片瀬江ノ島に着き、諸々準備したあと私を除いたパスパレの人達がカメラマンの前で番組のタイトルコールを行っていた。
「パスパレ!珍道中!」
「in 江ノ島編!!!」
若宮さんのコールに続けて大和先輩が元気よくコールを続ける。その後、今日はなにするのっと日菜先輩がバスの時とは全く違うキラキラとした雰囲気で白鷺先輩と丸山先輩の間に入りつつ二人の肩に手をまわす。日菜先輩のせいでグイッと近づいた白鷺先輩と丸山先輩はこころなしか顔を赤らめて日菜先輩に抗議をしていた。そんな形で番組の冒頭の談笑が始まる。
「…………」
「美咲様」
うん、わかってるっと彼らから少し離れた場所にいた私は頷く。撮っている場所が、バスを止めている駐車場で、談笑が終わり次第私が新しい仲間とも言い、二ヶ月間の間(黒服さんによると弦巻家グループの企業とらしい)コラボをさせて貰う仲間という形で参加するという手取りになっている。
「よいっしょっと」
どたどたどたっと私は付けていた重りを全て外して下に落とす。思いの外音が鳴り、何故か談笑をしていた声が途切れる。えっと思い談笑をしていた方を見るとパスパレの皆さんがこちらを少し驚いた顔をしながら見ていた。
「え、なに今の音」
丸山先輩が驚いた声で言うと、私は思わず慌ててしまう。
「あっ……えーと……」
「お気になさらず続けてください」
バスの荷台からミッシェルを取り出している黒服さんがフォローに入り、パスパレの皆さんは、一部納得が行っていない人物はいたものの談笑に戻る。
「美咲様、御気をつけを」
「こんな事やらせている本人に言われたくないんですが」
涼しい顔で言われたことに対し、私が少しトゲのある言い方で返す。それに対して黒服さんが面白そうに口の端を上げる。
「そうですね、それをやってくださっている美咲様にはお礼を言いたいものです」
皮肉まじりに言われムッとなる。
「……認めるんですね」
えぇっと黒服さんは答えバスの中からミッシェルを全て取り出す。
「みさきちゃーん!そろそろ出番だよ!」
「はいはーい、わかりました」
談笑が終わり、カメラが一旦止まったのか、丸山先輩が私の事を実名で呼んでくるが、白鷺先輩が慌てたように丸山先輩の頭を引っ叩く。
「あやちゃん!カメラ止まってないんだから本名言わないの!」
「わっ、本当だ!ごめーん!美咲ちゃん!」
あやちゃん!っとまた白鷺先輩に丸山先輩が叩かれる。本当、なにやってんだこの先輩……まぁ、カットされると思うから別にいいけどさ。
「はいはーい、行きますよー」
慣れた手つきでミッシェルを装着した私はそう言って初めての撮影に挑むのであった。