いつのまにやらマイスターへの道   作:YAMYAM

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昨日の夜のうちに参考書を読み込んで中和剤(緑)の調合に挑戦しようと思っていたのに、晩御飯を食べることすら忘れて寝てしまった俺です。

腹の虫の音で目が覚めました。

おなかすいた……。

 

寮の食堂で多めに朝食をとり、部屋に戻って参考書を読む。

絵で見るというタイトルの通り、なぜそうなるのかという理論ではなく、基本的な素材についての簡単な紹介と、具体的なイラストで紹介された各種中和剤の作り方だった。

うん、これなら問題なく作れる。

授業が終わったら調合室に行って作ろう。

 

 

初日の授業は問題なく終わった。

錬金術の歴史とか錬金術とは~みたいな座学と、調合室や器具の使い方についてだった。

もっと調合のコツとかそういうのをやるのかと思っていたが、普通に学校だった。

明日は中和剤(緑)の実習だが、どうやるんだろう?

化学の実験だと先に理論を教えてから実技に移った気がするが、どちらかというと料理教室に近かったりして。

 

『みなさん、まずは魔法の草をよく洗いましょうね~』

 

なんてね。

まさかと思っていたんだが。

 

「はーい、みなさ~ん、まずは魔法の草をよく洗って~~~、水はよーく拭き取ってくださいね。あ、葉は潰しちゃだめですよ~~」

 

本当に料理教室っぽかった。

時間になって入ってきたアンゲラ先生が若い女性だったのも一役買っていると思う。

エプロン付けてくれないかな。

 

3日目はまず担任から中和剤の種類や役割・特性についての授業があった後に、5人ずつのグループに分けられて小教室に連れていかれた。

基本的に実験の授業はこの5人でやるらしい。

始まるまでに少しだけ時間があったので、もう一度『絵で見る錬金術』を確認する。

周りに話しかけるのは次の休み時間にしよう。

 

アンゲラ先生は簡単に挨拶をすると、無駄な雑談はせずにすぐに説明を開始した。

まずはそれぞれ魔法の草を一束渡された。

授業で使う素材はすべて支給される。

何故なら授業中に作ったものは基本的に提出になるのだ。

失敗したり品質の低いものはともかく、ある一定以上の品質で作られたものはアカデミーで使われたり、外部に売り出されたりするらしい。

……えっと、資金繰り?それとも妖精代わり?

 

それは置いておいて、本日の料理教室 調合の授業が始まった。

まずは洗って乾かして、と。

 

「ちょっと置いて湿り気が取れたら調合窯に入れて~、じ~っくり魔力を注いでください。

弱火でコトコト……じゃなくて、ごく少量ずつでいいので万遍なく魔力を当てるようにしてくださいね」

 

ふむふむ。

 

「先生、ごく少量ってどのくらいですか」

 

数値でいうとMP1なんだけど、そもそも俺ってMPあるんだろうか?

昨日試しに作ってみたんだけど、見事に失敗したんだよね……。

 

「え~と、朝の水にエイッて気合を込めるくらいの量かな?」

 

アンゲラ先生が謎なことを言い出した。

なんですか、それ。

 

「ああ、あのくらいか」

「本当にちょっとね」

 

クラスメイト達は解るらしい。

というか、朝の水って何ですか?

全体的に納得の空気が流れてしまってちょっと質問がしづらい。

この世界の常識だったりするんだろうか。

 

「えーと、アンゲラ先生、その『朝の水にエイッって気合を込める』っていうのが解りません。家ではやっていませんでしたので、何か違う表現で教えてください」

 

ちょっと手をあげて質問をしてみたところ、馬鹿にする奴はいなかったが全員が難しい顔をして首を傾げた。

そんなに常識的なことだったのか……。

しばらく悩んでいたが首を振って俺に向き直った。

 

「ごめんなさい、ハルトムート君はイングリド先生に教わってください」

 

あ、匙投げやがった!!!

 

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