自称、美少女錬金術師(26)が雄英の教師になった。   作:さくあけ

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 お久しぶりです。かなり時間が空いていたのでちょっと文章力落ちてる可能性が微レ存。
 アドバイスくれた方ありがとうございました!


年下を見てると痛い目見る、マジで。

 一瞬にしてビルが氷に包まれ、ビル内で待機していたアンジュは絶望すると同時に困惑していた。

 

「うっそだぁ…えぇ…?」

 

 アンジュは自分が受け持つクラスの生徒が決定したとき、全員の個性に目を通した。

 個性は世代を経て混ざり、複雑化し、より強力なものとなって引き継がれていく、そのことをアンジュは知っていた。

 だが強個性であっても所詮子供、制御はできまいとアンジュで生徒たちを()めていた。

 

「これ仕掛けた錬金陣意味ないじゃん、やば。これは死んだ、うん」

 

 ビル内は氷に侵食され、壁や床、あらゆる場所に仕掛けた錬金陣が全く意味をなさなくなっていた。

 この時点で自身の負けを悟ってしまったアンジュは小さくぼやく。

 

「降参とかできないかなぁ…」

「そんなことさせねぇよ、先生」

 

 いつの間にかアンジュのいる階まで登ってきていたと轟。

 降参などさせるつもりは毛頭ないようで、薄く笑っている。

 驚きつつも轟のその笑みに応えるようにアンジュはにっこりと笑う。その笑みは少し、焦りが混じっているように見える。

 

「さっきも言った通り、あんたの実力を見させてもらう」

「――ちょっ、この訓練の終了事項聞いてた!?」

 

 轟はそう言うと、アンジュの制止の声を聞くことなく、攻撃を繰り出す。

 攻撃と同時に壁や床に氷を這わせ、このフロアを自身の(フィールド)にしていく。

 轟から繰り出される攻撃に必死のアンジュはそれに気付かず、足を滑らせ、地面に転がる。

 

「やっべ…!」

 

 アンジュは焦りを露わにしながらも転げた勢いを利用してうまく体勢を立て直し、轟と距離を取っていく。

 待て、と犬に指示をするように手を動かして見せるが轟はそれに答えず、再度アンジュに突撃する。流石に止まってくれるだろうと思っていたアンジュは予想外の行動に驚きながらも対応する。

 

「ちょ、ホントにさぁ!」

 

 そんな事を言い焦っている様子だが流石はプロ、と言ったところか。

 自身より若い男の、そして型も無い無茶苦茶な素手による攻撃にも即座に反応し、余裕をもって避ける。

 一見轟の攻撃を軽快にかわすアンジュが優勢だと思われたが、アンジュの動きが時間が経つにつれ遅くなっていく。

 まぁお察しの通り、アンジュの体力は常人と比べて異常に少ない。

 常人の体力が1Lのペットボトルとすると、アンジュはその半分、500mLにすら及ばない。

 幼少期から運動全般を嫌い、錬金術に時間を費やした結果がこれである。そのことを今、アンジュは後悔しているだろう。多少運動をしていればこんなことで息切れなどしないのだから。

 

 攻撃がやんだ隙に荒くなった息を整え、次の攻撃に備える。が、飛んできたの攻撃ではなくは轟の率直な疑問。

 

「何であんたは個性を使わない? 俺を嘗めてるのか?」

「……」

 

 

 冷え込んだ部屋に沈黙が、続く。

 

 

「何か言えよ、せんせー」

 

 

 ――……言えねー! 錬金陣が氷で隠れて使えないとかそんなダサいこと言えねー!

 

 

 アンジュは今日一焦っていた。

 

 

 

 時は遡り、モニタ室。

 ビルが大きな氷塊と化し、数秒。ビル内を映していた大半のモニタがザザッという音とともに砂嵐が流れる。

 こうなった理由はもちろん轟の氷河によるもの、気持ちが高ぶっていたのか各フロアを映していたカメラもろとも凍らしてしまったようだ。

 だがこれはカメラを凍らすな、そう注意の声を掛けなかった教師側にも問題があるだろう、これに関しては轟が注意を受けるとこは無いだろう。

 

 生徒たちは突然の出来事に体を震わせ、恐怖を露わにする。

 それを冷静にオールマイトが宥め、残ったモニタに目を向けるように指示を出す。

 

「これ、轟の勝ちじゃね……?」

 

 一人の生徒がそんなことを呟く、それにオールマイトが首を振って返答する。

 

「いやいや、まだわからないぞ! アルケミーはピンチに陥った時こそ光るんだ!」

 

 オールマイトの言葉にそうだよな、と生徒たちが頷く。が、一人の生徒――リゼだけは頷くこともせずに頭を抱えていた。

 

 ――いや、あれはアンジュの負け濃厚だよね。だって仕掛けた錬金陣全部意味成さなくなったし、体力切れかけだし。

   アンジュはピンチの時に光る(イキる)というより自分に余裕があるときしか光らないし(イキらないし)、うん。

 

 長年の付き合いからかリゼは心の中で辛辣な言葉を投げていた。アンジュが気付くことは一生ないだろうが。

 ()()もの静かな生徒のリゼに興味を持った女生徒が声を掛けた。

 

「ね、リゼちゃん」

「はっ、はいぃ!」

 

 いきなり声を掛けられ、驚きのあまりリゼの声が裏返った。

 それをふふっと控えめに笑って、言葉を続ける。

 

「私は芦戸三奈、リゼちゃんは先生と友達なのよね」

「そ、そうですけど、なにか…?」

 

 少しを距離を取るように後退ってリゼは首を傾げた。

 

「出会いはどんな感じなのかなって思って!」

 

 その言葉にリゼは硬直し、考え込む。

 リゼとアンジュが出会うきっかけになった事件のことは何故か他言無用ときつく言われているのでリゼはどうするか説明するか迷って、声を振り絞って答えた。

 

「……い、家が近くてね、小さい頃に遊んでもらってたんだ」

 

 時たま、アンジュとリゼは遊んでいたのであながち嘘ではない。

 

「そうなんだ、いいなぁ!」

「え、なんで……?」

「だってあんな優しい人が身近にいて――――」

 

 芦戸の言葉は最後まで続くことは無く、視線は一つ残ったモニタに映る。

 そのモニタに映し出されていたのはカメラを通してでも焦った表情が見て取れるアンジュと冷たい表情で淡々と攻撃を繰り出す轟の二人。

 

「……オールマイト、あれは止めなくても良いんですか?」

「轟少年にも考えがあるんだろう、見守ろう。危険なことをしようとしたら私が止めに行く」

 

 目まぐるしい戦闘に生徒たちはただ茫然と見守ることしかできず、モニタに視線が集中する。

 

『何で―――――わない? ――嘗めてるのか?』

 

 切れ切れではあるが轟の疑問が全員の耳に届いた。

 その問いに俯き黙り込むアンジュ、リゼはそれである程度のことを察した。長年の付き合いからだろうか。

 

 

 ――あぁこれ、絶対に錬金陣が隠れて使えないとかダサいと思って焦ってかっこいい理由か何か考えてるんだろうなぁ……。

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 ――急募、かっこいい理由。

 

 アンジュの表情は一秒、また一秒と経つにつれ暗くなっていた。

 背中に汗を流して焦るアンジュはふと、思った。

 

 ――今思ってけど負けたらヒーローと教師、二つのことに置いて威厳失うのでは…?

 

 そんなアンジュの脳裏に過るのは嘲笑うような顔の叶と言葉。

 

『え? アンジュさん生徒に負けたってマジですか? そこまで堕ちてるとは予想外だなぁ、ホントに僕と一緒のプロの方ですか? 

・・・・・・にじさんじ所属のプロヒーローとしての自覚持ってくださいよ~』

 

 ――にじさんじ、それはこの日本で最も規模の大きいヒーロー事務所である。

 個々で事務所を開いたヒーローたちを支援する目的で数年程前に作られたもので、今では沢山のプロのヒーローを抱える有名な事務所になっている。それにアンジュと叶の二人は所属する、プロヒーローなのだ。

 

 ――閑話休題。

 

 そんな、プロヒーローのアンジュの顔に青筋が浮かび、叶への怒りが見て取れる。 

 もちろん叶はこのような発言はしていないし、この場にもいない。

 アンジュだけが見えている幻覚である。……叶なら実際に言いかねない発言だが、決して現実ではない、幻覚だ。

 

 だが、覚悟を決めようが錬金陣が無ければ錬金術を使用出来ないことには変わりない。

 どうにかして錬金術を使えれば、そう考えるアンジュはあることを思い出す。

 

 ――そう言えば、コスチュームに錬金術、思いっきり描いてたわ・・・・・・。

 

 アンジュが袖を通すコートの背中には自身で描いたであろう錬金陣が。

 学生から変わらぬコスチュームだと言うのに、存在を忘れていたのかは謎だが、コートの錬金陣の存在を思い出してからのアンジュの行動は迅速だった。

 

 地面に敷くようにしてコートを脱ぎ捨て、祈るように手を合わせ、コートの錬金陣に両手を押し付ける。

 即座に錬金術を発動し、コンクリでできた床を隆起させ、自信の腕を操るように轟を襲わせる。

 

「んなっ?! ・・・・・・やっと使ってくれたなぁ、せんせー!」

 

 突然個性を使い、先手を取ったというのに轟は怒ることもせず、欲しかったものを買ってもらえた幼児のように嬉しそうな笑みを浮かべる。少し自信が戻った笑みをアンジュは返す。

 

 その笑みを合図にしたように轟は地面を蹴ってアンジュに迫る。それを迎撃するかのように地面がうねる。その瞬間だった。

 

 

 

 

 ブーーーッ! と、ブザーの音がビル内に鳴り響いた。

 

『時間切れで中途半端になってしまったが両者ともにとてもいい勝負だった! 二人とも一度モニタ室に戻ってきてくれ!』

 

 時間切れの合図だった。

 アナウンスを聞いた二人は唖然とした表情で顔をゆっくりと見合わせ。

 

「「制限時間があるなんて一回も言われてねぇ・・・・・・」」

 

 そう呟いた。

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 オールマイトの雑多な講評、そして八百万と言う生徒の講評を経て、二人はモニタ室でしゃがみこんでいた。轟は心底悔しそうな表情で、アンジュは悔しそうではあるがどこか嬉しそうな表情で。

 アンジュは勝負に敗北していた可能性が存在していた為、むしろ時間切れで良かったと思っているのだろう。

 

 モニタ室に何ともいえない、暗い雰囲気が漂っている中、オールマイトは変わらず大きな声で次のチームを呼ぶ。

 

「…‥‥では次、ヒーローチーム、リゼ少女、目蔵少年、ヴィランチーム、猿夫少年、透少女! 順次配置についてくれ!」

 

 ばっ、と視線がリゼの方に向けられる。理由は分からないが、最初に少しほど目立ったからだろう。

 視線を受け、ガチガチに固まるリゼ。その背中に気合を入れてあげるように、芦戸がばしっと叩く。

 突然の出来事で、思わず声を出してしまうリゼだが、気合を貰ったように、足を動かした。

 

「芦戸さん、ありがとう」

 

 その言葉と笑みを残して。

 リゼの笑みには、男子はなおのこと、女子陣までもが心を奪われていた。・・・爆豪はまったく気にしていない様子だったが。

 

 

――――――――――――――――――

 

「目蔵・・・さん、よろしく、です」

「よろしく」

 

 二人は軽く握手をし、作戦を立てるべく話を始めた。その中で、リゼは障子にガスマスクのようなものを差し出した。それはガスマスクから邪魔なものが削除されたように、しゅっとしている。

 そんなマスクを片手に、障子を首を傾げた。

 

「・・・・・・これは?」

「えっと、それは―――――」

 

 




 次回はリゼの個性の一つ目を公開します・・・! 二つ持てるといってもかなり迷ういました・・・お察しのいい方ならもう個性はわかるはず・・・()

 そして、リゼの個性を早く公開したいがために、原作では最初に行われる試合を後回しにしています。

 では。

にじさんじを知っているか

  • にじさんじを知っている
  • にじさんじを知らない
  • ヒロアカだけを知っている
  • どっちも知らない
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