「なんで付いてくるんですか?」

「王都へ行くんだろ? だったら俺も」

 

「私一人で十分です。リッドくんとファラは、広域攻撃の手段がないでしょう」

「だったら、あんたを見てるよ。見ていたいんだ」

 

「私なんか、見ないでください」

「俺だって同じだ。村を滅ぼした奴らが憎くてたまらない」

 

「リッド、」

 

 ファラの呼ぶ声にハッとする。今、俺は何も見えなくなっていた。ファラの存在を忘れていた。自身の発した言葉で、俺は闇(くら)い感情の正体に気付く。そうか、俺は憎いのか。村を滅ぼした奴らが憎いんだ。だけど、それは誰だ? 村を滅ぼした兵士か、村を滅ぼす原因となった国か、それとも村を滅ぼす原因を作った俺達自身か? 俺は頭を振って、疑問を振り払う。

 

「おねがいです。離れた場所で待っていてください」

 

 柔らかい言葉だけれど、言い返せない強さがあった。そうして、あの人は王都へ向かって行く。俺はファラと共に、その場に立ち尽くしていた。あの人は正面から王都へ侵入を試み、当然のように城門の前で騎士達に取り囲まれる。そして戦いが始まった。あの人による、一方的な虐殺が始まった。

 

Re

 

 お城で敵を片付けていたら、ファラに怖がられました。これ幸いと、通訳の辞意を表明します。ファラが私を怖がるのなら、仕方ないじゃないですか。ねー、小人さん。引き止められない内に王都から脱出し、ラシュアン村へ戻りますす。そうして以前のように山へ棲み着き、フリーズランサー三昧(ざんまい)な生活を取り戻しました。

 そう思っていると追っ手が現れます。その追っ手は村を焼きました。大変です。ラシュアン村が使えなくなると、レグルス道場まで行かなければなりません。それは、ちょっと遠すぎます。村に駆けつけてフリーズランサーで敵を排除したものの村人の皆さんは、ほとんど全滅していました。

 瀕死状態の村長さんをレグルス道場に預けて、私は王都へ向かいます。その時、レグルス道場の人に「どこへ行くのか?」聞かれたので、「敵(てき)を討ちます」と言っておきました。仇(かたき)ではありませんよ? 私の敵(てき)です。私の平穏を脅かす相手は、排除しなければ安心できません。

 そんな訳で、また王都へやってきました。ラシュアン村から王都まで、長い道のりでした。しかし、王都の直前で主人公組と遭遇します。どうやら商人のレイスさんと共に、私を追ってきたようです。ところで便利ですね、その風の大晶霊のエアリアルボード。私も欲しいです。

 

「私はレイスという。君が魔女と名乗る者か?」

「魔女と名乗った覚えはありません。そう呼ばれているだけです」

 

「ならば君の本当の名前を、教えて貰えないだろうか?」

「偽名を名乗る貴方に、返す言葉はありません。そうですよね? 王国元老騎士のレイシス・フォーマルハウトさん」

 

 普通に偽名を名乗られたので、正体を露見させてあげました。するとファラがフルフルと震えています。なにかと思って見ると、斧を握るリッドくんを止めていました。それに気付いたメルディがレイシスさんに注意します。レイシスさんはメルディと共に主人公組から離れました。なんですか、この状況は?

 その後、レイシスさんやメルディそれとキールくんは去って行きます。とりあえず王都へ行こうとすると、リッドくんとファラも付いて来ました。なので、付いて来ないように言っておきます。リッドくんやファラが攻撃範囲内にいたら、思いっきり戦えないじゃないですか。

 さっそく王都へ正面から入ろうとすると、門番に足止めされます。私を捕らえるつもりなのでしょう。なので門番を、フリーズランサーで打ち貫きました。すると王都の中から増援が現れます。手間が省けました。その増援をプチプチと潰す作業を私は行います。いい的ですね。

 

「大人しくしろ! 貴様は包囲されている!」

「無駄な抵抗をするな! 今ならば苦しむ事なく楽にしてやる!」

「平民ごときが調子に乗るなよ!」

「よくも俺達の王を殺しやがったな!」

「お前のせいで連日、休む暇もないんだよぉ!」

 

 小人さん、お願いします。

 

「ぎゃー! 晶霊術だー!」

「くそっ、なんて奴だ!」

「落ち着け! あれほど晶霊術を使って長持ちする訳がない!」

「盾に身を隠せ!」

「奴の力が衰えたら、一気に仕留めるんだ!」

 

 私の集中力が切れるのを待っているのですか。残念ですけれど、私は呼吸を行うようにフリーズランサーを発動できます。晶霊術の熟練度が桁違いなのでしょう。20年もフリーズランサーひとすじ、なのですから相応の力は持っています。そんな訳で、わざわざ門まで来てくれた鋭兵の皆さんは、地面の染みになりました。

 門番の居なくなった門から、城下町へ入ります。すると石が飛んできました。それをヒョイッと、体を捻って回避します。見ると、市民の皆さんが待ち構えていました。私を見た市民の皆さんは、手に持つ石を投げつけます。さすがに数が多いため避け切れず、フリーズランサーで迎撃しました。

 

「うわー! 晶霊術士だー!」

「怯むな! 俺達の町を守るんだ!」

「騎士の奴らはどうしたんだよ!?」

「門の外で死んでるよ!」

「人殺しめー! 死ねー!」

「出て行けー!」

「モンスターめ!」

 

 ああ、そうですか。あなた達も敵なのですか。「私の敵」になったのですね。だったら仕方ありませんね。私は氷の槍を、王都の空に展開します。巨大な氷の槍を作り出して、重力に引かれるまま落下させました。それに気付いた人々は、慌てて逃げようと試みます。しかし、そこら辺の家よりも遥かに大きな氷は、逃げ惑う人々を押し潰しました。

 逃げるくらいならば、最初から逃げていれば良かったのです。私は次々に巨大な槍を作り出し、王都へ降り注がせます。氷の槍と家々が衝突して、氷の破片や石の破片を飛び散らせました。その破片は逃げ惑う人々を襲い、打ちのめして行きます。地面に赤い華が咲きました。

 私は門から出て、王都の外へ退避します。そして氷の槍を打つけて、門を叩き壊しました。その衝撃で王都の城壁は崩れ、中にいる人々へ降り注ぎます。空から落ちる巨大な槍によって、王都は崩れて落ちて行きました。氷の槍が落ちる度にドォンという地震が起こります。男も女も大人も子供も、みんな等しく殺してあげましょう。

 

 夜になりました。この世界に星はありません。その代わりとして、セレスティアの明かりが少しだけ見えます。それを人々は「星空」と呼ぶのです。とは言ってもインフェリアとセレスティアの間にある海面で、その光は拡散されます。大気と海に挟まれた光は、にじんでいました。

 私が視点を下へ戻すと、瓦礫の山と化した王都が見えます。王城も含めて、全て打ち壊しました。生きている人は居ないと思います。まあ、生きている人がいても構わないのですけれど。泣いて謝るのならば許しましょう。怯えて逃げるのならば見逃しましょう。そうでない者は、死んでもらいます。とは言っても、生きていればの話ですけどね?

 さて、これから如何しましょうか。ラシュアン村は、あんな有様です。もはや復興は望めません。ラシュアン村の近くで山に篭ると、レグルス道場まで行くのが面倒です。ならばレグルス道場の近くに棲み着きましょうか? もしも売買を断られたら、その時は仕方ありません。別の場所へ移り棲みましょう。私はフリーズランサーが撃てれば、どこでも良いのです。

 

 

さて、どこへ行きましょうか小人さん?

 

<せかいはこうだいです>




▼今回はフリーズランサーさんが、主人公組と別行動をしているので説明しましょう。
 大晶霊によって大災害の原因が「人」と暴露されて、メルディが「セレスティアの総領主」の仕業である事を白状する。その結果、リッド達はメルディに不信感を覚える。
 ↓
 本来ならば、バリルという人物が「セレスティアへ渡ったインフェリア人」という事に主人公組は気付く。しかし、フリーズランサーさんが主人公組と別れる際にショートカットできるヒントを与えたせいで、主人公組は「バリル」という名前を知らない。たとえばセレスティアへ行く方法は知っていても、その方法が「光の橋」と呼ばれている事を知らないのです。だいたいフリーズランサーさんのせい。

▼『ソウル体』さんの感想を受けて、今までオリ主と呼んでいたオリ主さんを「フリーズランサーさん」と仮称する事にしました。いやぁ、その発想はなかった。いい名前をもらったものです。

▼『九蓮内』さんの感想を受けて、「キールを同行させてメルディをヤンデレ化させる件」を試してみたら、主人公組が空中分解する展開になったでござる。どうしてこうなった。おかしいな。「埋葬を済ませた後は光の橋を使ってセレスティアへ行って、その光を王都を滅ぼしたフリーズランサーさんが見上げてる」っていう予定だったのです。これも一種の玉突き事故なのでしょう。

▼『gura』さんの感想を受けて、「滅ぼす」が「潤ぼす」になっていた件を修正しました。誤字報告があると分かってたから事前に読み直したけど、発見できなかったんだぜ。その後、ちゃんと『gura』さんの誤字報告を読んで修正箇所を発見しました。村を潤して、どうするよ。
 村を潤ぼす原因を作った俺達自身か→村を滅ぼす原因を作った俺達自身か

▼『紫檀』さんの感想を受けて、「文字が多すぎた件」を修正しました。「もう誤字はないだろう」と思っていたら、そんな事はありませんでした。びっくりだよ。
 ラシュアン村へ戻りますす→ラシュアン村へ戻ります

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