HOW TO MAKE 淫ピ 作:ツイストサーブ
俺は透き通る水色のキューブと少なくない資金を持ちつつ、ごくりと唾を呑んだ。
これが今俺に残された最後の希望。これまで何度も俺はこれらを溶かし、戦ってきた。しかし目当ての者は出ず、俺はまさしく敗北者じゃけぇと諦めの気持ちで立ち尽くすしかなかった。
だが、だがである。
現在俺の、(最近適当に決めた)秘書艦を務めている髪の毛がピンク色のヤツ(名前忘れた)が言い放った、
「もうこんだけやってムリなんだから……諦めたら?」
という慰め言葉を聞き、思い直したのだ。
取り消せよ、今の言葉!である。
だって、だって限定建造だぞ。これを逃したら、もう手に入らないかもしれんぞ。
苦い過去が走馬灯のように脳裏を駆け巡る。
ネタにされて凄い人気のあるエセックス……持ってないからいまいちその波にのりずらい(白目)
すごい(語彙力皆無)おっぱいをしたザラ……水着スキンは買ってあったのに……だってシャンクス…腕が…!(喪失状態)
そしてめちゃくちゃすごい(脳死)おっぱいをして、人気も高いフォーミダブル……ふっ、フォーミダブル持ってない人おりゅ?
僕はおりゃん…(自傷行為)
過去の記憶から意識を戻し、俺は強く拳を握りしめる。
そう、期間限定建造なのだ。
エセックス、ザラ、フォーミダブルは期間限定でね……期間を過ぎると、建造するのが難しく(できない)なるんだ。
おい、その先は地獄だぞと他の奴に言われても、俺は資材を溶かして理想の艦を目指して走り続けた。その姿を見て憧れた!でもおりゃん…でもおりゃんのだよ。セイバー(弓兵感)
どうして俺は限定建造の艦の引きが弱いのか。ハーミーズと戦う時はピンチからのドローで大逆転できるのに。伝説って?ああ!!(決闘)
「ほら、アタシが飲み物でも買ってきてあげるから。元気だして?というかそんなにイントレピッドが欲しいの?……そうだよね〜。アタシが建造された時はめっちゃ泣いて叫んでたもんね〜?」
秘書艦のピンク髪が片方の頬を少し膨らませて、不貞腐れたように言ってきた。
ちなみに彼女、ブレマートン……確かブレマートン(記憶曖昧)が建造された時に俺が叫んだ言葉は、ふざけるな、ふざけるな!バカヤロウぉぉオぉぉんンン!である。瞳は死んだ。
いや、ブレマートンはハズレではない。SSRだし。強いし。おっぱいでかいし。おっぱいでかいし(おっぱいでかいし)
でも、彼女は限定ではないのだ。イベント補給で交換できるのだ。
すごい!こんな可愛い子が簡単に手に入るなんて!みんな、アズールレーンを始めよう!(宣伝)
憎んでいる、全てを…とか言ってる子がめっちゃ人生エンジョイしてたり、重い想いを持った子が高速詠唱してたりする面白いゲームだよ!!
話を戻す。
ブレマートンはおっぱいでかいしイイ奴だけど、でも違うのだ。俺はイントレピッド(略してインピ)が、インピが欲しいのだ。インピは…限定なのだ。
超カワカッコいいしぃ?おっぱいもでかいしぃ?限定だし!限定だし!!
やっぱりお菓子のオマケでも、何かの抽選でも、「今だけ限定!!」とか言われると買っちゃうでしょう?応募しちゃうでしょう。
そう、我々は(限定に)弱い。だからあまり誘惑せんでくれ(fgo感)
ブレマートンには悪いが…俺は限定の艦が欲しいのだぜ!僕はもう他の人に「持ってない人とかおりゅ?」と煽られたくないのだぜ!!
バカヤロウお前俺は勝つぞお前!!
ブレマートンの静止の手を振り切り、俺はいつも通りの無駄のない洗練された動きでキューブと資金を放り込む。ここからは、その様子を簡単に記そうと思う。
◇
〜How to make インピ〜
材料……キューブ二個・資金1500
①はじめに、限定建造で資金1500とキューブ二個を使って一隻建造して…
②ちくしょう!だいなしにしやがった!
③お前はいつもそうだ。
この建造はお前の人生そのものだ。
お前はいつも失敗ばかりだ。
④お前はいつも色んな建造(限定)に手を付けるが、ひとつだってやり遂げられない。
⑤誰もお前を愛さない。
◇
俺はいつも通り、執務室の机の下で膝を抱えて寝転ぶ。
悔しくねぇよ。ほんとだよ。べつに期待してなかったもん!ほんとだよ!
どうして、どうしてこうなっちまうんだ(絶望)
神よ。俺、また何かやっちゃいました?(イキリ)
いややってないよ。特にバチあたりことは覚えがないよ。なのにどうして?自分の運の無さにやる気を失ってしまう。
ザラ…フォーミダブル…エセックス…そしてイントレピッド。どうして…。
もしかして右手に幻想殺し宿ってるのでは?と思い始めた俺の元に、机の下を覗きこむ形でひょっこりとブレマートンが現れた。
なんじゃい。弱い俺をいじめにきたのかい。まあ俺はコイツのことぞんざいにしてきた感じあるし。やられたらやり返す、倍返しだ!されても不思議じゃないわ。いいぜ、相手になってやる()
しかし俺のそんな態度とは裏腹に、彼女は笑って言ったのだ。
「──もう落ち込まないの!アタシが雑談相手になってあげるから、悩みとか全部だしちゃいましょ。いつもの指揮官に戻って、ほら!」
コイツ……まさか、こんな俺を励ましてくれようとしてるのか?
こんな、コイツ(ブレマートン)が建造された時に「違う、そうじゃない(白目)」、「こんなの僕のイメージじゃない!(ヴァンガード感)」、「ピンクは淫乱……変態に違いない(偏見)」と言った、俺のことを……。
コイツめっちゃいい奴だぁ(感動)
それに多大な母性力を感じる。気を抜くと「ママ〜」と言っちゃいそうである。
へっ、なんだよ。べつに限定艦がなくたって、俺にはこんないいやつがいたんじゃないか。
自分の目に生気が戻っていくのが分かる。
まったく、ブレマートンの言う通りだぜ。俺はコイツらの指揮官なんだ。いつまでも引きずっていられない。敵との戦いは終わってないんだ。平和な海を取り戻さなくっちゃな……!
ありがとうよ、ブレマートン。大丈夫だよ遠坂。俺も、これから頑張っていくから(完全復活)
机の下から這い出て、励ましてくれた彼女に笑いかける。
すると彼女は驚いたように少し目を見開いた後、すぐ元の調子に戻り「まったく手をかけさせる指揮官ね」と再度笑う。
ピンク髪、見た感じめっちゃバリバリのギャルで陽キャ。ヘソに銀色のピアスをつけてたりもするし「陰キャの俺とは合わんな」と彼女のことを思ってた俺だが。話してみると内面は超良い奴。ふとした拍子に「ブレマートンは私の母になってくれたかもしれない女性だ!(ガンダム感)」と言ってしまいそうなママ力。
その魅力に俺は呑まれてしまったのかもしれない。何故だか、俺はコイツとは長くやっていけそう。いや、やっていきたいなと思ったのだ。
俺は彼女の前に自身の右手を差し出しながら、「すまんな」と今までの謝罪を言って、謝る。
限定じゃなくたって、ガチャ(建造)以外でも手に入るものだったとしたって、それを抜きにしたって、この子とは仲良く頑張っていきたい。
一緒に、平和な海にして行こうと決意出来た。
そんな俺の差し出した手を見て、彼女は心なしちょっと頬を紅く染めた後、俺の手をとってくれた。
ありがとう、俺はそう言って手を離す。
これからよろしく。こんな欲塗れの俺だけど、手を取りあってやってくれたら嬉しい。
ここから、俺たちの戦いを始めていこう──
◇
まぁ、それはそれとして。
やっぱりね。うん、ね?
俺はブレマートンに目を合わせ、困ったように笑って言うことにする。
その、ね。これから仲良くやっていくつもりだから、ね?
自分の気持ちは素直に伝えていこうではないか。お互いの嘘偽りのない言葉、態度こそが仲良しになる秘訣だ。だから俺は言わなければならない。それが彼女に対する礼儀である。
うん。だからね?ブレマートンママ──
「今の俺の悲しみはママではなくイントレピッドじゃないと消せないので)──チェンジで」
◇
その日、指揮官は全治6ヶ月の重傷で入院した。
しかしハーミーズとの決闘でワクワクを思い出したため三日で退院できた。
──なぁにこれぇ?(AIBO感)
イントレピッドが出たら失踪します。
失踪してぇなあ。俺もなあ!(悲哀)