嘘つきの道化師    作:ノッキー

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結局、丸山先輩をお姫様抱っこする形で頂上まで行き日菜先輩達と合流する。その時にあやちゃんまるでお姫様みたいだね!って言う日菜先輩の冷やかしが入ったりした。それから、江ノ島の頂上にある花園園に入りそこにある花を説明しつつ(日菜先輩の知識量が物凄くほぼ日菜先輩しか説明してなかったけれど)も順調に番組は進んでいった。

 

「ふぅ……なんやかんや、疲れましたねー」

 

「お疲れ様です」

 

私の右隣に大和先輩が座る。現在、私達は島の反対側まで来ており、予約していた店の予約時間まで時間も余ったので近くにあったお手洗いの上にある休憩所を兼ねた展望台の上で休憩している。他の人達は今お手洗いに行っているところで、私達意外だとスタッフが数名居るぐらいだった。

 

「それにしても奥沢さん、汗一つ掻かずに登り切るなんて凄いですよ、本当」

 

「そうですかねー」

 

適当に返しているとポケットの中にあった携帯がバイブ音を一度だけ鳴らす。

 

「ん?」

 

「誰からですかね」

 

携帯を確認するとこころからのメッセージだった。内容としては"美咲、今何処にいるの?"だった。そう言えばこころに今日学校に行かないの伝えてなかったなぁ……。

 

「こころからだ」

 

「ほーなんて」

 

「特に言う事じゃないです」

 

大和先輩も特に気にしているわけじゃないらしく特にそれ以上言ってくる事はなかった。携帯のロックを外し"今ちょっと用事があってそれで休んでる"っと返し、ポケットの中にしまう。

 

「それにしても、晴れて良かったですね、まぁその分疲れは倍増しますが」

 

大和先輩が青々とした空を見上げるのと同じタイミングで空を見上げる。空は雲一つない晴天で、所々でトビが飛んでいる。そんな平和としか言えない時間もすぐに終わってしまう。

 

「なにやってるのー!」

 

「空を見ていただけです」

 

お手洗いから戻ってきた日菜先輩の声に反応する。そして、日菜先輩は私の左隣にどかっと座った。

 

「いやー凄いるん♪ってすることばかりだよここはー!」

 

ニコニコと笑う日菜先輩の横顔を見ながら頷く。

 

「そうですね……」

 

どうも、今日菜先輩を見るとバスでの一件を思い出してしまう。私はなんでこれをあの時に、決まった時につっぱねなかったんだろうと、やろうと思えば決まった事を覆す事はできたはずなのに、なんでそれをしないで私は今の状況になんの疑問も持たなかった。それは、なんで……すると、海側の方からキャァァァっと悲鳴が聞こえる。

 

「子供が、子供が!海に流されてしまった!」

 

そんな悲痛な声が聞こえ私たち三人は急い展望台の脇まで行く。少し沖に暴れながら流されて行ってる少女と岩場の上でそこに行こうとしている母親とそれを止めにかかっている父親らしき人物が目に入った。勿論、父親らしき人物も相当辛そうな顔をしていた。多分二次被害を起こさないためにも必死に母親を止めていたのだろう。

 

「この時期のここら辺の海域は荒れやすいから……あのままだとあの子は命は助からないね」

 

冷静に分析する日菜先輩が私の隣でそれを口にする。

 

「そんな……」

 

そう言って呆然とする私に、向かって日菜先輩が目を細めた状態で一言私に言ってくる。

 

「……美咲ちゃん、彼等を助けたい?」

 

「!?」

 

私の中にある根本的な何かが揺れ動いた。

 

「言い方を間違えた、彼等を笑顔にしたい?」

 

私に即決は無理だった。自分の身に危険が起こった時が怖い。ただ、もしこころが同じ立場なら笑顔にしたいって言って即刻決断して助けに行けるはず。だけど、私は……いや、違う、前提が違う、こころじゃない、こころが同じ立場に立ったらじゃない、私はこころと同じ場所に立ちたいんだ!みんなを笑顔にしたい……あの子と同じ場所に立ちたいって……

 

「……笑顔にしたい……」

 

るん♪っと日菜先輩の顔に灯火がつく。

 

「日菜先輩!知恵を、知恵を貸してください!」

 

「いいよ、たーんと使って!」

 

「ちょ、二人とも何処に行くんですか!」

 

大和先輩の静止する声を無視して、私達二人は走り始める。展望台から下に降りて、岩場に出る。

 

「日菜先輩、二次災害にならないようにはどうすればいいですか!」

 

「ロープを使うといいよ!だけど、ロープってあったけ……」

 

周りを見ていると丁度長めの黒と黄色が混ざったロープを地面に置いてた釣り人を見つけその人に声をかける。

 

「すみません!ロープ借りていいですか!沖に行った少女を助けるので!」

 

「え、え?あぁいいよって……危険だよ!」

 

そんな声を気にせず、ロープを借りる。黒服さんから借りた上着、Tシャツ、ミッシェル仮面(仮)と靴を脱ぎ捨てズボンのベルトを巻くところにロープを通す。それから片結びをして2、3重にして固定する。

 

「日菜先輩!こう言うのって何処につけるのがいいんでしたっけ!」

 

隣を走っていた日菜先輩に聞く。

 

「固定できる岩とかにつけるといいよ!っと言うか、私がつけておくね!それとその子を捕まえたらロープを引っ張って!」

 

了解と言い、ロープの余ってる方を日菜先輩に渡す。それから先程声を上げていた夫婦の前を横切る。

 

「ちょ、君!」

 

「大丈夫です!」

 

バシャバシャバシャと海に入り、少し足の届く浅瀬から一気に足が届かなくなる沖に突入する。一瞬、怖さを感じだが、脳裏に金髪の少女の後ろ姿が浮かぶ。違う、私はその隣に立ちたいんだ!意を決して少し不安だけど泳ぎ始める。

 

ー絶対に!助ける!そして、笑顔にする!

 

その気持ちを一つにして少女の元に向かう。冷たい海、時よりくる潮の流れに抵抗しながら、どうにかして暴れている少女の元につき腕を掴む。だが、次の瞬間強い潮の流れが私に直撃する。だが、それに耐えて少女を自分の所まで引き寄せる。

 

「日菜さん!!!」

 

そう叫ぶとグイッと紐が引っ張られる感覚が起こりそれに身を任せる。その間に少女を手放さないように必死に腕に力を入れる。

 

「うぉぉぉぉぉ!!!」

 

気づかず内に叫び声を上げていた。相変わらず押し寄せてくる冷たい潮の流れ、それに耐え、そして……私は少女と共に陸に引き上げられたのであった。

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