ガンダムビルドダイバーズ クオンタムエリート   作:しゅみタロス

16 / 25
EP15 紅葉の旅立ち

夏休みも残すところ後10日、フロンティアを終えた紅葉は漫画「シャアの日常」を読みながら焼きそばパンを食べていた。すると……

 

ピピピピピピピピピピピッ!!

 

いきなり紅葉のポケットのガラケーから着信音が鳴る。

 

だが、紅葉には身に覚えのない電話番号だった。

不審に思いつつも紅葉は電話を出る。

 

紅葉「どうも、紅葉です」

???「あー……何というか、久しぶりだな。紅葉」

 

その瞬間、紅葉は嫌な顔をする。

 

紅葉「まさか、親父か」

???「そうだ、九音切芳だ」

 

紅葉は冷たく切芳に告げる。

 

紅葉「母親殺しが今更なんだ?逃げた俺を連れ戻そうとか考えてんじゃないだろうな?俺は戻らないぞ」

 

切芳はその発言に息を堪えつつ、紅葉に要件を言う。

 

切芳「秋葉原のクロマツ電気の前に来なさい、そこに私がいる。話を聞いてくれ」

 

紅葉は5秒の沈黙の後、静かに……

 

紅葉「わかった」

 

そう告げて紅葉はガラケーと財布を手に秋葉原の街に出向いた。約束の場所に来ると白い服を着た、コーヒーを嗜む40歳ぐらいの男性が紅葉を見る。

 

切芳「何年ぶりかな、君の姿を見るのは」

紅葉「とりあえず、何が言いたいんだ。親父、さっさと話せ」

切芳「まあ、そう言うな。車に乗って話をしよう、これから向かう所について来てくれ」

 

二人は車に乗ると運転手に合図する。

 

切芳「ヨリタキ君、車を出しなさい」

紅葉「よ、ヨリタキって!!」

切芳「ああ、ツバキのお父さんだ」

 

すると切芳はパソコンを開き、映像を表示する。

 

切芳「君のフロンティア戦、観させてもらったが、やはり私と同じだな」

紅葉「一緒にされたくねえよ、特にあんたとはな」

切芳「いいや、一緒だ」

 

重たく切芳の言葉が出ると彼は語った。

 

切芳「全部、話そう。君の枷を解くためにも」

 

紅葉は切芳の目を見てその話を聞くことにした。

 

切芳「3年前、君の母親が無くなる1ヶ月前に、私は君の様に絶望していた」

紅葉「!!」

切芳「君の母親、九音遥の余命が一ヶ月だと知った私は遥を死なせたくない衝動で沢山の医者に頭を下げた。一日過ぎる度に失う恐怖に私は苦しめられていた。それでも救えると考えた私は多くの外国の名医に話をしたが門前払いにされた。

 

心身共に絶望した私は全てを諦めて……

 

逃げ出したんだ」

 

紅葉がこの時目撃したのは、涙を流して家族の最後の写真を見せる。

 

切芳「私が無力なせいで遥を死なせてしまった、逃げ出した僕には彼女と会う権利は無い。君が言う通り、私は母親殺しだ。決して許されない。だから僕はあの時、病室にいなかったんだ……」

 

紅葉は切芳の言葉を聞いて肩を叩く。

 

紅葉「何で、そんな大事な事を今まで話さなかったんだ?俺の三年間、話せば変わってたはずなのに、どうして!!」

 

切芳は今までの話さなかった理由について答えた。

 

切芳「怖かったんだ、母親の事で恨まれるのが。それに君をヨリタキ家に預けたのは君に母親の事を忘れて幸せになってほしかった。だから話せなかったんだ」

 

紅葉は父親を見て感じる。自分が守ると言い続けてきた弱者は自分の父親であり、自分もその一人である事を、あの時抗い続けて手に出来なかった人間が、身近な家族として、すぐそばにいた事を。

 

切芳の想いを聞いた紅葉は告げる。

 

紅葉「よく頑張った、そう思うよ。父さん」

切芳「!!……」

 

切芳は紅葉に聞く。

 

切芳「許してくれるのか?」

紅葉「ああ……」

切芳「ありがとう……」

 

親子の擦れ違いを解消した紅葉と切芳、すると窓から見える大きなビルに向かって行く。

 

車を降りるとその入り口には……

 

紅葉「ここって……」

 

ヨリタキ「ヤジマ・ソリューションズの開発施設、ガンプラバトルの始まりの場所だ」

 

そして切芳はカードを見せる。

 

切芳「そして私こそがこの研究施設の開発主任だ。これから君に渡したい物が2つある。ついてきなさい」

 

扉にカードをタッチして3人は中に進んでいった。

 

研究施設の進む中でヨリタキが紅葉にある事を伝える。

 

ヨリタキ「紅葉君は、ツバキちゃんがGBNを始めた理由とか、何か聞いてる?」

紅葉「ガンダム好きだからじゃないのか?」

ヨリタキ「今存在してるGBNという世界は、最初に試験的に招待された1000人のプレイヤーのベータテストから土台が出来ている。そしてその1000人のベータテスターの一人がツバキちゃんだ」

紅葉「ええっ!!あいつそんな最古参か!!」

 

切芳は紅葉の様子を見つつ、含みのある笑みを見せる。

 

切芳「着いたぞ、この扉の先だ」

 

開いた扉の先には、一つのプレゼントボックスと真っ黒なショーケースが置かれていた。

 

切芳「紅葉君、このショーケースに触れてみなさい」

 

紅葉はショーケースの表面に触れると壁が消えて……

 

中から一機のガンプラが姿を現す。

 

切芳「ダブルオーアクセラレータ、GBNのベータテスト時に君に渡したかった。紅葉専用の機体だ、本来ならあの日、紅葉にこれを使ってベータテストで遊んでもらおうと思っていたが、何年もここに保管したままだった」

 

紅葉はガンプラを手に取ると、それを紅葉は嬉しそうな目で見つめた。

 

切芳「そして、二つ目はもっとすごいぞ」

 

紅葉は受け取ったプレゼントボックスを開けると中から白い箱が現れ、それを開けると……

 

紅葉「これ、スマートフォン……」

切芳「今の若い世代の中でガラケーはもう通用しないだろう、そのスマホは前日に紅葉と私の名義で買った物だ。責任者は私だから、君の好きなように使いなさい」

 

紅葉は二つのプレゼントを受け取り、それを手に切芳に頭を下げた。

 

紅葉「父さん、ありがとう」

 

その様子を見た、ヨリタキは紅葉の肩に手を乗せる。

 

ヨリタキ「そろそろツバキちゃんが心配する頃だと思うから、家まで乗せてくよ。ツバキちゃんの事、よろしく頼む」

 

 

研究所を後にして紅葉は家の玄関を開けるとツバキが出迎える。

 

ツバキ「お帰り、紅葉君」

紅葉「ただいま」

ツバキ「どうしたの?凄く嬉しそうだね」

 

紅葉はポケットから自慢のスマホを手にツバキに聞いた。

 

紅葉「なあ、LAIN、教えてくれよ」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。