嘘つきの道化師    作:ノッキー

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少女を助けた後、私と少女を一緒に引き揚げてくれた人達にお礼を言った。その後私と日菜先輩は無茶した事で白鷺先輩にこっぴどく怒られたけど、私自身は救えった事に満足をしていた。ただ、後悔があるとしたら、ズボンがずぶ濡れになってしまった程度かな。まぁそれも、近くのお店の人に貸して貰った代りのズボンを履いて事なきを得た。そして、私は相変わらずスマートミッシェルのまま取材を続けていた。理由としては海に入った後の状態でミッシェル(着ぐるみ)の中に入られると後処理が面倒くさいかららしい。

 

「ん〜〜おいしいです!!!」

 

青い海をバックにしらす丼を美味しそうに食べている若宮さんとそれに対して笑っているパスパレの皆さん。それを片目に私は姿勢良く座ってる黒服さんの前で一人黙々と私の分のしらす丼を食していた。なぜ私達だけが別の席かと言うと、先程の出来事で私が変に悪目立ちしてしまったが故のプロデューサーの配慮と、私自身先程の出来事で体力がいい感じに持ってかれてしまい取材に参加する程の気力が残ってなかったからなんだけどね。

 

「……黒服さん?食べないんですか?」

 

一旦食べるのをやめて、しらす丼に手を付けずにずっと何か思案している黒服さんに対してそう聞く。だが、黒服さんは微動だにしなかった。実は白鷺先輩に怒られた後、撮影が始まるまでの間、橋の上で日菜先輩と何かを話してからずっと黒服さんはこんな調子で黙り込んでいた。

 

「おーい、黒服さん???」

 

パスパレの皆さんの邪魔にならないように小声で言いながら、中腰になって前のめりになり黒服さんの目の前で手を振る。

 

「あっ、す、すみません」

 

まるで時間が動いたかのように黒服さんは動き始め、しらす丼の手前に置いてあった箸に手をつける。それから私は座り直す。

 

「どうしたんですか、黙りこくって」

 

「いえ、少しばかり考え事しておりまして……」

 

それからまた間を開けて黒服さんが聞いてくる。

 

「……美咲様、もし私が道化師だったらどうします?」

 

「え、急に何言ってるんですか」

 

サングラス越しに黒服さんがこちらをじっと見てくる。その真意は分からなかったけど、私が、私自身が思っている事を話す。

 

「そうですね、もし黒服さんが道化師だったとしても私をこうやって支えてくれているっと言う時点である程度の信頼はしてます」

 

すると、黒服さんはふふっと笑みを見せて、顔を少し前に傾ける。そして、親指で箸を掴み"いただきます"と言う。

 

「ちょっと、なんか反応してくださいよ」

 

「相変わらずお人好しですね、貴方も」

 

はぁと思わず変な声を出してしまった。そしてこの会話が今後に響いてくるとはその時の私は思いもしていなかった。

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