ガンダムビルドダイバーズ クオンタムエリート   作:しゅみタロス

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EP14 激戦の果てに迎えた最期

ツバキの病室

 

ツバキはバイザーを装着し、ベッドに横になる。

 

ツバキ「頑張って、紅葉君」

 

紅葉を信じながらツバキはフロンティアを観戦する。

 

その一方

 

戦場に立つ二人のダイバー、二人の呼吸の一つから脈の感覚まで衝動が全てを支配する。

 

会場の観戦者静かな覇気と闘志を肌で感じ、声の一つすら飲み込む。

 

 

 

そしてその静寂を斬って、合図をしたのは……

 

紅葉「始めるぞ」

 

その静かな発言と共に、紅葉は腕を天に突き上げて指を鳴らすとその背後からシャイニングガンダムクオンタムが出現する。

 

キョウヤ「ああ」

 

それと共鳴するかのようにキョウヤは腕を組んで仁王立ちすると背後にガンダムAEGⅡ・リボルバーを召喚する。

 

お互いが機体に乗ると、ナナカ―の合図が会場に響く。

 

ナナカ―「それではフロンティア決勝戦!!シャイニングガンダムクオンタムvsガンダムAEGⅡ・リボルバー、バトルスタート!!」

 

その瞬間強烈な足踏みでお互いが剣を引き抜き、擦れ違いざまに斬り合って衝撃を起こす。

フィールドのバリアにノイズが入る程の居合斬りと同時に振り向きざまに銃を向けてお互いに連射する。

 

キョウヤ「紅葉君、これが……君の、心の痛み……」

 

銃弾で顔半分が吹き飛んだクオンタムからは赤いオーラが漲っていた。

 

紅葉「俺が背負った罰、その贖いは……俺が勝ち続ける事だ!!」

 

その叫びと共に、クオンタムはクオンタムストレーターを手に飛び上がり、AEGⅡに斬りかかる。

AEGⅡは攻撃をガンブレードで阻止すると、クオンタムはAEGⅡの腕を掴み、クオンタムストレーターを手放して、逆方向に腕の関節を曲げた。

 

キョウヤ「しまった!!」

 

紅葉はキョウヤに叫ぶ。

 

紅葉「俺が、勝つんだ。あいつの好きだったこの世界から、あいつの存在を消さない為に……」

 

紅葉はクオンタムストレーターを拾い、キョウヤを寄るとそれを突きつける。

 

紅葉「こんなの俺の我儘なのはわかってる、でも……

 

傷つけられてこんな想いするなら、何を言われても俺は構わない!!例え、どんなに残酷でも、俺はこの世界で皆といるための希望になるなら、俺はあんたを敵として迎え撃つ!!」

 

紅葉の大切な物の為に自ら悪に徹しようとする紅葉にキョウヤは叫ぶ。

 

キョウヤ「やはり、君はどこまでも命知らずだね。でも僕だって誰かが傷つくだけの世界は認めない。でも、……

 

その理想の為に、自分がどうなってもいいなんて、悲しすぎるよ。紅葉君」

 

紅葉「ならどうする?」

 

キョウヤ「君を止める、凄腕ダイバーとしてじゃない、君の理解者として!!」

 

そしてお互いは剣を振りかざし、火花を散らす。剣戟の中で全身を切り刻まれていく両機、ダメージすらも厭わないただ、信念と刃が傷つけあう戦い。

 

そして満身創痍のクオンタムとAEGⅡは最早動くのが精一杯の状態となり、これを好機と見たキョウヤはリボルバーモードに変形する。

 

ツバキ「まずい、あれを受けたら!!」

 

クオンタムは背中のタクティカルアームズを展開し、剣に変形すると身を守るように目の前に突き刺す。

 

紅葉「来いよ、俺はまだ倒れない!!」

キョウヤ「ここで終わらせる、君は仲間の所へ返す為に!!」

 

弾倉が回転し、キョウヤは叫ぶ。

 

キョウヤ「受けてみろ、6弾式超電磁砲(シックスレールガン)!!」

 

キョウヤの一撃が放たれ、クオンタムをその攻撃を逃げる事無く受ける。タクティカルアームズを貫き、クオンタムにその攻撃が直撃した。

 

そしてツバキの視界に映ったのは……

 

ツバキ「そんな、紅葉君……」

 

胴体に穴が開き、全身のレッドフレームにヒビが入った、余りにも凄惨な状態のクオンタムだった。誰もが最早、再起不能だと確信する中……

 

紅葉「ツバキ……ごめん……情けねえけど……」

 

紅葉は静かにツバキに通信をかけた。

 

ピピッ!!

 

ツバキはバイザーからの連絡に気付くとマイクをオンにする。

 

紅葉「ツバキ……」

ツバキ「紅葉君!!」

 

紅葉はツバキに伝える。

 

紅葉「ごめん、約束、果たせそうにないや……ここまで来て情けないけど、悪人やっても善人やっても、お前の望み、叶えられそうにないや」

ツバキ「そんな……」

紅葉「どこで間違えたんだろうな、この世界で勝てるはずの無い喧嘩吹っ掛けて、自分で意味の無い事を正しいと思い込んでる」

 

ガンッ!!

 

コントローラーを殴りつけて紅葉はツバキに問う。

 

紅葉「なあ、ツバキ、俺はお前の為にどう償えばいい、何を差し出せばいい、もう後戻りできない俺は……何をすれば許されるんだ……答えてくれ、ツバキ……」

 

ツバキは優しく紅葉に伝えた。

 

ツバキ「私は何も求めないよ、ただ、紅葉君が近くで戦ってる。そしてGBNを心から楽しむ。そんな紅葉君に私は何も望まない。ただ一つ、望むなら……」

 

するとステージの背後から飛び上がる、一人のダイバー現れる。

 

それは紛れもなく、ツバキだった。

 

クオンタムの機体に飛び乗り、紅葉の背中を抱きしめる。

 

紅葉「ツバキ、なんで?!」

ツバキ「話はあと、そして……」

 

紅葉の手を握り、叫ぶ。

 

ツバキ「私の望みは、紅葉君と、前に進む事!!それが私と紅葉君の唯一の願い!!」

紅葉「行こう、ツバキ!!」

 

キイィィィン!!

 

そしてアストレイが再起動してゆっくりと立ち上がる、そして手にしたタクティカルアームズを手にそれをアローモードへと変形させる。

 

紅葉「過去を超えて今へ、」

 

ツバキ「今超えて未来へ」

 

紅葉「繋いだ心と手は」

 

ツバキ「繋いだ希望と想いは」

 

紅葉・ツバキ「全てを超える一撃となる!!」

 

アローモードに限界のエネルギーが充填され、二人は叫ぶ。

 

紅葉・ツバキ「限界の壁を貫け!!最後の閃光!!

 

次元天翔!!クオンタム・オーバーフロー・シューティング!!」

 

 

キョウヤ「その覚悟、その想い、こちらも全身全霊で受け止めよう!!」

 

AEGⅡは再び、充填し、一撃を放つ。

 

キョウヤ「無限超電磁砲(インフィニティ・レールガン)!!」

 

巨大なエネルギーの衝突、ステージどころか周囲の街すら飲み込むその反動は巨大な龍のような形となって青空へと消えていった。

 

そして周囲が破壊された、街には……

 

全身がパーツが全て破壊され、胴体と頭部だけが残ったクオンタムの姿があった。

 

クオンタムを収納すると中から紅葉とツバキが現れる。

 

二人が目にしたのは激戦を経て、勝ち残った。AEGⅡとキョウヤだった。

 

ナナカ―「ふ、フロンティア最終戦、この戦闘に勝利したのは、クジョウキョウヤ選手!!よってこのフロンティアの最終的な世界チャンピオンはキョウヤ選手だーーーーーー!!」

 

ワアアアアアア!!

 

観客の歓声と花火が大きく街を彩る。

 

そんな中で紅葉とツバキにキョウヤは聞く。

 

キョウヤ「紅葉君、君は十分ツバキちゃんを大事にしてると思う。君はこの先、ツバキちゃんと共に前に進み続ける覚悟はあるかい?」

 

紅葉は笑顔で答える。

 

紅葉「その為の、GBNの俺だよ。ツバキと共に、この世界でやりたい事をやる。それが俺の望みです」

ツバキ「助けられました、キョウヤさん。いや、チャンピオン」

 

キョウヤ「礼を言うのはこちらの方だよ。ところでツバキちゃん、病院にいるはずの君が何故ここに?」

 

ツバキは頭を手に当てながら、答える。

 

ツバキ「実は試合の途中、貴信さんの車に乗せてもらって……今紅葉君の隣でログインしてます」

紅葉「ええ!!」

キョウヤ「まさか、病院から抜け出してきたのかい!!」

ツバキ「一応外出申請は出したよ、後1時間ぐらいで病院に戻らなきゃいけないけど」

 

紅葉はツバキの行動にやれやれと思いつつツバキの手を掴む。

 

紅葉「時間無いならすぐログアウトするぞ」

キョウヤ「それじゃあ、僕はインタビューと任命式あるから」

 

紅葉はキョウヤに伝える。

 

紅葉「この世界を頼むぜ、チャンピオン」

 

そしてログアウトした二人はバイザーを外し、お互い顔を向ける。

 

紅葉「ありがとう、俺の近くで応援してくれて」

 

ツバキは紅葉の手を握り、顔を近づける。

 

ツバキ「紅葉君は私に大きな夢を見せてくれた。きっと、ずっと忘れない出来事になる。そして、もう一度始めよう。私達のGBN」

 

そして紅葉はツバキの頭を触るとツインテールで顔を隠して、ツバキに顔を近づけた。

 

その直後にツバキは口を押えて真っ赤な顔になる。

 

紅葉「この後、病院に戻るんだろ。その前にやっておきたかった。誰にも言うなよ」

 

紅葉の行動にツバキは頬を手で覆う。

 

(だ、大胆すぎるよ……紅葉君)

 

紅葉はツバキをエスコートして外に出る。

 

紅葉「俺達のGBN、きっと楽しいだろうな」

 

ツバキ「楽しいに決まってるよ、だって、紅葉君と皆と一緒なら!!」

 

 

 

 

 

紅葉の運命を決めた真夏の出来事、ガンダムワールドフロンティア。敗北に終わった彼は新たな想いと理由を胸に、仲間と共に前へ進んでいく。

 

真夏の終わりに、一つの歴史が生まれるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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